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ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)

作者:あちゃ
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第2章:リムルダール編
  23:嘘は吐かないけど、本当の事も言わない

(リムルダール)
リュカSIDE

ヘルコンドル討伐を記念したパーティーは一晩中続いた。
その間も俺の頭の中にはルビスからの催促が響き続けた。
殆ど涙声だったが、心を鬼にして無視!

このままこの地に腰を据える気持ちでいると、パーティー終了を告げる夜が明けにエルから話しかけられる。
「リュカ様……ルビス様から次の地へ行く様に要請があるのですね?」
と、潤んだ瞳で問われてしまった。

勿論俺の答えは……
「無いよ」
と、完全否定だ。

「リュカ様……私の本心を言えばリュカ様にはこの地に留まって頂きたいです。ですが、それは我が儘というもの。この世界(アレフガルド)を救えるのはリュカ様だけなのですから」
そんな事はないだろ。俺は勇者でも何でも無いんだから……

「リュカ様が私たちの事を心配してルビス様からの要請を先送りにしている事は理解しております。ですがリムルダールだけ復興できても、この世界(アレフガルド)全体が復興できなければ、(いず)れ滅びてしまうでしょう」
……た、確かに復興させたメルキドは心配だ。と言うか、ピリンとチェリコが心配だ。

「どうかリュカ様……この世界(アレフガルド)に、本当の平和を取り戻してください!」
ちょ……
ルビスにそそのかされたのか? 困るなぁ……

『リュカ。エルの言うとおりですよ。貴方一人ではリムルダールは守れても、メルキドまでには手が回らないでしょう。彼の地の人々を守るためにも、アレフガルド全体の復興が必要になります』
エルの意見を聞いていたルビスが、生き生きと次の土地への移動を促してくる。

『それに……次の地は“マイラ”です。解りますかマイラですよ。以前に訪れた時の記憶を思い出してください。マイラには何があったと思いますか?』
マイラ……? 確かマイラには……

「温泉!!」
「ど、如何されましたリュカ様!?」
マイラに温泉があって楽しんだ記憶が蘇り、思わず叫んでしまいエルを驚かせる。

「あぁごめん。エルの言うとおり僕にはアレフガルドを復興させる使命があるなと思いだしてね」
「はい。リュカ様にしか出来ない事です」
『そうですよ……貴方にしか出来ません』

俺のやる気が戻った事に気付いたルビスが、嬉しそうに話しかけてきた。
こいつの思い通りに動くのは気に入らないが、荒れ果てた世界に蘇る温泉となれば大きく気持ちが揺らぐ。
ルビスは俺にやる気を出させるため、多少なりとも手を回して各地での第一村人を美女にしてきた。

だから各地では暫くの間、俺と美女の二人きりでの生活が続く。
しかも今回は温泉付き!
これは行くっきゃない!!

以前に見つけた移転の門の方向に目を向けると、ルビスの力が届く様になったのか、光の柱を点に向かって放ってるのが見えた。
「エル……リムルダールの事も心配だけど、やっぱり僕にはアレフガルドを復興する使命があるから行くよ。心配かけてごめんね」

そう言ってエルにキスをして移転の門へと踵を返す。
ケーシー・ミノリ・ヘイザンに挨拶しなかったのは気になったけど、少しでも早く……そして少しでも長く美女との温泉生活を満喫するため、急ぎ移転の門へと走った。

マイラは俺の血筋だけで埋め尽くしちゃおうかなぁ(笑)

リュカSIDE END



(時空の狭間)

「いいんですか、リュカは勘違いしたままマイラへと向かいましたよ?」
何も無い真っ暗な空間で金色に輝くマスタードラゴンが、銀色のルビスに注意を促す。
眼下ではウキウキとした足取りのリュカが移転の門へと向かっている光景が映し出されている。

「か、勘違いするのは彼の勝手です。私は嘘は言ってませんから!」
「ですが何を勘違いしてるのかを解ってて、それを是正しようとして無いじゃないですか? 怒りますよ(リュカ)

「ですが真実を言えば、彼はマイラに行こうとしないでしょ!? 困るんですよ、それじゃ!」
「彼が次の地へ行きたがらないのは、貴女が彼から魔法を奪ったからでしょ。彼を信用してないのに、利用だけはしようとする……そりゃぁヘソを曲げますよ」

「あ、あれだけの力とカリスマ性を持ってる人間ですよ。警戒するのは当然ではないですか!」
「しかしね……(リュカ)には世界征服などする気は無いと解りませんかね? むしろ面倒臭がってる様にしか見えないではないですかな?」

「そ、それは……本心を悟られない様に演じてるだけかもしれないじゃないですか!」
「誰に対してそんな演技をしてるんですか?(笑) 我々に対してですか? だとしたら無用なのは痛感してるでしょう。(リュカ)がその気になれば、我々が如何に気付いていようが世界は(リュカ)の手に落ちますよ。それだけの力が(リュカ)にはあります」

「で、でも……我ら神々の力をみくびらない様に警告にはなるでしょう!」
「逆効果になるかもしれませんよ。彼は他人(ひと)が嫌がる事をする傾向があります。しかも面白半分で。貴女がアレフガルドを奪われる事に警戒してると気付けば……というか既に気付いてると思われますが……結果的に後悔しても、嫌がらせの為だけに世界を征服する可能性があります。しかも暴力(ちから)ではなく、彼のカリスマ性を持って」

「う゛……う゛ぅぅぅ。な、何でそんなに嫌な事ばかり言うんですか!?」
「ふぅ……やれやれ」



(誰かの記憶の中)
リュカSIDE

移転の門を潜って気を失ったのか……
また誰かの記憶が頭の中に再生される……勝手に(怒)

『ここは武器と防具の店だ。どんなようだね?』
『ふむ……何か買うのだな? どれにするかね?』
『棍棒は60(ゴールド) 銅の剣は180(ゴールド) 鉄の斧は560(ゴールド) 皮の服は70(ゴールド) 鎖帷子(かたびら)は300(ゴールド) 鉄の盾は800(ゴールド) だよ!』
『鉄の斧だね。そいつなら560(ゴールド)如何(どう)かね?』
『おお、買ってくれるのだな! 早速装備するかい?』
『……え? 自分で装備するって? 良いんだよ! アンタには世界を救う使命があるんだから!』
『苦労して作った武器を、拾ったお金で買う。そんなのはアンタだけの特権だ……』
『でも良いんだ! 良いんだよ! アンタには世界を救う使命があるんだからな!』
『さぁ……他にも何か用はあるかね?』

あるかーーー!!(怒) 何が“使命”だ! 何が“特権”だ!! 拾った金じゃないわ! 命がけで戦って得た金だ! お前の店で買い物などするか馬鹿者!!
なんてムカつく店だ。

この記憶の持ち主は、こんな腹立つ扱いを受けてたのか……
そりゃ世界の半分を貰いたくもなるな。
何だ……この記憶を見せてるのはルビスじゃないのか?

最終的には同じ提案されたら『YES』と言わせたいのか?
それとも『こんな状態だったけど、甘い罠に引っかからないでね』って馬鹿にしてるのか?
あの貧乳女神(アホ)の考える事は解らん。

リュカSIDE END


 
 

 
後書き
これにて第2章は完結。

次は待望の姐御編だ! 
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