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曇天に哭く修羅

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第二部
  事の顛末

 
前書き
やっと原作の半分が終了。
_〆(。。) 

 
《レックス・ディヴァイザー》が敗北したことにより、イギリスの《クリス・ネバーエンド》暗殺は失敗に終わった。

彼の所属するイギリスは刺客であり自国の首脳を暗殺することに成功したレックスを連れ帰ろうと彼の元に駆け付ける。

しかし《矢田狂伯(やだきょうはく)》によってイギリスからの迎えは壊滅し、レックスはそのまま日本に残ることとなった。

そして今回の出来事による交渉が日本とイギリスの間で行われたのだが【日英親善試合】の開催地であるにも関わらず日本は何の要求もされず、何一つとして責任を負うこと無く交渉を纏めることに成功。

両国ともに【HCA/人類保全連合】のテロということで決着を見る。

イギリスの立てた本来の計画では日本に責任を取らせ資金や人財を提供させるつもりだったのだがそうはならなかった。

こうなった背景には《島崎向子》が暗躍し、今回の事案がイギリスの仕業であるということを突き止めて証拠を手に入れたということが有るのだが、事件はこれで終わらない。

日本の方は幕引きされたがイギリスの方では数日後に国を引っ繰り返すような『人災』が発生してしまう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ちょっとイギリス行ってくる」


イギリスから亡命していた【魔神】《イリアス・ヴァシレウス・グラディエ》はそう言い残し、何年か振りの故郷へと旅立っていった。

わざわざ幼馴染みのクリスと彼女の姉《エリザ・ネバーエンド》の許可を貰い、レックスにも了承を受けてからのことだがそれには理由が有る。

イギリスへ極秘裏に帰国したイリアスはクリス達の両親である貴族ネバーエンド夫妻が治める領地を住んでいた人間ごと消し去ったのだ。

エリザは貴族の役目や領地の人間を大切にしていたがクリスの暗殺に対して祖国に失望したことで全てをイリアスに任せたので特に何の感想も無い。

ネバーエンドのデータ化できる資金的な財産は裏から手を回して日本に居るクリス達の手元に渡っているので後の生活は心配ないだろう。

そしてレックスの父を保護して日本まで連れてくることで安全を確保しイギリスの統治下から完全解放することに成功する。


「ここまでは想定内だったんだけどねぇ。まさか彼があそこまでやるとは流石の私も想像がつかなかったよ」


向子はイリアスと一緒にイギリスへ行ったので彼が何を目的にしていたのか知っている。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


イリアスがイギリスに戻った最大の理由とはレックスの母が死ぬ要因となり、レックスの心をへし折った自国の【古代旧神(エルダーワン)】を殺すことだ。

イリアスが日本に亡命することにした理由もレックスの母が死んだことによるものなので、恨み骨髄、一日千秋の想いでこの時を待っていたのである。

かつては良心が働いて関係の無い人間を巻き添えにすることを避けたが今回は一切の考慮をせず本気で決着を狙っていた。

そしてその結果イリアスは首都ロンドンと共に古代旧神を完全消滅させることに成功する。

当時ロンドンに居た住人に加えて合計1000万人以上存在していた首都圏を塵の一つも残さず黒い虚空に呑み込み彼方の亡囚とした。

ネバーエンドの領地と同様に底すら見えぬ深底遠望の暗がりが広がる奈落と化した大地に世界は震撼し、真実を知るイギリスの上層部はイリアスと彼の周囲に居る人間に対して手を出さない誓約を結ぶ。

これによって何とかイリアスの怒りを鎮めてもらったが、古代旧神を失ったイギリスの社会的地位や影響力が極端に落ちることは避けられないのでこの先は凋落の一途を辿るのみだろう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「面の皮が厚いイギリス(あちらさん)も相当に懲りたみたいだからね。古代旧神の加護を失ってもやっていけてる日本と違ってこれからは外交で相当に苦労することになるよ」


向子にとっては想定していた以上に素晴らしい結果になったので今後は海外勢を相手取っても動き易くなるだろう。

最優先にしていた《立華紫闇(たちばなしあん)》の成長も達成できているのでこれ以上を望むべくもない。


「さあーて。後は江神(こうがみ)君と翔君のどっちが勝ったのかを聞いたらこの一件は片が付くねぇ。またプランを練らなくちゃいけないけど」


そう、紫闇はまだ完成していない。

早く及第点に達する実力を身に付けてもらわなければならないのだ。


「んーにしても、レイア君から報告を受けた時はあたしも驚いたよ。一体どれ程の存在が宿ってるんだか」


神が参る者(イレギュラーワン)】である紫闇は古代旧神や【旧支配者/オールドワン】といった[上位存在]と融合し、互いの力を高め合っている稀有な人間だ。

彼は《永遠(とわ)レイア》によって『改造』を施され、【魔術師】の武器であり『魂』そのものの【魔晄外装(まこうがいそう)】を強化されている。

レイアはその改造をしている時に紫闇と混ざっている上位存在を感じ取った。

その強大さを。


弥以覇(やいば)さんが言った上位存在は神が参る者に一段劣るという内容は間違っていないのかもしれないが、これはあまりにも───)


神が参る者が有している力は融合した上位存在に寄るのだが、レイアですら二の句を継げぬ程に巫山戯(ふざけ)たそれ。

間違いなく紫闇の憧れ大英雄《朱衝義人/あかつきよしと》と彼を含む世界最強の魔術師だった七人【マジェスティック】の内6人を道連れにした《ナイアー=ラトテップ》を上回っている。

【邪神大戦】が終結した後に残った古代旧神を全て合わせても敵いそうに無い。


「最悪の事態を考えないといけないな。割りと本格的にどうしようも無いことになりかねない存在みたいだから……」


レイアと向子は唸りを上げて首を捻り、頭を悩ませながら対策を考えていた。
 
 

 
後書き
第二部が終わりました。

このペースだと今年で完結できない。 
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