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犬からの救い

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第四章

 健は肩の荷が下りていった、そして。
 ボンドは前よりは懐き気付くと彼のベッドの横で丸くなって寝たりする様になった。それでだった。
 健は久し振りに笑顔になって妹に言った。
「ボンドもベッドの横で寝る様になったな」
「そうなの」
「ああ、朝起きたらな」
 その時にというのだ。
「いてくれたよ」
「そう、よかったわね」
「本当にな、時間がかかったけれどな」
「懐いてきてるのね、私にもね」
 夏奈は微笑んで話した。
「唸らなくなったしお父さんにもお母さんにも」
「懐いてきてるか」
「そうなのよ」
「それはよかったな、俺もやっとな」
「檀家の方がなのね」
「解決してきてるしな」
 それでというのだ。
「よかったよ」
「おめでとうといったところね」
「本当にな、辛い状況も終わるんだな」
「何時かはね、それでお兄ちゃんにとってボンドが来てよかったわね」
「ああ、お陰で随分と助かったよ」
 ボンドと一緒にいる時間が出来てというのだ。
「漫画もゲームも水泳も効かなくて困ってたけどな」
「アニマルヒーリングね」
「動物で癒されるって本当だな」
「そうよね、じゃあこれからも」
「ボンドと一緒にいるな」
「そうするのね」
「ずっとな」
 妹に微笑んで言った、そして。
 その話の後で玄関の方に向かって母の育枝に言った。
「ボンドの散歩行って来るよ」
「車に気をつけてね」
「ああ、それで行って来るな」
 痩せて動きやすい服装をしているショートヘアの母に告げた、皺が多いが顔立ち自体は夏奈から見て遺伝を感じさせるものだ。
「これから」
「それじゃあね」
「じゃあ行くぞボンド」
「ワン」 
 ボンドは健に明るい鳴き声で応えた、そして首輪にリードを付けられると楽しそうに散歩に出た。健はその彼を見てまた笑顔になった。こんな懐いているボンドははじめて見た、これからもっと懐いてくれると思って。そしてずっと笑顔で散歩をしたのだった。


犬からの救い   完


                 2020・5・22 
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