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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Myth26そして剣神から剣姫へ受け継がれていく~KirschblütE~

 
前書き
Kirschblüte/キルシュブリューテ/桜(の花) 

 
†††Sideシグナム†††

エテメンアンキの頂上を目指して放たれたオーディンの蒼い砲撃。それは確実に砲門の柱を撃ち抜いてへし折った。そして落下を始めた柱を、エテメンアンキ自身が砲撃カレドヴルフで粉砕した。あれだけの質量をもった物体があのような高度から落下し地上に衝突すれば、その衝撃はイリュリア王都を丸ごと消滅させるだろう。テウタはそれを危惧したのだろう。さすがに自国を滅ぼすわけにはいかんからな。

「もうマイスターの魔導には驚くつもりなかったけど、射程はもちろん威力もとんでもないな~」

「まったくだ。射程が悪い冗談のようだ。オーディンの真の力はどこまでなのだろうな」

私の融合騎にして相棒アギトと共に苦笑。オーディンの“力”を聞いているだけのアウストラシアの騎士たちは完全に呆けている。
私とアギトは今、オーディンの作戦によりアウストラシア戦力として戦う事になり、イリュリア南部の国境線に居る。オリヴィエ王女と、騎士リサを将としている騎士隊ズィルバーン・ローゼ、そして本格的にイリュリア戦争に参戦する事となったアウストラシア騎士団(近衛騎士団は王都防衛らしい)と共に、馬に跨り(アギトは飛んでいるが待機中。

「反撃の狼煙は上がりました! アウストラシア騎士団、進撃します!」

聖王直々にアウストラシア騎士団を率いる事を任されたというオリヴィエ王女の号令の下、我らは一斉に国境線を越えイリュリア国内に進撃。記憶した地図を思い出す限り、ここより7km先までは平原続き。街に被害を出さずに戦闘を行うにはもってこいの地形だ。おそらくイリュリア騎士団が待ち受けているだろうが、どのような騎士団が居ようが蹴散らすまでだ。そして、そう間もなくテウタの宣言通り、

――カレドヴルフ――

空より7条の砲撃が各国王都へ向けて放たれた。馬を止めて騒がしくなるアウストラシア騎士団へ「静まりなさい!」オリヴィエ王女が一喝。続いて、女性ばかりで構成されているズィルバーン・ローゼの副隊長だと紹介を受けた女騎士、エレス・カローラ(女性でありながら侯爵だそうだ)が、

「オリヴィエ様と騎士リサ、そして名の有る8ヵ国の代表が信じた、シュトゥラの騎士オーディンを信じなさい!」

そう言うと、騎士団は一斉に静まり、進軍前と同じように凛然とした面持ちとなった。こう言っては何だが、リサよりエレスの方が将向きだと思えるな。声もそれほど大きく出していないと言うのに騎士団全体に通った。

「見てください。オリヴィエ様たちの言うとおり、現にカレドヴルフは見事に防がれたました・・・と言うか、本当に防ぎましたね・・・」

もう1人のローゼの騎士・セリカ・グラシアが呆れ果てていた。ここより一番近い着弾点からは爆炎は上がっていないのは確か。それはつまりオーディンが作戦通り防いだという事だ。気持ちを切り替えた騎士団は、「参りましょう」オリヴィエ王女の一声で馬をまた走らせた。ズィルバーン・ローゼの中に交じって王都へと進軍の最中、「ん・・・?」隣を走るリサは先ほどから左手に携えた長刀を収めた鞘を眺めているばかりで、心ここに在らずと言った風なのが気になった。

「(さすがに放ってはおけんな)リサ、どうした?」

「あ、騎士シグナム・・・。えっとぉ・・・いえ、何でもないです」

そうは言うが、何でもないです、ではないだろう。手にしている“キルシュブリューテ”に何かある・・・ん? いや違う。以前、試合った時に見た“キルシュブリューテ”の柄とは作りが違う。それに、意識を向けて初めて判る。その長刀からは魔力が発せられている。しかも今までそれに気づけなかった自分の事が愚かしいと思えるほどにかなり高い。

「リサ。その長刀はどうしたんだ? カートリッジシステムを搭載していないな。それに、魔力を帯びている」

「・・・これ、キルシュブリューテという銘なんです」

リサはようやく話してくれたのだが・・・。“キルシュブリューテ”か。リサの武装と同じ銘なのだな。それに長刀と言う共通点もある。しかし「同名の武装だろうが、意識が散漫になるようなものなのか?」そう訊ねる。

「キルシュブリューテと言うのは、フライハイト家の・・いえ、ベルカを滅亡から救った英雄シャルロッテ様の武装なんです。私のキルシュブリューテは、そのシャルロッテ様の武装・断刀キルシュブリューテの銘から取りました」

剣神シャルロッテ・フライハイトの伝説は聞き及んでいる。剣騎士として最強とされていた者だそうだ。リサが鞘から“キルシュブリューテ”を抜き放った。いつ以来だろうか、武器に目を奪われる事など。リサの“キルシュブリューテ”と同じ鮮やかな桜色の刀身なのだが、“断刀キルシュブリューテ”はそれ以上に鮮やかで、美しく、目を離せなくなってしまう。

「断刀キルシュブリューテは、シャルロッテ様の自伝によりますと魔剣らしいです。ありとあらゆる存在を斬り捨てる事の出来る、絶対切断、という能力を持った・・・魔剣」

「何でも斬れるって、それってすごい事じゃないの? なのに何でそんな暗い顔してるの?」

アギトはそう訊ねつつ、“断刀キルシュブリューテ”の美しい刀身に目を奪われている。リサは「オリジナルのキルシュブリューテは、シャルロッテ様の死と共に失われたはずなんだ」と言い、軽く“断刀キルシュブリューテ”を振った。ドクンと心臓が跳ねる。なんて美しい軌跡だ。アレが本当に武器なのか? 美術品の間違いではないのか?

「そんな断刀キルシュブリューテを、オーディンさんが持っていたという事が信じられなくて・・・」

「なに・・?」「え・・?」

オーディンが、古きベルカの英雄・・・シャルロッテ・フライハイトの武装を持っていた? どういう事だ。意味が解らない。顔に出ていたようで、リサは「話は一応聞きました」そう前置きをし、

「セインテストのご先祖様が、その当時のベルカと関係を持っていたそうです、ベルカと対立する敵対者として。断刀キルシュブリューテはその時に手に入れ、今日までオーディンさんが保管していたそうです」

「そうか・・・。それで? お前はオーディンやセインテストに対して恨みを抱いたのか? フライハイト家の家宝の如き剣を、今の今まで持ち去られていた事に」

「違います。ただどうしてこんな時にその話をしてくれて、そしてキルシュブリューテを返してくれたのかが判らないんです。だって、私がフライハイト家だって知ったその時に返してくれてもよかったのに・・・」

そう言ってリサは“キルシュブリューテ”を鞘に納めた。今になって返した理由は判らない。だが、オーディンの真意はなんとなくだが解る。

「シャルロッテ・フライハイトはその武装を携え、ベルカを護るために戦ったのだろう? ベルカを護るための力として、リサにキルシュブリューテを返したのではないのか?」

「私の実力が信じられないとでも言うのですか? オーディンさんは。 オリジナルの魔剣・断刀キルシュブリューテを返そうと思うほどに・・・?」

リサが目に見えて落胆してしまった。オーディンに認められていない、と思って。だがそうではない。私はリサの頭に手を置き(オーディンのクセが移ってしまったな)、「そうじゃない!」私より先にアギトがリサに詰め寄った。

「マイスターはリサを信じたからこそ、きっとキルシュブリューテを返したんだよ。あたし、アムルで読んだ事あるよ。魔剣とかっていう類は、使用者に何かしらの代償を求めるって」

「・・・キルシュブリューテは、持ち主の魔力と引き換えにその鋭さを増していくそうです」

「あたし、シグナムの言うとおりだと思う。リサにシャルロッテっていう騎士と同じようにベルカを護ってほしいんだよ。最強の剣騎士シャルロッテの末裔のリサ・ド・シャルロッテ・フライハイトに。リサがその代償を乗り越えて、キルシュブリューテを使いこなせるって信じてさ」

私が言いたいことはアギトにすべて言われてしまったな。しかしもしこの推測がはずれていたとしたら、我々はとんだペテン師だな。リサの戦意を高める事がそもそもの目的だ、当たっていなくとも問題は無い・・・といいな。もし、ベルカを離れる前に返しておこう、などという理由だったとしたら・・・私は少しオーディンに幻滅だな。おそらくそのような理由ではないだろうが。

「シャルロッテ様と同じように、か。だったらいいな」

リサは微笑み、今まで彼女を包んでいた戦場には相応しくない暗い空気は無くなった。真っ直ぐ、ただひたすらに前を見据え、馬の手綱と“キルシュブリューテ”の鞘を力強く握り締めた。それから数十分と馬を走らせ、その最中でも幾度かカレドヴルフが放たれた。
しかしその全てがオーディンの使い魔アンゲルスに防がれているようだ。しかし作戦ではオーディンの魔導でエテメンアンキをへし折るというものだったが、「マイスター、大丈夫かな・・・?」アギトが心配そうにシュトゥラの方角へと目をやる。

「オーディンの魔導でも破壊が出来ない場合の作戦、覚えているな」

「先に王都へ進撃できた騎士団がエテメンアンキに乗り込んで、機能停止させる」

「そうだ。アンゲルスがカレドヴルフを防ぐ事への限界に達する前に、エテメンアンキを掌握する。オーディンのセフィロトの樹という魔導も永遠ではない。いずれ限界が来る。そうなればオーディンはもちろん、カレドヴルフの射程に入る国はイリュリアによって殺される」

「そんなの嫌だ。だから・・・!」

「急ぎましょう。オーディン先生が防衛網を維持できる時間が、イリュリア攻略に許された時間です」

オリヴィエ王女の声に、我らは「ヤヴォール!」と声を張って応じた。

†††Sideシグナム⇒リサ†††

馬を駆って王都への進軍。空ではイリュリアの戦船2隻とガレアとウラルの戦船3隻が戦闘が開始。その様子を見上げていると「そうですか・・・。あなた方はイリュリアに付いたのですね」とオリヴィエ様は私たちの前に立ちはだかった騎士団を見て、お嘆きになられた。私たちの前には騎士団が居る。イリュリア騎士団ではなく、アウストラシアにばかり戦を仕掛けてくる頭にくる連中「ネウストリア騎士団・・・!」だった。

「こんな形でアウストラシアと決着するとは思いもしなかったが、ミナレットの砲撃を受け、エテメンアンキの砲撃を見て、父上は決心したよ。ネウストリアはイリュリアに付き、共にベルカを統一しようとな。そういうわけで、オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。イリュリアへの手土産としてその首、貰うぞ」

ネウストリアの王子・・・名前は確か・・・ダメだ、思い出せない。嫌いなものは完全否定で拒絶を、と考える私の頭の中にはネウストリア王族の名前なんて当然入ってない。私の隣に居る騎士シグナムは「なるほど。ネウストリアの危機感を煽るためにあの時、ミナレットを撃ったのか」なんて、ひとり納得中。

「グラダッソ王子。1つ、言っておきたい事があります。・・・後悔しますよ?」

「後悔? 約束された勝利を手に入れた今、何を後悔す――」

「約束されたのは勝利ではなく敗北です。私たち対イリュリア同盟は、イリュリアに勝ちます」

オリヴィエ様がキッパリと断言なされた。だと言うのに、グラダッソとかいう阿呆王子はお腹を抱えて大笑い。あまりに無礼な態度。“断刀キルシュブリューテ”の柄を手に取って臨戦態勢に入る。だけど「待ってリサ」オリヴィエ様は私を手で制し、

「考え直すよう、ネウストリア王に進言を」

わざわざ馬から降りてグラダッソなんかに頭をお下げになった。感謝ではなく懇願として。辛さで涙が出た。オリヴィエ・ゼーゲブレヒトという1人の少女を敬愛する私たちズィルバーン・ローゼからはもちろん、アウストラシア騎士団からも「おやめください!」って叫び声が上がる。すぐさま馬から降りた私だって失礼を承知でオリヴィエ様の肩を掴んで、「頭をお上げください!」力づくで頭を上げさせていただく。

「人にものを頼むのなら、土下座だろ? オリヴィエ・ゼーゲブレヒト王女」

プツンと頭の中で切れてはいけない何かが切れた音がした。“断刀キルシュブリューテ”の柄を取り、「いい加減に・・・」一気に引き抜いた。阿呆王子グラダッソは、「怒りで剣閃が丸見えだ」と私の踏込みにも居合抜きにも完璧に対応した。アイツが手に持っているのは剣。
防がれる――そう思ったけど、「え・・・?」自分が生み出した光景に呆けてしまった。“断刀キルシュブリューテ”はグラダッソの剣を紙のように切断して、彼の首を刎ね飛ばした。人を斬ったっていう感覚が無い。あまりにも滑らかに刃が通った。グラダッソだったものはゆっくり地面に倒れ、遅れて首から血が噴き出した。

「・・・・あれ・・・?」

静まり返る私たち。でもすぐにネウストリアの騎士たちが一斉に「殺せぇぇぇぇぇッ!!」グラダッソの敵討ちのために一斉蜂起。オリヴィエ様は「こうなれば仕方ありません。全騎、ネウストリア騎士団を撃滅します!」命令を下された。
私の周りで発生する戦闘。でも私は動けない。怒りに駆られたのは確か。でも殺す気はなかった。軽い脅しのつもりだったのに。“断刀キルシュブリューテ”を見下ろす。刃に血は付着していない。血が付着する前に首を刎ねたという事だ。切れ味が鋭すぎる。これが・・・魔剣。

「ボサッとしてるんじゃないの! 死ぬわよ!」

いきなり突き飛ばされて、そのうえ怒鳴られた。ズィルバーン・ローゼの副長エレス・カローラに。そんなエレスは手に携えた剣アルマツィアで、私に斬りかかろうとしていたネウストリア騎士を一刀両断していた。いつの間にか背後を取られていたようだ。それに回りでバタバタとネウストリア騎士が次々と倒れていく。背後を取られていたどころか包囲されていた。私を救ってくれた2人は、共に幼少時からの親友だ。

「気を付けてください、リサ。貴女が死ぬと、オリヴィエ様が悲しみます」

古くからフライハイト公爵家と交流を持つグラシア伯爵家のセリカ・グラシアからも、

「もちろんリサが死んだら私たちも悲しいよ。だから気を付けてよ」

シャルロッテ様が生存していた時代よりフライハイト家に仕えてくれているヴィルシュテッター家のアンジェリカ・ド・グレーテル・ヴィルシュテッターからもお叱りの言葉を貰った。

「オリヴィエ様はシュトゥラの騎士シグナムと共に戦っていらっしゃる。それなのに貴女ときたらボサッと突っ立ったままで。しっかりしなさい!」

そうだ。もう戦いは始まったんだ。私はネウストリアの王子を殺した。この事実は消えない。なら前に進むしか道はない。だったらもう開き直りだ。“断刀キルシュブリューテ”を地面に突き立てて、両頬をバチンッと思いっきり張る。

「ごめん! ズィルバーン・ローゼ、戦闘開始! 行く手を邪魔する連中は悉く蹴散らして、王都へ進攻するっ!」

“断刀キルシュブリューテ“を手に取り、「散開!」エレスとセリカとアンジェをバラけさせる。アウストラシア近衛騎士団、その最強格の騎士たちが纏まっているのは効率が悪いから。私も群がるネウストリア騎士に突撃して、“断刀キルシュブリューテ”を振るう。敵騎士の武装や甲冑をなんの抵抗も無く切断していく。これまで使っていた“キルシュブリューテ”ではこうも簡単に斬れない。

(魔力を注ぐ事で切断力を上げていくって、シャルロッテ様の自伝で読んだけど。そんな事せずともこの切断力。魔剣としての能力を解放したら、一体どれだけのものに・・・?)

今すぐにでも解放したい思いに駆られる。けどそれを自制心で抑えつける。“力”に酔いしれて、溺れて、その先には絶対に良くない事が待っているに決まっているから。

――キルシュブリューテを使いこなせるって信じてさ――

アギトちゃんの言葉を思い返す。シャルロッテ様はどうだったんだろう。考えるまでもない。きっと“力”に溺れる事なく使いこなせていたんだろう。私もシャルロッテ様の足元にでもいい。少しでも近づくために、欲を意思で捻じ伏せる。

「ああああああああああああッッ!!」

――閃駆――

体を数回小さく揺らして勢いをつけるという初動を行い、高速移動の歩法・閃駆を使って敵騎士の密集点のど真ん中に踏込む。

(実戦の中で掴んでいくしかない。剣神シャルロッテ様の真の剣技と魔導を・・・!)

シャルロッテ様の魔導書に記された術式を脳内に思い描く。所々が欠損していたり、理解できないものを数多く在った。だけど私は、シャルロッテ・フライハイトを受け継ぐ者――リサ・ド・シャルロッテ・フライハイト。偉大なご先祖様の“力”を、この私が現代のベルカに再現して見せる。

――氷牙空衝刃(アイス・ベルク)――

足元に展開した桃色のベルカ魔法陣から氷の剣山を突出させる。首飾り型の待機形態である“キルシュブリューテ”に魔導の補助を全て委ね発動した魔力変換・氷雪系の魔導。幾つかが敵騎士を貫いて絶命させたけど、「ダメだ、不完全すぎる!」氷の剣山が脆い。
敵騎士に直撃する前に砕けてしまった氷もある。何かが足りない。ううん、前々から思っていた事だ。魔導と魔道の違い。記し違いかと思っていたけど、その何かが私をシャルロッテ様に近づけさせるものなんだ。

「――サ・・・リサ! おい、コラ!」

「へ・・?」

また怒鳴られてた? 何で、と思って私を呼んだエレスに振り返った。エレスは「戦闘はもう終わったのよ。進軍を再開するわ」アルマツィアで肩を叩きながら呆れていた。いつの間にか戦闘は終わっていて、私の周辺には首を刎ねられたネウストリア騎士が十数人と倒れ伏していた。背中をポンと叩かれ、「あなたの馬、逃げたでしょ? 後ろに乗りなさい」エレスが引いていた馬に乗る。

「時間を掛けました。進軍を再開しますッ!」

オリヴィエ様の一声で、進軍は再開された。エレスは馬を操ってオリヴィエ様の御傍へと走らせる。その間、「すごかったわ、あなたの剣閃。一体どうしたの?」エレスがそんな褒めと疑問半々で訊いてきた。正直「・・ううん、全然憶えてない。無我夢中・・・というか考え事をしてて」と答える。

「考え事してて・・って。あなた、それって結構危ないんじゃないの?」

「考え事をしながら撃滅するなんて、確かにまずいよね」

考え事中だろうが無我夢中だろうが無意識で人を斬るなんて、殺戮人形と変わらない。これじゃダメだ。確実に“断刀キルシュブリューテ”に呑まれ始めている。

「エレス。意識を全部考え事に向けるから、何かあれば叩いてでも戻して」

「ヤヴォール。しっかりと答えを見つけてきなさい。それまでは私が支えるわ」

目を閉じ、“断刀キルシュブリューテ”の柄頭を額にコツンと当てる。シャルロッテ様が自らの命と騎士の誇りを預けた相棒として携え、共に大戦を駆け抜けた相棒・・。その魔剣と心を通わせるように意識を傾ける。一体どうすればあなたに近づけますか・・・?

――キィィーーーーン・・・――

(・・・・?)

――シャァァァーーーーン・・・――

(なんの音・・・?)

不思議な音が頭の中に響いてくる。意識が内側――心の中へと入って行く。暗い闇から明るいどこかへ飛ばされた感覚を得た事で目を開けてみたけど、眩しくすぐ閉じる。明かりに慣れるまで目を細めようと思った時、『来たね』女の人の声が世界の中に届いた。私だけの心に、誰とも知らない声が。うっすら目を開けて、そして見た。水色の長い髪、鮮やかな桃色の瞳、右手に携えているのは桜色の刀身を持つ長刀・・・。

「断刀キルシュブリューテ・・・!」

『いらっしゃい、リサ・ド・シャルロッテ・フライハイト。我が世界、ヘルシャー・シュロスへ』

一際強い光が生まれた事で目を閉じ、次に開けた時は世界が一変していた。そこは円形の闘技場。私とその女性は中央で対峙しているように向かい合っている。空は澄み渡る青。桜色の花弁が舞い散っている。平和を象徴するようなそんな世界。

『私の名前は、シャルロッテ・フライハイト。断刀キルシュブリューテに宿る者』

「・・・え?・・・シ、シャルロッテ・フライハイト、様?・・・・あなたが・・・!」

『構えなさい。キルシュブリューテを使いこなすために、ここへ来たんでしょ』

別にそういうわけではないんですけど・・・というか“断刀キルシュブリューテ”に宿ってる? 憧れのシャルロッテ様ご本人の登場? それに、構えろ、って・・戦うということ? そもそもここは私の心の中じゃないんですか!? どうしてこんな状況に!? 予想なんて出来ない事態が押し寄せてくるせいで頭の中がどうにかなりそう。

『そっちから来ないのなら、こっちから攻めるから。シャルロッテ・フライハイト、参ります』

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

『体の動くままに動けばいいの!』

――閃駆――

自称シャルロッテ様の姿が掻き消えた。と言う事は、間違いなく閃駆だ。何故だか解らないけど、直感のままに手に持っている“断刀キルシュブリューテ”を左側に掲げる。その直後に、ガギンッ!という金属音と、両手に伝わる冗談じゃない衝撃が私を襲った。目だけを左へ向ける。そこには満足そうな表情をしたシャルロッテ様が居た。

『良い感じ♪ それじゃ続けるよ・・・!』

「っく・・・!」

“キルシュブリューテ” を高速で振るうシャルロッテ様の動きについて行こうと頑張る。頑張りはするけど、速度、威力、軌道、それらが変幻自在過ぎて、「痛っ・・!」浅い切傷があちこちに付けられていく。これ程の剣技を放てるなんて。私が戦っているのは間違いなくシャルロッテ・フライハイト本人だ。そうとなれば。歩法・閃駆の初回発動の一歩目に必要な初動、体を数回揺らす、という動作を行い、

――閃駆――

――閃駆――

仕切り直すために一度シャルロッテ様から大きく距離を開ける。だけど『まだまだ遅い』と背後から聞こえるシャルロッテ様の声。考える間もなく、もう一度体を揺らして2度目の閃駆を行う。シャルロッテ様は真正面から突っ込んで来る。

――閃駆――

途中で掻き消えた。ここへ来たばかりの混乱の中でなく、意識を戦闘に傾けた現状で見た。シャルロッテ様の閃駆、私の閃駆と違って初回発動の一歩目に必要な体を揺らす、という初動が無い。だから・・・

(さっき、背後に回り込まれたんだ・・・!)

『よっと・・・!』

「・・・っ!」

シャルロッテ様の一閃を紙一重で回避できたけど、前髪がパッツンと斬り払い落とされた。初動の有無で負けるなら、立ち止まらずに連続で閃駆を行い続ける。連続使用でなら体を揺らすという動作は削れるから。その分、疲労は溜まりやすいけど。でも初動を削って速度を互角にするにはそれしかない。体を揺らし勢いをつけての一歩目を踏み出す。

――閃駆――

シャルロッテ様の右隣へ移動、通り過ぎる際に “キルシュブリューテ”を薙ぎ払い一閃。でもそれも簡単に捌かれてしまう。シャルロッテ様の背後、数m先で片足をついて閃駆2歩目、背後からの襲撃。

『私の閃駆を見て、自らの力で閃駆を進化させて!』

――閃駆――

初動なくシャルロッテ様も閃駆を行う。お互いに連続閃駆をし、衝突し合っては閃駆で距離を置き、また衝突。速度にさほど差は生まれなくなった。けど、すれ違いざまにお互いが繰り出す一撃の精度と威力に歴然の差が。
速さにはついて行けるのに、剣騎士としての格が違いすぎる。仕舞いには私は“キルシュブリューテ”を弾き飛ばされて無手になり、「なるほどね」と何かに納得したようなシャルロッテ様の持つ“キルシュブリューテ”の刃が私の喉元に突き付けられた。

「はぁはぁはぁ・・・つ・・・強い・・・はぁはぁ・・」

手も足も出なかった。純粋な剣技では足元にも及ばない。剣先を掠らせる事も出来ないなんて。ここまでハッキリと実力差を見せつけられて負けたのはいつ以来だろう。シャルロッテ様は『ま、こんなところか』“キルシュブリューテ”を物質化した鞘に納め、離れて行く。

『問題は、魔道の方だよねやっぱり。あなた、私の戦術を記した自伝を読んで、閃駆や魔道を習得したんだよね・・・?』

「どうしてその事を・・・? でも確かにシャルロッテ様の仰る通りです。所々が欠損していたり理解できない部分が多くて、すべてを修めたわけではないですけど」

『というわけで――』

――風牙烈風刃(ヴィント・シュトゥース)――

シャルロッテ様は勢いよく“キルシュブリューテ”を振り上げると、「なに・・・!?」とんでもない風圧の壁が私の傍を通り過ぎて行った。

『フライハイトの騎士であるあなたに、シャルロッテ・フライハイトの魔道――ううん、魔導を託すのが、私の選択した役目。その目に、その身に、その心に、その魂に、我が魔導をしっかりと刻み込みなさい、リサ・ド・シャルロッテ・フライハイト!』

†††Sideリサ⇒アギト†††

イリュリアに入っての最初の街、アーヘンは無人だった。たぶんどこかに避難しているんだ。ここまで来る前に遭遇したネウストリア騎士団との戦闘後は何事もなかった。拍子抜けもしたけど、どちらかと言うとよかった。無駄に戦闘して疲れたくないし、マイスターを早く楽にしてあげたいから。
空から落ちてくるカレドヴルフを、マイスターを信じるっていう一心で意識しないでアーヘンを素通り。あたし達が進入してきた地点は、王都スコドラに一番近い南部――シュトゥラとは真逆の位置。王都まで街2つを過ぎればすぐに着く。このままの速度を保って進軍出来れば、2時間半で到着だ。

「この平原を抜け、もう1つの街を抜ければ、あとは王都だな」

「うん。でもこの辺り、ある騎士団の防衛地なんだけど・・・」

南部の国境防衛線を担当する騎士団の1つ、戦兎騎士団ブルーティガー・ハーゼ・オルデン。
その団長ヨハンは、今までグラオベン・オルデンが討ってきたイリュリア騎士団の高位騎士たち――第三位ウルリケ・第八位フレート・第九位ファルコ・第十一位ゲルト・第十四位ワイリーより強い第二位。
そんなヨハンは、テウタ派じゃなくてゲンティウス先王やバルデュリス王子派の騎士だということ。今のテウタ女王政を快く思っていないかもしれない。それがあたし達にとって嬉しい誤算を生んでくれるかも・・・なんて思っていたりする。

「アギトさん、その騎士団の情報はお持ちですか?」

シグナムの駆る馬の前を行くアウストラシア騎士団の将、オリヴィエ王女がわざわざ振り向いて訊ねてきた。あたしは無駄な事は言わずに、

「団名はブルーティガー・ハーゼ・オルデン。団長はヨハン・オメガ・シュプリンガー。序列はイリュリア騎士団の第二位。武装は、確か槍だったと思う――あ、思います」

「ありがとう、アギトさん。ブルーティガー・ハーゼ、血塗れ兎と言う意味ですね。それに第二位ですか。それはまた強敵が居ますね。ですが負けるつもりは毛頭ありません。必ずテウタ陛下を止めます。そのために、私たちの行く手を邪魔するのであれば押し通るまで」

オリヴィエ王女は断言した。あたしも負けるなんて思ってない。だってベルカ最強と謳われるオリヴィエ王女が居て、シグナムも居て、リサとズィルバーン・ローゼ、アウストラシア騎士団だって居る。そう考えると、あたしも何かしたいって強く思えて「偵察してくる!」空高く飛び出す。ぐっと高度を上げて、空からあたし達の進む方向のずっと先を見る。

「・・・・居た。ブルーティガー・ハーゼ・オルデンだ・・・!『シグナム、この先1300mの地点に敵が居る!』」

『そうか、判った。戻ってこいアギト』

シグナムに『うん』って応えて降下・・・する前に空を見渡す。ずっと遠いけど、海の方で光が行きかっているのが判る。戦船の戦いだ。エテメンアンキからは相変わらず砲撃カレドヴルフが放たれてくるけど、視認できる1本のカレドヴルフは地面に着弾する前に、空中で見えない何かにぶつかったかのように弾かれた。目に見えないけど、そこにマイスターの使い魔アンゲルスが居るんだ。
それからすぐあたし達はブルーティガー・ハーゼ・オルデンと対峙した。全員が完全に臨戦態勢で、あたしの考えは果てしなく甘かったと思い知る。オリヴィエ王女が馬を下りて、団長ヨハンに歩み寄った。

「イリュリア騎士団、ブルーティガー・ハーゼ・オルデンだ。ここより先は我らが防衛を任されている地。素通りさせるわけにはいかない」

「そこを退いていただけませんか。テウタ陛下のやり方では、ベルカは統一できません。出来るのは暴力による恐怖支配です。それがベルカの為になるとはどうしても思えません」

「・・・オメガ・シュプリンガー家は、遥か昔よりレーベンヴェルト王家に付き従う家系だ。私自身、テウタ陛下のやり方は好ましく思っていない。が、個人の意思より騎士としての矜持に私は従う」

「どうしてもですか?」

「無論、どうしてもだ。オリヴィエ王女殿下」

ヨハンは長槍の穂先をオリヴィエ王女を向けた。もう説得じゃ止まらない。それが判ったからこそオリヴィエ王女も「判りました」全然納得していないと言った風だけど、構えを取った。

「お待ちください、オリヴィエ様」

「リサ・・・?」

魔剣“キルシュブリューテ”を手にリサがオリヴィエ王女とヨハンの間に割って入ると、ヨハンから明らかに不愉快な空気が発せられる。完全に敵意・殺意がリサに向けられた。

「オリヴィエ様たちは先へ行ってください。この場は、私にお任せください」

リサはそう言ってオリヴィエ王女を護るかのように下がらせた。今のリサ、さっきまでと全然違う。なんて言うか、何かに憑りつかれたかのような別人みたいな。オリヴィエ王女も察しているようで困惑気味でも、アンジェリカっていう騎士が「こちらへ」と誘導、オリヴィエ王女はリサから距離を取った。

「フライハイトの次期当主(シャルロッテ)か。ベルカ生誕以前よりレーベンヴェルト王家に仕える十騎士公家の裏切者め。フライハイト家にはいつか必ず制裁を下したいと思っていた。面白い。ただ独りこの場に残るというのであれば残ればいい。瞬殺してくれる」

ヨハンと同じように殺意丸出しなリサも“キルシュブリューテ”を鞘から抜き放って臨戦態勢。

「上等です。フライハイト家(わたし)としても、いつまで経っても偏った忠誠心しか抱かないオメガ・シュプリンガー家など滅ぼしたいと思っていました」

リサとヨハン、お互いに口端を釣り上げて笑みを作った。そして、

「「・・・っ!」」

――雷牙月閃刃(ドンナー・モーントズィッヒェル)――

――風刃烈火――

雷撃を刀身に纏わせた一撃を繰り出したリサと、暴風を槍全体に纏わせた一撃を繰り出したヨハン。2つの武装が衝突して、2人を中心にカマイタチや雷撃が周囲に拡散、敵味方問わずに大慌てで回避。

「オリヴィエ様、行ってください!」

リサが叫んだ。少しの逡巡の結果、「アウストラシア騎士団、王都へ進軍!」真っ先に戦兎騎士団の脇を通ってオリヴィエ王女は馬を走らせた。それに続くズィルバーン・ローゼとアウストラシア騎士団。薄情にも思えるけど、きっとリサを信じているんだ。

「「「「行かせるかッ!!」」」」

後続のアウストラシア騎士団に襲いかかろうとした戦兎騎士に、

「させん!」

――紫電一閃――

あたしのロード、シグナムが火炎を纏わせた一撃・紫電一閃で4人の騎士を一度に斬り伏せた。シグナムは「リサ。私も残ろう。お前は、因縁のあるその男との決闘に集中してくれ」って言いながら、また数人に騎士を斬り伏せる。鍔迫り合いをやめたリサは一度ヨハンから距離を取って、「ありがとうございます、騎士シグナム」お礼を言った。

『アギト、時間はそう掛けられん。早々に打ち倒し、オリヴィエ王女らと合流するぞ』

『判った!』

そうしてあたしとシグナムは融合を果たして、リサとヨハンの邪魔をする奴ら、アウストラシア騎士団の追撃に行こうとする奴らの足止めとして戦う事になった。でも、それはあたし達だけじゃなかった。アウストラシア騎士団の30人くらいが戻ってきた。

†††Sideアギト⇒リサ†††

『リサ、気を付けて。オメガ・シュプリンガーの騎士は、風を操るはず』

『はいっ!』

精神世界で、私はシャルロッテ様から全てを教わった。剣技、魔導、体技、今の私に扱えるモノ全てを、だ。とは言っても完全に扱い切れていない。実戦の中で、シャルロッテ様の御意思と共に鍛え、確実なモノへと昇華させる。だから私は、ヨハンという最強格の騎士と戦うために残ったんだ。王都でオリヴィエ様の足を引っ張らないために、今この場でもっと強くなる。

「はぁぁああああああああッ!」

――風牙真空刃(レーレ)――

真空の刃を放つ。ヨハンは私に向かって疾走しながら紙一重で回避。シャルロッテ様からは『風嵐系の魔導はダメ。アイツは風を読む』という忠告が。

「おおおおおおおッ!」

繰り出される刺突を半身ズラして避け、そのままヨハンの首を刎ねる軌道で“キルシュブリューテ”を払う。けど水平の槍を立てる事で盾としたヨハンは防御、そのまま槍を一回転させて捌いた。大きく払い上げられる私の右腕と“キルシュブリューテ”。少し体勢が崩される。それを隙と見たヨハンが一回転して槍の薙ぎ払いを放ってきたけど、

――閃駆――

シャルロッテ様と同じ初動が必要のない閃駆を使って、槍の攻撃範囲から離脱。間髪入れずに、

――炎牙崩爆刃(フェアブレンネン)――

火炎の斬撃を飛ばす。ヨハンはまるで閃駆のように高速移動して、着弾して爆発した崩爆刃の殺傷範囲から逃げた。気付けばヨハンは私の左隣に居て、すでに刺突を繰り出した直後だった。防御も回避も難しいけど、すべての労力を費やして何とか体を反らして避ける事が出来た。でも「あぐっ!」振り下ろされた槍の柄がお腹に打ち込まれて、地面に背中から叩き付けられた。

「これで終わりだ」

「うおおおおおお!!」

振り下ろされる正確無比な刺突を、地面を転がる事で避け続ける。止まったら確実に貫かれる。でもこのまま黙って無様を晒すつもりはない。紙一重の差で頬を掠めて打ち込まれた槍を掴み取って、

「まだ終わりじゃないっ!」

体のバネを使って下半身を起こして、両足の踏み蹴りをヨハンの顔面に打ち込んだ。鼻血を噴きながら後退するヨハン。今のうちに立ち上って仕切り直す。と思えばヨハンはまた高速移動で私に最接近してきていて、こちらも閃駆で距離を開け続ける。移動し続ける間に、ヨハンの動きの速さに目を慣れさせていく。

『基本風使いは足元に風を起こして乗り、移動するっていう術を持っているの。私の元上司オペル・オメガ・シュプリンガーも使っていた。ま、ソイツの風乗りは、私・・・ううん、私たちの閃駆よりかは――』

「遅いですよねっ!」

「なに・・・!?」

ヨハンの風乗りの速度にはもう慣れた。シャルロッテ様の理不尽すぎる閃駆に比べれば遅い。風乗りからの刺突を、魔力障壁を施した前腕で弾いて逸らして、“キルシュブリューテ”の刺突を繰り出した。結構な好機だったけど、さすが第二位の騎士。引き戻された槍によって余裕で弾かれた。お互いに距離を取って一度仕切り直す。

『あなたはこの私、剣神シャルロッテ・フライハイトを受け継ぐ者。こんなところで蹴躓かないでよっ』

『もちろんですっ。確実に討ちますっ!』

次の衝突で、必ずヨハンを斬り捨ててくれる。




 
 

 
後書き
ボン・ジュール、ボン・ソワール。
シャルロッテの意思が宿ったキルシュブリューテを携えたことで、リサがシャルロッテの戦術を継承しました。必要なエピソードだったので一話を使って出しました。
そしてこの戦術は、これからの未来へ延々と継承されていきます。すべてはシャルロッテ・フライハイトの為に。
 
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