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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第二十七話 データディスクの奪還

 
前書き
ロクゼロ4のミニゲームもやりこんだけど、ゼロ3のミニゲームの方が好きかな 

 
プレリーはヴァンの異変に不安を抱きながらも一日かけて情報を集め、以前のエリアFで敵に奪われたガーディアン調査隊のデータディスクがセルパン・カンパニーの部隊により輸送中であることが分かり、急いでヴァンとエールを呼んだ。

「悪い、遅くなった」

普段と何も変わらないヴァンの態度と姿にプレリーは安堵した。

「もー!コングルの馬鹿!高いとこが駄目なら屋上の草刈りなんて安請け負いしないでよ!!」

どうやら運び屋…草刈りが運び屋としての仕事なのかは置いておいて、どうやら予想以上に雑草が生い茂っていたのかエールは大分苦戦していたようだ。

「俺にインナーに来て欲しいって言うから何事かと思ったら、まさか草刈りなんてな…」

「誰もいない屋上くらいなら平気でしょ?」

二人はアルティメットセイバーとZXセイバーでせっせと草を刈っていたらしい。

英雄と破壊神の力が草刈りに使われることになるとは初代司令官の“お姉ちゃん”も思っては…いや、“お兄ちゃん"も武器で薪を割ったり、草を引き千切ったりしていたから大した問題ではない…か。

“……っ!後残り十本よ!頑張って!”

“頑張れーっ!”

“……了解した………。”

「(ああ、懐かしい…出来ればヴァンには掌の武器を使って欲しかった……って、そうじゃなくて)」

遠い過去の薪割りをしていた自分や二人の姿が脳裏を過ぎったプレリーは一瞬遠い目をしたが、即座に司令官の顔に切り替えた。

「二人を呼んだのは以前、敵に奪われたお姉ちゃんの調査隊のレポートのデータディスクのことよ。」

「前に、救難信号を追っていて見つけたデータの続きか」

「敵の部隊はエリアJにある海底トンネルを使って、データディスクを輸送しているようなの。エリアJへ向かってデータディスクを取り戻して欲しいの。敵の輸送部隊と一緒にライブメタル…モデルLの反応も見つけたわ。あの中にはきっと、重要な秘密が記録されているはずよ。」

「なるほど…私の力が完全に戻るってことね。悪いわねモデルP」

「構わぬ、今は任務を優先せねばならん」

力を取り戻すのが最後となるモデルPに対してモデルLは謝罪するものの、モデルPは気にしていないようだ。

「しかし司令官、エリアJと言えば水中にあるじゃないですか…どうやって向かうんです?流石に酸素ボンベの供給が追い付きませんよ」

水中にあるエリアJに向かうには泳ぐしかないが、人間…ヒューマノイドである二人は水中での行動時間が限られている。

ジルウェはどうやって二人を向かわせるのかが、気になるようだ。

「エリアAにある洞窟と繋がっているらしいの、そこからなら短時間で辿り着けるし、警備もまだ薄いと思います」

「エリアJに繋ぐ洞窟…アタシも運び屋の仕事の途中で見たことある!アタシ、場所分かるよ」

プレリーとエールの言葉にヴァンは頷いた。

「俺もアウターにいた時にそこで隠れていたこともある。」

アウターにいた時、雨風を凌げる場所としてそこを利用していたようだ。

「どうやら行きは問題ないようだな、二人共…気を付けろよ」

「データディスクを回収したらこの小型端末で調べてみて」

「「分かった」」

二人はプレリーから小型端末を受け取ると、ブリッジを飛び出してトランスサーバーに向かう。

「…………ジルウェさん」

「?はい」

二人がガーディアンベースからエリアAの森に転送された直後、プレリーがジルウェに話しかける。

「ヴァンのこと…なんですけど」

「ヴァンが何か……まさかあいつまた失言でもしましたか?あいつ悪い奴じゃないんですが、少々デリカシーが…」

まさかプレリーに対して失言をしたんじゃないだろうかとジルウェは顔を引き攣らせるが、プレリーは首と両手を慌てて振る。

「いいえ、違います!…何か変化はありませんでしたか?雰囲気とか…些細な…」

「いいえ、普段通りでした………いや、俺達と少し距離を取っていたような気がしたような…でもそれ以外は何も…」

「そう…ですか…」

「あの、ヴァンに…何か?」

真剣な表情を浮かべて尋ねてくるジルウェ。

ヴァンの保護者である彼に隠し事はしてはならないだろうと判断したプレリーは前に起きたことを話した。

当然それを聞いたジルウェは絶句する。

「ちょっと待って下さい…ヴァンがあなたを…殺そうとした…?そんな…馬鹿なことが…」

「本当…です…途中でヴァンが踏み止まってくれたから無事でしたけど…」

もしあの時にヴァンの意識が戻らなかった場合、自分は死んでいただろう。

「ですが、あいつはモデルXの力でモデルOの干渉は抑えられているはずじゃ…」

「多分…モデルXの力でも抑制が効かなくなってきたのかもしれません…」

「………そんな、それじゃあ…あいつは…」

最悪の場合はイレギュラーとなる可能性が高い。

「……その時は、私達で全力で彼を助けましょう。彼は私達のために戦ってくれている…だから、ジルウェさん…万が一の時はあなたも力を貸して下さい」

「…勿論です。ようやく再会出来た後輩を、また失うわけにはいきませんからね」

プレリーとジルウェは決意に満ちた表示で頷くと、二人から通信が来た。

『プレリー、エリアJに着いたぞ』

「ええ、分かったわ。ライブメタルの反応はヴァン達がいるエリアから大分離れた場所にあるわ。エール、もしヴァンだけでは進めない場所に出たら助けてあげて」

『うん、分かった。任せて…モデルLもいい?』

『任せなさい、水中でなら誰にも負けないわ』

エールとモデルLの頼もしい声に二人は微笑むと、プレリーは二人に話し掛ける。

「二人共、何があっても私達はあなた達の味方よ。私達はあなた達を信じてる…だから、必ず帰ってきてね」

『?』

『急にどうしたの?』

いきなり言われた二人は疑問符を浮かべていたが、プレリーは微笑みながら口を開いた。

「何でもないの…でも二人に聞いて欲しくて」

『プレリー…』

『大丈夫だ。俺達だってまだ死にたくないし、やらなきゃいけないことだってある。簡単に死んだりなんかしないさ』

『そうだよ、アタシ達でみんなを守るんだから』

ヴァンとエールがそう返すと、プレリーも笑みを浮かべて頷いた。

「二人共、気を付けて」

『『了解』』

そうして通信を切った二人。

プレリーとジルウェはモニターに映るエリアJの海底トンネルを進む二人を見守るのであった。

エリアJの海底トンネルを進む二人だが、今回はエールの…正確にはモデルLXの力が頼りとなる。

水中でも地上と同じように行動出来るモデルOでも水の浮力によって普段よりも大きくジャンプしてしまうため、トゲに接触してしまうことになる。

それをエールに手を引いて泳いでもらうことで何とかトゲにぶつかることなくシャッターに向かうことが出来た。

「ありがとなエール」

「気にしないで…本当に大変なのはここからだと思う」

シャッターを潜ると広い場所に出てメカニロイドがかなりの数がいる。

流石にこの数だとエールに引っ張ってもらうわけにはいかず、別々に動くことになる。

運良く足場はあったので、ヴァンは壁蹴りを使って移動し、エールはそのまま水中を泳いで先に向かう。

途中で合流してメカニロイドも返り討ちにすると、奥のシャッターを潜り抜けると狭い部屋に出た。

青い魚のメカニロイドが飛び出した直後、今まで動く気配を見せなかったメカニロイドが起動して触手が飛び出す。

「あれは…」

「ヴァン、あれは触手が弱点みたい!」

モデルHXに変身して弱点を調べていたエールがそう言うと、ヴァンはオーバードライブを発動した。

バスターショットを構えてセミチャージバスターを連射して触手を粉砕していく。

エールはモデルFXに変身し、二丁のナックルバスターを構えると、軌道を変化させながら触手を撃ち抜いていく。

二人の攻撃によって全ての触手が瞬く間に粉砕されたことで機能停止を起こす。

それにより、奥のシャッターのロックが解除された。

「よし、奥へ進むぞエール」

「ええ」

複数のシャッターを潜り抜けると、再び広い場所に出た。

先程と同じようにヴァンは壁蹴りを駆使して上の足場を利用しながら奥へ進み、エールも同じように泳いで進む。

上と下のメカニロイドを返り討ちにしながら先に進み、安全地帯まで来ると合流する。

「思ったより早く着いたね」

「ああ、プレリー。ライブメタルの反応は?」

『そこのシャッターを潜ればすぐよ…そして復活したイレギュラーもね…』

「そうか…エール、準備はいいか?」

「いつでもOKだよ」

シャッターを抉じ開けると、そこには兎を彷彿とさせるレプリロイドと海月を思わせるフォルスロイドがいた。

珍しく争っている様子はない。

「ファッファッファッ…我らに敵対するロックマンとは君達のことだね。その若さでは我らの理想を理解することは出来まい。若者は大人の言うことを聞くべきだと思うがね」

「データディスクの中身を見られたくないからって隠そうとするのは随分大人げないんじゃない?」

「年寄りを邪魔者扱いするのもあれだけど、年寄りがでしゃばり過ぎるのも問題なんじゃないのか?」

フォルスロイドの言葉を一蹴すると、ヴァンとエールはそれぞれの武器を構えた。

「ファッファッファッ…知らぬ方が良い真実もあるということだよ。儂の名はモデルLのフォルスロイド…レグアンカー。どうやら…君達には厳しい躾が必要なようだ!」

「何が躾だ。笑わせるなよ…お前が復活したイレギュラーだな?」

「そうだ!ようやく来やがったなこのノロマーっ!オイラはあの方に仕えていたチルドレ・イナラビッタ!待たせてくれた礼に少しボコボコにさせてもらうぜーっ!!おい、爺さん!手を貸してやるからオイラが破壊神の器を回収するの邪魔すんなよーっ!?」

「ふむ、この娘の持っているライブメタルは儂が全て回収しても構わんのだな?」

「ああ、そんな能無しの石コロ共なんて興味ねえよ」

「石ころですって…?言ってくれるじゃない…」

「抑えてモデルL、今回はモデルFに頑張ってもらうから」

「仕方ないわね、負けるんじゃないわよ戦闘馬鹿」

「おう!任せときな!!」

闘志を燃やすモデルF。

ヴァンはイナラビッタを見据えると、エールの方を向いた。

「エール、あの小さいのは俺に任せてでかいのを頼む。」

「分かった、気を付けてね」

エールはレグアンカーを見上げると、ナックルバスターを構えた。

「てめえ、小さいって言ったなーっ!?人を馬鹿にしやがって!自分が器だからって調子に乗ってねえか!?そのムカつく面、恐怖で凍り付かせてやるよ!!」

即座にミサイルを発射してくるイナラビッタにヴァンはダッシュジャンプでかわしながらフレイムチップを起動させると、セイバーでのチャージセイバーを叩き込む。

「うぐっ!?」

「喰らえ!」

一方のエールもオーバードライブを発動させながらレグアンカーに攻撃を当てていく。

「ぬうう…伊達に他のフォルスロイド達を破っていないということか…」

レグアンカーは四本のスピアをエールに伸ばし、エールは即座にモデルLXに変身してそれを回避する。

「戦いは体の大きさで決まるものではないわよ…それにしても、何で私の力を持つフォルスロイドはこんな醜い奴ばかりなのかしら…」

「へっ、お似合いじゃねえか…強烈な一撃をぶちかますぜ!」

「メガトンクラッシュ!!」

チャージを終えたナックルバスターによるパンチと火炎弾を共に叩き込み、レグアンカーにダメージを与える。

「爺さん、合わせな!スーパーイヤーショット!!」

巨大な氷塊を発射し、ヴァンとエールを同時に狙うが、二人はそれをジャンプでかわすと、レグアンカーが左右のプロペラを回転させて水流を作り出して二人を引き寄せる。

「「っ!?」」

「うむ、今だ少年よ」

「オラオラァッ!!」

水流に引き寄せられた二人にミサイルが直撃する。

「やってくれたなっ!!」

バスターを構えてイナラビッタにチャージバスターを放つ。

それをイナラビッタはかわすが、それを狙っていたヴァンはダッシュで距離を詰めてセイバーによる回転斬りからの三連擊をお見舞いする。

「ええいっ!」

エールも負けじとオーバードライブで強化したショットでレグアンカーを攻撃する。

そしてレグアンカーが二体の氷龍を発射してきたのでエールはショットで迎撃するが、氷龍はショットをかわしてエールに迫る。

「え!?」

「エール!」

オーバードライブを発動してヴァンはバスターを構えてセミチャージバスターの連射で氷龍を破壊するが、イナラビッタが氷塊を発射した。

「ノロマーっ!」

直撃を受けた二人を馬鹿にしながら壁蹴りで天井に向かうイナラビッタ。

そして天井からイナラビッタが離れた直後にレグアンカーが急降下して部屋全体を揺らして二人の態勢を崩し、次に急降下してきたイナラビッタが地面に着地するのと同時に氷の突起物を飛ばしてくる。

「ふんっ!」

「えいっ!」

ヴァンはチャージセイバー、エールはメガトンクラッシュで氷を砕いて立ち上がると思っていたよりも手強いと感じた。

互いの攻撃が絶妙に噛み合ってヴァンとエールに確実にダメージを蓄積させていく。

「向こうがコンビネーションなら…」

「アタシ達も!行くよ、モデルZ!」

「ああ」

モデルOとコンビネーションを取るなら戦い方が近いモデルZXの方が良いと判断したエールはモデルZXに変身する。

まずはエールがチャージを終えたZXバスターを構え、イナラビッタにチャージバスターを発射した。

「遅っせーよ!このノロマーっ!!」

「お前がな」

背後に回ったヴァンがオーバードライブを発動しながらバスターを構え、至近距離からのダブルチャージバスターを放つ。

「ぐあっ!?」

「龍炎刃!!」

追撃でフレイムチップによって炎属性を得たジャンプしながらの斬り上げはイナラビッタの背中に深い裂傷を刻んだ。

「ていっ!!」

そしてエールはセイバーでヴァンが得意とする回転斬りからの三連擊をお見舞いする。

そして距離を取ると、前後からのチャージバスターがイナラビッタに炸裂した。

「チィッ!!」

レグアンカーが氷龍を発射したが、ヴァンとエールが同時にチャージバスターを発射して氷龍を砕き、ヴァンがイナラビッタにとどめの一撃のチャージセイバーを叩き込んだ。

「うわあっ!?」

チャージセイバーを受けて真っ二つになったイナラビッタ。

「終わりだ」

「ぐ…っ…でもよ、どれだけ足掻いたってお前の運命は変わらねえんだ…いっそのこと破壊神の意志に呑まれちまえば…楽にななれるのによぉ…あいつの力は…あの方の…オ…メ…ぐああああああっ!!!」

「…………」

イナラビッタの爆発を見届けると、レグアンカーに視線を向ける二人。

ここからは殆ど一方的だった。

元々イナラビッタとの即席のコンビネーションで何とか互角に渡り合えていたのだ。

片割れがいなくなれば大した脅威ではない。

「「これで!!」」

モデルFXに再度変身したエールはオーバードライブを発動してショットを連射し、ヴァンもオーバードライブを発動してダブルチャージバスターを発射した。

左右から放たれた高火力の攻撃を受けたレグアンカーのボディが崩壊を始める。

「ぐっ…何故…そこまで戦える…!何故…そこまで命を懸けられる…!……………これが………若さと言う物…なのか…………!」

その言葉を最後にレグアンカーは爆発した。

そして部屋に浮かぶ残骸からデータが飛び出してモデルLに吸い込まれていく。

「あんな気味の悪い奴に私の力を与えるなんて本当にどうかしてるわ。悪いけど、パスコードの修復にちょっと時間がかかるの。モデルVとの対決までには間に合わせるから、ちょっと待っててくれるかしら」

モデルLは文句を言いながらエールとヴァンにそう言うと二人は頷いた。

「ところでモデルL、力が元通りになったってことは新しい技が使えるようになったんでしょ?」

「ええ、フルチャージでさっきの奴が使ったような氷龍を召喚出来るようになったわ。威力はあるし、敵への追尾能力が高いからそれを利用して相手の動きを制限出来るから上手く使ってね」

「分かった、ありがとうモデルL」

そしてヴァンはエール達の会話を尻目に、落ちていたデータディスクを回収した。

『ヴァン…そのデータディスクは…!』

「ああ、あの調査隊のレポートが入っているデータディスクだ。エール、こっちに来てくれ。まずはここを出よう」

酸素ボンベの酸素も心許なくなってきたので、酸素を補充する意味も含めてここを出ることにした。

シャッターを潜って部屋を出て水中から出ると、エールは酸素ボンベを取り出して新鮮な空気を吸った。

「はあーっ、新鮮な空気ってこんなに美味しいんだ」

「特にエールはずっとボンベで呼吸してたもんな…」

ヴァンはプレリーから受け取った小型端末にデータディスクを挿し込むと、あの時のレポートの続きが記されていた。

《セルパンは調査隊を全滅させ、調査隊のデータを全て消去した後、モデルVの欠片と共に姿を消した。だが、イレギュラーにそこまでの知能があったというケースはない…ならば…彼はモデルVによってイレギュラー以外の“何か”になったということになる。そう、モデルVはイレギュラーを超える、恐るべき敵を生み出す力を持っているのだ。我らが盾となっている内に司令官は上手く逃げ切れただろうか…》

『お姉ちゃん…この時はみんなに助けられて逃げられたんだ…』

「良かったなプレリー、お姉さんが生きているかもしれないんだからな」

『ええ…お姉ちゃん…絶対に見つけるから…』

プレリーの声は掠れていたが、ヴァンとエールは気付かない振りをする。

「それにしても、イレギュラーを超えた恐ろしい敵って…」

「セルパンはモデルVの適合者だから、多分、イレギュラーを超えた敵って言うのはモデルVのロックマンって意味じゃないのか?」

「あ、そうか」

レポートで見た内容でさえ、モデルVがとんでもない代物だと分かるので、そう思うのが自然だろう。

「続きを読むぞ」

「うん」

再びレポートの続きを読む二人。

《…それにしても、モデルVの欠片には他の仲間も触れていたのに何故彼だけがこんなことに…?私の記憶が正しければセルパンが他の者とは違っていた点が一つある。彼はイレギュラー襲撃に遭いあがらも、奇跡的に助かった生存者なのだ。彼はその恐怖を振り払うかのように、誰よりも熱心に研究していた。恐らくは、その心の隙をモデルVに利用されていたのではないだろうか…?だが…今となっては、モデルVの目的が何なのか知る術はない。私ももう長くはない…このデータが心正しき者の手に渡ることを祈る…》

「データはこれで終わりだな…まさかセルパンもイレギュラー襲撃の被害者だったなんて…」

憎い敵だが、まさかセルパンも自分達と同じ境遇だったことに驚きを隠せない。

『セルパンは、このデータが外に漏れるのを恐れていたのね。この国の人々が知ったら大変なことになってしまう…』

この国の中心はセルパン・カンパニーだ。

その社長であるセルパンの正体を知ってしまえば確実に大混乱を招いてしまうだろう。
 
『データディスクはミッションレポートと一緒にこっちに送って、このデータは…まだ公開するのは危険だわ』

「ああ、そうしてくれ…取り敢えず、ここから出ようエール…どうしたエール?」

このデータは最低でも全てを片付けてから公開すべきだろう。

立ち上がってエリアAのトランスサーバーに戻ろうとしたが、エールは思い詰めたような表情を浮かべていた。

「あ、ごめん…セルパンもアタシ達と同じようにイレギュラーに襲われて生き残っていた…もしかしたら…アタシもセルパンみたいになってしまうかもしれないってことなんじゃ…痛っ!?」

馬鹿なことを言うエールにヴァンはチョップを頭に叩き込んだ。

オメガナックルのエネルギーも込められていたので、かなりの威力があったのか痛みに思わず頭を押さえたまま屈んでしまうエール。

「馬鹿」

「痛たたた…いきなり何すんの!?」

涙目でヴァンに掴みかかるエールにヴァンは溜め息を吐いた。

「お前こそ何してるんだよ馬鹿」

「ま、また馬鹿って言ったわね!?」

殴りかかるエールだが、ヴァンにかわされてしまう。

「お前がセルパンみたいになるわけないだろ。お前はお人好しで頑固で時々憎たらしい俺の幼なじみだ。お前のことは誰よりも知ってる自信がある。お前がお前である限り、お前はセルパンみたいにならないさ……寧ろお前がセルパンだったら、こんなややこしいことになってないって」

「ヴァン……って、それ!どういう意味!?それから憎たらしいって何!?」

「ああ、それは俺はお前が憎いからだよ」

「え!?」

『ヴァ、ヴァン!?』

『おい、ヴァン…それって…』

まさかのエールが憎い発言にエールとプレリー、ジルウェの声と表情に緊張が走る。

「………運び屋時代、俺が重たい荷物を運んでる時に背中を叩いたりとかの悪戯してくるわ…」

「『『え?』』」

「……他には夏の暑い日の中、俺が汗だくで倉庫の整理をしている中、冷たいジュース飲んでるわ…外で飯食う時に、俺のホットドッグやハンバーガーにマスタードを大量にぶっかけるわ。運び屋全員で海に行った時はまだ着替えていないなのに水をぶっかけられるわ、そしてビーチバレーしてた時は服を乾かしながら昼寝してた俺の顔面にビーチボール叩き込まれるわ。買い物に付き合ったら大量の荷物の荷物持ちをさせられるわ。クリスマスの時はバイクが故障して疲れながら何とか帰ってきた俺に雪玉を投げるわ…秋は特に楽しみにしていた焼き芋や栗とか一番でかいのを横取りしやがって…春の時は…」

運び屋時代とそれ以前の出来事を思い返し、ブツブツブツブツとエールへの恨みを述べると唖然となる三人。

「後はお前が昔、悪戯で先輩の椅子に音が鳴るクッションを置いて客と交渉しようとした先輩に恥をかかせたりとか…あ、これは俺は関係ないか」

「ちょっ!?」

『エール、ガーディアンベースに戻ったら後で俺の部屋に来い。ヴァン、その時の話を後で詳しくな』

どことなく冷たい声でエールに言うジルウェにエールは慌てる。

「ちょ、ちょ、ジルウェ。ごめん!ちょっとヴァン!余計なことを言わないでよっ!!」

「とまあ、こんな感じでお前がセルパンみたいになるなんて無理だよ。俺にとってお前は憎たらしくて大事な妹分だな」

「もう少しまともな話をしてよ!そしてアタシが下!?どう見てもアタシがヴァンのお姉さんでしょ?ねえ、二人共?」

『ノーコメントだ』

『ごめんなさいエール』

それだけ言うと二人からの通信が切れた。

「ほら、帰るぞエール。ガーディアンベースで先輩のありがたーいお説教が待ってるぞ」

「そ、そんな~」

ガックリしながら歩き出すエールにヴァンは苦笑した。

「(………それにもしセルパンみたいになるって言うなら…多分、俺の方だろうしな)」

一時はプレリーを殺しそうになったくらいにモデルOに体を奪われそうになったのだ。

もしセルパンのような存在になるとしたら、エールではなく自分であろうと言う確信がヴァンにはあった。

「(エール…もし俺がイレギュラーになったら…その時は…)」

酷いことを考えている自覚はあるが、もし自分がイレギュラーになったら止められるのは同じロックマンであるエールだけ、勿論そうならないようにはするつもりだが、未来のことなど分からないのだから。 
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