| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十四部第四章 今はさらばその二十八

「ユダヤ教の中にいるとな」
「どうしてもですね」
「その世界そしてイスラエルが全てになり」
「世界が狭くなる」
「そうなってしまいますね」
「そこが問題だ、長い間一つの世界にいるとだ」
 そうした状況になると、というのだ。
「わかるな」
「はい、その視野がですね」
「どうしても狭くなり」
「考えも硬くなる」
「それも歳を経れば経る程」
「そうなってしまう、今の方々はそうでもないが」 
 今現在の長老達は比較的柔軟な思考の持ち主達だと連合各国でもイスラエル国内でも評価されている。
「しかしな」
「おおむねですね」
「強力な保守派であることが多いですね」
「それこそ何十年もラビの世界におられるので」
「そうなってしまわれますね」
「長老の平均年齢はかなり高い」
 長老という言葉通りにだ。
「七十五で若いと言われる世界だ」
「それこそ百歳の方もおられる」
「連合の平均寿命程に」
「そうした方々ばかりですね」
「どうしても」
「そうだ、二十三位でラビになりだ」
 その資格を得てというのだ。
「五十年六十年とラビの世界にいてだ」
「他国に行かれましても」
「それでもですね」
「やはりラビであり」
「そこからは出られないので」
「他国や他文化、他宗教は知っていてもだ」
 そうした意味での視野はあるというのだ、無論識見も備えている。そうしたものがなくては選挙で長老に選ばれない。
「ラビとしてだ」
「ラビからは逸脱せず」
「全てがラビが基準なので」
「どうしてもですね」
「ユダヤ教として固まってしまい」
「旧約聖書に対して原理的になってしまいますね」
「そうだ、原理主義なのだ」
 ユダヤ教の保守派ひいては長老達の多くはというのだ。
「旧約聖書を絶対としてだ」
「この時代でもですね」
「何もかもが旧約聖書に添えと主張する」
「そして少しでも聖書に反すると思えば反対する」
「そうですね」
「偶像崇拝は論外だ」
 ユダヤ教で絶対に否定されているそれはフェレスも否定した、映画の十戒の結末でも黄金の子牛の像を崇めて神罰を受けている。
「そんなものをすればユダヤ教徒ではない」
「そうしたことはですね」
「断じてですが」
「女性については」
「それはですね」
「構わない筈だ、あらゆるものが聖書に添うと」
 紀元前に書かれたこの書にだ。
「祖語が出るしだ」
「イスラエル自体を弱める」
「そうなるからこそですね」
「改革が必要である」
「そうなりますね」
「そうなのだ、私が教義に反しているというのなら」
 それならばというのだ。
「遠慮なく言えばいい」
「そしてですね」
「論戦をされる」
「そうされますね」
「その時は」
「論戦に勝たずして出来るものでもない」
 この改革はというのだ、宗教は言葉を操るものでもありそこで論戦もまた重要な要素であるからだというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧