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八条学園騒動記

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第五百六十三話 準備に入りその五

「しかしな」
「普通の作業の時に怒鳴られると」
「困る、作業は進めるに限る」
「本当にそうだから」
「俺はそうした人は好きじゃないし反面教師にしている」
「それで励ます方なんだ」
「フランツをリードする時もな」 
 キャッチャーとしてというのだ、見ればそのフランツは今は誰よりも作業をしていてマルティ達の様に舞台の背景を造っている。
「気持ちをな」
「上向ける様にだね」
「している、ピッチャーは精密機械なんだ」
「怪我をしたら駄目とはいうね」
「特に利き腕はな、しかし心もだ」
 こちらもというのだ。
「精密機械だからな」
「テンションを下げない様にしているんだ」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうしている」
「フランツは天才って言われてるけれど」
「その天才も気持ちが落ち込むとな」
「それで能力が下がるんだ」
「やる気がないと天才も凡人以下だ」
「やる気次第だね」
「あいつは基本安定しているが」
 精神面でもというのだ。
「殆ど上下しない」
「そういえばいつも明るいね」
「無死満塁でいきなりマウンドに立ってもな」
「無死満塁って」
「一打逆転される状況でもな」
「落ち着いているんだ」
「絶対に抑えると言う奴だが」
 それでもというのだ。
「何度も言うがピッチャーは精密機械なんだ」
「メンタルにおいても」
「だから気持ちを下げることを言うのは禁物だ」
「上げる様なことを言うんだね」
「そうしている、それで舞台もな」
 こちらもというのだ。
「お前は思いきりやればいいんだ」
「失敗を恐れずに」
「失敗してもいいと思ってな」
 その気持ちでとだ、タムタムはマルティに話した。
「いけばいい」
「そうなんだね」
「死ぬ訳じゃないしな、プロだってな」
 プロの役者でもというのだ。
「失敗する」
「それでなんだ」
「プロの役者さんでもな」
「舞台俳優さんでも」
「失敗する時があるからな」
「それなら僕はだね」
「結局俺達は素人だ」 
 タムタムはこの現実も話した。
「失敗するものだな」
「うん、素人とプロじゃね」
「全く違ってだ」
 それでというのだ。
「当然だからな」
「それでだね」
「もうだ」 
 それこそというのだ。
「失敗を恐れるな」
「その気持ちでいって」
「問題は後悔しないことだ」
「悔いのない様に全力でする」
「そうして何か言う奴がいれば気にするな、どうしてもという奴は」
「そうした奴がいたら」
「俺が言う」
 タムタムがというのだ。
「じゃあお前は出来るかとな」
「そう言うんだ」
「だからだ」
 それでというのだ。 
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