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八条学園騒動記

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第五百六十三話 準備に入りその二

「コントロールが乱れておかしな方向にボールがいく」
「それが問題だから」
「そうなりそうになったらな」
 打たれてそしてというのだ。
「マウンドに行ってだ」
「今みたいに言ってるんだ」
「そうだ、その都度宥めたりな」
「そうしているんだ」
「気落ちするタイプじゃないから励ましたりすることはないが」
 それでもというのだ。
「熱は冷やさないといけないな」
「熱過ぎるとよくないね」
「その時は水が必要だからだ」 
「それでその水をなんだ」
「かけている」
「そういうことだね」
「そうだ、あとベンチにいる奴にもな」 
 フランツ以外のチームメイトにもというのだ。
「その都度だ」
「声をかけているんだ」
「それぞれの相手にな」
「そうしているんだ」
「その時に応じてな、励ますこともあれば」
「宥めることもだね」
「絶対に気持ちを下げたり迷わせる様なことは言わない様にしている」 
 そうした気遣いはしているというのだ。
「そうしたらそいつの能力は落ちる」
「だからなんだ」
「そうしたことは言わない」
「やっぱりそうしたことを言ったら」
「そいつが満足にプレイが出来なくなるからな」
「言わないんだね」
「それを言うと本当に駄目だ」
 こう言うのだった。
「チームが負ける原因にもつながる」
「余計なことは言うな」
 マルティはここでこの言葉を出した。
「そういうことかな」
「要するにな」
「やっぱりそうなんだ」
「そうだ、とにかくな」
「いいことを言って」
「おかしなことは言わないことだ」
「悪いことを言ったら駄目だね」
 マルティはまた言った。
「つまりは」
「そういうことだ」
「成程ね」
「いるな、人を落とすことしか言えない奴は」
「励まさないでね」
「こうした奴はいるだけでチームの雰囲気が落ちる」
 そうなってしまうというのだ。
「喋らせないことだ」
「そうした奴は」
「碌なことを喋らないからな」
「悪いことばかり言うならね」
「俺はそうした奴も反面教師にしている」
「っていうかそうした人知ってるんだ」
「中学の時一年だけ顧問だった奴がいた」
 タムタムはマルティにその知人のことを話した。
「そいつがそうだった」
「悪いことしか言えなかったんだ」
「本人は飄々としているつもりだったが」
「ああ、いるよね」
 マルティもそうしたタイプの人間について述べた。
「自分は飄々としているつもりでもね」
「気取ってな」
「それがエゴが丸出しで」
 そうなっていてというのだ。
「もうね」
「嫌な奴になっているな」
「それも超が付く位ね」
「そいつがそうだった」
「そうした奴っていいこと言わないよね」
「人を励ますなんてな」
「一切しないね、気取ってるから」
 飄々としているつもりで、というのだ。 
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