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戦国異伝供書

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第八十六話 紫から緑へその七

「そうしていくことじゃ」
「そうすればですか」
「この安芸でも大きな力となり」
「やがてはですか」
「安芸もですか」
「一つにしてな、さらにな」 
 こうも言うのだった。
「出雲の尼子家、周防と長門の大内家にもな」
「怯えることはなくなる」
「そうなりますか」
「今当家ひいては安芸はこの両家の間にあり」
「どちらかにつくか従う」
「それを繰り返していますが」
「その両家にも怯むことがなくなりな」
 そうしてというのだ。
「戦うことが出来ひいては」
「勝つこともですか」
「出来ますか」
「そうもなりますか」
「それも出来る様になるであろう、ただ家の中がまとまってもな」
 ここで松壽丸は考えつつ述べた。
「時はかかる」
「安芸を一つにして、ですな」
「そのうえでのことなので」
「それ故に」
「もっと言えばどちらの家も強い」
 尼子家も大内家もというのだ。
「安芸一国だけではな」
「勝てるだけの力は備わらない」
「だからですか」
「他の国にも力を及ぼし」
「そうしなければですか」
「戦えぬ」
 尼子家、大内家とはというのだ。
「そこはじゃ」
「しかとですな」
「力をつけて」
「そうしてですか」
「戦うべきですか」
「戦うならな、しかし尼子家はこちらへの野心を備えているが」
 安芸へのというのだ。
「大内家はそこまではな」
「ないですな」
「あの家は」
「我等を従えようとしても」
「飲み込むまではですな」
「考えておらぬな」
 大内家の場合はというのだ。
「ならよいか、しかし若し当家が山陽と山陰を手に入れるなら」
「ならばですな」
「当家としてはですな」
「我等はですな」
「その大内家ともですな」
「戦うか、しかしわしは山陽と山陰は考えていても」
 それでもというのだ。
「そこから先はな」
「考えておられませんか」
「山陽と山陰からは」
「そこから先は」
「別にじゃ」
 特にというのだ。
「考えておらぬ」
「では天下は」
「天下を望まれることは」
「そこまではですな」
「考えておらぬ、上洛もな」
 それもというのだ。
「大内殿はされたが」
「それでもですか」
「若殿は考えておられませぬか」
「そこまでは」
「それは父上も兄上もあろうしな」
 それでというのだ。 
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