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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──

作者:なべさん
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SAO
~絶望と悲哀の小夜曲~
  圏内事件~質問編そのにっ!~

「な……なんだって?」

「どういうことですか、リョロウさん」

意味深な言葉を言ったリョロウは、ちらりとヴォルティスを見て頷き、口を開く。

「だからさ……そのカインズって人は、全身鎧だったんだろう?」

「ああ…」

「じゃあ、頭もがっちり武装してたはずだ」

ここに至って、ようやくキリトとアスナ、レンはリョロウが言わんとしていることが解った。

「……つまり、リョロウさんはこう言いたいんですか?」

アスナが一拍置いて言う。

「本当に頭は胴体に繋がっていたのか、と」

リョロウは、的を得たようにニヤリと笑う。

「そうだ。頭を胴体から切り離した切断面に、あたかも頭が乗っかっているようにフルフェイス用のメットを乗せる。そして、手早く回廊で教会に送り、窓から吊るす………。幾つかの疑問が解ける方法だと思うんだけどね」

言い終えて、リョロウはぐびりと黒エールを飲む。そして、ちらりとキリトを見る。

当の黒の剣士様は、腕組みをし、深く考え込んでいた。

しばしの沈黙がテーブルを包む。

そして数秒後、ゆっくりと言う。

「………俺は、カインズが落下する時、確かに目が合った。だから、たぶん……」

「リョロウの意見は違う、ということだな」

ヴォルティスが重々しく言う。

「ああ」

「ならば、どうしてその御仁は死んだのだ………」

うーん、と卓上の意見が出尽くした時、全員が何気なく向かいに座る男を見た。

凄まじく豪華なソバ(に似た何か)をすすっていたヒースクリフは、視線に気付き、顔を上げた。

「一つ聞きたい。何故このソバはカシスヨーグルトの味がするのかね?」

「………………さあ?」

何故と言われましても。

ふむ、と言いながら、ヒースクリフはぱちんとワリバシを置く。

「では、このソバの味のぶんだけ答えよう」

ヒースクリフは、無機質な真鍮色の瞳を向けてくる。

「……現時点の材料だけで、《何が起きたのか》を断定することはできない。だが、これだけは言える。いいかね……この事件に関して絶対確実と言えるのは、君らがその眼で見、その耳で聞いた一次情報だけだ」

「……………どーゆー意味?」

「つまり……」

ハテナマークを顔いっぱいに浮かべているレンに少し苦笑しつつ、ヒースクリフは言う。

「アインクラッドに於いて直接見聞きするものはすべて、コードに置換可能なデジタルデータである、ということだよ。そこに、幻覚幻聴の入り込む余地はない。逆に言えば、デジタルデータではないあらゆる情報には、常に幻や欺瞞である可能性が内包される。この殺人……《圏内事件》を追いかけるのならば、眼と耳、つまるところ己の脳がダイレクトに受け取ったデータだけを信じることだ」

ごちそうさまキリト君──代金はあくまでもキリト持ち──、と最後に言い添え、ヒースクリフは立ち上がった。

謎めいた《神聖剣》の言葉を考えながら、一同は揺れながら扉の向こうに消えていく、長髪を見送った。

「………で」

たっぷり数秒間の沈黙の後、レンが口を開いた。

「ヴォルティス卿は、いつまでついてくるの?」

やや憮然とした表情で放たれた言葉を、《白銀の戦神》は一笑に伏した。

「当然、最後までだな。面白そうではないか、なあリョロウ」

「まあ、そうですね」

うえ~、とレン、キリト、アスナの声が兎轉舎の店内に響いた。

その時──

「ああぁぁ~!!!居たぁ!!!!」

必死さ、そして僅かな殺意を秘めた声が響いた。

一同が声のしたほう、扉に目を向ける。──と

修羅がいた。

そこにいた。

「レ……レンキ………」

リョロウがとんでもなく震えた声で言う。

【神聖爵連盟】会計士、ヴォルティス直属の近衛兵──要はお守り──にして、リョロウの妻であるレンキは、般若のごとき表情でズンズン近寄って来る。

思わずレンは、隣に座っているキリトに囁いた。

「ねぇ、キリトにーちゃん」

「ん?」

「逃げない?」

「……………………」

迷っているのがありありと伝わってくるキリトを見捨てての逃亡、というセレクトがレンの脳裏に浮かぶ。

だが時すでに遅し。目の前に来たレンキが爆発した。

「なんでこんなとこでくつろいでんですか!!書類は!?会議はどーなってんですか!!??」

「ま、待て、レンキ……」

「言い訳は後で聞きますから、速く来てください!!」

ここで般若はこちら、正確にはリョロウに矛先を変えた。

「あなたもなんでこんなとこにいるのよ!!」

一喝。

「…………ごめん」

「すいません、でしょ?」

「…………すいません」

……………弱えぇ。










「…………これからどうする?」

これで何度めかは解らないが、今度は完全な沈黙が支配した店内でぽつりとキリトが呟いた。

すると、唱え立ち尽くすアスナが少しだけ掠れた声で言う。

「……団長の言うとおり、PK手段を断定するにはまだ材料が足らなすぎるわ。こうなったら、もう一人の関係者に直接話を聞きましょう。指輪事件のことをいきなりぶつければ、何かぽろっと漏らすかもしれないし」

「「へ?誰?」」

奇しくも、全く同じ表情で言うレンとキリトを見て、《閃光》殿はくすりと笑うと

「もちろん、きみからあの槍をかっぱらってった人よ」

言った。 
 

 
後書き
なべさん「ハッピーニューイヤー!!そーどあーとがき☆おんらいん、作者ことなべさんです!!!」
レン「ハッピーニューイヤー!!主人公役のレンでーす。………ねぇ、この自己紹介おかしくない!?」
なべさん「(無視)はい、改めて明けましておめでとうございます!!」
レン「おめでとうございまーす」
なべさん「えー、早いことで、2012年の9月から執筆し始めた時から、もうすでに3ヶ月が経とうとしております。こんなに無事に年が迎えられるのも読者の皆様のお陰でございます!!」
レン「どーか2013年も本作品を応援してくださいね!!」
なべさん「さてさてそれでは、あけおめスペシャルということで、ゲスト様がいらっしゃってます!」
レン「えっ、嘘っ!誰々ー?」
なべさん「ギルド【神聖爵連盟】リーダー……」
レン「ふんっ!」
ドスッ☆
なべさん「ゴフッ!………何をするのだ、レン……」
レン「………そのヒトを、このスタジオに入れた瞬間に僕はお前を許さない」
なべさん「……いや、もう許されてないような気がするのだが」
レン「これは脅し」
なべさん「脅しで急所(みぞおち)に手刀入れんの!?」
レン「………常識」
なべさん「…………きみの常識はなんなんだ」
──To be continued & happy new year── 
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