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銀河帝国革命

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帝国軍の来襲

 
前書き
今回も話が長くなりましたので、分割して投稿します。 

 
ロンドリーナ・コミューンが建国されてから約2か月後の帝国暦485年/宇宙暦794年6月1日、ようやく重い腰を上げた帝国によるコミューン討伐軍艦隊が、オーディンを出発した。艦隊総数は5000隻、司令官は『帝国随一の戦術家』の異名を持つシュターデン少将が任命されていた。これは3年前、第5次イゼルローン要塞攻防戦に敗北した責任で更迭された宇宙艦隊司令長官の、後継として就任したグレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥が、絶対に失敗できない作戦と位置付けていた事、またリヒテンラーデ首相も、混乱続きの帝国領内の引き締めを図るための見せしめとして、利用しようとしていたからと言われている。

対してコミューン人民革命軍の戦力は、革命の際に接収した少数の戦闘艦の他は、急ごしらえの武装商船があるのみで、総数は僅か500隻にも満たしておらず、鎮圧は時間の問題と言われていた。





帝国軍出撃の報を受けたハンソンは直ちにテールマンに人民革命軍の出撃の準備を命令すると、コミューン評議会を緊急招集、今後の対応を協議した。
しかし、帝国軍に先手をとって小惑星帯での待ち伏せと奇襲を主張するハンソン達社会主義派と、あえて敵を上陸させてからの地上部隊によるゲリラ戦を主張する無政府主義派との間で、激しい対立が起こっていた。

「報告には敵の戦力は我々の10倍以上はあるという。しかも相手は貴族の私兵ではなく、帝国正規軍とことだ。質も数も我々が圧倒的に劣っている。このままではコミューンは敗退し、革命は水泡に帰すことになるだろう。この苦境を覆すには、全軍を以って出撃し、小惑星帯での待ち伏せと奇襲によって敵を攪乱させ、撃退するしかない!」

「いや、勝ち目のない戦いに戦力を割くのは間違っている!ここは敢えて敵を上陸させ、奥地へ誘い込んでからの遊撃戦を行うべきだ!」

「根拠地建設もままならないのに遊撃戦だと!?今の我々には長期戦を耐えうるだけの力はないんだぞ!そんな無謀なゲリラ戦に人民を巻き込むつもりでいるのか!!」

「短期決戦に持ち込んでむざむざ敗退するよりは勝ち目があるだろう!」

評議会は紛糾したが、本土を戦場にしたくないという共和主義派とサンディカリスム派が、ハンソン達社会主義派を支持したことにより、小惑星帯での待ち伏せと奇襲が採用された。





ロンドリーナ宇宙港、指令を受けた人民革命軍が出撃の準備を慌ただしくしている中、ハンソンとテールマンが話し合いをしていた。

「同志ハンソンは本気でこの戦いに勝てるとお思いですか?」

テールマンがそう聞くと、ハンソンは答えた。

「……勝ってほしいとは思ってる。実際、ここで君たちが何とか敵を撃退してくれれば、自由惑星同盟軍との共闘関係を結べる可能性が一基跳ね上がるのだ。そうすれば同盟からの支援を受けられる。」

実はロンドリーナ・コミューン建国時にハンソンは、自由惑星同盟に対して国家承認と支援を要請するため、使者を派遣していたのだが、その時は色よい返事は貰えなかったのであった。

「同盟のジョアン・レベロ最高評議会議長は帝国に対帝国和平派だ。現状では我々の存在は黙殺されて終わるだろう。現にそういう扱いだったからな。だが同盟の力なしでこの苦境を乗り越えられるわけがない。そのためにもここで帝国軍を撃退したという実績が必要なのだ。そうすれば流石の同盟も動かざる負えないだろう。なんせ千載一遇のチャンスを我々が作ったことになるんだからな。」

「……なるほど、そういうことなら私は何も言いません。人民革命の為にも最善を尽くしましょう。」

「……君たちには本当に苦労を掛ける。特に君は第一革命のときに命を救われた。私は君に何も恩を返せていない。すまない……」

ハンソンがそう謝りながら頭を下げた。

「謝らないでください。我々は貴方に掛けてるんですよ。それにまだ負けたわけじゃないでしょ?」

「……そうだったな。頼んだぞ、同志テールマン!」

ハンソンはテールマンにそう言い、宇宙港を後にした。

その後テールマンは500隻の艦隊を率いて出撃、小惑星帯に身を隠し、帝国軍の来襲に備えた。
 
 

 
後書き
本編に出す予定が今のところないので、ここで説明しますが、自由惑星同盟はイゼルローン要塞攻略の余波で大規模な政界再編があり、政権交代が実現しています。 
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