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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第百三十五話 邂逅。そして話合い。

 ヤン・ウェンリーとラインハルト、そしてキルヒアイス。この組み合わせを見ることになろうとは、とアレーナは思った。イルーナが健在で有れば自分はこの場にいなかっただろう。
「あ~面倒くさい、あとよろしく~」などと言っていなくなっていただろう。
 けれど、イルーナはいない。だから自分がイルーナの代わりをしなくてはならない。最後の「姉」として。
 ここに至るまでの長い道のりをラインハルトとキルヒアイスはまずヤン・ウェンリーに語っていた。目の前の自分(アレーナ)が、どういう存在なのか、そして既に死亡したもう一人の『姉』がどういう存在なのかを。
 ヤン・ウェンリーとしては信じがたい話だっただろうが、彼は黙って聞いていた。いわば自分たちをシャロンと対になる存在と思ったのかもしれないとアレーナは思った。

「今度は卿の話を聞こうか」

 ラインハルトの言葉にヤン・ウェンリーは目の前の冷めた紅茶に口をつけ、のどを整えてから話し始めた。

「あの人の強さは絶大な物です」

 ヤン・ウェンリーはぽつりぽつりと話し始めた。
 シャロンを警戒してひそかに有志を募って会合を行い、対策団を結成したこと。情報を収集したこと。結局それも何らなすところがなかったこと。
 ヤンはゴールデンバウム王朝の二人をかくまっていることについては言及しなかった。まだ相手の動向がわからないからだ。

「正直、あの戦いが起こる瞬間まで私はあの人の事を過小評価していたのだと気づかされました。そして、あなた方の話を聞いてその確信が一層強まった」

 ヤン・ウェンリーはと息を吐いた。

「もう駄目でしょう。あの人を倒せる力は、自由惑星同盟には残っていません。失礼ですが銀河帝国においても」
「いや、卿の話を聞いて一つ思い当たったことがある」

 ラインハルトはヤン・ウェンリーを制した。

「なんでしょう?」
「彼奴は自信家だ」

 ラインハルトは不敵な笑みを浮かべた。それはある意味でラインハルトと似たものがあるという事かとアレーナは思った。

「自信家・・・。つまりは、自分の不利になろうとする物事でも敢えてそれを放置しているという事ですか?」
「そう言う事だ。いや、あるいは・・・・・弱点となりえそうなものを我々が感知していないとでも思っているかな。アレーナ姉上」
「そらきた」
「ごまかさないでいただきたい。前世とやらであの者を倒したかどうかまだ聞いていませんでしたね。その際にどんな手段で戦ったのかを聞かせてはもらえませんか?」

 前世?とヤン・ウェンリーが首を傾げるのをしり目に、アレーナは一つと息を吐いた。そして手短にこれまでのことをヤン・ウェンリーに語った。何故自分たちがここにやってきたのか、等を。信じられないような話だろうが、ヤンは黙って聞いていた。
 そして、アレーナは「本題に戻るわね」とラインハルトたちに顔を向けた。

「いいわよ、イルーナの事は、そしてこれほどまでに将兵を死なせてしまったことは私にも責任があるんだから。正直言うと、艦隊決戦の後私たちがアイツの元に乗り込んでケリを付けようと思っていたけれど。こんなことになってしまった以上、本腰入れて仇は取らなくてはね。そう、前世においてシャロンは倒されたわ。その要因は・・・歌よ」
『歌?』
「そう。私たちにはね、オーラという物が存在するの。まぁ、あなた方にもあるのだけれど、私たちは普通の人間には想像もつかないような規模で具現化できるの」

 アレーナが無造作に右手を宙に上げると、一つの黄色のオーラの球が出現した。他の3人はそれを無言で見つめている。

「まぁ、こんな風によ。でね、シャロンについてはそのオーラが桁違いなの。はっきり言ってしまえば、その気になればこの世界はおろか異世界を数千巻き込んでも足りないほどのエネルギーを爆散させて消滅することも可能なわけ。想像もつかないでしょ?まぁ、かくいう私たちも及ばずながら銀河系を一つ消滅させることくらいは簡単にできるわよ」
『・・・・・・・・』
「けれど、そのオーラを無効化する方法が、一つだけあるわ」

 アレーナが指を一本立てて見せた。

「あの化け物じみたオーラを消失させることができるのはね・・・・『ローレライの歌』という歌なのよ」
『ローレライの歌?』

 異口同音に尋ねる3人に、アレーナはうなずいた。そして、息を一つ吸うと、胸に手を当てて歌いだした。一人が歌っているはずなのに、いくつもの旋律がまじりあう不思議な歌だった。

「・・・・これはほんの数節だけれど。実際はもっと長いわ」
「不思議な歌だ」

 ラインハルトが考え込んでいる横で、

「では、そのローレライの歌と呼ばれるものを歌えば、あの人を、シャロンを無力化できるということですか?」

 ヤン・ウェンリーの問いかけにアレーナがうなずく。

「そうよ。でもねぇ、問題が一つあってね」
「まさか内容が全てはわからない、ですか?」
「いいえ、歌の旋律や内容は今歌って見せた通り私がすべて知っているから心配いらないわ。そうではなくて、この歌の歌い手は完全に選ばれしものしか歌えないの。旋律と歌詞に込められた意味を紐解いて、それを見えない文様に変換させて相手を封じ込めるの。それだけでは駄目で、完全に相手のオーラに同調させなくては意味がないの。言ってみれば同じ波長の波動をぶつけて相殺するのね。正直私でも駄目だわ。まぁ、二人成功させた人間を知っているけれど」
「誰ですか?まさかイルーナ姉上――」
「一人はそうよ。そしてもう一人は・・・・」

 アレーナは3人を見まわして、言った。

「フィオーナよ」

* * * * *

 結局ラインハルトとヤン・ウェンリー会談ではシャロン討伐に具体的な結論が出ないまま、いったん解散となった。ただ、両者一致して協力しシャロンに当たろうという意思の確認はすることができた。

「ヤン・ウェンリーさん」

 アレーナはヤン・ウェンリーを呼び止めた。一つ聞きたいことがあったからだ。

「なんでしょうか?」
「カロリーネ皇女殿下とアルフレートバウムガルデンなんて帝国からの亡命者、もしかしてご存じだったりする?」
「!?」

 単刀直入に聞かれた質問に対し、流石のヤン・ウェンリーも動揺を隠せなかった様子だった。

「どうして――」
「あぁ、まぁ、なんとなくですかね。あの二人も私たちと同じ、転生者なので、どうにかしてあなたに近づこうとするはずだと思っただけです。さらに付け加えれば、あのすさまじい殺戮をもし生き延びるだけの知恵とリアル・ラックがあれば、おそらくはあなたの周囲にいるかもしれないとも思って」
「・・・・・・・・」

 ヤンは数秒アレーナを見つめていたが、やがてうなずいた。

「おっしゃるとおり、二人のうちアルフレート大尉は私の艦隊に副官として、そして、カロリーネ皇女は第三十艦隊のコーデリア・シンフォニー中将のもとに在籍しています」
「あらま、コーデリアのところに、ね」
「恐らくは彼女もまたあなたと同じ存在なのでしょう?」
「そういうことです。一度会わせてもらえませんかね。別に悪いようにはしませんよ、今後の事もありますから」
「今後?」
「そう、今後です。今あなた方は帝国と共闘しようとしています。でもその後は?万が一シャロンを殺して脅威を取り除くことができたとして、その後はどうされますか?」
「私にはまだそこまで考えられません」
「でしょうね」

 アレーナは原作においてラインハルトに対抗できる最大の存在を見つめた。ヤンはしばらく考えてからゆっくりと口を開いた。

「私に言えるのは、そうですね、ラインハルト・フォン・ローエングラム公がどういう人か、まずはそれを見極めたいというところです。もちろんあなたについてもね」
「それがいいんじゃないですか」

 あっさりとアレーナが言ったので、ヤンは意外そうな顔をした。

「一言で言えば『食わず嫌いはよくない』という事です。それは私にしても然り。だから、お願いします。あの破天荒な皇女殿下とバウムガルデンの坊やに一度面会したいんですよね」

 ヤンは一瞬面白そうにほおを緩め、そして、うなずいた。

* * * * *
 アレーナ・フォン・ランディールはイゼルローン要塞の会議室に足を運んでいく。待ち受けているのは、カロリーネ・フォン・ゴールデンバウム、そしてアルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデン、それにコーデリア・シンフォニー中将、ヤン・ウェンリー大将であった。
 コーデリアとヤンは最初だけ立ち合い、後は3人だけ残して中座することとなっていた。
 転生者同士の初の対面。本来であればそこにはイルーナもいるはずだったけれど、彼女の分までアレーナは引き受けるつもりだった。
 躊躇いもなく、カツカツと軍の長靴の音を響かせて、アレーナは会議室に入った。

 入ってきたとき、4人は椅子に座っていた。カロリーネ皇女殿下とアルフレートをはさむ格好で、それぞれの上司が部下の隣に座っている。
 カロリーネ皇女殿下は、ぼんやりとアレーナを見つめたが、あっと声を上げた。誰なのかを思い出したらしい。その隣でアルフレートが身じろぎした。

「あなたは・・・!!」
「ええ、お久しぶりですね、皇女殿下」

 カロリーネ皇女殿下は口の利き方を忘れた者のように棒立ちになっていた。自由惑星同盟のベレー帽は彼女の手の中で握られたり引っ張られたりしていた。別にベレー帽に非があるわけではないのにとアレーナは思った。
 ヤン・ウェンリーは意外そうな顔をしていた。まさか二人が知り合いだとは思わなかったらしい。それはコーデリア・シンフォニーも同様だったらしいが彼女はどちらかというと面白そうな顔をして見守っていた。

「私・・・わ、妾は――」
「やめましょう、堅苦しい言葉なんてもう長いこと話していないんでしょう?それに、あなたは転生者じゃないですか、ねぇ、コーデリア殿下」
「アレーナ、お久しぶりとかいう言葉はないのですね」

 コーデリアが緑色の瞳を面白そうに光らせた。

「ええ、それはそれ、これはこれ、です。しかしまぁ、殿下もご苦労されましたね、まさか自由惑星同盟に転生されていたなんて、こちらに転生すれば良かったのに」
「そこまではこちらで決められないでしょう。まさか、カロリーネ皇女殿下と知り合いだとは思いませんでしたが」
「ま、そう言われてみればそうですが」
「あの」

 あっけに取られていたカロリーネ皇女殿下が二人を見比べながら言葉を出す。

「あの、どうして閣下とランディール・・・・この方が知り合い――」
「私の事はアレーナでいいわよ。その代り私もあなたのことはカロリーネと呼ばせてもらうから。なんだったら元の名前を教えてもらってもいいけれど?」
「あ、はい・・いえ、カロリーネでいいです」

 ちらっとアルフレートを見ながら、カロリーネ皇女殿下は言った。

「では、我々はこれで」

 ヤンとコーデリアは立ち上がったが、会議室を出ていくわけでなく、隅の方に移動した。アレーナはそれを横目で見て、先ほどまでコーデリアが座っていた椅子ではなく、その前のテーブルに腰を下ろし、足を無造作に組んだ。行儀が悪いと言われても仕方のない所作だった。身体だけは斜めに二人に向けていた。
 これには二人とも驚いたらしいが、それを言葉にして出すことはしなかった。

「あらためて、名乗らせてもらうわね、私はアレーナ・フォン・ランディール侯爵夫人。ついでに言うと前世の名前と爵位も同じ。もっとついでに言えばあなたたちと同じ転生者――」
「知っています。私たちがラインハルトを殺したこと、それをしったヴァルハラの神々が時間軸を巻き戻したことも、全部知っています。到底信じられない話ですけれど」
「ほう?」

 アレーナはカロリーネ皇女殿下の顔を見た。一瞬皇女殿下がちらっとコーデリアの方を見るのを見逃さなかった。

(なるほど、コーデリア殿下が教えたのか。まぁいいわ)

「知っているのなら話は早いわ。では、もう一つ教えてあげるけれど、ブラウンシュヴァイクとリッテンハイムをたきつけて、あなたたちを追い落としたのはこの私よ」
『?!』

 瞬間、アレーナは眼を細めた。さすがにそれまでは知らなかったと見え、二人の顔には驚愕が、そして次第に怒りの色が浮かび上がってきた。

「あなたが!?あなたがやったんですか!?」
「そういうこと」
「そのせいで・・・どんなに私たちが苦労したと思っているの!?」
「かわいい子には苦労させよなんて昔の人は言ったじゃない」
「茶化さないで!!!」

 ダン!!と拳をテーブルに打ち当てたのはカロリーネ皇女殿下だった。

「私も、アルフレートも、自由惑星同盟に亡命してものすごく肩身の狭い思いをしていたのよ。味方は少数の侍女たちやファーレンハイト、シュタインメッツだけだった・・・もし、ヤン提督やウィトゲンシュティン中将、シンフォニー中将が助けて下さらなかったら、私たちは死んでいたかもしれない!!」
「なら、万々歳ね、私たちはもとよりそのつもりでいたもの」
「なっ!?」
「言っておきますけれど、私たちは遊びでここに来たんじゃないのよ。既にあなたたちによってラインハルトが一度殺されているんだもの、こっちもそれなりの対応はさせてもらったわ。場合によってはあなたたちを殺すことも考えていた。その方針は今も変わっていないわ」
「あなたは一体何様のつもりなの!?どうしてそんなにでかい口が叩ける――」

 電光一閃、アレーナの抜き放った剣のもとテーブルが二人の間で綺麗に両断されたのみならず、衝撃波が飛んで壁にまで大きな亀裂が入っていた。彼女はいつの間にか位置を変えてその剣先を二人に向けていた。

「私がその気になればこの要塞が浮かんでいる宙域ごとアンタたちを塵クズに変えることだってできるわけ。何様だろうが、俺様だろうが、関係ないわ。あなたたちが立ちふさがるなら、この場で即刻殺すつもりよ。マジで。ただそれだけよ」
『・・・・・・・』

 アレーナは剣を収めた。震えている二人を立ったまましばらく見下ろしていたが、

「あなたは今年18歳になるのか、そしてバウムガルデンの坊や・・・アルフレートさんは21歳になるわけね。」
『・・・・・・・』
「前世でどんな暮らしをしてきたのかは知らないし、どうして二人がこの世界に来たのかも知らない。でも、理由があると思うわけ。何千何億何兆からふたりが選ばれた理由があると思うわけ」
『・・・・・・・』
「私を恨みたいなら勝手にどうぞ。でも、私は喧嘩をしに来たのじゃない」
『・・・・・・・』
「力を見せておいて何だけれど、できることならあなたたちと協力したいの。自由惑星同盟にいたいのならそれでよし、帝国に復権したいなら手を貸すし」
「・・・何をさせたいのよ?」

 カロリーネ皇女殿下の震えたかすれ声が漏れ出た。

「まだ決めてないわ。あぁ、大丈夫よ、別にあんたたち二人を縛り上げて生贄にして送りつけようなんてそんなことは思っていないし」
「・・・・して」
「え?」
「どうして、あなたはそんな喧嘩腰なの?」

 アレーナは黙った。気圧されていたカロリーネ皇女殿下の瞳に力が戻りつつあった。

「私たちはここにやってきて何も知らされていない状態なのよ。あなたが生かすも殺すも完全に自由な状況下でしょう?なのに、それなのに、まだ私たちをいたぶろうとしているの?」
「・・・・・・・」
「私たちはそんなことをされにここまで必死に生きてきたわけじゃない。あなたと争うためにここまで来たのじゃない。ヤン・ウェンリー提督とラインハルト・フォン・ローエングラム公と同盟させて、あの怪物を何とかして斃したい一心で生き残ったの!」
「ほう!」
「もう、私個人の望みなんてどうだっていいの!・・・生きてさえいれば、ただ片隅でひっそり生かしてもらえさえすればそれでいいの。でも、それは後回し。私は二人に手をつないでもらえるのならどんなことだってする覚悟よ」
「・・・・・・・」
「ウィトゲンシュティン中将閣下にもそう約束したもの」
「・・・・・・・」
「お願い、どうか、ヤン・ウェンリー提督と、ラインハルト・フォン・ローエングラム公とを会わせてあげて」

 アレーナはヤン・ウェンリー、そしてコーデリアを見た。二人ともかすかに首を振ったところを見ると、この提案は完全に彼女の物らしい。
 そして、実のところ、アレーナはラインハルトとヤン・ウェンリーとを手を組ませるなどという心づもりは、全くなかった。少なくとも自由惑星同盟に侵攻するまでは。そして、それはイルーナもそうだったに違いない。
 しかし、カロリーネ皇女殿下はそれをいつからかはわからないが、自分のプランとして温めてきたのだ。

「・・・・・・」

 アレーナは長いことカロリーネ皇女殿下の瞳を見ていた。彼女は屈せずに見つめ返してくる。

「・・・・OK。よくわかったわ」

 アレーナはカロリーネ皇女殿下の前に片膝をついて、顔を見上げた。

「どうやら謝るのはこちらなのかもしれないわね。あなたたちは随分と頑張ってきた事がよくわかったわ。昔の傲慢不遜なカロリーネ皇女殿下は姿を消したってことね」
「・・・・・・・・」
「それとも性根を入れ替えた、という事かしらね」

 あなたによって?と言わんばかりにアレーナはアルフレートを見た。彼は一言も話していなかったが、辛酸をなめた苦労がありありと顔に刻まれている。

「殿下のおっしゃるとおりです。僕たちにはもう、その手しか思いつかなかった。転生者であるあなた方ならばもっと良い手が思いついているのかもしれませんが、僕たちにはこれが唯一の手段に思えます」
「残念ながら、私たちもあなたたちと同じよ。打つ手なし・・・というわけじゃないけれど、起死回生の一手を実現するためには、ヤン・ウェンリーとラインハルトとがタッグを組むほかないわけ」

 そう言いながら、アレーナがヤンの方を見ると、彼は何とも言えない表情をして頭を掻いているところだった。

「あなたたちは過去に一度ラインハルトを殺した。覚えていないかもしれないけれどね。そしてこっちはあなたたちを自由惑星同盟に追い落として散々苦労をかけさせた。天秤にかけて釣り合うほどの物じゃないけれど、これでチャラにして仲直りしない?」
「・・・・・・・・」
「悪い話じゃないと思うけれど?」

 カロリーネ皇女殿下と、アルフレートは顔を見合わせていたが、やがてうなずき合うとアレーナを見た。

「私たちにラインハルト・フォン・ローエングラム公のお力になれと言うわけですか?」
「それはあなたたちとラインハルトが直接会って話せばいいわ。私も同席するし、これまでの経緯は逐一話すことになるけれど、そこから先はあなたたちとラインハルトたちの問題よ。でも・・・・」

 アレーナは二人を見まわした。

「まず、そのためには今を生き抜かないとね」

 アレーナが手を差し出した。二人は戸惑っていたが、数秒後、カロリーネ皇女殿下、アルフレートの手がアレーナの手に重なった。


 
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