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麗しのヴァンパイア

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第二百三十六話

                第二百三十六話  風邪にいい
 母は今の献立を見た、生姜が入った鯖の味噌煮込みに葱と豆腐の味噌汁といったものである。今話した野菜や香辛料のうち生姜と葱があった。
「今美樹ちゃんが言ったものは全部身体にいいものよ」
「お葱も生姜も」
「そう、今は出してないけれど大蒜や玉葱もね」 
 こういったものもというのだ。
「身体にいいのよ」
「お葱もそうよね」
「そう、特に風邪にいいから」
「風邪になの」
「どれもね、だからね」
 それでというのだ。
「お母さんもよくお料理に出してるの」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
「それに?」
「やっぱり火を通す様にしているわ」
 その様にしているというのだ。
「大抵ね」
「そうなのね」
「そうよ、風邪をひいたらね」
 それこそというのだ。
「よくないから」
「風邪は万病の元っていうわね」
「文字通りにそうだから」
 母は娘に真剣な顔で話した。
「だからよ」
「風邪には気をつけて」
「それでよく出しているのよ」
「そうだったのね」
「美樹ちゃんこうしたの嫌いなの」
「実は」
 美樹は素直に答えた。
「刺激が強いと。けれどそういえば」
「普通に食べてるわね」
「そうね、やっぱり風邪にもいいし」
 ここで自分の傍でそれぞれのご飯を食べているビルガーとファルケンを見た、彼等との会話を思い出したからだ。
「食べるといいのね」
「そう、お葱も大蒜も生姜もね」
「それで玉葱も」
「他のお野菜もそうだけれど」
「そうした食べものは身体にもいいのね」
「それで火を通したらね」
 そうして料理をすればというのだ。
「辛くもなくなるから」
「いいのね」
「そう、だから食べるわね」
「ええ、そうするわ」
 美樹は笑顔で応えた、そうして鯖の味噌煮込みの中にあった生姜を一切れ箸に取って食べた。それは実に美味かった。


第二百三十六話   完


                2020・2・16 
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