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毎日の散歩

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第一章

                毎日の散歩
 松本菫は身体の弱い少女だった、だから幼稚園を休むことが多く両親もそんな娘を見て心配していた。
「身体を少しずつでも動かしてな」
「しっかり食べていると健康になるのよね」
「お医者さんはそう言ってるな」
「少しずつでもね」
「しかし菫は運動嫌いだしな」
「あまり食べないし」
 それでとだ、二人は話した。
「だからね」
「中々身体も健康にならないな」
「どうしたものかしら」
 母の郁恵は悲しい顔で言った、黒髪は短く垂れ目で豊かな胸が服の上からもわかる。夫の徹はふくよかで大柄で優しそうな顔である。
「一体」
「何とか身体を動かす様にしたら」
 夫はここでこう言った。
「その分食欲も出てな」
「食べる様にもなるわね」
「幸い好き嫌いは少ないからな」
 精々豚肉の脂身や卵豆腐を食べない位である。
「だから一旦身体を動かす様にしたら」
「違ってくるわね」
「だからな」
 それでとだ、夫は妻にさらに話した。
「ここはな」
「身体を動かす様にするのね」
「散歩でもしたら違うな」
「お散歩ね」
「ああ、それでな」
 夫はここで妻に自分の考えを話した、すると妻はこう言った。
「いいわね、じゃあね」
「そうするか」
「そうしましょう、じゃあ早速ね」
「探すか」
「そうしましょう」
 妻も頷いた、そうしてだった。
 ある日二人で菫、黒髪が奇麗で色白で優しい目の自分達の娘の前に茶色の毛でポメラニアンと豆柴の雌の子犬を見せて話した。
「今日からこの娘も家族だ」
「菫ちゃんの妹になるわよ」
「アン」
 その犬は菫を見て尻尾をぱたぱたとさせていた。
「お父さんの知り合いの人から貰ってきた」
「可愛がってあげてね」
「うん、この娘名前何ていうの?」
 菫は両親にまずは彼女のそのことを聞いた。
「名前あるの?」
「それが実はな」
「まだないの」
「これから名付けるけれどな」
「菫ちゃんがつける?」
「うん、アンって鳴いてるからアンにしよう」
 菫はアンを見つつ両親に言った。
「そうしよう」
「そうか、アンか」
「じゃあその名前にしましょう」
 両親は娘の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
 アンは家族の一員になった、すると菫はアンとすぐに仲良くなりいつも一緒に遊ぶ様になった。アンは優しく明るい犬で菫の妹であり親友になった。
 それで菫はアンの散歩にはいつも一緒にいる様になった、すると。
 菫の運動量は自然と増えて食欲も出て来てだった、それで。
 次第に健康になってい小学校に行く頃には休むことも減っていっていた。それで両親も笑顔で話した。
「よかったな」
「ええ、あの娘はどんどん健康になっていってるわね」
「身体を動かしてな」
「それで沢山食べる様になって」
「どんどんよくなっていってるな」
「いい流れね」
「それもこれもな」
 今は二人がいる部屋の中にいるアンを見て言う。
「何といってもな」
「この娘が来てくれたからね」
「本当にそうだな」
「そうよね、アンちゃんが来てくれたから」
 二人でアンを微笑んで見つつ話す。 
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