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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第五話 ダブルロックオン

地上部隊によってガーディアンベースに運ばれた二人は即治療室行きとなった。

特にジルウェのダメージは酷く、モデルZが変身を維持していなければ体がダメージに耐えきれずに消滅してしまう程であった。

逆にエールはダメージは酷かったがジルウェ程ではなく、モデルXがエールの自己治癒能力を促進させていたことで体に巻かれた包帯が痛々しいものの、現在は意識が戻っており、エールに与えられたベースの一室のベッドに横になっていた。

「大丈夫、エール?」

「アタシは…大丈夫…アタシよりもジルウェは?」

「…今、ミュゲさん達が治療してるわ……ジルウェさんは酷いダメージを受けていて、ライブメタルの力で生命維持している状態らしいの」

「そっか…」

それを聞いたエールは自分が突っ走ったせいでジルウェが生死の境をさ迷っていることに対して自責の念に駆られる。

「…アタシ…馬鹿だよね…ジルウェが止めてくれたのに…強がって…格好つけて…あの時、あの子が助けてくれなかったらアタシだけじゃなくてジルウェも…」

「彼…ね…セルパンとの会話は聞いていたけど、彼もライブメタルの適合者らしいわ。私達もセルパン達も知らないライブメタルの適合者……会話を聞く限りでは彼はセルパン達と敵対している……」

「それから…彼は…多分、僕の適合者でもあるんだと思う」

モデルXの言葉にエールとプレリーの視線が向けられる。

「彼に触れられた時、彼からエールに触れられた時の感覚と同じ物を感じたんだ…」

「二つのライブメタルの適合者…そんなことが有り得るの?」

プレリーの問いにモデルXは少し沈黙するものの、ゆっくりと言葉を発した。

「…複数のライブメタルの適合者は今のところ彼くらいしかいないから詳しいことは分からないけれど……彼に触れて分かったことがある。彼はライブメタルに取り憑かれている」

「…取り憑かれている?」

「…どういうことなの?」

物騒な言葉にエールとプレリーが不思議そうにモデルXを見つめる。

「普通の変身はライブメタルの力を一時的にアーマーとして纏い、そのライブメタルの力を行使する。だけど彼の場合はライブメタルとの境界線が全くない…つまりライブメタルと完全に一体化している…恐らく変身の解除も出来ないと思う」

「だから彼はアウターかイレギュラー発生現場でしか姿を見せないのね…」

インナーではセルパン・カンパニーの警備隊がいるから変身した状態では攻撃を受けてしまう。

彼がアウターかイレギュラー発生現場にしか姿を見せなかった理由が分かったプレリーが納得したように呟いた。

「エール達を助けたことから、彼自身は優しい人なんだと思う…だけど、彼のライブメタルから感じるものは…危険だ。あの力は恐ろしい…破壊の力だ…彼に悪影響を及ぼさないとも限らない」

「………」

モデルXの言葉を聞いたエールは彼を助けてあげたいと思った。

自分やジルウェを助けてくれた恩返しがしたい…だが、どうやったらいいのか分からない。

そして自分の感情で突っ走ったら、また誰かを傷つけるのではないかと思うと、エールは動けなかった。

「エール、あなた…自分の気持ちのままに進んだらまた誰かを傷つけるんじゃないかって思ってる?」

「え?」

心の内を読んだようなプレリーの言葉に俯いていた顔を上げるエール。

「確かにあなたが、あの時に飛び出さなければジルウェさんは傷つかなかったかもしれない…」

「………」

プレリーの言葉にエールの表情が曇る。

「でも、あなたがいたから私も…マクロー達も助かったの…エリアD付近の居住区の被害も最小限に抑えられたわ。悪いことばかりに目を向けてばかりでは駄目、あなたの勇気で救われた人達がいることを忘れないで」

「そうだよエール、君の勇気で救われた人が目の前にいるじゃないか…自分のしてきたことを全て否定してはいけないよ」

「………うん……」

プレリーとモデルXの言葉にエールの瞳から涙が溢れ出す。

そんなエールをプレリーは落ち着くまで背を撫でてやった。

しばらくしてエールは泣き止み、入ってきた紫髪の女性…ローズがジルウェの意識が戻ったことを報せてくれた。

「ジルウェさんの意識が戻りました…エールさんに会いたがっていましたわ。顔を見せて安心させてやって下さい」

安堵と苦笑が混じったローズの表情。

それは自分よりもエールを心配していた過保護な姿を見たためか。

「う、うん…」

エールはローズに支えられてジルウェのガーディアンベースでの部屋に通された。

「エール…」

「ジルウェ…」

扉が開いた音に気付いたジルウェはゆっくりと振り返る。

顔色は青白く、声にいつもの力がないが、確かにジルウェは生きていた。

「良かった…無事…だったか……悪かったな…エール…守るって言った癖に、俺はあいつに操られてしまっただけじゃなくて…お前に辛い思いをさせた…」

「違う…!ジルウェは何も悪くない…!あの時、ジルウェの言う通りにしていれば…アタシが強がったりしなきゃ…」

「………良いんだよ、お前の性格は十年の付き合いで良く分かってる…それに俺も無茶やったからな…」

泣くエールに優しく笑うジルウェ。

そして部屋にモデルZを持ったフルーブが入ってきた。

「ジルウェさん、モデルZのチェックは終わりました。何も問題はありません…ですが……」

言葉を濁らせるフルーブにジルウェとエールの視線が向けられる。

「ジルウェさんはもう戦えません」

「え…?」

「そう…か…」

フルーブの言葉にエールは目を見開き、ジルウェは何となく理解していたのかショックはあまり無いようだ。

「ライブメタルが無ければジルウェさんの体は消滅してしまう程の深刻なダメージを受けてしまいました。変身しようとしてもジルウェさんの体が保たないでしょう。普通に運び屋としての生活をすることくらいは出来るでしょうが…二度と戦えはしないでしょう」

「ジルウェ…」

「そんな顔をするなエール。戦えなくてもやれることはあるさ……お前の力になれる方法もな……モデルZ…エールに力を貸してやってくれないか…?」

ジルウェの言葉にモデルZはジルウェの元へ向かう。

「…俺は構わん、エール…お前はどうだ?」

モデルZの言葉に全員の視線がエールに向けられる。

「これからガーディアンはセルパンと戦うことになる。つまり、奴らのような強敵が現れるだろう…お前に戦う勇気があるか?」

「…………」

モデルZの言葉にエールは沈黙する。

セルパン達の自分との圧倒的なまでの力の差を思い知らされたエールはすぐに答えは出せなかった。

「………とにかくそれはエールの怪我が治ってからよ」

「プレリーさん」

フルーブが振り返り、全員が部屋に入ってきたプレリーに振り返った。

「エール、無理強いはしないわ。あなたが運び屋としての生活を選ぶのならそれでもいいの…ただ後悔だけはしないでね」

「……うん」

プレリー達は退室し、残されたジルウェもゆっくりと眠りに落ちた。

エリアDでのイレギュラー襲撃事件から数日後、治療班による治療とライブメタルの力によってエールは普段通りに動けるようになり、ジルウェも日常生活を送れるくらいには回復した。

そして今はプレリーに呼ばれて司令室であるブリッジにいる。

「エール、ジルウェさん。無事に回復して良かったわ」

「心配をかけました」

自分達の回復を喜ぶプレリーにジルウェは頭を下げた。

「二人に見て欲しいものがあるの、ジルウェさんが回収したイレギュラーのメモリの映像よ」

モニターに映るのは何度もエールを助けてくれた紅のアーマーの少年。

背後から襲おうとしたイレギュラーに振り返った時、少年の顔が映し出された。

「これが、イレギュラー発生現場に現れる彼の顔…なんだけど…二人共、どうしたの?」

「………………嘘……ヴァン…?」

エールの見間違いでなければ、少年の顔は一年前に行方不明となったヴァンであった。

ジルウェの方を見ればエールと同じように驚いているため、見間違いと言うわけではなさそうだ。

「あの、司令官。彼が現れたアウターの場所を教えてもらっても?」

「え?ええ、大体の位置なら」

モニターに彼が現れたアウターの場所が映し出される。

「………これは俺達、運び屋が通っているルートだ。インナーまでの近道に使っている道も俺達しか知らない…本当にあいつなら最近、イレギュラーと遭遇しないのも納得がいく」

「じゃあ、あれはヴァンなの!?…生きていてくれてたんだ……」

行方不明だった幼なじみが生きていたことに、エールは喜ぶものの、モデルXの言葉に我に返る。

「だけど、彼はあの戦いでセルパン達に存在を知られてしまった…もしかしたらセルパン達に追われているかも」

「………」

「どうするんだ?お前の幼なじみとやらにセルパンとの戦いを任せるのか?」

モデルZの言葉にエールは沈黙するが、ゆっくりとモデルXとモデルZに向き直る。

「モデルX、モデルZ…アタシ、ヴァンを助けたい。だからもっと力が欲しい…あの時もエリアDの時も、ヴァンはアタシを何度も助けてくれた…だから今度はアタシが助ける番!だからアタシに力を貸して欲しい!」

「…良いんだな?」

「うん」

エールの目に宿る意思の強さにモデルZは自身の力を託すことに決めた。

「よし、エール。僕とモデルZの力を合わせることで新しい力を生み出せるかもしれない。でもこれは賭けでもある…二つのライブメタルの力にまだ完治していない君の体が耐えられるのか…」

「待って下さい!二つのライブメタルのエネルギーをその身に受けるのは自殺行為です!」

フルーブが慌てて止めようとする。

ライブメタル単体の力でも強大な物だと言うのに複数のライブメタルを一人の…しかもまだ子供の域を越えていない上に怪我が完治していないエールが耐えられるとは到底思えないのだ。

「だが、この先の戦いを生き延びるにはそれしかない。ジルウェが戦えない以上な」

モデルZの言葉にフルーブは黙った。

ジルウェが戦えない今、エールしか戦えるロックマンはいない。

経験が浅いエールがセルパン達と戦って生き延びるには時間も残されていない以上、これしか方法がないのである。

「それしかないなら、アタシはやる!これ以上あいつらの好きにはさせない!」

エールはモデルXとモデルZを手にした。

「ロックオン!」

「「適合者確認、R.O.C.K.システム起動開始」」

エールの体が光に包まれ、体にモデルXとモデルZの力が流れ込んでいく。

光が消えた時、そこにいたのはロックマン・モデルXでもモデルZでもない。

赤いアーマーに腰にまで伸びる金髪を模したコードが特徴のモデルXとモデルZの面影を持つ姿へとなっていた。

「凄い…これがモデルXとモデルZの力を合わせた力…これならセルパン達に対抗出来るかもしれないわ…」

ベースのエネルギー感知器もライブメタル単体変身時とは比較にならないエネルギー値を示していた。

プレリーもこれならセルパンに対抗出来ると希望を抱き、エールに今までのライブメタルの解析結果を伝える。

「エール、ジルウェさん。ライブメタルのデータを解析していくつか分かったことがあるの。機械や人々を狂わせる力を持つライブメタル・モデルV…それこそが イレギュラー発生の原因だったのよ。でも、セルパンが持っているライブメタルはその欠片でしかないわ。本当のモデルV本体は今もどこかの遺跡で眠っているはずよ」

「欠片だけで、ジルウェや、あれだけのイレギュラーを操っていたって言うの?」
 
「セルパンの言う、プロジェクト・ヘブンが何なのかは分からないけど…恐らく彼はモデルV本体を目覚めさせるつもりだわ。自らが全ての支配者となるために…」

「あいつはこの国の人々をモデルVの生け贄にするって言ってた。そんなこと…絶対させない…!モデルVの本体は今どこに?」

「落ち着けエール、場所が分かるならとっくに向かってるさ」

焦るエールを宥めるジルウェ。

痛い経験の直後だからか、今度はすぐに大人しくなった。

「ええ、それが…データの一部が壊れてしまっていて、詳しい場所は分からないの。ただ、モデルV本体が封印された扉を開けるには、お姉ちゃんが遺したライブメタルに記録された六つのパスコードが必要になるらしいわ。私達はモデルXとモデルZを見つけたけど…」

「後の四つは全てセルパン・カンパニーが持っているはずだ…だったら…戦って全部奪い取るしかない…!」

「ライブメタルとイレギュラーの反応を元にシミュレートしてみるわ。ミッションプランが決まったら、トランスサーバーに追加しておくわね」

「分かった」

「まずは本格的な戦いになる前にヴァンを見つけないとな。あいつ一人でセルパンと戦うのは無謀過ぎる…流石に一年間もイレギュラーと戦い続けていたならその辺は分かっていると思うけどな…」

「ジルウェさん…彼は味方になってくれるかしら?」

セルパンとの来るべき戦いのためにも、色々と曰く付きそうなライブメタルのとはいえ、貴重なロックマンであるヴァンは果たして自分達の味方になってくれるのだろうか?

「大丈夫ですよ、俺とエールが事情を話せば分かってくれると思います。俺も会ったら色々とヴァンに説教もしたいですしね、あいつなりの事情があるんでしょうけど、一年間も心配させられましたし」

取り敢えず今はミッションが始まるまでの間にエールに訓練をつけてやることにする。

少しでも早くライブメタルの力に慣れてもらわねばならないからだ。

戦えなくても自分に出来る方法でエールをサポートするのが、今の自分の戦いだ。 
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