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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十六話 秋田へその六

「しないだろ」
「そうだよね」
「拳も出さないだろ」
「僕を怒る時も暴力は振るわなかったし」
「誰にも暴力は振るわないんだよ」
 親父はそこは強い声で言い切った。
「自分の息子にもな」
「本当に誰にもだね」
「付き合った娘達にもな」
 それこそという口調での返事だった。
「俺は誰にも暴力を振るったことがないんだ」
「本当に誰にもだね」
「それが俺の誇りなんだ」
「それならだね」
「今も絶対に振るうか」
 まさにという返事だった。
「何があってもな、しかしな」
「武力があって」
「頭だってあるんだ」
 こちらもというのだ。
「だからな」
「勝てるんだね」
「暴力を使わなくてもな」
 それでもというのだ。
「勝てるからな」
「そう、それじゃあ」
「明日の朝にな」
「朝なんだ」
「六時だ」
「六時って」
 神戸から大阪の新国際空港に行くとなるとだ。
「滅茶苦茶速いじゃない」
「だから電撃作戦だって言っただろ」
「敵の不意を衝いてだね」
「徹底的に攻めるからな」
 そうするからだというのだ。
「だからだよ」
「朝早くになんだ」
「こっちに来い」
「起きれなかったら」
「安心しろ、畑中さんも来てくれるって言っただろ」
「ああ、畑中さんがだね」
 あの人の名前を聞いて僕もわかった。
「起こしてくれるんだね」
「そうだ、だからな」
 それでというのだ。
「明日来い、いいな」
「それじゃあね」
「畑中さんがいてくれたら大丈夫だ」
 実際に親父の今の声はそうしたものだった。
「安心しろよ」
「畑中さんがいたら」
「ああ、百人力だろ」
「そうだね」
「しかも奥さんまで一緒だ」
 この人もというのだ。
「だからな」
「余計に心強いね」
「相当にな、他の人達も来てくれるしな」
「鬼に金棒かな」
「ああ、それは違うな」
 親父は僕に笑ってこう返した。
「金棒持った鬼が何人もいるんだ」
「そうした状況なんだ」
「そうなんだよ」
 こう僕に言ってきた。
「今はな」
「じゃあ言うまでもないね」
「ああ、そこまで用意してもらったからな」
「秋田にすぐに行って」
「そしてな」
「目的を果たすんだね」
「絶対にな、それでお前はな」 
 僕にも言ってきた。 
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