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FAIRY TAIL 〜悠久なるトキの中で〜

作者:刃牙
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涙のワケ

「……つまらん……」

不意にタイタンが魔法を消し、背中を向けた。それと同時重力場も消える。何故タイタンが途中で魔法を消したのか。その疑問を打ち消すようにマカロフが天井を突き破り、落ちてくる。

「マスター‼︎」

魔力が消えている。マカロフの身体からはあの強大な魔力が微塵も感じられなかった。マカロフが倒れ、勢いづく幽鬼の支配者と士気の低下が著しい妖精の尻尾。このままでは全滅は必至。しかし、マカロフがエルザが倒れ、アルトリスら他のS級魔導士も不在。妖精の尻尾には組織を統率するリーダーがいなくなっていた。

「妖精をぶっ潰せ‼︎」

「くそっ!撤退だ‼︎ 撤退するよ‼︎」

妖精の尻尾を纏めようとギルドの中でも古株のカナが声を上げる。カナの掛け声に反応したメンバー達がギルドを目指し、駆けていく。しかし、ナツやグレイを始めとして、戦いを続ける事を主張するメンバーもいた。

「んだと⁉︎カナ‼︎ オレはまだやるぞ!」

「ここは退くんだよ!マスターがやられちまってんだ!早く診てもらわねえと手遅れになっちまう‼︎ 」

カナは声を荒げ、叫ぶように訴えた。それを戦いを続ける事を主張していたメンバー達も無下にする事はできず、背を向けてギルドへと向かう。

「くそっ!」




タイタンとガジル、アリアの三人は梁の上に立っていた。ガジルは妖精の尻尾が敗走する様を面白そうに眺め、タイタンに問い掛ける。

「おい、タイタンさんよぉ。どうするヨ?」

タイタンはあいつらをここで全滅させるのか。というニュアンスを含んだガジルの問いには答えず、アリアへと視線をやる。

「貴様らの目当てのルーシィ・ハートフィリアとやらは捕まえたのだろう?」

タイタンはアリアから“本部に幽閉している”との返答がかえってくると、そこでやっとガジルからの問いに答えた。

「ならば、これ以上やる理由はないな」

アリアとタイタンはギルドの本部に帰るつもりのようだった。本音を言えば、サラマンダーと戦って優劣を決めておきたかったが、それはまたの楽しみにでもするかと思い直す。

「ガジルー‼︎」

同じ滅竜魔導士《ドラゴンスレイヤー》である以上、この会話が聞こえているのは分かっているし、妖精がどういう奴らなのかも分かっている。あいつが本部に来たら、この戦いの続きをすればいい。そう考えて、ガジルはこちらを強く睨みつけるナツに余裕の笑みを見せつけ、声をかけた。

「いずれ決着をつけようぜ。サラマンダー」








エルザは妖精の尻尾の地下で目を覚まし、エルザが起きた事に気付いたワカバが話しかけてきた。

「起きて大丈夫なのか?エルザ」

「ああ。手加減されていたようだ。痛みもない」

エルザは辺りを見渡し、ケガ人の多さやギルドに漂う空気の重さから、自分達が負けた事を察する。マスターの姿が見当たらない事を疑問に感じたが、カナの怒号にも似た声が聞こえ、そっちに意識が向く。

「これ以上の戦いは無理だ‼︎」

地下の一角で、グレイとカナが机を挟んで言い合いをしていた。妖精の尻尾では、やられた仲間達を想い、戦いを続ける事を主張するメンバーと戦いでの負傷者の数と戦力差を考え、犠牲者を出さない為に止める事を主張するメンバーとで考えが分かれていたのだ。

「ふざけんな!まだレビィたちの仇もとってねえってのに‼︎」

「だけど、これ以上はこちらの犠牲者を生むだけだよ。ミストガンとラクサスは不在……マスターとアルトリスは戦えない。それに対してあっちはマスターと同等の力を持つジョゼ。エレメント4にガジル。それにエルザを倒したタイタンって奴もいるんだ。戦力差がありすぎる。これでどう戦うっていうんだい‼︎」

カナの言葉に何も言い返す事が出来ない。明らかな戦力差を考えると、死にに行くようなものだ。グレイは強く拳を握り、柱を叩いた。

「……くそっ‼︎」

「(……マスターが負けた?)」

エルザには信じられなかった。皆が嘘をついていると言いたいわけではない。しかし、マカロフを誰よりも慕い、信頼しているエルザには受け入れ難い事だった。放心状態のようになっていたエルザを引き戻したのは階段を降りてくる足音だった。敵が来たかと剣を構え、姿が見えるのを待つ。他の皆も同様に意識を階段に集中させる。

「何だ。お前らか」

現れてきたのはナツとルーシィ、ハッピーだった。彼らを見て、警戒を解く。どこへ行っていたのかとか、聞きたい事もあるが、今はこれからどうするかを決めなければならないのだ。それは後でもいいだろうと思っていた。

「とにかくこれからどうするかを話し合おう」

エルザがそう言った時だった。ルーシィの両頬を涙が伝う。嗚咽をもらし、取り乱したように謝罪の弁を述べる。

「ごめんなさい……みんな、ごめん……」 
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