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オズのハンク

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第十幕その九

「まだトロット王女達が来た時はな」
「貴方達はいなかったからね」
「ピラミッドもなかった」
 今自分達がいる場所もいうのです。
「君達がここに来た時は」
「そうなのよね」
「それがオリンポスもアスガルドも出来てな」
「このピラミッドも出来てね」
「蓬莱山も出来たな」
「高天原もね」
「天使達もいる」
 キリスト教の聖なる存在達もです。
「キャメロット城、聖杯の城もある」
「そうした場所もね」
「本当になくて」
「それがだ」
「今では全部あって」
「オズの国で楽しく過ごしている」
「そこも違うわね」
「全くだな」
 こうしたお話をしてです、そのうえで。
 皆でさらにお話していると祭壇の中に噂の神様が来ました。
 頭から白い布をすっぽりとか被っていて両目だけが見えます、手はなくて二本足だけが見えます。何か頭と身体が一つになっている感じです。
 大きさはカルロス達より小さい位です、ハンクはその神様を見てそのうえでラー神にこう尋ねました。
「この神様が」
「そう、君達が探していた」
「メジェド神だね」
「そうなのだよ」
「僕達は遂に会えたんだ」
「そうだ、ではだ」
「これからだね」
 ハンクはそのメジェド神を見ながらラー神に応えました。
「メジェド神ともお話をして」
「楽しめばいい」
「お口が見えないけれど」
「安心するのだ、喋ることが出来てだ」
 そしてというのです。
「聞くことも嗅ぐこともだ」
「出来るんだね」
「だから安心するのだ」
「それじゃあね」
「会話を楽しむのだ、メジェド神もだ」
 ラー神はメジェド神にも声をかけました。
「そうするといい」
「御意」
 今メジェド神は応えました、高くて癖のある男の人の声です。
 その声でラー神に応えてです、そのうえでハンク達に言うのでした。
「私を探していたんだったね」
「うん、会いたいと思ってね」
 ハンクはメジェド神に素直に答えました。
「それでね」
「そうだったね、実は明日ここでお祭りがあるから」
「ここに戻って来るつもりだったんだ」
「そうだったけれど」
 それでもと言うのでした。
「ラー神に呼ばれてね」
「それでだね」
「君達に会う為にね」
 まさにその為にというのです。
「ここに来たんだ」
「そうだったんだね」
「そう、そしてね」
 ハンクにさらに言うのでした。
「君達もお祭りに参加するつもりだね」
「そのつもりだよ」
 ハンクはまた素直に答えました。
「明日のね」
「そうだね、では一緒に楽しもうね」
「メジェド神と一緒に」
「そうしようね」
「わかったよ、あと貴方の姿は」
「どうしてこういう姿かだね」
「他のエジプトの神様とかなり違うけれど」
 その独特のお姿はというのです。 
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