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駅ーRAILLOVE-

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第二章

 けれど寒い、冬の東京はからっ風のせいで余計に寒い。コートの下はセーターを着てロングスカートの下にタイツ二枚重ねでブーツでやっとだ。けれどそれでも冷えるものは冷えるので。
 私は待っている間におトイレに行きたくなりたくないかと待っている間少し不安だった、その場合は近くのコンビニでおトイレに行くと彼にメールを送るつもりだった。そんなことばかり考えながら彼を待っていると。
 彼からメールが来て今新幹線から降りたと伝えてくれた、そのメールを受けて私は彼が遅くならなくてよかったと思いその後で後少し待てば彼と会えるとも思った。
 そんなことを思いながら彼を待っているとスーツにコート姿の彼が来た、それで私に笑顔で言ってきた。
「待ったかな」
「少しね」
 本当に少しだった、そのことに喜びながら彼に答えた。
「それだけだったわ」
「そうなんだ」
「ええ、ただ何でここでって言ったの?」
 彼のどうしてもここで待って欲しいという言葉がわからないで彼に問い返した。
「一体」
「本当は新幹線のホームでって思ってたけれど」
「それじゃあ迷ってるから」
「本当に東京駅苦手なんだ」
「悪いけれどね、それで本当はお部屋で待っているつもりだったけれど」
 それがだ、彼に問い返した。
「どうしてここでって言ったの?」
「実はすぐに渡したいものがあって」
「それでなの」
「出来るだけ早くって思ってね」
「どうしてなの、それは」
「これをあげたくて」
 こう言ってだった、彼は私に小さな青紫のビロードの箱を差し出した。それがどんな箱か私にはすぐにわかった。
 彼はその箱を開けて私に言ってきた。
「実は福岡で凄くいい宝石店を見付けて」
「これ珊瑚じゃない」
 私の誕生石だ。
「まさか」
「これをすぐにプレゼントしたくてね」
「それで私に駅でって言ったの」
「東京駅でね」
「そうだったのね」
「本当に出張先で見付けてね」
 福岡でというのだ。
「よかったよ」
「それならそうと言ってくれったらよかったのに」
「言ったら面白くないから」
 それでという返事だった。
「だからね」
「驚かせたかったの」
「そうだったんだ、それでこれは」
「プロポーズでもあるのね」
「うん、駄目かな」
「全く、ここじゃ何だから」
 私は彼の今の恥ずかしそうな言葉に少し苦笑いになって応えた、それでも顔は笑顔になっているのが自分でもわかった。
「お部屋でね」
「お話をだね」
「聞かせて、詳しいお話を」
「それじゃあね」
 彼は私の申し出に笑顔で応えてくれた、私は珊瑚の指輪が入った箱を彼から受け取ってだった。
 一緒に駅の中に戻ってまた環状線に戻って私達が住んでいる場所の最寄りの駅に向かった、お部屋に入った後は笑顔でのお話になって後でお互いの実家に行くことになった。その時から私にとって東京駅は苦手な場所から素敵な思い出の場所になった。プロポーズを受けた運命の場所として。


駅ーSTATIONLOVE-   完


                 2019・10・2 
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