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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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リュー君のお仕事③

<グランバニア>
リュカSIDE

クソ商人共が連行され、戸惑い怯えている元奴隷さん達の少女に近付き、ダッサい首輪を外そうとしたら、
「お、お止め下さいませ、陛下!これは外してはなりません!」
必死で嫌がられた。

「?…実はお気に入りですか?」
それとも嫌われたかな?さっき服の中覗いちゃったからなぁ…
「も、申し訳ございません!この首輪は大変危険な物なのです!陛下にもしもの事があっては…」

「…何が危険なの?それ…ダサいから取った方が良いと思うんだよね」
「この首輪、仕掛けがありまして…勝手に外すと『メガンテ』が発動する様、魔法が施されております…」
元奴隷の少女が、悲しそうに説明してくれる…

「しかも、この首輪には奴隷の居場所を、特定する魔法もかけてあるらしいのです…以前カオフマンが、逃げ出した奴隷を水晶を使って探し出してました」
なるほど…奴隷である証って訳だけでは無かったんだ!頭良いねアイツ…後で一発ぶん殴ろ♥

「う~ん…困ったねぇ…お嬢ちゃん、外し方知らないよねぇ?」
まだ12.3歳くらいであろう元奴隷の少女に訪ねてみるが…首を横に振るだけ…当たり前か…
「お嬢ちゃんお名前は?」
「は、はい!私ユニと申します!」
「じゃぁ、ユニ。一緒にアイツの所に行って、外し方教えてもらおっか!えーと…何つったけアイツ?カ、カオフンデマンだったけ?」
「陛下、カオフマンです」
ティミーが優しく教えてくれた。

「ティミーも一緒に来てよ。一緒にお願いしよ」
「お願いって…教えるわけないじゃないですか!」
「相変わらずだなぁ~君は~!そんなもん聞いてみなきゃ分かんないだろ」
俺はユニの手を引き、地下牢へと下りて行く。
そう言えば俺、グランバニアの牢屋に行くのって初めてだ!



牢屋…其処はジメっとしてて、変な臭いがする所。
俺ここキラ~イ!
さして広くない独房の1つに、さっきの商人…カオ…なんとかってヤツが蹲っている。
少し離れた独房に、ボディーガードも別々に入れられている。
番兵に牢屋の鍵を開けてもらい、クソ商人の独房へ入る。

入ってきた俺を恨めしい目で睨むクソ商人。
取り敢えず1発ぶん殴ってから話を切り出した。
「ねぇ、お願いがあるんだ!この首輪の安全な外し方を教えてよ!」
「へ、陛下!何でいきなり殴ってるんですか!?教えてくれるわけ無いでしょう…それじゃ」
さすが突っ込み要員のティミー君!素晴らしい突っ込みだ…ナイスなボケ役が居れば、漫才師になる事も出来るだろう。

「うん。メンゴメンゴ!(ツラ)見たら殴りたくなっちゃって!まぁ…許せよ…な?」
「ふざけるな!誰がお前になんか教えるか!」
口と鼻から血を垂らしながら、威勢良く突っぱねられた。
仕方ないからもう1発ぶん殴り、床に倒れ込んだクソ商人の顔を踏み頼み込む。

「そんな事言うなよぉ~…この通り、お願いだよぉ~」
「な、何がお願いだ!!これがお願いする態度か!!」
「だってカオフンデマンだろ?顔踏んでほしいんだろ?」
「私はカオフマンだ!顔踏んでほしい訳ではない!足を退けろ!!」
何だコイツ偉そうだな!

俺は踏むのを止め、このクズの頭を鷲掴みにし、俺の目線の高さまで持ち上げる。
「ほら、踏むの止めたよ。さっさと外し方を教えろ!言わないとこのまま頭を握り潰すぞ!」
少しずつ力を込め、苦痛を与える。
「うぎゃぁぁぁ!!ヤメロ!言う!言うから!」
俺は手の力を抜き、喋れる様にしてやる。

「………実は…私も知らないんだ…」
「……あ゛?何!?」
俺はまた手に力を込め、コイツの頭を締め付ける。
「ぎゃぁぁ!ほ、本当なんだ!外す事無いと思ってたから、知らないんだ!!ぐあぁぁぁぁ!!頼む!!止めて!!」
「へ、陛下!!止めてあげて下さい!!本当に知らないんだと思います!だから止めてあげて下さい!!」
驚いた事に、ユニが俺に止める様懇願してきた!

俺はカオフマンを独房に隅に放り投げ、ユニの頭を撫でながら呟く。
「優しいなぁ…ユニは…」
あぁ…思い出すなぁ…
子供の頃、レヌール城でクソジジイボコボコにした時も、ビアンカにこんな泣き顔で止められたっけ…

「おい!外し方知らないんじゃ、どうやって外すつもりだったんだよ!」
独房の隅でカオフマンが啜り泣きながら話す。
「外す事なんか最初から考えて無かった…光の教団に、首輪の作り方を教わった時に『外す方法は必要ない』と言っておいたんだ…本当に知らないんだ…だから…酷い事しないで…お願い…」
カオフマンは泣きながら話す…
頭を潰されそうになったのが、相当堪えたのか…元から打たれ弱いのか…
奴隷という弱者をいたぶるヤツだ…いたぶられるのは苦手なんだろう…
俺はカオフマンに唾を吐き付け、牢屋を後にする。
心優しいユニの手を引き…

「父さ…陛下は、そうやって女の子を誑かすんですね」
ユニと手を繋ぎ歩く俺を見てティミーが呟く。
甚だ不本意な言われ様だ!
最近生意気な事を言う様になってきた!誰に似たんだ?俺は違うぞ!!

「…何だ?ティミー君は狙ってたのか、この子を…何だったら譲るぞ!」
「ち、違いますよ!何でそう言う結論に達するんですか!?」
「それとも僕と手を繋ぎたかったのか?もう1本余ってるぞ。ほら!」
嫌がらせでティミーに手を差し伸べる。
「陛下の手を握るなんて、畏れ多くて遠慮致します!心底!」
可愛くない!



謁見の間に戻ると、みんな食堂へ移動したと報告を受けたので、俺達も向かう事に。
食堂に入ると、ビアンカ達と元奴隷の方々が、お茶を飲み語らっていた。
ビアンカ達が気を利かせてくれたんだろう…
元奴隷の方々も表情が軟らかくなっている。でも、まだ少し遠慮がちだ…

「お!?リュカ、どうだった?外し方喋ったか?」
ピエールが不安そうに訪ねてくる。
「うんにゃ!アイツも外し方知らねってよ!」

「…そ、そうか…」
しくじった…明るめだった雰囲気を、暗くしてしまった!
空気読めないとか言われたくねぇ~!

「陛下…手詰まりですね…」
そしてティミーが追い打ちをかけて暗くする。
よし、チャンスだ!ティミーに擦り付けよう!

「おいおい、ティミー!空気読めよ…そんな簡単に諦めちゃダメだろ!ヤツから聞き出せなかっただけなんだから、手詰まりじゃないよ!」
「そうよ!リュー君なら何とかしてくれるわよ!」
もー、スノウ最高!
その根拠のない信頼…ありがたいね!

「申し訳ございません…しかし、どうするのですか?光の教団は、もうございませんし…解除方法を言っている人間は居ないのでは?」
「ティミー君は堅いなぁ…頭も性格も…男が堅いのは一部分だけでいいんだよ。其処さえ堅ければ女の子にモテるんだよ」
「やだー!リュー君のエッチィ~!」
スノウが楽しそうに笑い、ビアンカとピエールが頭を押さえ首を振る…あれ?もしかして呆れてる?

リュカSIDE END



 
 

 
後書き
さて、今回出てきたメガンテの首輪は重要だから憶えておく様に! 
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