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待っている猫

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第一章

               待っている猫
 女子高生の織田由美奈は毎日学校帰りにミケと名付けた野良猫と帰り道の路地裏でいつも会っていた。ミケは口の周りと四本の足の先が白くなっているがそれ以外は黒い雌猫で尻尾がかなり長い。その猫に帰り道いつもお弁当の残りをあげていた。
「ミケ、待ってた?」
「ニャア」
「すぐにご飯あげるからね」
 こうやり取りをしてだ、いつもミケに食べものをあげて一緒にいた。だがそんな彼女をふと見た者がいた。
 それは他ならぬ彼女の姉の優里亜だった、優里亜は妹にどうかという顔で言った。二人共顔は丸く目は大きい、眉は細く髪の毛は茶色だが優里亜は短くしていて由美奈は長い。二人共背は一六〇以上あるが姉の方が妹より四センチ程高い。胸は同じ位で二人共あまり大きくない。優里亜は大学生でその彼女が妹に言っていた。
「あんた猫にご飯あげてたでしょ」
「学校の帰り道に?」
「ええ、そうしていたでしょ」
「駄目なの?」
「駄目じゃないわ、ただね」
 姉は妹に言った。
「それならね」
「それならっていうと」
「もう飼いなさいよ」
 こう妹に言うのだった。
「そうしたらいいでしょ」
「けれどうちオウムがいるから」
 ペットにそれがいるからとだ、由美奈は困った顔で言った。
「鳥に猫は」
「オウムのユキね」
「そう、ユキがいるから」
「あんな大きな鳥を猫が襲うの?」
 そもそもとだ、姉は妹に問い返した。
「それはないでしょ」
「ないのね」
「というかその猫どんな大きさなのよ」
「それが小さいの」
 実はとだ、由美奈は姉に答えた。
「もう成猫になってると思うけれど」
「野良猫で栄養が足りないから」
「そうなの、だからね」
「小さいならね」
 それなら尚更にとだ、優里亜は言った。
「お父さんとお母さんに言ってよ」
「うちで飼うの」
「そうすればいいでしょ」
「大丈夫かしら」
「あのね、野良猫よ」
 優里亜は妹がいつも相手にしている猫がそれであることから指摘した。
「だったら明日保健所に連れて行かれてもね」
「おかしくないっていうのね」
「そうよ、だからすぐに決めて」
 そしてというのだ。
「お父さんとお母さんに話して」
「うちで飼うかどうか」
「決めなさい、いいわね」
「決断しないと駄目なのね」
「保健所じゃなくても鴉に車に悪ガキにドキュンって」
 そうしたものもだ、優里亜は挙げていった。 
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