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オズのハンク

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第五幕その二

「シュウ神なのです」
「お父さんが子供さん達の間になのね」
「入って分けています」
「そうなのね」
「この夫婦の神々は非常に仲がいいのですが」
「仲がいいことはいいことでしょ」
 ベッツイは仲がいいと聞いてすぐに答えました。
「そのことは」
「はい、そのこと自体はいいのですが」
 学芸員の人もこのことはと認めます。
「しかし」
「それでもなの」
「天空と大地はそれぞれ大きいですね」
「とてもね」
「その二つが離れないと」
「あっ、場所がね」
「邪魔されまして、それでです」
 間を取る為にというのです。
「世界にいる様々な者達の為に」
「お父さんが子供さん達を分けているのね」
「ご夫婦でもありますが」
「兄妹でなのね」
「古代エジプトの神々とファラオは兄妹、姉弟で結婚出来たので」
 それでというのです。
「ゲブ神とヌト女神もです」
「兄妹でなのね」
「ご夫婦でして」
「仲がよ過ぎて」
「天空と大地が離れなくてです」
「仕方なく分けているのね」
「天空と大地は離れていないと」
 そうなっていないと、というのです。
「困りますね」
「ええ、本当にね」
「だからシュウ神が間にいるのです」
「そのこともわかったわ」
 しみじみとして言うベッツイでした。
「そうした絵だったのね」
「そうなのです」
「この世界を表す絵なのね」
「左様です」
「けれどね」 
 ここでこうも言ったベッツイでした。
「仲がよくて迷惑なのは」
「そのことがですか」
「いいことなのに」
「ですからいつも一緒でもです」
 それでもとです、学芸員の人はベッツイにまた答えました。
「それぞれの仕事をないがしろにしてはいけないですし誰かに迷惑をかけてもです」
「駄目なのね」
「そうです、オズの国でもオズマ姫が何もされないと」
「オズの国は成り立たないわ」
 すぐにです、ベッツイは学芸員の人に答えました。
「それこそね」
「そうですね」
「だからなのね」
「はい、シュウ神が間に入って」 
 そしてというのです。
「二人をお仕事にもです」
「向けているのね」
「大地と天空はそれぞれこの世界を担う重要なものですから」
「どっちもちゃんとしないとね」
「世界自体が成り立ちませんから」
「深い意味があるのね」
「左様です」
「じゃあ日光がどうして間にあるのかな」 
 ハンクはシュウ神のことを尋ねました。
「それはどうしてかな」
「それも理由がありまして」
「そうなんだ」
「はい、日光つまり太陽は大地と天空の間にある様に見えますね」
「うん、そういえばね」
「だからです」
「それを司るシュウ神はだね」
「大地と天空の間にあって」
 そしてというのです。 
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