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アルゼンチン帝国召喚

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第二章【第3文明圏の消失】
  第十三話「列強の落日1」

第十三話「列強の落日1」
アルゼンチン帝国空軍の爆撃隊200機はジェット戦闘機ブリューム200機に護衛されパーパルディア皇国の皇都エストシラントに向かっていた。

「全機に告ぐ。まもなくエストシラント上空である。爆撃用意!」

爆撃隊隊長の言葉を受け爆撃の用意が行われる。地上では高高度を飛ぶ爆撃隊を迎撃しようとワイバーンロード部隊が飛び上がるが現界高度より高い高度を飛ぶ爆撃隊に全く迎撃出来なかった。

「隊長、エストシラント上空です」
「よし、全機爆撃開始!」
『爆撃開始します』

隊長の言葉に一斉に爆撃が行われる。地上に落ちた爆弾は巨大な爆発を起こしエストシラントを火の海と化していく。そして爆撃は王城にも届き表面を吹き飛ばしていく。

「全爆弾投下完了しました」
「よし、我々の任務はここまでだ。帰投するぞ!」

爆撃を終えた爆撃隊は反転しアルゼンチン帝国へと戻っていく。それと入れ違いになる形でアルゼンチン帝国海軍がやって来る。

「見る限りエストシラントは火の海ですね」
「これなら上陸の妨害はなさそうだな。となると沿岸の船団を倒すのみだな。攻撃準備」

グレート・ディアボロスは46cm三連装砲の攻撃準備に入る。エストシラントにいた船団は突然の事に全く対応できいないようで出撃してくる船は皆無であった。

「準備完了しました」
「よし、艦砲射撃開始!」

艦隊が一斉に火を噴く。神聖ミリシアル帝国すら上回る巨砲の砲撃に船団は一撃で吹き飛んでいく。更には地上施設にも着弾し残っていた施設を吹き飛ばしていく。
砲撃で船団が全滅すると揚陸艦が地上へと近づく。そこから上陸部隊計2万人が一斉に上陸し、火の海とかしたエストシラントの占領へと動き出す。
焼夷弾ではなく爆弾であったため火災は直ぐに収まったが生き残った住人は極僅かであった。エストシラントはアルゼンチン帝国陸軍の占領下に入った。王城も破壊しつくされ瓦礫の山と化していた。

「爆撃はやはり恐ろしいな。これだけの破壊になるとはな」

リューベル・ルックナー陸軍大佐は一日が過ぎたエストシラントの様子を見てそう呟いた。パーパルディア皇国の繁栄と栄華を象徴する皇都は瓦礫と死体の都となっていた。
リューベルが率いる部隊はエストシラントの生き残りを救助しつつ後からやって来る戦車師団の為にインフラの整備を行っていた。
生き残りはほとんどおらず中には既に虫の息で救助後すぐに死んでしまうものもいたほどだ。

「大佐!生き残りを発見しました!」
「よし、救助するぞ」

そこは貴族や皇族の住む屋敷が連なっていた場所で瓦礫に埋もれた一角に隊員が集まっていた。

「ここか?」
「はい、ちゃんと意識もあり怪我も見る限りはありませんが内部出血などの可能性もあるため急ぎ行っています」
「分かった。救助後は沿岸部にある救護スペースに運ぶように」
「了解しました」

リューベルは瓦礫などを撤去する隊員の邪魔にならないように瓦礫の傍による。瓦礫の奥からは少し苦しげな息遣いが聞こえてくる。

「聞こえるか?」
「……ああ」
「ふむ、意識はあるようだな。名前を言えるか?」
「……レミール」
「レミールね。救助後は怪我の状態にもよるがロデニウス大陸に運ばれる。まあ、悪い扱いはしないと約束しよう」
「……貴様等はアルゼンチン帝国の者か?」
「そうだが?」
「……エストシラントはどうなった」
「聞かない方がいいぞ、といいたいがどうせ救助した後に見えるからな。エストシラントは瓦礫と死体の山となったよ」
「……陛下は、陛下はどうなった?」
「陛下?知らないな。今のところ城からは生存者は出ていないぞ。何体かの死体は見つかったからそこにいるかもしれないな」
「……何故、こんな事に……」
「それは運が悪かったとしか言いようがないな。別にパーパルディア皇国の行いが悪かったからではない。偶々、パーパルディア皇国がアルゼンチン帝国の領土拡大先に選ばれただけさ。どちらにせよパーパルディア皇国は滅ぶ。もしかしたら属国として残る可能性もあるがな」
「……」
「俺は政治には詳しくないがパーパルディア皇国は技術力も低く領土も大きい。拡大先にはうってつけだったというだけさ。まあ、生き残った事に感謝するんだな」

レミールと名乗った女性は何も言わなかった。だが、泣いている事だけはリューベルにも分かった。その後彼女は救護スペースにて治療を受けロデニウス大陸にある病院に搬送されるのであった。










一方、工業都市デュロに神聖オーストリア・ハンガリー帝国の大艦隊が向かっていた。艦隊は合同演習にやってきたもの全てを連れてきている。
編成は
陸軍が
戦車 720両 84560人
第38戦車師団
第14親衛狙撃師団
第18近衛師団
第104ロケット砲兵旅団
第108長距離砲兵旅団
第109長距離砲兵旅団
第114沿岸砲兵旅団
第302長距離防空旅団

で、海軍は
第14海軍歩兵旅団
第18海軍歩兵旅団

第104海上航空師団
大型空母1隻 戦艦1隻 ミサイル巡洋艦2隻
ミサイル駆逐艦7隻 潜水艦2隻
第14ロケット旅団
ミサイル巡洋艦3隻 ミサイル駆逐艦5隻
第115ロケット旅団
ミサイル巡洋艦2隻 ミサイル駆逐艦6隻
第034駆逐旅団
ミサイル駆逐艦6隻 対潜駆逐艦2隻

となっている。神聖オーストリア・ハンガリー帝国海軍の目的はデュロを破壊し上陸させる事だった。既にエストシラントの爆撃が行われているだろう。指揮系統が麻痺した状況の中工業都市の要でもあるデュロを失えばパーパルディア皇国の継戦能力は完全になくなるだろう。そう考えての行動だった。
そしてデュロ沖にたどり着くとミサイルや艦載機からの攻撃、砲撃がデュロへと向けられた。兵器工廠は破壊されそこで働いていた従業員ごと吹き飛ばしていく。
暫く攻撃が続き揚陸艦が一斉に動き出す。約八万もの大軍勢に更地と化したデュロに防衛能力は完全に失われていた。
パーパルディア皇国は宣戦布告を受けてからわずか数日もしないうちに皇都と工業都市という要を失うのであった。
 
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