| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

オゴメ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第四章

「オゴメ以外に考えられないわ」
「そうですよね」
「まさか本当に聞くなんて思えなかったけれど」
「姿が見えないですね」
「そうね、このこともね」
「お話していた通りで」
 それでとだ、青空は良子に話した。
「こうした存在ですか」
「言うなら」
 良子はさらに言ってきた。
「妖精とか精霊という」
「そうした存在ですね」
「欧州で言うね」
「妖怪とそうした存在の区分は」
 どうかとだ、青空は良子に民俗学の知識から話した。
「実は、ですよね」
「曖昧というかね」
「大体同じものですね」
「そう、だからね」
「これは妖怪で」
「妖精とか精霊とかね」
「そう言っていい存在ですね」
 青空は今度は笑い声、高笑いを聞いた。それを聞いて言うのだった。
「まさに」
「そうよ、それで妖精や精霊の中にはね」
「姿がない存在もありますね」
「呼子というものもいるでしょ」
 この妖怪の話もだ、良子は青空にした。
「水木しげる先生は姿を描いているけれど」
「ご自身の漫画で」
「実際は探せど探せどいないわ」
「山の中で」
「そうした妖怪もいるし」
「山びこを妖怪と考えたものと言われていますが」
「そうした妖怪もいるし」
 日本ここで言う日本とは本土のことだ。
「だからね」
「この島にもですね」
「そうした存在がいるということでね」
「学んでおくといいですね」
「そういうことよ、それではこの島の他のこともね」
「フィールドワークをします」
「その意気よ、じゃあ付き合うわね」
 良子は美空に明るい笑顔で話した。
「今日は」
「有り難うございます」
「貴女も付き合ってくれたしね」
 良子のフィールドワークの時にというのだ。
「それに私もこの島について論文書く時があれば」
「フィールドワークになるからですか」
「それは私も同じだからね」
 それ故にというのだ。
「一緒に行きましょう」
「それでは」
 青空は良子の言葉に笑顔で応えた、そうして三宅島でのフィールドワークを続けた。オゴメの言葉を聞いた後のそれは実に楽しい学問だった。


オゴメ   完


                2019・11・21 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧