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オゴメ

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第二章

「そうする?」
「はい、三宅島といいますか」
「伊豆のフィールドワークはね」
「今度書く論文のテーマを考えていまして」
「私もよ。だったらね」
「丁度いいですから」
「ではね」
「お願いします」
 青空は良子に頼み込んだ。
「同行させて下さい」
「それではね」
「私は別の島を調べてね」
 伊豆諸島のだ、伊豆は七つの島がありそれで伊豆七島とも呼ばれている。それで三宅島以外の島もあるのだ。
「論文を書くつもりだけれど」
「私はですね」
「その三宅島のことを書いて」
 そしてというのだ。
「よかったらね」
「その論文のテーマはですね」
「オゴメのね」
 まさに今話しているそれのというのだ。
「それを書いてもいいでしょ」
「そうですね。では」
「ええ、これからね」
 まさにいうのだ。
「そうしましょう」
「伊豆ですね」
「そこに行きましょう、ただね」
 ここで良子は青空にこうも話した。
「私も三宅島に行くし遠山さんもね」
「私もですね」
「私が別の島を調べる時に」
 その時にというのだ。
「一緒にいてくれるかしら」
「フィールドワークですね」
「今論文に書かない場所も足を踏み入れたら」
 フィールドワーク、それをすればというのだ。
「いいから」
「だからですね」
「そう、ここはね」
 是非にと言うのだった。
「行きましょう」
「どちらの島にも」
「そうしましょう、いいわね」
「わかりました、では」
 青空はまた頷いた、こうしてだった。
 二人は伊豆に行く機会が来たのでそうしてだった、まずは良子のフィールドワークの島に赴いた。それが終わった夜にだった。
 良子は宿泊先の宿で湯に入り宿の夕食を楽しんだ後で青空に話した、二人共浴衣になっている。
「伊豆っていうとね」
「はい、あの小説ですね」
「伊豆の踊り子ね」
「川端康成ですね」
「あの作品の舞台ですよね」
「そうですよね」
「今まで忘れていたけれど」
 それでもというのだ。
「そうなのよね」
「そうでしたね」
「あの作品読んだわよね」
「読みました」 
 青空は微笑んで答えた。
「高校の時に」
「伊豆の踊り子は読まないとね」
「学者としてどうかですよね」
「私達は文学部よ」
 文学部史学科民俗学である、そちらに所属しているからだ。 
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