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おっちょこちょいのかよちゃん

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37 飛行機内での決戦

 
前書き
《前回》
 かよ子達は冬田を尋問した飛行機にいる二人組の男を迎撃すべく、三河口の発案でさり、大野、杉山の片方から狙う班、かよ子、すみ子、そして杉山の姉のもう片方から狙う班、そして三河口、濃藤、北勢田、冬田など戦艦に残り遠距離攻撃を図る班に分かれる。先にさり達が飛行機に着くが、二人組の男の正体は日本赤軍の一員・奥平純三と異世界の人間・バーシムだと知る。最初は二人の攻撃に苦しむが、かよ子達も追いついて加勢。三河口達の遠距離砲撃も成功するが、バーシムの能力(ちから)で異世界の杖と護符が奪われかける。しかし、新たな援軍として森の石松とブー太郎、山口、川村、ヤス太郎が現れた!! 

 
「大野君、杉山君、大丈夫かブー!?」
 ブー太郎は飛行機に乗り込むと、己の二人の親分に出会った。
「俺達は大丈夫だ!」
「あら、二人の友達?」
「はい、ブー太郎って言うんです」
「ブー太郎!そこに杉山君がいるの!?」
 かよ子の位置からは杉山達の姿が死角となって見えなかった。
「山田かよ子!?勿論いるブー!」
「すみ子!来たぞ!」
「山口君、川村君、ヤス太郎・・・!!」
「ふん、人が増えたって簡単に倒さんぞ!」
 飛行機がまた揺れた。戦艦からの砲撃で翼を損傷した為である。
「この飛行機が墜落する前にお前ら纏めて()ってやる!」
 奥平はライフルを辞め、手榴弾に持ち変えた。
「させないでやんす!」
 ヤス太郎はパチンコを発射した。奥平の全身が動かなくなった。
「うわああ、何だこれは!?」
「『痺れ玉』でやんす!」
「弟よ、俺が取り除く。天よ、我に仕事を・・・」
 バーシムは呪文を唱えようとしたが、山口が矢を放った。
「うお、あちち、燃える!」
「俺が放ったのは『火矢』だ。体が燃えるぞ!」
「くそ・・・、このままでは兄貴が・・・、消えちまう・・・」
 奥平は痺れて動けない体を何とか動かそうとした。そんな時、飛行機がさらにグラついた。飛行機は5メートル程度まで降下している。
「やべ、このままじゃ墜落しちまうぜ!」
 大野はなす術がないかと焦った。
「杉山さとし、お主の『雷の石』の能力(ちから)を行使せよ!」
「お、おう!」
 杉山は雷の石の能力(ちから)を行使した。

「やべえぞ、あの飛行機が落ちてくる!」
 三河口達も飛行機が墜落しゆく様を見ていた。
「お、大野君が巻き添えになっちゃあう!嫌あ!!」
 冬田は悲痛の声を挙げた。
「と、兎に角、このままだと誰かの家に当たる。被害の少なさそうな所へ移さないと駄目だ!」
「長山君、どうやってやればいいと思うか?」
 三河口は長山に質問する。
「うーん、皆が飛行機から脱出してそこから狙えばいいかな?」
「よし、皆が脱出できる事を祈るか!」
 全員待機を決行した。その時、飛行機が止まった。
「飛行機が止まったぞ!」
 かよ子の父が驚いた。
「誰かが何かしたんじゃないの?」
 まき子はそう考える。
(さりちゃんかしら?それとも杉山君・・・?)

 杉山は雷の石の力で飛行機が止まった。
「ど、どうして飛行機が止まったの!?」
 かよ子には訳が分からなかった。
「『雷の石』の力でこの機体の磁力と地面の地磁気を制御したのだ。これで杉山さとしの能力(ちから)の使用が途切れない限り飛行機は浮遊し、墜落する事はない」
「あちちーーー!」
 バーシムは焼ける身体に苦しむ。
「熱いなら水攻めにするブー!」
 ブー太郎はバーシムに水圧攻撃をした。火は消えたが、バーシムは機体の壁に打ち付けられた。
「や、やめろ・・・!」
 奥平は痺れた身体を無理に動かす。奥平は手榴弾を投げた。杉山、大野、さりのいる位置へと向かう。
「危ねえ!」
 川村がバズーカを発砲した。手榴弾にあたってその場で爆発した。そして火の粉が舞ってその場で消えた。
「天よ・・・、我・・・、に・・・」
 バーシムが苦しみながらも呪文を唱えようとしていた。
「ヤス太郎、その男は呪文を唱えようとしてるよ!眠らせて!」
「了解でやんす!」
 ヤス太郎はパチンコを発射した。眠り玉だった。バーシムは眠った。それを石松が斬り込もうとする。
「おのれ・・・。あ、に、き、を・・・!!」
 奥平は悪あがきのように動く。服に隠し持っていたリボルバーを出し、石松を撃った。
「石松!」
 だが、石松は振り向き、奥平からの銃弾を弾いた。だが、奥平はあるスイッチを押した。
「自爆スイッチを押した。お前ら纏めて死ね!」
「何だって!?逃げるぞ!!」
 大野、杉山、さりはかよ子のいる方へと向かう。ブー太郎、山口、川村、ヤス太郎も急ぐ。
(このままじゃ巻き添えになる!!)
 さりはそう思うと護符の力が発動した。皆は瞬間移動し、気がつけば戦艦の中に戻っていた。
「あ、あれ・・・?」
 かよ子は突然の瞬間移動であっけにとられた感じだった。
「皆、帰ってきたのか!」
 かよ子の父は驚いた。ブー太郎、山口、川村、ヤス太郎も加えて。
「大野くうん、無事だったのねえ!!」
 冬田は泣きながら大野に抱き着いた。
「おい、冬田、抱き着くな・・・!!」
「よし、最後の砲撃・・・、ん?」
 三河口は異変に気づいた。
「飛行機が爆発してバラバラになったぞ!」
「ええ!?」
 皆は戦艦の窓を見る。爆発と共にバーシムと奥平が乗っている飛行機が爆発し、バラバラとなった。
「あの飛行機に乗ってたのは誰だったんだい?」
 かよ子の父が尋ねた。
「二人いて一人は異世界から来た奴です。そしてもう一人は日本赤軍の人間でした」
 さりが答えた。
「日本赤軍!やっぱりそうだったのね」
 奈美子はやはりと思った。
「前に清水(ここ)に来たあの丸岡って奴と同じ組織(ところ)の奴か!」
 北勢田は胸糞悪いような気分になった。
「でも、いつすみ子の友達まで来て、どうやって戻って来たんだ?」
 濃藤が質問した。
「俺達も気づいたんだ、この大雨、何か怪しいって。それで捜索していたらブー太郎と出会ってさ。それであの飛行機がクサいと思ったんだよ。そしたらすみ子達もいたってわけさ」
 川村が説明した。
「でも、日本赤軍の奥平って奴が飛行機の自爆スイッチを押したんだ。それに気づいたらいつの間にかここに瞬間移動したんだ」
 大野が代わって説明する。
「それ、この護符の力ね。皆に助かって欲しいって祈ったの」
 さりが補足した。
「そうか、それで護符の力が働いて皆を瞬間移動させたのか」
 長山は考察した。
「そうよ」
「護符だって?」
 山口が謎に思った。
「ええ、これよ」
 さりが山口達に護符を見せた。
「これか」
「でも、あんたは一体誰でやんすか?」
 ヤス太郎が質問した。
「私は羽柴さり。山田かよ子ちゃんの隣の家に住んでいた者よ。今は名古屋に住んでいるけどね」
「この護符も異世界からの物ですか?」
「ああ、そうだよ、君らの武器と同じく、平和を司る方の異世界の物だよ。イマヌエルやフローレンスの世界のね」
 三河口が質問に答えた。
「マジか」
「それにしてもあのバラバラになった飛行機の中の人達、どうなったのかしらあ?」
「わからんな・・・」
 皆が会話に夢中になっている間に窓を見ると、飛行機の姿はなく、奥平とバーシムの生死は誰にも分からなかった。
「あ、そうだ、さっき戦艦で攻撃した後、飛行機の墜落が止まったけど、あれは何があったの?」
 かよ子の母が質問した。
「ああ、俺がこの『雷の石』を使って止めたんだ」
「雷の石?」
 さりは不思議そうに杉山が持っている稲妻模様のある石を見た。
「ああ、『森の石松』から貰ったんだ。さっきも俺達の前に出てきて飛行機が墜落しそうになった時、この石を使えって言ったから使ったんだよ」
「そうだったんだ・・・。でも、石松はどこ!?」
 かよ子は見まわしたが戦艦の中に石松はいなかった。
「まさか、あの爆発の中に・・・!?」
「安心せよ、某はここにおる」
 石松が幽霊のように現れた。
「貴方が『森の石松』?」
 杉山の姉が確認した。
「まさにその通りである。某も脱出に成功した」
「貴方も異世界から来たの?」
 さりが質問する。
「いかにも。この国の異変を食い止める為に動き出した。ここにいる大野けんいち、杉山さとし、富田太郎、そしてここにはおらぬがさくらももこの四名が、組織を結成してな、その名が我が親分の名を使用してくれた事に謝意を感じ、彼らに敵と戦う事を願って四つの石『雷の石』、『草の石』、『水の石』、そして『炎の石』を渡したのだ」
「俺が持っているのが『草の石』だ」
「オイラのは『水の石』だブー」
「そしてさくらが持っているのが『炎の石』だぜ」
「そしてこの者どもが持っておるのも敵に抗う為の武器なのだ」
 石松は山口達が持つ武器を指して説明した。
「そうだったのね。よくわかったわ」
「うん、ん・・・?」
 かよ子は気づいた。雨を打つ音が少し弱まっている事に。
「雨、弱くなってる・・・?」
 かよ子は外へ出た。雨は先ほどよりも弱まっていた。
「きっと、あの雨、あいつらが降らせていたんだね・・・」
 かよ子はバーシムと奥平による雨だったと改めて気づいた。
(私達の町を、こんな水浸しに・・・!)
 かよ子は異世界および日本赤軍による浸水を恨み続けるのであった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「収まりゆく雨」
 奥平とバーシムを撃退し、雨は小振りとなっていく。しかし、学校は休校となってしまい、公民館でかよ子は大野、杉山や長山達と共に朝を迎えることになる・・・。
  
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