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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十九話 思わぬ人その十二

「どの人も手が汚れていたりするから」
「完全な善人もいないのね」
「幕末や維新はね」
「人間的ではあるわね」
「善悪が一緒にある人ばかりっていうことはね」
「その辺りフランス革命と違うかしら」
「あの革命はとびきりの悪人がいたからね」 
 サイコパスとかそういうのじゃない、ここでは汚職や謀略を好むという意味だ。
「タレーランとかフーシェとか」
「二人共極悪人よね」
「ロベスピエールは独裁者でね」
 そのはしりとも言える人物だ。
「僕嫌いだけれど」
「物凄く沢山の人殺したし」
「独善的だしね」
「ああした人もよね」
「とんでもないことするから」
「駄目よね」
「けれどね」
 それでもた。
「文句なしの悪人は誰かって言ったら」
「今出した二人よね」
「もう二人共陰謀の達人で」
 それこそ他人を蹴落としてギロチン台に送ることが常だったらしい。
「汚職もするし」
「賄賂取ったり」
「そうだったしね」
 タレーランは依頼を受けて賄賂を受け取るけれど依頼を適えられなかったら返してフーシェはその汚く手に入れたお金を工作に使っていたらしい。
「政治的倫理観もなくて」
「平気で沢山の人殺したのよね」
「もう何の躊躇もなくね」
 自分達の陰謀でだ。
「そうしてきたし」
「とんでもない悪人よね」
「だからナポレオンもね」
 二人を使っていたこの英雄もだ。
「最後は足を引っ張られてね」
「失脚してるわね」
「あのナポレオンでもだよ」
 英雄の代名詞と言っていいこの人でもだ。
「失脚させられてるから」
「あの人ですらね」
「そんな人達だから」
「文句なしの極悪人だよね」
「上司にも部下にも同僚にも持ちたくないよ」
 理由は簡単だ、何時陰謀で陥れられてギロチン台に送られるかわからないからだ。
「そうしたタイプだったからね」
「幕末も維新も日本にはいなかったわね」
「そうだったよ」
 幸いなことにだ。
「ああした人は」
「それが救いだったわね」
「若しもだよ」
 本当にこのことは思うことだ。
「幕末、維新の日本にああした人達がいたら」
「大変だったわね」
「ナポレオンですら勝てなかったから」 
 政治力や知力ではだ、ナポレオンはこうした分野でもかなりの人だったけれどそれでもこの二人には勝てなかったのだ。
「絶対に信用出来なくても用いるしかなかったし」
「自分を陥れても」
「能力が凄かったから」
 タレーランは外交、フーシェは内政を担当していた。まさにナポレオンの第一帝政の政治の両輪だった。
「だからね」
「使うしかなかったのね」
「そうした人達だったから余計に性質悪いよ」
「極悪人でも有能ってね」
「無敵だよ、ただ友達や先生としては」
「二人共よかったのね」
「そうしたお付き合いだと悪くなかったみたいだよ」
 政治では絶対に近寄りたくないけれどだ。 
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