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ラブドライブ!〜女神の守り人〜

作者:希ー
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転生した彼らは何の為に生きるのか?
   count,1 Let's Run Together

 
前書き
仮面ライダードライブ

・タイプスピード
身長:198cm
重量:98kg
パンチ力:6t
キック力:10t
ジャンプ力:33m
走力:100mを5秒(加速時1秒)

・タイプワイルド
身長:196cm
重量:120kg
パンチ力:10t
キック力:17t
ジャンプ力:20m
走力:100mを8秒

・タイプテクニック
身長:201cm
重量:108kg
パンチ力:7t
キック力:12t
ジャンプ力:24m
走力:100mを8秒

江本タカユキがドライブドライバーとシフトカーを使って変身する戦士。状況に応じてタイプチェンジやタイヤ交換をしてオールマイティに戦う事が出来る。出力は平均的である程度の身体能力があればタカユキ以外でも問題無く扱う事が出来る。基本形態でありスピードに優れたタイプスピード。格闘能力、パワーに優れたタイプワイルド。機械操作能力、状況判断能力に優れたタイプテクニック。これらの形態を使い訳て戦う。使用するタイヤによって戦闘能力、身体能力が変化する。主な必殺技はスピードロップで他にも各形態やタイヤにより、様々な必殺技を持つ。

※上記はこの小説内での設定 

 












 俺はあの日以来、学校に行く回数が減った。理由は怖いからだ。あの学校には俺を徹底的に追い詰めたロイミュード達がいる……。
 そう思うと足が向かなくなるんだ


 俺は今、自室のベッドに寝転がっている。最近はアイツらとも会っていない。ベルトさんともあまり会話をしていない。
 ドライブじゃ無くなったら、もっとみんなと会う回数や話す回数は減るだろうか?ドライブじゃ無い俺なんて……。


「何も無いな……ッ」


 そんな事を考えていた時、インターホンが鳴り響いた。俺は怠い身体を起こして玄関へ向かう。そして扉を開けるとそこに立っていたのは……。


「…先生……」
「よう、江本」


 俺の久瑠間学院での担任・海条(かいじょう) アズマ先生だった……。







_________________________










「これ、今日の分の課題だ。明日のこの時間に取りに来るから、それまでに仕上げといてくれ」
「あ……ありがとうございます………」


 海条先生は俺の事を気に掛けてくれ、俺が退学なんて事にならないように課題を持ってきてくれる……。


「調子はどうだ?顔色は……前見た時とあんま変わんない様だが…」
「………すいません……」
「謝る必要は無いさ。お前は思春期真っ盛りの16歳だ。他人に言えない悩みの1つや2つ、有ってもおかしくないしな。それに俺みたいな大人になら尚更だろ」
「……」


 何も言う事が出来ず、俺はただ黙るしか出来ないでいる。


「ただ…さ、1つだけ信じて欲しい事があるんだ」
「信じて…欲しい事?」
「教師にとって…俺にとって、生徒は特別な存在なんだ。子どもとか友達とかとはまた違う大切な存在…。そんなお前が“助けてくれ”って言えば、俺は必ず助ける。だから、俺の事を頼っても良いって思ったら何時でも頼ってくれ」


 海条先生は俺の肩に手を置いた。


「……先生…。なら1つ聞いて…良いですか…?」
「…何だ?」
「力を持つってどういう事ですか…?」
「力…?」
「はい…とても強い力です…」


 俺の質問を聞いて先生は考え込む。


「うーん……力って言ってもいろいろあるからな。身体の強さや武器等の物理的な力、地位や立場や名誉等の権力、精神的な強さ……。例えば、俺は教師だ。立場的には江本よりも強い力を持っていることになるだろ?」
「はい……」
「強い力って言うのは、その気になれば簡単に人を追い詰めて命を奪うことだって出来る……物理的な力は勿論の事だ。俺ら教師や警察、検事、裁判官等の権力を持つ者達はそれを使って精神的に追い詰めて命を絶たせる事だって出来る…。精神的に強い力を持つ者が弱い者を振り回して潰してしまう……なんて事だってあるだろ?」
「…確かに」
「強い力ってのは恐ろしいもんさ。使い方次第でどうにでもなる。その意味を理解しないと、取り返しの付かない結果を出してしまう…。弱者を食い潰してしまう。誰も彼もが強い力を持ってる訳ではないしな」
「……」


 先生は俺に笑い掛ける。


「大切なのは“相手の弱さに気付いて寄り添う事”だと俺は思う。強い力を持つ者は弱い者をただ守るだけじゃなくて、その弱さと向き合う強さを与える事、そして自分の弱さに気付いて向き合う事をするべき……。ま、俺の詰まらない自論さ」
「弱さに…気付く…」



















 その後、海条先生はすぐに家を後にした。帰り際に「たまには外に出てみな」って一言を残して。
 俺はその言葉に従って外出する事にした………。










_________________________














「はぁ…」


 俺は特にあても無くブラブラと歩いていた。あの事件から3ヶ月近く経つが俺は自分が何の為に変身するのかが分からない。



 守る為?何を?

 戦う為?何と?

 生きる為?何故?



 分からない……考えれば考える程モヤモヤしてくる。何も見えてこない…。


「“弱さに気付いて向き合う”……か。俺にそんな強さがあるのか…?………ッ?」




「メェェェェェンッ!」


 何処からか鋭い音と声が聞こえてきた。何となく気になった俺は聞こえてきた方へ向かっていった。
 そして辿り着いたそこは……。



「園田流道場……もしかして…」


「あーっ!タカユキ君!」
「本当だ久しぶり!」
「えっ、穂乃果ちゃん、ことりちゃん……?」


 呼ばれたので後ろを振り返ると、そこには穂乃果ちゃんとことりちゃんの2人が居た。


「タカユキ君も海未ちゃんに会いに来たの?」
「海未ちゃん?ってことはやっぱりここは………」
「海未ちゃんの家だよっ」


 ことりちゃんに言われてここが海未ちゃんの家だと俺は知った。道場の娘だったのか……。


「とにかく2人共入ろうよ!タカユキ君が来たって知ったら、きっと海未ちゃん喜ぶよ!」
「え、ちょ、穂乃果ちゃん!?」


 俺とことりちゃんの手を引いて、穂乃果ちゃんは道場の中へ入って行く。俺はその強引さに只々従っていくしかなかった…。










___________________________








 道場内に入るとそこには剣道着を着て防具を付けた海未ちゃんが正座をしていた。海未ちゃんは面と面タオルを外して黙想をしている。
 その姿は凛としていて美しかった……。


「お疲れ、海未ちゃん!」
「穂乃果、ことり。来ていたのですね……って、タカユキさん!?」


 穂乃果ちゃんの呼び声に反応した海未ちゃん。その際に俺のことに気付いたみたいだ。


「偶然この家の前で穂乃果ちゃんとことりちゃんに会ってね。ごめんね、お邪魔しちゃって…」
「い、いえ、構いませんよ!どうせ穂乃果が無理矢理連れて来たのでしょうし」


 そう言って穂乃果ちゃんのことを軽く睨む海未ちゃん。穂乃果ちゃんは「あははー」と笑っている。


「まったく……少しは人様の迷惑も考えて下さい」
「むー!でもでも!海未ちゃんだってタカユキ君が来てくれて嬉しいでしょ?
「そ、それは…!?……た、確かに嬉しい…です……」


 え、そうなの!?俺なんかが来て嬉しいの!?そう言われると俺も嬉しいけど……なんか慣れてないから歯痒い感じって言うか何て言うか……。


「よかったね、タカユキ君っ」
「え!?あ、うん…ありがとね海未ちゃん……」


 ことりちゃんの言葉で我に返った俺は海未ちゃんにお礼を言った。言ったんだけど、なんか恥ずかしくて少し顔が赤くなった気がする……。
男の紅潮なんて誰が美月たいんだよ……。

 海未ちゃんも海未ちゃんで赤くなっている。そんな俺達を見てことりちゃんも赤くなっている。そして何故かしら穂乃果ちゃんも赤くなっている。何このカオス?





 まぁ、その後はみんな落ち着いて……今は縁側に並んで座って緑茶を頂いている。因みに左から穂乃果ちゃん、俺、海未ちゃん、ことりちゃんの順番だ。


「いや〜、やっぱり今日もパンが美味しいなぁ〜」
「…緑茶にパンなんだ……」


 穂乃果ちゃんは自宅から持ってきたというパンを頬張っている。そんなにパンが好きなのかな…?


「そんな事より、タカユキさんは何故家の前に?」
「ちょっと、いろいろあって………適当に散歩していたら剣道やってる声が聞こえて、それを辿ってここまで来たら……」
「偶然ことり達と会った……ってことだね」
「そういうこと」
「そういえばタカユキ君、あれ以降全然うちの店にも来なかったし、連絡もくれなかったけど何してたの?」


 穂乃果ちゃんがパンを食べるのを止めて俺に質問してきた
。その質問に対する返答に俺は困る…。化物に負けて落ち込んだました…なんて言えないしな……。


「えっと……」
「穂乃果、タカユキさんが困ってますよ」
「あ!ごめんね…」


 海未ちゃんに言われて穂乃果ちゃんが申し訳なさそうに俺のことを見て謝ってきた。


「大丈夫だよ、穂乃果ちゃん。海未ちゃん……聞きたいことがあるんだけど…良いかな?」
「聞きたいことですか?なんでしょう?」
「海未ちゃんはどうして剣道を?やっぱり強くなりたいから?」
「何故剣道を……ですか。確かに強くなりたいという思いはあります。でも、それ以上に負けたくないっていう思いがあります」
「負けたくない…?それって戦う相手にってこと?」


「いえ、自分にです」
「えっ…?」


 俺は海未ちゃんの言葉にキョトンとしてしまった。自分に負けたくない…?


「私は武道とは誰かを倒す為ではなく、己に勝つ為の物だと思うのです。昨日の自分に勝ち、大切な人を守ることができる力…。それが本当の強さだと思うのです」
「大切な人…?」
「ええ。お父様、お母様、お祖母様、お姉様…そして穂乃果、ことり…その他にも私には大切な人が沢山います。…それに……」


 海未ちゃんは顔を赤くして下を向いてモジモジしている。


「…タカユキさんも……私にとって…大切な人…ですから……!」
「俺も…?」
「そうだよ!タカユキ君は穂乃果達にとって大切な友達だよ‼︎」


 穂乃果ちゃんが俺の目の前に来て手を差し伸べてきた。










 そうだ……。俺はあの時、ただ海未ちゃんのことを……そして彼女達の未来を守りたいと思って変身した。大切な人達を守る為に変身したんだ。他には何も考えてなかった。

 いや、考える必要がなかったんだ。大切な人達を守りたいって気持ちに理由なんかいらない。

 俺は余計な事を考えて自分に言い訳をしていただけだ。負けた恐怖から逃げ出す理由が欲しかっただけなんだ。


 もう逃げない。俺は穂乃果ちゃんの手を取った。


「ありがとう。なんか吹っ切れた気がする。みんなのおかげだよ。」
「本当!?」
「うん。考えるのはやめだ。ただ自分の想いに従って、俺は走る。例え何があっても……穂乃果ちゃんみたいに」
「いやぁ〜、照れますなぁ〜」
「穂乃果はもう少し考え深くいてもらいたいですが…」
「まあまあ海未ちゃん、今ここでそれを言うのは止めとこ」



「じゃあ、俺は行くよ」


 俺は立ち上がって拳をぎゅっと握った。


「行くって何処にですか?」


 海未ちゃんが首を傾げて聞いてきた。俺は決意を込めた目を3人に向けてその質問に答える……。



「泣いていた昨日までの自分に勝ちに行くんだ」












___________________________












「まさか…貴様の方から来るとはなァ……」
「ハッ!余程死にたいって事か!」
「殺しに行く手間が省けた……」


 俺は今、アサルト、ドリル、ナイトの3体の前にいる…。


「違う!お前達に…そして自分に勝ちに来たんだ!」
「はぁ?」
「俺は逃げていた……あの日からずっと泣いていた…。変身する事を躊躇っていた」
「だから何だ?」
「でも、もう逃げない!弱い自分も泣いていた自分も受け入れ、それに勝って走り続ける!また何度も止まる事があるかも知れない…でもそこで諦めはしない!止まる度に、もう一度走り出すんだ!」


《ギアが入った様だなタカユキ!》


 俺のもとにベルトさんが飛んで来た。俺はそれを掴んで腰に装着する。


「ああ!ベルトさん今迄すまなかった…。でも、こっからは大丈夫だ。今の俺は……」


 俺はシフトスピードを掴んで叫ぶ。今の自分の魂を。





「脳細胞がトップギアだぜ!」
《Start your Engine!》








「変身!」

《DRIVE!type SPEED!》


 赤い鎧に包まれ、胴体にタイヤが装着。白銀の瞳が輝き、俺の姿は仮面ライダードライブに変身を遂げた。


「ひとっ走り付き合えよ!」


 一度腰を落とした俺は、勢い良く3体に向けて走り出した!


「しゃらくせぇ!」


 ロイミュード達も同時にこっちへ突っ込んで来る。

 ドリルロイミュードが振るった腕を躱し、その腕を蹴り上げる。そして体当りをして来たアサルトロイミュードを飛び越え、その際に背中を蹴り、ナイトロイミュードの目の前に着地して顔面に拳を叩き込む。ナイトロイミュードは顔を抑えて後退した。


「ッ!?……馬鹿な…何故!?」


 ロイミュード達は俺の動きが以前とは違っている事に驚いている。前の時もそうだったが、コイツらは不測の事態には弱い様だな。だったら……。


「来い!ワイルド!」


 俺はベルトのキーを回してシフトブレスからシフトスピードを抜いて、新たにシフトワイルドをブレスに差し込んだ。


《DRIVE!type WILD!》


 タイプスピードタイヤが外れ、黒い装甲が纏われた後に右肩にタイプワイルドタイヤが装着される。ドライブのパワー戦闘形態、タイプワイルドだ!


「オラァァァァッ!」
「なッ!?グウゥゥゥッ!?」


 俺はまず、タックルでアサルトロイミュードを吹っ飛ばした。そしてドリルの方へ向く。


「調子に乗んなよ雑魚がァァァッ!!」
「フッ!」


 ドリルロイミュードが俺に向かってドリルを突き出して来る。俺は体勢を低くくしてラグビーのタックルの様にドリルロイミュードに突撃した。そしてそのまま進んで壁に叩きつけた。


「グッ!?」


 俺はドリルロイミュードから一旦離れ、シフトカー・ランブルダンプを手にし、それをシフトブレスに差し込む。


《タイヤコウカーン!》
《Rumble DUMP!》


 タイプワイルドタイヤが弾かれ、新たにランブルダンプタイヤが俺の右肩に装着された。そしてドリル型の武器、ランブルスマッシャーを左手に持って構える。


「グッ……!?この野郎ォォォォッ!」


 ドリルロイミュードはドリルを突き出して俺に突っ込んで来る。俺もそれに合わせてランブルスマッシャーを突き出した。


「ハァァァァァッ!!!」
「ラァァァァァッ!!!」


 力と力がぶつかり合い鬩ぎ合う。ドリルロイミュードの力は強い……だが俺は負けない!


「ハァァァ……アァァァァァッ!!!!」


 気合いを込め、思いっ切り踏み込んむ。そしてドリルロイミュードのドリルを粉々に粉砕した!


「グオォォォッ!?」


 ドリルロイミュードはその衝撃で後ろに転がっていく。今なら!


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!DUMP!》

「ハァァァァァァッ!!!」


 左手のランブルスマッシャーに力を込め、それでドリルロイミュードを貫く。必殺のドリランブルだ!


「ガァァァァッ!!??」


 ドリルロイミュードは身体を貫かれ爆散した!


「よし…!」
「己れ…!」


 後ろを振り返るとそこにはアサルトロイミュードが居た。アサルトは体勢を低くして構えている。


「お前はクールに倒す!」


 俺の手にはシフトテクニックが握られている。


《DRIVE!type TECHNIC!》


 タイプワイルドタイヤが外れ、黄緑の装甲が纏われた後に胸元に真横にタイプテクニックタイヤが装着される。ドライブの特殊戦闘形態、タイプテクニックだ。


「何がクールだ…!」


 アサルトロイミュードは俺に突っ込んで来る。俺は横に転がって躱す。そしてシフトカー・ファイヤーブレイバーを手にする。


《タイヤコウカーン!》
《Fire BRAYBAR!》


 タイプテクニックタイヤを弾いてファイヤーブレイバータイヤが装着された。俺はファイヤーブレイバータイヤから梯子型マニュピレーター・ラダーエキスパンダーを伸ばしてアサルトロイミュードを掴んだ。


「何!?」
「ハァァァッ!」


 そのまま俺はアサルトロイミュードを振り回して投げ飛ばした。


「ヌウッ!?クソッ……がァァァァッ!」


 アサルトロイミュードは地面に叩きつけられ倒れるが、直ぐに立ち上がって俺に突っ込んで来る。俺はドア銃を手にし、それにファイヤーブレイバーを差し込んだ。


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!BRAYBAR!》


「ハァァッ!!」


 ドア銃から梯子型のエネルギーが飛び出してアサルトロイミュードを捕捉して壁に叩きつける。そして引き鉄を引いてエネルギー光弾を放ちアサルトロイミュードを撃ち抜く。これがパーフェクショットだ!


「グウオォォォッ…!?」


 アサルトロイミュードを粉砕。これで残るのは……。




「まさかアサルトまで…」


 ナイトロイミュードが剣を手にコチラに歩いて向かって来る。


「何故だ?我々は貴様の戦闘データを取得し、前回の戦闘では完全に圧倒していた。…なのに何故貴様はあの2人に勝てた…?」
「簡単だ。俺もう、あの時の俺じゃない!俺の進化は止まらない!何処までも強くなる!自分に勝つ為…自分の弱さに向き合う為…大切な人を守る為…その為に戦う…その為に変身する!!」
「笑止…!」

《DRIVE!type SPEED!》

「ハァァーッ!!」


 俺はタイプスピードになってハンドル剣を手に向かって来るナイトロイミュードに走り出した。
 剣が何度もぶつかり合い火花を散らす。やはりナイトロイミュードは強敵だ。少しずつ圧されてきた……。

 でも負けられない!
 こんな所で止まってられないんだ!


「ハァァァーーッ!」
「なッ!?」


 俺はハンドル剣を力一杯振り上げてナイトロイミュードの剣を弾き飛ばした。そしてそのままハンドル剣を一気に振り下ろした。


「オラァァーーッ!!」
「グオォォォッ!?」


 ナイトロイミュードは火花を散らして後退していく。


「畳み掛ける!」

《タイヤコウカーン!》
《Massive MONSTER!》


 マッシブモンスタータイヤにタイヤ交換。両手にモンスターと呼ばれる2枚組の武器を装備。そして接近してその2枚でナイトロイミュードを挟む様に攻撃した。


「ヌゥッ!?」


 ナイトロイミュードはまた火花を散らす。俺は更にモンスターを振り回して攻撃を続けていく。


「ハァァッ!!」


 俺はナイトロイミュードの腹に蹴りを叩き込み吹っ飛ばした。ナイトロイミュードが転がっていくのを見た後、新たにドリームベガスタイヤにタイヤ交換をした。


《タイヤコウカーン!》
《Dream VEGAS!》


 ドリームベガスタイヤ、そして2枚のドラムシールドが俺の胸に装着されスロットの様になり、回転を始めた。


「行くぞッ!」

《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!VEGAS!》


 スロットの回転を止めると“777”が見事に揃った。そしてドリームベガスタイヤから無数のコインが流れ出る。そのコインの奔流にナイトロイミュードは呑み込まれていく。これがミリオンアタックだ!


「ヌゥッ…グオォッ!?」
「いくぞ!」


 俺はタイプスピードタイヤを再び装着してシフトブレスのシフトスピードをシフトアップした。


《SP!SP!SPEED!》

「フンッ!オォォォォォォォォラァッ!!」


 俺はナイトロイミュードの懐に入り奴をアッパーカットで上空に上げ、落下してきた所に連続パンチを叩き込んでいった。


「ヌゥゥゥゥッ……ガァァァァッ!!?」


 ナイトロイミュードはまた吹っ飛んで倒れる。さぁ、今こそトドメだ!


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!SPEED!》

「フッ!ハァァ…ハァァァァァァッ!!!》


 俺は高く跳び、赤く発光した右脚をナイトロイミュードを突き出して一気に必殺の蹴りを叩き込んだ!
 それはナイトロイミュードの胸に深々と突き刺さり、奴は断末魔を上げながら大爆発を起こした……。






「ハァ…ハァ………やった……ッ!?」


 戦いが終わり、爆発の中から出て来たそれぞれのコアがディメンションキャブによって転送されていく。俺はそれを見送って帰ろうとした時、3体分の爆発の中から出て来る謎の粒子に気が付いた。


《何だアレは…?》
「……ッ何!?」


 粒子は一ヶ所に集まり、あるロイミュードの幻影を形成した。それは……。




《よぉ……ドライブ…》
「……オブサベイション…!?」


 ソイツはかつて俺のデータを観察、解析してナイト、ドリル、アサルトの3体にそのデータを渡し、俺を追い詰めたロイミュード、オブサベイションロイミュードだった。


「何で…お前はユウキが変身したドライブに倒された筈じゃ!?」
《確かに俺の肉体は滅んだ…それどころか魂までな…。今お前の目の前にいるのはオブサベイションであってオブサベイションではない》
「どういう事だ…?」
《恐らく奴は、オブサベイションの残留思念だ。ナイト達にそのデータを植え付けて置いて、奴らが倒されると同時に起動する様に設定してあったのだろう…》
《ご名答……。俺のオブサベイションとしての意識は直ぐに消滅する…。だが、それでも構わない…貴様を殺せるならなァァァッ!!!》


 オブサベイションロイミュードの周りに複数のバットバイラルコアが現れ、奴に吸収されていく。オブサベイションロイミュードはバット型の巨大ロイミュードに変異してしまった。


「キィィエエエエェェェッ!!!」


 巨大なバットバイラルコアに翼と両足を生やした様な姿をしている。奴は飛翔して俺に向かってビームを放った。


「グアァァァァァッ!?」


 ビームは地面に着弾。俺はその爆発によって吹っ飛ばされてしまった。


「キエエエエェェッ!!!」


 バット型巨大ロイミュードは方向転換すると、市街地の方へと飛んで行った。


「アイツ…俺が目的じゃなかったのかよ!?」
《暴走しているのだろう……最早、奴はただの獣だ!》
「クッ…!逃すか!」


 俺はトライドロンに乗り込んだ。 奴を倒す為にエンジンを点火しアクセルを踏み込んで走り出した。










___________________________










「キィエエエエエエエエェェッ!!!!」


 巨大ロイミュードは翼を羽ばたかせ、口からビームを放ちながら秋葉原の街で暴れ回っていた。


《トライドロン・シュート!》


 俺はトライドロンから高出力圧縮エネルギー弾を巨大ロイミュードに向かって放った。だが、奴は寸前で気付いたららしく、エネルギー弾を回避し高速で移動する。


「クッ!?だったら!」

《タイヤフエール!》


 左前輪にマックスフレアタイヤ、左のリアハッチのタイヤにミッドナイトシャドータイヤ、右のリアハッチのタイヤにファンキースパイクタイヤを装着した。
 そしてミッドナイトシャドータイヤから手裏剣を、マックスフレアタイヤから火炎弾を、ファンキースパイクタイヤから針を、移動する巨大ロイミュードを追いながら飛ばしていく。

 巨大ロイミュードは回避行動をしながら移動するが、全てを躱し切る事は出来ず、何発かが当たり、その衝撃で巨大ロイミュードはビルに激突し噴煙が上がった。


「よし!やった……ッ!?」



「キィヤァァァァァァッ!!!」


 巨大ロイミュードは噴煙から顔を出しビームを放った。ビームは俺の前方にあった歩道橋に当たり、それを粉々する。瓦礫となった歩道橋が俺の道を塞いだ。


「だったらコレだ!」

《ドロン・トライドロン!type WILD!》


 俺はトライドロンをタイプワイルドに変形させた。そしてトライドロンタイプワイルドの前輪・グランタイヤで瓦礫を粉砕して進んでいく。それを見た巨大ロイミュードは再び飛び立ち逃げようとする。


《トライドロン・ボンバー!》

「くらえぇぇッ!!」

 
 トライドロンを一気に加速させジャンプして、巨大ロイミュードに体当たりをぶち込んだ!巨大ロイミュードは吹っ飛んで地面に落ちて滑っていく。


「次はコイツだ!」

《ドロン・トライドロン!type TECHNIC!》


 タイプテクニックに変形したトライドロンで地に落ちた巨大ロイミュードに接近し、作業用アーム・マイティスマッシュアームで掴んだ。


《トライドロン・スマッシュ!》

「ハァァーーッ!!」


 掴んだ巨大ロイミュードをブン回して思いっ切り上空に投げ飛ばした。


「キィィィ……!?ギィイイイイイッ!!!」


 巨大ロイミュードは上空で体勢を立て直して俺の方を向く。そしてビームを放って来た。


《ドロン・トライドロン!type SPEED!》


 俺はトライドロンをタイプスピードに変形させ、巨大ロイミュードの攻撃を躱しながら接近していく。


《オールタイヤアタック!》


 トライドロンの各タイヤから、これまでの戦闘で召喚したランブルダンプ、ファイヤーブレイバー、マッシブモンスター、ドリームベガス、マックスフレア、ミッドナイトシャドー、ファンキースパイクのタイヤが飛び出し、巨大ロイミュードに向かっていく。巨大ロイミュードはタイヤの攻撃を受けボロボロになり地面に墜落する。


「これで本当に終わりだ、オブサベイション!!」

《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!SPEED!》


 俺はトライドロンから飛び出し巨大ロイミュードにキックをした。そして反転し、巨大ロイミュードの周りを走るトライドロンを蹴って再び反転して加速した状態でまたキックを浴びせる…。それを何度も何度も繰り返していく。タイプスピード最大の必殺技・スピードロップで巨大ロイミュードを粉砕した……!



《NICE DRIVEだ、タカユキ!》












_________________________











「ふぃー…」


 戦いが終わり、俺は秋葉原の街を歩いている。そして俺の隣りをシフトスピードが走っている。


《よくやったな、タカユキ。見事だった》
「ありがとうベルトさん。……俺はさ、多分これからも迷ったり、躓いたりすると思う……。でもその度に立ち上がって走り出してみせるよ。どんな壁にぶつかっても、必ず超えてみせる…!」
《その意気だ。君なら必ず、進む事が出来る》
「ああ…!」








「きゃあああああああっ!?」




「ッ、何だ!?」
《向こうの路地から聞こえて来たぞ!》


 突然、裏路地の方から悲鳴が聞こえて来た。俺とシフトスピード(ベルトさん)は悲鳴の場所に向かって走り出した。





 その場所に辿り着くとそこには3人の男に囲まれている1人の女の子がいた。男の1人がその女の子の腕を掴んでいる。


「ちょっと、離しなさいよ!」
「あ!コラ!暴れんな!」
「全く、とんだじゃじゃ馬娘だな!」
「まぁ、可愛いから許してやろうぜ。後でたっぷり遊んで……ッ!?」


「やめろぉぉぉッ!!」


 俺は女の子を掴んでいた男に走って近付き、思いっ切り殴り飛ばした。男は倒れて顔面を抑えている。


「痛えッ!?」
「な、何しやがるテメェ!」
「それはコッチの台詞だ!女の子を虐めるなんて最低だぞ!」
「うるせぇ!……おい、お前ら…コイツ血祭りにするぞ!!」


 男の1人がそう言うと同時に奴らは下級ロイミュードに姿を変えた。コブラ型の079、バット型の085、スパイダー型の097だ。


「ッ、ロイミュードだったのか…!?」
「あ、あの時の怪物…!?


 ん?あの時の怪物?
 もしかして、この子前にもロイミュードに襲われた事があるのか?まぁ何にせよ、この状況をどうにかしないと……。

 さっきまでの戦いの疲労もあって少しキツイけど、とにかくこの子を逃がさなきゃ……!


「俺の後ろに下がって!」


 俺は女の子を庇う様に、ロイミュード達に向かって身構えた。
 それを見たロイミュード達は腕を伸ばして一斉に襲い掛かろうとしてきた。
 しかし……。


「ブチ殺す!……ッ!?」
「な……にィィ…ッ!?」
「グオォォ……ッ!?」





 奴らの腕が俺達に届く事はなかった。何故なら突如上空から光弾の様な物が降ってきて、ロイミュード達を貫いたからだ。そしてロイミュード達は爆散した。


「危ない!?」
「きゃっ!?」


 俺は女の子を抱き締め、爆風から守った。


「大丈夫!?」
「う、うん……ッ、あれ……」


 女の子は何かを指差した。その先には1枚のカードがあった。


「あれって…カード?…何か書かれて……これは……!?」


 俺はそのカードを拾って、書かれていた文を読んだ。そして俺はそれに驚愕した……。書かれていた事とは……。












–––君の勇ましい決断に感動したよ。故に私は一度君を倒す事を一時中断しよう。何時の日か、戦う時を楽しみにしているよ–––
〜最後の者〜










 そうだ……。ナイト達ばかりに気を取られて忘れていた…?久瑠間学園にはあと1人、転生者が居たんだ!
 きっとコレは久瑠間学園に居る最後のロイミュードからの物……ッ!?

 爆発の中からコアが飛び出して来た。コアは何かに吸収されていく様に飛んでいく……あそこか!


「ごめん!俺もう行くから、じゃあね!」
「え!?ちょ、ちょっと!?」


 俺は女の子に一方的だが別れを告げ、コアが飛んでいった方へと走った……。







「行っちゃった……」


–––––残され少女は先程の感覚を思い出す様に目を瞑る。


「結構……かっこ良かったかも……ふふっ」


–––––タカユキがこの少女・綺羅ツバサと再び出会うのはまだ先の事である……。










「何処に行ったんだ…!?」


 俺はコアが飛んでいったであろう場所へと辿り着いたが、そこには誰1人としていなかった。


《逃げられたか……。とは言え恐らく暫くは動かないつもりだろう》
「確かに…あのカードが嘘だとは思えないしな……」


 彼の目的は分からない……でも、戦うというのなら俺は負けない!
 俺は決意を込めるように拳をグッと握りしめる。必ずこの世界を……みんなを守ってみせる。





「危機の最前線にだって飛び込んでみせる……俺は…」






 仮面ライダードライブだ!







 
 

 
後書き


タカユキ編終了!
最後に登場した存在など謎も残しながらも終わりとなります。
そして次回、いよいよ序章の最終回!


音ノ木坂学院の前に立つ3人…彼らは何を思い、これまでを…そして、これからを進むのか…?

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