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開闢せし世界の運命

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2話

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 マリスビリー・アニムスフィアにスカウトされて、俺はそのまま、カルデアへと行き、そこでマスター適性とレイシフト適性を受けて、Aチームに仲間入りしたときの話である。



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 カルデアに来て、まず、Aチーム専用の部屋にやって来た俺は既にそこにいたメンバーとはいっても、まだ、その時は選抜されたのはキリシュタリア、デイビット、芥ヒナコぐらいで、今なおもメンバーの選抜にマリスビリーは敢闘しているようだった。

 部屋に入ってきた俺にヴォーダイムとデイビット、ヒナコが此方に視線を転じるも、すぐに視線を戻す読書に勤しむヒナコ。デイビットも無視して無言の状態に入る。

 俺はそのまま、何処かの席に座ると、手にしていた『古事記』を読み始めるのだけど、次に入ってきたのが、マリスビリーであった。彼は俺の所まで歩み寄ったら、今いる全員に紹介させたのだった。

「紹介しよう。彼の名は海藤零士。極東にある日本にある海藤家の元次期当主。時計塔では考古学の秀才らしい・・・・・・etc.」

 諸々と紹介したら、マリスビリーは

「キリシュタリア、彼もこのチームの一員になる。よく覚えておくんだぞ」

「はい、分かりました。マリスビリー」

 礼をとるキリシュタリアを視て、俺は彼がこのチームのリーダーであることを納得したら、俺はそのまま古事記に読みふけるのだった。



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 シミュレーターによる戦闘訓練があるのを知ったので、次の日からマスター候補として訓練することになるのだが、俺のもとに歩み寄ってくる透きとおる金髪ロングの美青年が歩み寄ってきた。

「キミが、海藤家の魔術師だな。私はキリシュタリア・ヴォーダイム。このチームのリーダーをしている」

「俺は海藤零士。俺のことに関しては時計塔で知られてると思うけど、よろしく」

 互いの自己紹介するも、俺はこのチームのリーダーであるキリシュタリアについて、思い出していた。

 ヴォーダイム――。あの名門のヴォーダイム家のであることが分かるけど、まさか、あの若き当主だったとは驚いた。なるほど、王としての気品というのが肌から滲み出ているのがわかる。

 俺は自己紹介を済ませると、書物をもって、自室へと向かうのだった。



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 俺が部屋をあとにしたあと、キリシュタリアは零士のことを口にする。

「アレが、日本の魔術師家系の最古参――海藤家の魔術師。恐ろしいものだな。並みならぬ存在感を放ってるぞ。デイビット。キミの所感だとどう思った」

 キリシュタリアは同じ部屋にいた濃い金髪をした青年に話しかける。そしたら、デイビットが

「噂に聞いてたが、ただの子供では思えないがな」

「そうか。芥はどうだった所見からして」

 キリシュタリアは黒髪ツインテールをして読書をしてる少女に話しかけたら、

「彼はあまり、人の好まない。違うわね、気を許せる人しか心を開かないと見えた」

 所見で思ったことを述べたヒナコ。それを聞いて、キリシュタリアは

「なるほど、見た目だけで判断できないということか」

 キリシュタリアは零士を視てそう思ったのだった。



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 次の日から俺はシミュレーターで擬似サーヴァント、モンスター、ゴーレムを相手に右眼の『心の魔眼』で、一掃する。それをする様にキリシュタリア、デイビット、ヒナコの三人は驚かずに平然とした表情をしていた。俺はそれを見て、さすがは俺と同じAチームのメンバーだなと思ってた。キリシュタリアの戦闘訓練を視たんだけど、凄いというのが一言だった。俺でも勝てないと思ってしまったのだった。



 シミュレーターが終わったあと、俺は何処か静かな場所で読書がしたかったので、探してたら、図書室で読書してるヒナコを視る。

「なあ、そこ、座っていい」

 俺は読書してる少女――芥ヒナコに声をかける。

「・・・・・・・・・・・・」

 彼女は無言で目線だけ此方に向けている。その眼には明らかにめんどくさがっていたのが分かった。それよりも何だ、その敵意とか殺意みたいな視線は、なんだかあまり人を信じていないように見えた。

 だけども、俺は彼女の返事を待たずに席に座った。それでも、彼女から向けられる視線は強くなってる一方だった。

「・・・・・・何のよう?」

 渋々、といった感じで彼女は口を開く。

「いや、全然。俺はただ、書物を読みたかっただけど、同じAチームのマスター候補だし仲良くなろうかなと思ってね。改めて、自己紹介するけど、俺は海藤零士。よろしく」

「・・・・・・芥ヒナコよ」

 彼女も自分の名前を言ったら、再び本に視線を落とした。

 ふぅ~ん、見たところ、最低限な会話のみって感じだな。

「そう。ヒナコというのか。俺のことは零士でいいよ。海藤って呼ばれるのをあまり好んでいないんだ」

「・・・・・・そう」

 うんざりそうな眼で此方を見てるヒナコ。それもそうだな。

「ああ、見た目と違ってお喋りで、此は本来の自分を知られたくないために身につけたものだ。気にしないでくれ」

「・・・・・・ふぅ~ん、あっそ」

 納得するような感じで言ったので、俺としては変わった奴らばっかだなというのが印象だったが、今度はヒナコから話しかけてきた。

「・・・・・・私から聞くけど、零士って、どうして人を信用していないの」

「ッ・・・・・・!」

 という質問に俺は目を見開き、固まってしまう。固まってしまうけども、復帰して口にする。

「俺は物心ついたときから、親の愛情なんて受けていない。時計塔にいたときも人間嫌いというか一匹狼であることを知られたくなくて、社交性、協調性に富んだ人ができてしまった。信用たり得る人にしか心を開かないというのが本音かな」

「・・・・・・・・・・・・そうなんだ」

 ヒナコはそれを聞いて、視線を本に戻した。だけど、今度は俺から質問した。

「それじゃあ、キミも教えてほしいな。最初にあったときから、怖がってるのを隠す視線を感じた。何に対して、警戒してるかは知らないけどね」

 俺はAチームのことなんか、何にも知らない。昨日今日で知り合ったばっかりのメンツばかりだ。なので、ヒナコが敵意とか殺意みたいな視線を向ける意味を知りたかった。俺が話したのに自分だけ話さないのは不公平に感じたからだ。

 俺の右眼の魔眼でヒナコを視たときに、俺にはない途轍もない力を持ってるのがわかる。だけど、何処かで諦めてるのがわかる。なので、聞いてみたら、

「私は・・・・・・・・・・・・人間が憎い」

 おや? 何やら、感情がこもって言ってるな。しかも、次に言ったのにも感情がこもってた。

「貴方は・・・・・・人間?」

「はい?」

 真面目な顔で意味の分からない質問をされてきた。なので、思わず、気の抜けた声が出てしまった。どうしたんだ急に。

「人間は、私を排除しようとする。私に敵意を向ける。私の存在することを拒む。あの人にも・・・・・・・・・・・・」

 ヒナコは諦めたような貌で、憎悪の篭もった貌で、憎しみを燃えるような眼で語ってた。だけども、俺はここで理解した。此が彼女の《《本来の素の感情》》なのだと――。だけど、何か、俺に似ていた気がした。なので、俺は思わず、フッと笑みを零してしまう。

「なにがおかしいの!?」

 ヒナコは俺が微笑したことに激怒して、怒鳴りつけてくる。

「いや、何か、ヒナコって俺に似てるなと思ってさ」

 俺は両手を挙げながら、述べると、ヒナコは似ているというところに疑問を生じた。

「実は、両眼とも魔眼なんだ。右眼は良くても、左眼に関しては・・・・・・親からも気味悪がられていた。俺の存在を排除しようとし、普段から敵意を向けられながら生活をしていた。時計塔に貪り尽くすようにいたのは単に、親から逃げたかったというのが本音だよ。海藤家には俺の存在を拒んでいる気がしたんだ」

 俺は今までのブラック話を口にする。ヒナコはそれを聞いただけで理解し口にした。

「もしかして、貴方が人を信用しない理由って・・・・・・」

「その通り。俺の存在を気味悪がられるからだよ」

 達観したかのように言ってしまった俺にヒナコは本を見ずに俺に視線を向けていた。だけど、これだけはいえるのがある。

「俺には何を犠牲にしても、成し遂げたい願いがある。キミだって、同じだろう」

「・・・・・・そうね。私にも、目標がある。なにをもってしても叶えたい願いが」

 彼女は一呼吸おいて、口を開く。

「それに、零士みたいな人と共感できたこと、零士みたいな人がいることが分かったし・・・・・・」

「ふぅ~ん、あっそ。俺もヒナコがどんな人間か理解できたよ」

 と俺は俺なりにヒナコのことを理解したのだった。



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後書き
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