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戦国異伝供書

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第七十五話 逐一その十一

「その一向宗と手を結ぶなぞ」
「絶対に有り得ませぬ」
「どう考えましても」
「黒と闇が違うにしても」
「それ以前ですな」
「そうじゃ、わしははっきりとわかった」
 その旗を見た時点でとだ、宗滴は話した。
「あれは闇の色でありな」
「上杉家のものではない」
「先日上杉家になられたばかりですが」
 政虎が上杉家の家督を継いでそうなった、そして同時に関東管領にもなったことも彼等は知っている。
「黒と闇は似ている色ですが」
「闇は闇です」
「黒は色でありますが」
「闇は違いますな」
「闇は黒より黒い、その黒さはドス黒い」
 それが闇だとだ、宗滴は話した。
「何処までも飲み込み沈める様なものじゃ」
「ですな、それが闇です」
「その闇の旗が一向宗にあった」
「そう聞きますと」
「何か訳がわかりませぬな」
「どうも」
「灰色の旗の中にあったのですぐにわかった」
 一向宗のそれの中にというのだ。
「わしはな」
「そしてそれを一向宗のどの者も知らぬ」
「坊主達ですら」
「では法主である顕如殿もでしょうか」
「あの方も」
「そうであろう、とかく妙であった」
 宗滴は腕を組み深い皺があるその顔を顰めさせて述べた。
「あの旗、その下におった者達はな」
「その者達はどういった者達でしたか」
「それは一体」
「どういった者達でしたか」
「一向宗は百姓じゃ」
 このこともだ、宗滴は話した。
「そうであるな」
「だからこそ数が多いです」
「その村にいた百姓が軒並み一揆を起こすのですから」
「とかく数が多いです」
「それが一向一揆です」
「持っておるものは鎌や鍬、竹槍じゃな」
 今度は武器の話をした。
「粗末な槍や刀や具足もあるが」
「足軽だった者もおりますし」
「そうしたものを持っておる者もいますな」
「そうした者達もいますな」
「確かに」
「少ないですが」
「その者達は我等と同じ程度の具足を着け」
 その闇の旗の下にいた者達はというのだ。
「刀や槍、弓矢を持ち」
「軍勢の様ですな」
「それでは武士の軍勢ではないですか」
「まさにそのままです」
「しかも鉄砲まで持っておった」
 この武具もというのだ。
「流石に少しであったがな」
「紀伊の雑賀衆が持っておるとか」
「それで本願寺には多くあるそうですが」 
 摂津にあるそこにはというのだ。
「ですがこの越前にもですか」
「鉄砲を持って来ていたのですか」
「我等もあまり持っておらぬがな」
 もっと言えば殆どだ、朝倉家は義景が注目していないのでそれで鉄砲の数は少ないのである。持ってはいても。
「そちらもな」
「持っていた」
「左様ですか」
「鉄砲まで」
「上方ならいざ知らず」
 本願寺の本山もあるその場ならというのだ。 
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