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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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フォールダウンモード

 
前書き
恒例のブイテイルの喧嘩。

しかし、このことがある惨劇に…!! 

 
バレンタインデー。

それは女子の聖戦なんたらで、男子を歓喜させ、絶望させる日。

勿論、バレンタインデーは選ばれし子供も例外ではない。

「ゲホッゲホッ…」

バレンタイン前日に大輔は風邪を引いてしまったのである。

寒暖の差が激しく、いくら幼い頃からの経験で並みの子供より鍛えられていようが、これにはどうしようもなかった。

「大丈夫?大輔君?」

大輔が風邪を引いたとブイモンから報せを受けたヒカリは太一がドン引きする程の勢いで飛び出していった。

「ああ…ごめんなヒカリちゃん…ヒカリちゃんにチョコ作ってやれなくて…」

毎年恒例の逆チョコを作れなかった大輔は申し訳なさそうだったが、ヒカリからすれば無理してもらっても嬉しくないので自分の体を大切にして欲しい。

「気にしないで大輔君。私は大輔君が元気になってくれれば充分だから…はい、チョコレート。元気になったら食べてね」

毎年の贈り物を大輔に渡す。

最初は感謝の気持ちを込めた友チョコだったが、正式にお付き合いをしてからのチョコレートは恐ろしく緊張した。

今では大輔にチョコレートを渡すことに対しては以前ほどの緊張は強いられなくなった。

内包する感情は同じだが、違う所を挙げるとすれば以前よりも穏やかで、より感謝が多く含まれているということだろう。

「………ありがと」

ヒカリからのチョコレートを受け取ると、ブイモンが小袋をヒカリに差し出す。

「そんなヒカリに俺お手製のチョコレート…ブイモンスペシャルをプレゼントだ」

「え?えええええ!!!?Σ(Д゚;/)/」

ブイモンが手渡してきたチョコレートにヒカリは思わず驚愕して飛び退いた。

「何だよその反応は?」

「嘘よ!?ブイモンがチョコレートを誰かに渡すなんて天地が逆転しても有り得ないわ!!」

「ははは、ブイモンヘッドを喰らいたいのかヒカリ?安心しろ。俺は正常だから、ついでに太一達やテイルモンにもあげたぞ」

「「はい!?Σ(Д゚;/)/」」

今度はヒカリだけではなく大輔まで驚愕した。

決してどうしようもないくらいの不仲ではないが、普段は喧嘩ばかりしているテイルモンにチョコレートを渡したことに二人は驚愕していた。

「実はなぁ…」

~回想~

『ほらよネズミ、優しい俺が恵んでやるぜ』

ベシャッ

『………』

風のように現れてテイルモンの顔面にチョコレート入りの小袋を叩き付けるブイモンに同じくチョコレートを貰って驚愕していた太一と遊びに来ていた芽心を苦笑させた。

『この分かりやす過ぎる態度の差よ』

『あ、ははは…』

その後テイルモンは激怒したが、ブイモンにかわされて逃げられてしまってのである。

~回想終了~

「ヒカリちゃん、俺…嫌な予感がする」

「奇遇だね、私も」

「はははは、まあ気にするな」

「「気にするから」」

翌日はきっと大荒れになるだろうと溜め息を吐いたが、ブイモンがテイルモンに渡したチョコレートにより、予想以上の嵐が起きることとなるのであった。

数分後。

ドッゴオオオオンッ!!

「「な、何事!?」」

「あらら来ちゃったか」

玄関から聞こえてきた轟音に大輔とヒカリは驚くが、ブイモンはのほほんとチョコレートを一齧り。

「ブイモーーーンッ!!出てきなさーーーいっ!!今日と言う今日は許さないんだからーーーーっ!!!」

「テ、テイルモン!?」

「おい、ブイモン。お前何したんだ?」

「フッ、実は俺の作ったブイモンスペシャルはデジメンタルをモデルにしてるんだ。因みにテイルモン以外は友情だぞ」

「ああ、友チョコだからか。で?テイルモンは?」

「暗黒のデジメンタル」

「よりによってそれ!?」

よりによって便利アイテムではあるものの、名称からして不吉なアイテムをモデルにしたチョコレートを渡したことにヒカリはツッコミを入れる。

「でも、それだけでテイルモンがあそこまで怒るもんか?」

しかし、ブイモンと喧嘩ばかりしているテイルモンはチョコレートと言う名の挑発に簡単に乗るものだろうか?

「ああ、それはな」

場所を変えて八神家。

太一はテイルモンが貰った中身が気になり、テイルモンが放り投げた小袋を拾った。

「テイルモンの奴…中身を見た途端にフォールダウンモード化しちまったけど。中身は何なんだ?」

「これ、暗黒のデジメンタルですね」

太一と芽心が小袋から出すと、チョコレートの形は暗黒のデジメンタルチョコであった。

「まさか暗黒のデジメンタルとは…悪意を感じるぜ」

「でも、これだけでフォールダウンモード化しますかね…?あ」

「ん?…………あ」

チョコレートをよく見ると、後ろの方に一文字がチョコペンで書かれていた。

















































「「…………」」

この一文字を見た瞬間に太一と芽心はこれはぶちギレると納得してしまった。

次の瞬間、二人の携帯に電話が掛かってきた。

「「え?電話?もしもし」」

同時に掛かってきたことを不思議に思いながらも通話モードにすると…。

『選ばれし子供のみんなーーーっ!!ヘルプヘルプーーーッ!!』

「「~~~っ!!?」」

電話をかけてきたのは大輔の姉のジュンだったが、あまりの大声量に太一と芽心は同時に飛び上がる。

ついでにこのSOSは他の選ばれし子供達にも同時に送られていた。

内容を聞くと…。

【はあ!?ブイモンのチョコを貰ってぶちギレたテイルモンがフォールダウンモード化して大輔んち(君ち)に襲撃かけてる!!?】

太一や芽心だけでなく、想い人や家族とバレンタインを過ごしていた他のメンバーが同時に叫んだ。

『そうなのよーっ!テイルモンとかを抑えられる大輔が風邪でダウンしてるから私達の家の扉が跡形もなく粉々になるのも時間の問題よーっ!!』

【元凶のブイモンは!?】

『ブイモンは裏口から逃げ出したわよっ!白い空手着を着て赤い鉢巻を頭に巻きながら“俺は世界で一番美味いチョコを食いに行く”って言いながらっ!!』

【はあ!?とにかく今から行きます!!】

真のチョコマスターを目指すブイモンに全員が心の中でツッコミながら本宮家に突撃した。

そして本宮家の玄関では、テイルモンとジュンの戦いが繰り広げられていた。

「開けろ!開けなさいよーっ!!」

太一と芽心が到着した頃には既に犠牲者が出ており、周りに気絶して伸びているアルマジモン達の姿があった。

「みんなーーーっ!!助けてーーーっ!!うちの扉装甲はもう保たないわっ!!」

「ジュンさんっ!?………珍しくまともだな」

「普段は加害者?側なのに珍しいですね」

「メイ~、太一~メタ発言は駄目だがん」

「とにかく止めよう!大輔のお姉さーんっ!今のうちにシェルターに避難するんだっ!」

「シェルターって何よアグモン!?うちはただの一般宅なんだけど!?」

「テイルモン!近所迷惑だから止めるだがんっ!」

「うるさいうるさーいっ!口周りにチョコベッタリさせながら正論言うんじゃないわよ!!」

アグモンとメイクーモンの口周りにはチョコレートがベッタリ付いていた。

「「あ、因みにテイルモンのチョコも一緒に美味しく頂きました。中身の生クリームが美味しかった(だがん)」」

「何食ってんのよーっ!あいつをボコボコにした後に勝利を肴にして食べようと思ってたのにっ!!」

【結局食べるんかい】

全員がツッコんだ時に扉が勢いよく開かれた。

「ひでぶっ!?」

【テイルモン!?……!!!?Σ(Д゚;/)/】

扉が激突して吹き飛ばされたテイルモンに驚いたが、それ以上にとんでもない存在がいた。

笑顔の下に憤怒を隠しながらどす黒いオーラを身に纏っているヒカリの姿。

【(ヒカリ(ちゃん)・フォールダウンモード…!)】

「ねえ、テイルモン」

「は、はい!?」

地獄の底から響き渡るような声にテイルモンは先程の威勢の良さを失い、ガタガタブルブルと震えながら正座した。

「何で大輔君の家に襲撃をかけたの?」

「そ、それはブイモンを懲らしめるため…」

「今でないと駄目だったの?大輔君は病人なんだよ?テイルモンに暴れられて大輔君がゆっくり出来ると思う?」

「い、いいえ…」

「フフフフ…」

【(怖っ!?)】

どす黒いオーラを纏いながら笑うヒカリの姿に全員が恐怖しながらドン引きする。

「テイルモン、向こうで仲良くO☆HA☆NA☆SHIしようね~」

「いやああああっ!みんな助けてえええええっ!!」

連行されていくテイルモンを無言で見つめる子供達。

その後、テイルモンがどうなったかは…皆さんの知らないお話…。 
 

 
後書き
本宮ジュン

何時もギャグのボケ担当だが、今回は珍しく被害者。

何気に選ばれし子供達全員に同時に連絡を入れると言う離れ業をやってのけた。 
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