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ラブドライブ!〜女神の守り人〜

作者:希ー
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転生した彼らは何の為に生きるのか?
  count,4 Eradication

 
前書き
・ドライブピット

スタインベルト邸地下にあるトライドロン、ライドマッハー、ライドチェイサーの整備場及び、ドライブ達のアイテムの開発所である。様々な機器が用意されていて、シフトカーやシグナルバイク、チェイサーバイラルコアの調整等も行われ、更に本編にはなかったアイテムの開発も進められている。整備は主にクリムが行ない、開発はユウキが(たまに)行っている。

・スタインベルト邸

現在、タカユキ、タケシ、ユウキの3人が暮らしている3階建の豪邸。御茶ノ水にあり、かなりの広さを誇る。多目的ホールや上映室、大量の食品を保存する冷蔵室等、他にも様々な部屋がある。とはいえ3人しか居ないので、部屋の殆どが未使用の状態である。その維持費が何処から出ているかは不明。タケシとユウキは落ち着かないという理由から邸を出ており、タケシは音ノ木中の近くのアパートを借りていて、大体そっちで過ごし、稀に戻ってくる程度。ユウキは邸の外では何処で暮らしているのか不明(前にタカユキとタケシが気になって尾行したが、見つかって酷い目にあった)。スタインベルトという名の通り、邸はクリムの物であり、3人はクリムの血縁者ということになっている。
 

 





「それでは今から、文化祭での食べ歩きルートの最終確認をするにゃ!」
「はい!」
「おう!」

「凛はもちろん、ラーメン屋を全制覇するよ!」
「私は…白いご飯をいっぱい食べたいなぁ…」
「俺はとにかく食べる!」



 何話してんだコイツらは?と、みんな思っただろう。俺と星空凛と小泉花陽は、明日のUTX学院で行われる文化祭の入場チケットを運良く手に入れたのだ。そしたら凛が「いっぱい食べるにゃー!」とか言って、それで現在、UTX学院文化祭のパンフレットを見ながらどのルートで行くかの最終確認をしていたのだ。


「そ、それよりも…!」

 花陽がパンフレットのあるページを開いた。

「1番行きたいのはこの今をときめくスクールアイドル、A-RISEのライブだよ!コレの為に頑張って並んで入場チケット取ったんだし!」


 A-RISE……それはUTX学院に結成されたスクールアイドルだ。メンバーは綺羅ツバサ、統堂英玲奈、優木あんじゅの3人だ。結成して半年も経たない内に人気グループとなり、そのままうなぎ登りでスクールアイドルランキング第1位となり、現在もその地位を不動の物にしてるって訳だ。

 この文化祭では、そのA-RISEの生ライブが行われる。その為、文化祭の入場チケットは先着順の数量限定品となっていた。俺と凛は、花陽に連れられてチケットが発売される前日の早朝から並んでいた。

 その際、俺達よりも先に並んでいた人がいた。サングラスに変な帽子を被ったツインテール………まさかねぇ…?

 あ、勿論、夜には花陽と凛はちゃんと家に帰させたぜ。俺が順を取って置いた上でな。そんな努力の甲斐もあり、無事チケットを3枚ゲットできたのだ。

 そういえば、前に並んでいたツインテールの人は、チケットを購入する直前、電話で揉めていたな。なんか「あれ程来なさいって言ったでしょ!?にこがどんだけ並んだと思ってんのよ!?てか、何で副部長なのに来ないのよ、この馬鹿ユウキ!!」…とか言って……。

 その馬鹿ユウキが俺の知ってるユウキで無いことを祈っている……。


「本当に楽しみだよぉ…!A-RISEのライブを生で観れるなんて…‼︎」


 花陽はドが付く程のアイドル好きで、特にA-RISEは結成当時から大ファンだったらしい。今も何とも表せないくらい幸せそうな表情をしている。


「かよちん、本当にアイドルが好きなんだにゃー」
「うん!あ、勿論、凛ちゃんのことも大好きだよ!」
「かよちん……凛もかよちんのこと、大好きにゃ!」



 ………ご馳走様です。

 とにかく、俺はA-RISEを最近知ったばかりでよく分からないが、あの花陽があそこまで大好きなスクールアイドルで、そのライブを生で観れるんだ。それは相当凄い事なんだろうな……。





「ん…?」
「にゃ?どうしたにゃ、タケシ君?」
「へっ?あ、いや、何でもないぞ…」


 俺は一瞬”違和感”を感じた。だが、それが何かを深くは考えなかった…。










 __________________________






 アイツが…仮面ライダー……。

 潰してやる……必ず…俺達が…!




 –––––––窓の外からタケシを見ていたそれは、空へ飛び立った……。





 _________________________






 私は小泉花陽です。今は親友の凛ちゃんとタケシ君の3人で下校しています。

 明日は遂に、待ちに待ったUTX学院の文化祭!チケット買うのは大変だったけど、2人が協力してくれたから無事に買えました!


「明日は腹一杯食うぞー!」
「おー!」


 タケシ君と凛ちゃんは両腕を上げて叫んでます。私はそれを見て思わず微笑んだ。そして再び、手にしていたUTX学院のパンフレットに目を落とした。

 UTX学院…いいなぁ……。


「なぁ?もしかして花陽、UTXに行きたいのか?」
「へっ!?」
「何言ってるにゃタケシ君?かよちんは明日、凛達と一緒にUTX学院に行くにゃ」
「いや、そうじゃなくてさ。花陽はUTXを受験したいんじゃねぇのかなって思って」
「ええっ!?そ、そんな事は……」


 私はタケシ君の言葉にびっくりしました。……実を言うと、その気持ちが全く無い訳じゃない。でも……。


「何言ってるの!かよちんは凛と一緒に音ノ木坂学院に行くんだよ!」


 凛ちゃんがタケシ君に対して、そう言いました。私は前に凛ちゃんと、一緒に音ノ木坂に行こうって約束したんです。


「凛、お前が花陽の進路決めんなよ!」


 タケシ君が凛ちゃんに反論をしました。2人は強く睨み合っています……。


「あ、あの…2人共…?」


「だいたい凛は、何時も何時も花陽のことを勝手に決め過ぎなんだよ!花陽のことは花陽に決めさせろよ!?」
「かよちんは迷ったまま何も出来なくなる時があるから、凛がビシッと決めてあげた方が良いの!!」
「それはお前の身勝手だろ!!」
「違うもん!かよちんの為だもん!!
「あのなぁ!……ッ」


 そんな時、タケシ君の携帯が鳴りました。

「……もしもし…ああぁ……うん、分かった……」


 タケシ君は電話を切って凛ちゃんと私を見ました。


「悪いけど俺、用事出来たから…」


 そう言ってタケシ君は私達に背中を向けて走り出してしまいました……。


「むむむむ〜!話の途中で逃げ出すなんて、どっちが身勝手にゃ!」


 凛ちゃんはタケシ君に対してご立腹みたいです……。こんな調子で、明日は大丈夫なんでしょうか…?


「誰か助けてぇ……」


 私は不安で、思わず呟いてしまいました…。










 __________________________













《シグナルバイク!》
《ライダー!》

「レッツ!変身!!」

《マッハ!》


 俺はベルトさんからの呼び出しをくらって、ロイミュードと戦っている。さっきの凛との喧嘩のせいで今、無性に腹が立ってる。相手は089と082……こんな雑魚ロイミュード共、とっとと潰してやる!


《ゼンリン!》


 俺はゼンリンシューターの車輪を089に叩きつけた。


「追跡!」


 次に082を蹴っ飛ばして089にぶつける。


「撲滅!」

《シューター!》


 そしてゼンリンシューターを連射して2体を仰け反らせた。


「いずれもマッハ!!」


 更に連射を続けながら俺は叫んだ。


「仮面ライダァァァ…!!マッハァァァァァッ!!」


 2体のロイミュードは吹っ飛んで転がった。へッ、言い様だぜ。


「クッソ…仮面ライダーめ……!?」

「今日はイライラしてんだ!何時も以上にド派手にぶっ飛ばしてやるよ!!」


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!カクサーン!》

 俺はシグナルカクサーンを装填した。右肩のシグナコウリンにカクサーンの標識が表示される。
 俺は2体のロイミュードにゼンリンシューターを放った。そしてマッハドライバー炎のブーストイグナイターを押した。


《カクサーン!》


 すると放たれた弾丸は2体の前で拡散した。


「グギィッ!?」
「ウアッ!?」
「まだまだ!!」


 俺は更にゼンリンシューターを連射していく。そしてブーストイグナイターを連続で押しまくった!


《タクサン!カクサーン!》


 弾丸は沢山拡散して、2体に炸裂した。2体はそれを受けてぶっ飛んだ。さぁ、トドメだ!


《シグナルバイク!ヒッサツ!》


 俺はゼンリンシューターにシグナルマッハを装填。そして車輪を回転させた。


《フルスロットル!シューター!》


 ゼンリンシューターから強化された弾丸が放たれ、ロイミュード達の前で拡散。拡散した弾丸は2体を貫き爆散させた!


「ギィヤアアアアアッ!?」
「グアアアアアァッ!?」


「あーーーッ!!まだむしゃくしゃするぅぅぅぅッ!!」


 俺はイノベイトバイザーを上げて、思いっきり叫んだ………。







 __________________________







 今日はUTX学院の文化祭当日…タケシ君と凛ちゃんと私は学院の前に集合したんですが………タケシ君と凛ちゃんが一切目を合わさないんです…。

 そして何も喋らない…。
 なんか空気も物凄く重い…誰か助けてぇ……。


「かよちん!あっちの唐揚げ屋さんに行こう!」


 そう言って凛ちゃんが私の手を握ってきました。


「う、うん。タケシ君も一緒に…「いや、俺はいいや」……えっ、タケシ君!?」


 タケシ君は私達より先に中に入ってしまいました…。


「いいよ、かよちん。タケシ君なんかほっとこ!」
「ふえぇっ、ちょ、ちょっと凛ちゃん!?」


 凛ちゃんは私の手を引いてどんどん歩いて行き、そのまま学院の中に入っていきました……。





 ____________________________






「はぁ……」


 俺は休憩室で溜息をついていた。


「最悪だぁ…モヤモヤすんなぁ…」


 本当は朝、凛に謝ろうって思ってたんだけど………なんか意地になっちまって結局言い出せず…。


「どうしたもんかなぁ…」







「隣、良いかしら?」


 テーブルに伏せていた俺に、女の子が話し掛けてきた。サングラスに帽子を深く被っているウェーブのかかった茶髪……。


「別に…良いけど……」
「ふふっ、ありがとう」

 女の子はそう笑ってから俺の隣に座る。
 俺は特に話す事も無いんで黙ってたんだが……。


「ねぇ、貴方は何でこの文化祭に来たの?」
「……何でって…友達に誘われて、それでだよ」
「へぇ……それで、その友達は?」
「そ、それはぁ……」


 俺は女の子に凛との喧嘩のことを話した。………初対面の相手に何話してんだよ俺は……


「そっかぁ…」
「それで独り寂しくしてるって訳だよ……」
「まぁ、凛ちゃんって子の気持ちも、解らなくはないわ」
「えっ?」
「その子は花陽ちゃんって子のことが大好きなのよ。だからどうしても放って置けないのよ。それで過保護になってしまうってこと。貴方もそれは解ってるんじゃないの?」
「うっ……」


 女の子にそう言われて俺はその通りだと思った…。凛がそういう奴だってことは解っていた。それは花陽を思ってのことだって事も……。なのに俺は、そんな凛を否定するような事を言ってたんだな……。


「何やってんだか、俺は……」
「でも、貴方の言い分も正確よ。自分の事は自分で決めて欲しいもんね」


 女の子はそう言って俺の鼻先を人差し指で突いた。


「お、お、おう…!?」


 女の子のまさかの行動に、俺は思わず赤面してしまった。女の子に耐性が無い訳じゃないが、やっぱりこういうのは慣れないな……。


「それじゃ、私はもう直ぐ出番だから行くね」
「出番?」
「絶対見に来てね……










 私達、A-RISEのステージ…」


 そう言って女の子は去っていった……。


「はぁ?……はぁぁぁッ!?」


 A-RISE!?あの子が……って、もしかして!?あの子、優木あんじゅ!?


「嘘だろ……俺、トップスクールアイドルとお喋りしてたのかよ……」


 驚きの事実に、俺は呆然とするしかなかった……。





 _______________________







 凛は今、かよちんと一緒にA-RISEのライブがあるステージに来てる。もうすぐライブが始まるらしい。凛はスクールアイドルとかよく解らないけど、楽しみだにゃ!


 …………


 ………………


 ………でも…


 なんかモヤモヤする……


「凛ちゃん…凛ちゃん!?」
「にゃ!?ど、どうしたにゃ、かよちん?」


 凛はかよちんに呼ばれたけど気付かず、肩を叩かれてやっと気付いたにゃ。


「大丈夫?なんかボーっとしてたけど…」
「だ、大丈夫だよ!凛はいつも元気だし!」


 凛はそう言ったけど、本当は大丈夫じゃない…。

 タケシ君……今頃どうしてるかな…?





 そう思っていた時、周りから歓声が上がった。A-RISEのライブが始まったんだ……。






 ライブは凄かった。その凄さを凛は上手に表現できないけど、とにかく凄かった。アイドルに興味の無い凛が釘付けになる程に凄かった……!
 隣のかよちんは目を輝かせながらライブを見ている。本当にアイドルが大好きなんだね……。



 やっぱり……UTXに行くのが、かよちんにとって一番良いのかなぁ…?


 一曲目が終わり、次の曲の音楽か流れ始めた………。










 その時だった…。
 突然大きな音が鳴り響き、ステージの後ろから土煙が舞い上がる。


「えっ、何!?」
「どうしたの!?」
「なんかの演出?」


 周りのお客さん達はびっくりしながらステージを見ている。勿論、凛とかよちんも驚いてるにゃ。
 A-RISEの3人も土煙を見つめている………すると…。




「クククッ…初めまして、A-RISE…」


 土煙の中から、3匹の怪人が出てきた…!?


「な、何!?」


 A-RISEの3人は驚いて後退りしている。そんな3人に怪人達は迫っていく。


「さて、アンタらには死んでもらうぜ…」
「何だと…!?どういうことだ!?」


 統堂英玲奈ちゃんが綺羅ツバサちゃんと優木あんじゅちゃんを庇って怪人達の前に立って叫んだ。かっこいいにゃ〜……。


「そういうことだ。そうすれば、"アレ"も出て来るだろうからな…」
「"アレ"…だと?」
「知る必要はねぇ…今から死ぬ貴様らにはなァァァッ!」


 1匹の怪人が3人に爪を向ける。


「か、かよちん!早く逃げよ……かよちん!?」


 凛はかよちんの手を引っ張り逃げようとした。でも、かよちんは凛の手を振り払って、なんとステージの方に走り出した


「かよちんッ!?」


「とっとと地獄に……あッ?」
「や、辞めて…下さい…!」


 なんとかよちんはステージ上に上がって、A-RISEの3人を庇うように怪人達の前に立った。


「…A-RISEの皆さんを…傷付けないで…下さい………」


 その声は決して大きくはない。でも、その”想い”は凛には伝わった……。
 物凄く怖い。今すぐ逃げ出したい。それでも大好きなスクールアイドルが、A-RISEが、傷付けられるなんて我慢できない。だから怖くても勇気を振り絞って、かよちんは立ち向かったんだ……。


「ああァ?蚊が鳴くみてぇな小せぇ声出してんじゃねぇよ、餓鬼がッ!!」


 怪人はそんなかよちんの想いなんて考えず、かよちんに爪を振り上げる。アレを喰らえば、ひとたまりも無い…。
 そして、爪が振り下ろされていく……。


 凛はその前に走り出してステージ上に上がり、かよちんを抱き締めて一緒に倒れた。怪人の爪を躱すことができた!


「チッ!…次は何だ!?」


 凛は怪人を思いっきり睨んだ!


「かよちんを…凛の大事な友達を傷付けないで!!」
「り、凛ちゃん…!」
「凛?かよちん?……ああ、お前ら小泉花陽と星空凛か……」


 えっ…どうして凛とかよちんの名前を…?


「流石にコイツら殺ったら、他の連中から文句言われるなぁ?」
「別にいいだろ…。A-RISEも似たようなもんだ。どうせ文句言われるなら1匹残らず消して、この世界を楽しもうぜ…!」
「071の言う通りだ…。それにもうすぐ、"アレ"が来る…」


 そう言った大きな耳を持つ怪人が凛とかよちんに爪を向けてきた。凛はかよちんを抱き締めて目を瞑った。

 凛……ここで死ぬのかな…?まだ14才なのに…。まだ恋だってしたこと無いのに……。


 まだタケシ君に「ごめんね」って言って無いのに……。







「グッ!?何だ!?」
「ウオッ!?」
「クッ!?……やっと来やがったか……!!」





 えっ?

 目を開けると、いくつものミニカーが怪人達に体当たりをしていた!?
 そして凛の目の前に、真っ白な姿をした人が現れた。凛にそれがヒーローに見えた……。

 ヒーローは怪人達の前に立ってポーズを決め叫ぶ……。






「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダァァァ…!マッハァァァッ!」









 __________________________










 マッハに変身した俺は今、3体のロイミュードの前に立っている。まさかA-RISEを狙うなんてな…。


「待ってたぜ…仮面ライダー……」
「あ?待ってた?俺を?」
「そうだ…何せ、俺達の目的は仮面ライダーを倒す事だからなァ……」
「なッ!?」


 俺を倒す事が目的!?
 真ん中にいたバット型の060がそう言った。


 今迄の転生者・ロイミュードはラブライブ!の登場人物を狙っていた。仮面ライダーを直接狙うなんて……ん?

 アレか?余程俺達が恐ろしいってことか?そうかそうか!いや〜、有名人は辛い…ゴフッ!?


「考え事してる暇なんてやるかよッ!」


 スパイダー型の075がいきなり突っ込んで来て俺を殴りやがった。そいつは更に攻撃を続けてくる。


「うおっ!?クッ!?この野郎!」


 俺は攻撃をなんとか往なし、蹴りを撃って075と距離を空ける。


「速く逃げろ!」


 そして、後ろに居た凛達に逃げるように促した。


「あ、は、はい!?」


 凛達は驚きながらも返事をし、ステージから降りていく。
 さぁーて、コレで暴れ易くなったぞぉー…。


「かかって来な、ロイミュード共!」


 俺はゼンリンシューターの銃口を奴等に向けた。


「フンッ、ならァ…お望み通り、そうしよう…」



 だが次の瞬間、俺は驚くことになる。060が、進化態の上級ロイミュードへと変化したのだ!



「なッ!?マジかよ…!?」


 ゴツゴツとして黒いその肉体は所々が赤く発光し、蒸気が発生られている…。


「イラプション……それが俺の名だ…!」


 イラプション……だと…!?
 …………なんて意味だろう…?


「ま、何でもいい。とにかくいくぜ!!」


 俺はゼンリンシューターを手にロイミュード達に立ち向かっていった!













「グアッ!?」


 俺はUTXの校舎内の柱に叩きつけられた。


「クッ…ソ…!?」


 イラプション・ロイミュードの強さに俺は苦戦を強いられていた。奴が口から放つ溶岩弾が俺の肉体に炸裂し、俺は何度も傷付けられていく。おまけにパワーも半端じゃない。そこに更にスパイダー型の075と071の2体の追撃が入ってくる……。


「どうした?仮面ライダーさんよォ」
「動きが鈍いぜェ」
「ハァ…ハァ…う…うるせぇッ…!」


 俺は最早、立っているのが精一杯の状態だ………。


「それじゃ……トドメだ…!!」


 ラバが俺に狙いを付けた………その時だった!





「やめるにゃ!!」


 俺を庇うように立ち塞がったのは凛だ。


「また貴様かァ…」


 凛はイラプションのことを強く睨んでいる。


「何やってんだ馬鹿…速く逃げ……ッ!?」


 ラバが溶岩弾を放ってきた。俺は凛を抱き抱えて転がりギリギリで躱した。


「馬鹿野郎、死ぬ気か!?だいたい……ッ!?」


 俺は凛と一緒に柱の後ろに隠れ、そこで凛に説教をしようと肩を掴んだ時、その肩が震え、泣いていることに気付いた。


「お前……」
「怖かったよ…でも、貴方が負ける所見る方が怖いよ!」
「えっ…?」
「貴方、ヒーローなんでしょ?凛はヒーローが好きだから、ヒーローが負ける所なんて見たくない!かよちんだって好きな物を守る為に勇気出したんだから、凛も勇気出すにゃ!」


 凛………。


「何時迄も隠れてんじゃねーよ、この野……グオッ!?」


 俺は柱から出てきて075を撃ち抜いた


「ありがとな」
「へっ…?」
「俺は絶対負けねぇから、安心しな」
「……うん!」


 凛は涙を拭って笑顔を俺に見せてくれた……。
 さて、コレで絶対に負けられなくなったか……。俺はヒーローなんだ。アイツの笑顔を守る為にも、負けるつもりはねぇ!!


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!キケーン!》


 俺はシグナルキケーンをドライバーにセットしてキケーンにシグナル交換をした。そして3体に向かってゼンリンシューターから弾丸を放ち、スイッチを押した!


《キケーン!》


 弾丸はミサイルのような姿をした魔獣に変わり、ロイミュード達に襲いかかった。


「な!?グアッ!?」
「ウオッ!?
「ヌゥッ!?グッ…グアアアァッ!?」


 071は魔獣の攻撃に耐え切れず爆散した。


「残りもチャチャッと片付けるぜ!」


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!トマーレ!》


 シグナルトマーレに交換し、スイッチを押し弾丸を放つ!


《トマーレ!》


 イラプションは躱したが075には命中!075はその動きを止めた。


「な、何だコレは!?」
「へへッ、オラッ!」
「なッ!?ウワァァァッ!?」


 動きが止まった075を俺は狙撃。奴は粉々に砕け散った。


「馬鹿な…何処からそんな力が…!?」


 急に逆転した俺を、イラプションは信じられないといった目で見ている。そんな奴に対して、俺は胸を叩いて言った。


「ココからだ!!」


 誰かを守りたい……救いたい……助けたい……その為に戦いたい!そんな想いが俺を強くする…。でもそれは俺だけじゃなくて、そう想う全ての人に言える事だ。だから凛も花陽も勇気を出してロイミュードに立ち向かえたんだ!!
 ただ自分の私利私欲の為に他人を傷付ける奴には解んねぇだろうがな!!

 俺は再びシグナルマッハをドライバーに装填して、スイッチを連続で何度も押した。


《ズーット!マッハ!》

「フッ!」
「何ッ!?」


 俺は加速して、イラプションの懐に一気に潜り込む。そして……。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!」


 容赦無く連続パンチを叩き込んでいく。無駄無駄とか言わせる隙は与えねぇぜ!!



「グオッ!?ゴオオオグウゥゥゥッ!?グアアアアアァッ!?」


 イラプションは思いっきり校舎の外まで吹っ飛ぶ……さぁ、トドメだ!!


《ヒッサツ!》
《フルスロットル!マッハ!》


 俺は跳び上がり、空中で何度も前方回転をして勢いをつけ、そのまま急降下してイラプションにキックを放つ。コレがマッハの必殺技・キックマッハーだ!


「ば、馬鹿な…!?俺が!?……ヌゥゥグアアアアアァッ!!?」


 イラプションはその威力に耐えらずに爆発した……。








 ______________________________







「凛ちゃん!?」


 私は、1度校舎の外に逃げた後また戻っていった凛ちゃんを追いかけて来ました。着いた所には、あの私達を助けてくれた人を見つめる凛ちゃんがいました……。


「だ、大丈夫、凛ちゃん!?」
「かよちん!…うん、凛は大丈夫だよ!」


 凛ちゃんは私の質問に笑顔で答えてくれました。そして私と凛ちゃんは一緒に、あの人……真っ白さん…だっけ?…を見ました。

 真っ白さんは私達に手を振ると、そのまま走り去ってしまいました……。


「凄かったにゃ……」
「うん……」
「本物のヒーローだにゃ……」
「うん……」



「おーいっ!?」


 私達が驚いている所に、タケシ君がやってきました。


「うん…私達は大丈……「凄かったんだよタケシ君!!ヒーローが凛達を助けてくれたんだよ!!」り、凛ちゃん!?」


 私の言葉を遮って、興奮した凛ちゃんがタケシ君の前に出ました。

「ひ、ヒーロー!?
「そうだよ!本当だよ!かっこよかったんだよ!ねえ、かよちん!?」


 凛ちゃんの目はキラキラと輝いている。そっか、凛ちゃん、真っ白さんのこと好きになったんだ。

 凛ちゃんはさっきの出来事を嬉しそうにタケシ君に話していきます。タケシ君もそれを楽しそうに聞いている…。よかったぁ……。仲直り、できたみたいですね。









 _______________________________








 その日の夜。俺達は帰路についていた。


「なぁ、凛」
「何にゃ?」
「昨日は……ごめんな」
「ううん、凛の方こそ悪かったから……」
「なら、おあいこだな」
「そうだね。おあいこ」
「仲直りできてよかったね!凛ちゃん、タケシ君!」


 花陽が俺と凛に笑いかけてきた。花陽も板挟みで大変だっただろうな。
 そう思っていると、花陽が立ち止まってモジモジとし始めた。


「どうした花陽?」
「かよちん?」
「あの…ね……実は…ね………受けてみよう…って思うんだ……UTX………」


 マジかよ!?
 俺は驚いた。あの花陽が自分から何かをしたいって言ってくるなんて……。そしてそれは俺にとって、とても嬉しい事だった。だって、花陽はアイドルが好きなんだから、No.1スクールアイドルがいる学校はそんな花陽にピッタリだしな!


 でも、凛は……。


「ごめんね……凛ちゃ…ッ!?」


 凛が花陽の両手を掴んだ。


「頑張ってね、かよちん!凛の成績じゃ、UTXは無理だけど……かよちんが合格できるように応援してるよ!」
「えっ!?…い、いいの…?」
「うん!だって、学校が違っても凛とかよちんはズーット友達にゃ!」


 そう言って凛は花陽を抱き締めた……。

 ええ子やぁぁぁぁぁぁぁ!!めっちゃええ子やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!俺涙止まらへんわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


「じゃ、じゃあな!俺コッチだから。花陽!頑張れよ!」


 俺は泣いてるのを悟られる前に手を振って走り去っていった。






「タケシ君泣いてたね……」
「そうだね。でも、そこがタケシ君の良い所にゃ!」
「うん!」







 _______________________________












 いや〜よかったよかった。

 俺は大満足で帰路を歩いていた。花陽がした決断、応援してあげないとな。アイツ可愛いからきっとA-RISEの新メンバーになるだろうな。そしたらμ'sの最大のライバルに…………。


 μ's………?





 ・花陽は近い将来μ'sのメンバー
 ・でも、花陽がUTXに入る
 ・なら音ノ木には当然来ない
 ・て事はμ'sは結成されない
 ・例えされても花陽は居ない
 ・つまりラブライブ!の物語は……





 始まらない……!?








「しまったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???やっちまったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



 俺は最大級のミスをしていた!!花陽が音ノ木に来ないと全てぶち壊しじゃないか!?ヤバいヤバいヤバいヤバい!!?どうすれば……!?



 そんな時、電話が鳴った。


「あ、ベルトさん!?な、ななななな、なな何か、あったよか!?…………え…タカユキが…!?」



 自分のミスにアタフタしていた俺にベルトさんから掛かってきた電話の内容は、タカユキがロイミュードに倒されたというものだった………。








 
 

 
後書き
さて、1万文字いっちゃいました←

かよちんは本来、両親への申し訳なさと音ノ木への強い思い入れから音ノ木坂学院に入学したという設定でしたが、もし、UTX学院への入学を後押しされたら…?

元々アイドル好きの彼女なら行きたいと思うのではないかと考え、このような話になりました。


結果、タケシ君は最大級のミスをしてしまうことになりましたが……。


そしてハーメルンの時はラヴァだった060をイラプションに変更してます。



次回は、ラストカウントに入る前の話になり、タケシ、ユウキ、タカユキ、そして原作突入前のラストという順で進め行きたいと思います

つまり原作突入まで残り5話!

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