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ラブドライブ!〜女神の守り人〜

作者:希ー
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転生した彼らは何の為に生きるのか?
  count,7 Despair

 
前書き
・久米野タケシ
本作主人公の1人。現在14歳。仮面ライダーマッハに変身する力を得た。派手好みで、かっこ良く華麗に戦う事を第一に考えている。そのため詰めが甘く、何時もロイミュードを取り逃がしていた。先日ようやく076を撃破する事が出来たようだ。クールでハードボイルドな男を気取ろうとする事があるが、何時も上手くいかずにいる。平成ライダー主人公達で言うと城戸真司や剣崎一真、左翔太郎と似たようなキャラをイメージ。
 

 


「ハァ…ハァ…」
 


 何故だ…?



「ハァ…ハァ…ハァ…」



 何故だ……?



「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!」



 何故なんだ!?



 俺は追われている。黒い死神に…。
 奴は俺の姿を見るや否や、容赦無く襲ってきた。
 
 奴の攻撃で、俺は右腕を捥がれ、左肩と右大腿部と右の脇腹が抉られた。
 

 何で俺がこんな目に?せっかくラブライブの世界に転生出来たというのに!?

 音ノ木坂に入学出来たというのに!?


 転生者はハッピーエンドを迎えるものじゃないのか!?コレはその為の力じゃないのか!?






 何で俺が…俺が…俺が!?






 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!!





 俺は終わりたくな……ッ!?


 俺の身体は後ろから放たれた弾丸に貫かれ、粉々に砕け散った……。






 クソッ……まだだ…まだチャンスはある…!
 まだ”身体”が無くなっただけだ。俺はまだ生きている…!
 アイツらの所に行って、もう一度身体を……ッ!?







 –––––銃声が響き、092の意識はここで絶えた––––







 ____________






 

《……また、コアを破壊したか…》


 私は今、4WD型のシフトカー・シフトワイルドを介して彼、魔進チェイサー=ユウキの戦いを見ていた。
 
 その感想を言うなら、恐ろしいの一言だ……。
 
 彼は戦いに一切の迷い、雑念がない。それは良い事だろう。タカユキとタケシにはそれらがある。その為2人の戦績は振るわないからな。だが、2人には誰かを守るという熱いハートがある。そして相手のロイミュードにさえ、優しさを見せる事がある。
 
 ユウキからはそれが感じられない……。そのハートはただ冷たく、敵に対しては一切の慈悲がない。
 
 そして今では、ロイミュードを容赦無く破壊し、コアを消滅させる……。

 彼の腹の底は見えない…。余りにも深過ぎる……。何を考えて、今を生き、戦っているのだろうか?
 
 味方として、今は頼もしい。だがコレが敵になったら?恐らくロイミュード達以上の脅威になるだろう……

「転生者なんて、ろくな奴居ないだろ?俺も含めてな……。だったら1人残らず消すだけだ……」

 元の姿に戻ったユウキは私にそう言って去って行った……

 転生者を1人残らず……。

 つまり、いずれタカユキとタケシも……という事だろうか…?






 ____________






 6月1日––––––






「怠い……」

 俺は今、ある人物に呼ばれある場所に向かっている。昨日も夜遅くまで戦っていたというのに……。
 ま、アイツらにしたら、そんなの知らぬ風というやつだろうな。

 目的地の扉の前に着いた。そこはアイドル研究部の部室だ。俺はドアノブに手を掛け扉を開けた…………すると……。





「「ユウキ!!ハッピーバースデー!!!」
「…………」

 ……扉を開けた瞬間に出てきた2人に眼前でクラッカーを鳴らされ、紙テープやらなんやらが俺にかかる。
 俺は不機嫌にそれを取っていく。

「何よ?せっかくこのにこにーがアンタの誕生日祝ってやってんのよ。もっと喜びなさいよ?」
「眼前でクラッカーぶち撒けられて喜ぶかよ、普通。距離感考えろ矢澤」
「だ〜か〜ら、いい加減、にこって呼びなさいよ!!」
「まあまあ、にこっち。ユウキ君も、とかなんとか言って、本当は嬉しいんやろぉ?そんな顔しとるでぇ〜」
「はぁ…この顔をどう見たらそう見えるんだ?」


 俺はパイプ椅子に腰掛けた。目の前には17本のロウソクが刺さったケーキがある。


「にこっちがユウキ君の為に愛情込めて作ったんよ。ちゃんと味わって食べてな♪」
 
「は、はぁ!?な、何言ってのよ希!?」

 俺の後ろでドタバタやってる2人。東條希と矢澤にこ。因みにこの2人は1年後、μ'sのメンバーとなる者達だ。
 俺は振り返って、喧しいツインテールをじっと見つめた……というより、俺の目付きの悪さじゃ睨んだというのが正しいかも知れん。

「な、何よ…?」

 顔を紅めて目を逸らす……こういう反応をするのは、この学院ではコイツかだろう。隣の巨乳は適当な事を言ってからかってくるし、その他の連中はビビって逃げるか泣くかだしな。



 いや、1人居たな。敵意剥き出しで睨み返してくる奴が……。




 俺はにこの目を見た……あの日、絶望に堕ちた目を……。



 
 俺と彼女との出会い、そして彼女の絶望……。



 
 それは時を遡る事になる–––––––––






 ____________






 約5カ月前–––––––
 1月9日––––





 俺はドライブピットの話の後、音ノ木坂の試験を受け、勿論見事に合格した。そして1年の三学期から音ノ木生として通う事になった。
 
 てっきり2年の一学期からスタートと思っていたから非常に怠い…。
 
 そして何よりも俺の気を害しているのは、俺の前にいる4人の男……。
 
 俺は今、音ノ木坂学院1年A組の教室にいる。今日は俺ら男子が初登校した日であり、現在3限目、今日は午前中で終わりなので最後となるこの授業で、俺達は担任に言われ自己紹介をしているところなのだ。


 …………が、前の奴らの話が長い…。しかも俺は最後に自己紹介をする事になっているから本当に待ち時間が退屈で仕方ない。更に、奴らの話は自分の自慢話ばかりで非常につまらない。実際聞いている……というか聞かされている女共も面倒臭さそうな面をしてる。
 
 俺は扉に寄りかかり腕を組んで周りを見ている。たまに目が合う奴も居たが大概直ぐに顔を紅くして目を逸らす。
  
 漸く2人目の自己紹介が終わり3人目が壇上に立ち話を始めた。

 …………………長い…やはり長い…。


 俺はとうとう切れて壇上でグダグダ言ってた野郎の脇腹を蹴り飛ばした。それを見た女子生徒達は絶句し、担任はあたふたしている。


「グエッ!?な、何すんだよ!?」
「喧しい。しょうもない自慢話をべらべらべらべら続けやがって。自己紹介なんざ10秒で済ませろ耳障りだ」

 俺はそいつに喝を入れると女子生徒の方を向いた。

「高田ユウキ。以上だ」

 俺はそれだけ言うと適当に空いてた机の上に鞄を置いて席に座り腕を組んで目を瞑った……。
 こんな行動をした俺に皆は恐怖を感じる筈。これで誰も俺に話し掛けては来ないだろう…。




 と………思っていたが………。




「なぁなぁ〜、高田君はどこ出身なん?」
「……」


 放課後の事だ。話し掛けられた……。恐らく東條希だろう。


「ねぇねぇ〜」
 

 東條希は俺の左頬を右の人差し指で突いてきた。俺はそれを軽く叩いて直ぐに辞めさせた。

 
「他人に触れられるのは好かんな」
「そっか〜……ん?好かん?」
「高田君、良いかしら?」


 俺が東條希と話しているところにまた別の女が話し掛けてきた。金髪……って事は絢瀬絵里か…その後ろには4人の男子が俺の事を不快な物を見る様な目で見ている。

「今からクラス委員長として貴方達男子に学校内を案内するから、着いて来てくれない?」



 絢瀬絵里のその言葉を聞いた時、俺はある事を思った。

 似てるな…俺に……。


「断る」
「な!?……どうして…?」
「嫌々やってる様な奴に連れ回されても気分悪くなるだけだ。だったら1人で勝手に見回らせてもらう」

 俺はそれだけ言うと立ち上がり、教室を出ていった。






 ____________






「いいじゃん、にこちゃぁ〜ん?」


 嫌よ。


「俺達もアイドル研究部に入れてよぉ〜?」


 嫌よ。


「にこにーと一緒にアイ活させてよぉ〜?」


 絶対嫌!!!



「出てけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


 私は机を叩いて勢いよく立ち上がり思いっきり叫んだ。
 そしてアイドル研究部に入部したいとか言った3人の男を部室の外へ追い出してやった。私以外の4人の部員は辞めなよって止めてくるけど、私はコイツらが赦せない。
 
 この3人からはアイドルに対する情熱を感じない。それどころか絶対に疚しい気持ちで私達の部活に参加しようとしているのが直ぐに分かった。
 
 ふざけないで欲しい。私は真剣なんだから。もう少しで夢への大きな一歩を踏み出せるんだから。変な気持ちで私の夢を踏み躙る様な真似はさせない。


「アンタ達、二度と来ないで」

 私はそれだけ言うと扉を閉めようとした。


 ……が、閉まらない。

 どんなに力を込めても閉まらないので気になって外に顔を出してみた。

 そこには扉が閉まらないようにドアノブを右手でガッチリ握る1人の男子がいた。

 私はこの男子を知っていた。コイツは私と同じクラスに入って来た男子で、自己紹介中の別の男子を蹴飛ばした奴……。高田ユウキだ……。



 
 
 ____________






 俺は今、矢澤にこを説教している。

 理由はこうだ……。

 俺は放課後、学校探索と称してぶらぶらしていた。そしてアイドル研究部の部室の前に辿り着いた。気になって覗いてみようかと思ったその時だった。扉が勢いよく開いて、男3人が飛んできた。俺はそれとぶつかってしまい転んだ。
 そして扉の方を見るとそこにはツインテールの小学生みたいにちっこい女がいた。
 
 ああ、コイツが矢澤にこか……。
 
 状況からして俺はそう判断した。矢澤にこは男達を一喝すると扉を閉めようとした。だが、そんな事はさせない。人に人をぶつけといて逃げようなど、そうは問屋がおろさない。俺はドアノブを掴んで扉が閉まるのを止める。
 矢澤にこがこちらを覗いてきた。それを俺は睨み、ズカズカと中に入った………。

 という事である。

 俺は矢澤にこを無言で睨む。すると矢澤にこも負けじと唇を強く結んで俺の事を睨み返してくる。
 正直、少し驚いた。コイツは俺と同じクラスだったから俺のヤバさは分かってる筈だ。なのに臆せず睨み返してくる……。なかなか生きの良い奴だ。
 
 そう思って俺は思わずクスッと笑ってしまった

「何がおかしいのよ…?」
 
 矢澤にこはそう言って眉間に皺を寄せ、俺の事を更に睨んでくる。だが俺はそんなの御構い無しに部室内を見回した。

「凄い数のアイドルグッズだな…よくここまで集めたもんだ……」
「えっ?」

 矢澤にこはキョトンとした顔になる。俺にこんな事言われるなんて思ってなかったんだろうな。


「邪魔したな……」
「あ……待って!」

 俺は立ち上がって部室を出ようと扉に向かった。その時だった。矢澤にこが俺に声をかけた。

「貴方……アイドル、好き?」
「……興味無い」
「本当……?」

 矢澤にこはムスッとした顔でこちらを睨んでいる。俺が興味無いと言ったのが余程気に入らないのだろう。


「そっか…」
「話は終わりか?なら、俺はコレで出るぞ」
「ま、待って!?」
 
 矢澤にこが再び俺の事を引き止めた。

 
「……次は何だ?」
「………アンタ、アイドル研究部に入ってみない?」


 ………………は?


「何を言ってるんだお前は?」

 コイツは馬鹿なのか?今の会話のどこに俺をアイドル研究部に誘う要因があるんだ?


「私がアンタをアイドル大好きにさせてやるわよ!」

 理解不能だ……。


「……百歩譲って、俺がアイドル研究部に入るとしよう。だが、それを快く思わん者が4人程いる様だが」


 俺は矢澤にこの後ろにいる嫌そうな顔をした4人のアイドル研究部員を指差した。

「にこちゃん、辞めとこうよ!?」
「そうだよ、なんか怖いよこの人!?
「何よアンタ達、何ビビってんのよ?」

 いや、普通ビビるだろ。こんな得体の知れない男、入部させるのは相当の大馬鹿だ。

「とにかく、高田ユウキ!」

 矢澤にこは俺の顔をビシッと指差した。

「アンタはアイドル研究部に入って、私達のラブライブ出場を手伝いなさい!」

 何?

「ラブライブだと…?」
「そうよ。スクールアイドルの祭典…それがラブライブよ!私達は2月にあるラブライブの予選に出場して、そこに勝てば3月の本戦に出場出来るの!」


 妙だな……アニメ原作では確か、コイツが3年の時の夏に開催されたのが第1回大会だった筈だが……。
 
 まぁ、ラブライブは媒体によって設定が変わるから、コレもその一つという事か…?
 
 それとも転生者の介入による影響か…?

 前者ならまだいいが、後者なら考えものだな……。


「ちょっと、聞いてんの?」
「ん?あ、ああ…」
「とにかく、私達はそのラブライブで優勝を狙ってんの!だからアンタも手伝いなさい!」

 無茶苦茶だ……恐らくコイツは俺がどれだけ断ろうが手伝えと迫ってくるだろう。初日から非常に厄介な相手に絡まれてしまったか……。




 結局、俺はアイドル研究部に入部する事になった……。








 ____________








 俺がアイドル研究部に入りマネージャーとなって2週間。ラブライブ予選まで後1週間となった
 
 そしてこの2週間の間で俺は069、070、073、081、087の5体のロイミュードを撃破し、そのコアを神の元へと送っている。更生させるとか言ってたが、上手くいくとは思えんな…。

 
 ロイミュード達の正体は全員、音ノ木坂に試験生として来た男子共だった。
 
 彼らがいなくなった枠には違う男子生徒が入っていた。ソイツらは転生者ではない。
 
 つまり、俺達が転生者を撃破した場合、今までソイツがいた枠に、この世界の住民が入り、ある程度矛盾を防ぐ……っという仕組みになっているようだ。転生者が行った行動は代わりに入った人間がやった事になる……。転生者に関する記憶は人々から消える。ただ、転生者がロイミュードになる瞬間を見た場合は、その転生者に関する記憶は残るようだ。
 
 良く出来たシステムだ。容赦無く消しても構わないというのは有難い。

 ま、今はラブライブだな。今回の大会は関東地方限定の大会らしい。その為規模自体はそこまで大きな物ではないようだ。

 現在、俺は屋上での矢澤達の練習風景を眺めている
 
 因みに矢澤以外の部員の名前は大川 美弥、野崎 和香、佐竹 涼、湯川 恵子。全員1年C組だ。
 
 矢澤の目からはヤル気が伝わってくる。本気でラブライブに出たいという思いが伝わってくる。だが彼女達からはそれを感じない。練習は熟しているが、そこに情熱はない。


「よし、今日の練習はここまでよ!ラブライブまで後1週間、気合い入れていくわよぉー!」

 矢澤がそう言うと他の4人は蜘蛛の子を散らす様に帰っていく。その後、矢澤は俺の所にやって来た。

「どうだったユウキ、私のステージは?」
「褒められたもんではないな……。音程のズレ、運動能力の低さ…。とにかく残り1週間でどうにかしなければならない事が多々あるな」
「ううっ…!?い、痛い所突くわね…」
「当然だ。俺はマネージャー…。矢澤の欠点を探し、それを報告、修正させるのも仕事の内だ」
「ただ仕事ってだけ?」


 矢澤は不満そうに俺を見つめる。

「………そうだ」


 そして俺がそう言うとそっぽを向いてしまった。


「……このラブライブで優勝して、絶対にこの事を認めさせてやるわ。覚悟しなさい!」

 矢澤はまた俺の方を振り向き、無い胸を張って俺に高々と宣言する。




 そうか……。にこの事”は”認めさせようとするのか……。





 
 もう”私達”ではなく”私”になっている。お前も心の何処かで気づいてるんだな。他の4人に志が無い事を……。







 ____________









 私はラブライブに向けて必死で練習をしていった。そして明日は遂にラブライブの予選!
 
 必ず優勝する。その為にも、まず予選を突破する!
 そして今隣りを歩いているコイツをギャフンと言わせる!

 私がそう思いながら笑っていると、隣りから冷たい目線を感じた。


「………何よ?何か言いたいなら、ハッキリ言いなさいよ」
「なら言おう。気持ち悪い」
「な!?ハッキリし過ぎよ!もう少しオブラートに包みなさいよ!」
「ハッキリ言えだの言うなだの、訳の分からん女だ」
「アンタ乙女心って物が解らないの?ど、どうせ、か、彼女だって、どうせ居なかったんじゃないの!?」

 そう質問をした時、何故か私は緊張して顔が紅くなっていた

「居たぞ」
「へっ!?」
「俺のルックスだぞ。女の1人や2人、居て当然だろ」
「……アンタ、よく臆面もなくそんな事言えるわね…」
「お前と居るのは楽だからな。余計な気を使わんでいいから、こうやって喋れるって事だ」
「何それ?」
「そういう事だ。お前と居るのは楽しいって事………ん、どうした?」


 私は顔どころか身体全部が紅くなり、体温が上昇しているのがわかった。コイツ…何で年頃の女の子にそんな台詞言えんのよ!?


「べ、別に何でもないわよ!!」


 私はそう言って走り出した。そしたらユウキは私の事を追いかけて…………。




「何で追いかけないのよ!?

 私は立ち止まって振り返り、ユウキに叫ぶ。信じらんない!普通こんな美少女が走り出したら追いかけるでしょ!

「予選前日に手間取らせるな」
「ううっ…」

 ユウキは近づいて来て、私の頭に手を置いた。

「勝ってみせろ…」

 それだけ言うとユウキは歩いていってしまう。私はその背中をジッと見つめた……。

「当たり前よ…必ず優勝してスクールアイドルの高みに立ってみせるわ!!」







 そして…優勝出来たら、私はアイツに………。








 ____________





 ラブライブ予選当日––––






 俺は矢澤と会場に来ていた。矢澤はさっきから緊張で震えている。
 まぁ、それはいいだろう。だが、問題は俺と矢澤以外の4人が会場に着いていない事だ。

 矢澤が何度も電話やメール等で4人に急ぐ様に呼びかけたが、電話は繋がらず、メールの返信も無い。

 時間は惨酷に過ぎていき、受け付け終了まで残り20分となっていた。


「何で…何でみんな来ないのよ…!?」


 緊張、不安、苛立ち……それら全てが矢澤を襲い、彼女の震えを更に酷くする。このまま4人が来なければ棄権しなければならない。それはつまり、矢澤の今日までの頑張り全てが無駄になるという事だ。もう彼女の脚はグラグラで、突けば簡単に倒れそうなくらいだ。

「早く来てよ……みんな………!?」

 矢澤は目にいっぱいの涙を溜め呟く……。







 来る筈が無い……。
 俺はそれが容易に想像出来た。
 
 それに恐らく奴ら最初から、こうするつもりだったんだろうな……。









 俺の予想通り4人は来ず、音ノ木坂アイドル研究部は、ラブライブ予選を棄権した––––––







 ____________







「何で来なかったのよ!!?」



 次の日の放課後、矢澤は4人を屋上に呼び出し、その怒りをぶつけていた。4人はさっきから何も言わず、ただ俯いて黙りしている。
 
 俺は扉の近くに寄り掛かってその様子を見ていた。


「アンタ達、自分が何したのか解ってんの!?アンタ達が来なかったせいでラブライブの予選に…!?」
「うるさい」

 口を開いたのは野崎だ。

「えっ…?」
「うるさいのよアンタ。何で私達がアンタのアイドルになりたいっていう、叶いもしないしょうもない夢に付き合わされなくちゃなんないのよ?」
「そうよ。だいたい私達、アイドル”研究”部でしょ?別にアイドルになる必要なんて無いじゃない。研究部は研究だけやればいいのよ」


 野崎が言葉を続け、それに感化されたのか佐竹も口を開いた。更に湯川も続けて……。


「それにアンタ、自分が本当にアイドルになれると思ってんの?言っとくけど、誰もアンタがアイドルになれるなんて思ってないわよ。だって、アンタ痛いだけだし」


 大川は何も言わずただオドオドしながら、そのやり取りを見ている。


「アンタ達……今までそんな事思ってたの……?」

 矢澤は顔を俯かせ、拳を震える程に握り締めている。

「ええ。でも、もう我慢の限界。アンタには着いて行けないわ。貴方もそう思わない?高田君」

 湯川は俺に質問をしてきた。何故それを俺に聞く?矢澤は不安そうな目を俺に向けてくる。既に矢澤の目は絶望している……。
 
 ここで俺にまで裏切られたら、コイツは一生立ち直れないだろうな……。






 まぁ……そんな気は更々ない。


「知ってるか…?夢っていうのは呪いと一緒だ」
「はぁ?」

 俺は意味がわからないという顔をする4人と、ポカンとしてる矢澤を放っといて話を続ける。

「挫折した人間は、その呪いから永久に逃れられない……。矢澤は今、挫折をした………どうする?」



 俺は矢澤に問う。お前はこれからどうするのか?その呪いに永久に取り憑かれ苦しむのか?
 
 それとも再び夢に立ち向かい呪いを払拭するのか?



 だが、その答えは矢澤の中では既に出ていた……。


「私は……にこは、諦めたくない…‼︎どんなに厳しくて辛い道だとしても……にこはアイドルになりたい‼︎」
「それでいい……他者を犠牲にし、己の手を汚さず夢を叶える利口者…難癖を付けて、結局何もしない阿保…無駄とわかりながらもただ我武者羅に突っ込む馬鹿……。この中だったら俺は馬鹿が好きだ」
「……それってにこの事、暗に馬鹿って言ってない?」
「暗にどころか、本気で大馬鹿だと思ってるぞ」
「な!?アンタ慰めるのか馬鹿にすんのか、どっちかにしなさいよ!?」


 矢澤の目に何時もの活気が戻る。野崎達3人は面白くない様で屋上から去っていく。大川もコチラを何度か見て去っていった。







 ____________




 時刻は午後10時を回っている。
 神田明神に居た時の事だった。矢澤から電話がかかってきた。


《もしもしユウキ?話したい事があるんだけど…大丈夫…かな?》
「ああ、構わん……いや、ちょっと野暮用が入った。30分後に商店街の近くの公園に来い…」
《えっ………うん、わかったわ》



 俺は電話を切り、振り返る。そしてそこに居た者を見る。
 そこに居るのはスパイダー型下級ロイミュード。だが、その胸の数字は俺を少し喜ばせた……。




「051か……。初めてだ、50番代…しかも半分より上の数字と殺り合うのは…」








 ____________







「ふぅー…」


 ユウキへの電話を終えた私は、まず一息ついた。


 何故かは分からないけど、今は無性にユウキと話したかった。会って話したいと思っていたが、それは迷惑だろうと思って電話をした。しかし、そんな私の想いを知ってから知らないでか、ユウキの方から会ってくれる約束をしてくれた。


 嬉しかった……。


 私はタンスの中にある服を引っ張り出した。何を着て行こう?私服で会うのは初めてだし、変な格好で行く訳にはいかない。だからといって気合い入れ過ぎるのもどうかと思うし……。


 高まるキモチに、私は促されていた………。







 ____________








 スパイダー型下級ロイミュードは俺に何度も糸を吐いてきた。俺はそれを転がって躱していく。流石に50番代と言った所か、その攻撃スピードは今まで殺り合った奴の中ではトップだ。
 ロイミュードは数字が若くなればなる程、その戦闘力は強くなる。奴の数字、051は俺が今まで戦った相手よりも若い数字…つまり今までよりも強い相手という事だ。

 スパイダー型下級ロイミュードは光弾を放ってきた。俺は回転してそれを回避。そしてロイミュードを見据えた…。




「そんな攻撃で俺が殺れると思ったのか?








 –––––––––––大川…」


 俺がそう呼ぶと、スパイダー型下級ロイミュードは動きを止める。



 そして”大川 美弥”の姿に戻った…


「……何で分かったの?」
「お前がロイミュードだと確信したのは今日、屋上でだ。まぁ、元々4人の内の誰がロイミュードだろうと踏んだのは入部した時からだがな」
「……」


 大川は警戒した目で俺の事を見ている


「お前達は俺が部室に来たあの日、俺以外の男が入部する事には賛成してたらしいじゃないか?……それはソイツらが、転生者=ロイミュードだったからだろ?」


 大川は何も言わない。図星の様だ。俺は更に話を進める。


「あの男共はお前よりもNo.は上。つまり、お前より力は下って事だ。だから入れても問題無いと思った……違うか?他の3人も何故同じ行動をしたのかについては正直分からんが、粗方お前が何らかの細工をしたんだろ?」
「でも、その推理は無茶苦茶じゃない?だって貴方は教室で暴れてるのよ。毛嫌いされるのは当然でしょ?」


 ようやく大川が反論してきた。その発言が墓穴を掘る事になるとも知らずに……。


「何であの時、お前達がそれを知ってるんだ?」
「えっ?」
「お前達と俺はクラスが違う。あの日は3限で終わりでお前達が直ぐに部室に行ったのなら、そんな事があった何て事は知らない筈だ。それに仮に俺が暴れた事を誰かから聞いたとしても、それは”高田ユウキという名の男が暴れた”と文章としてお前達に伝わるだけで、俺の顔は知らない筈だろ?あの場で初めて会うのに俺の名が分かる筈がない。だから分かったんだ」
「………そう。なら私だと確信した理由は?」
「屋上でのお前の目だ」
「目?これまた抽象的な理由…」


確かにそうだ。だが、俺は間違いないと確信している。


「お前、サディストだろ?」
「は…?」
「屋上で矢澤を見てる目が、変態そのものだったしな。他の奴ら矢澤を責めているのを楽しんでただろ?だからお前が3人とは根本から違うという事が分かった……。転生者ってのは、頭の狂った奴が多いからなァ」


黙り込む大川。すると……。


「……………ククッ……ククククッ…」
「あ?」


「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎‼︎きゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎‼︎‼︎あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははほほははははッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」



 彼女は笑い狂った。


「だって貴方も見たでしょ!!?にこちゃんのあの顔!!!最高じゃない!!!!絶望の淵に堕ちていくにこちゃん……思い出しただけで興奮するわ!!!!私はそのにこちゃんを手に入れる………… その予定だった……」
「……」
「でも、貴方がそれを狂わせた。本当は貴方のポジションは私の物だった……。私が堕ちていくにこちゃんの側にいる筈だった!!!そして堕ちたにこちゃんを一生私の奴隷にする筈だった!!!!にこちゃんは私の物…それを貴様がァァ…!!!」

「黙ってろクズ」
「何ィィ…!?」
「聞いてるだけで反吐が出る。さっさと潰してやるよ…」
「はぁ?ただの人間風情が…調子に乗るなァァァァァァッ!!!」


 大川は再び051の姿になった。
 だが、奴の変化はそれだけでは止まらなかった……。





「……これまた初めてだ…進化態と殺り合うのは…」




 051は姿を大きく変化させ、上級ロイミュードとなった。
 その身体にはマイクやスピーカー、集音器、アンテナの様な者が複数付いていた


「ブレイウォッシング……それが進化して得た、私の名前よ!」
「洗脳か……」
「因みに良い事教えてあげる。私は人間を操る事が出来るの。だから私はあの3人を操ってにこちゃんを追い詰めさせたりしたの……」
「成る程…」
「さぁ、無駄話はここまで………貴様は死ね…!!!」


 ほぉ……なんな特撮番組っぽい展開になってきたな…。
 面白い……。俺はこういうのを………。



「求めてたんだ…」


 俺は懐からある物を取り出した。
 それは俺を死神に変える魔具と言っても過言ではないだろう…。

 ブレイクガンナー––––––

 俺はブレイクガンナーを右手に持ち、銃口型スイッチ・ディストラクションマズルを胸の前で左掌に押し付けた。



《Break up…!》



 俺の身体は漆黒と紫炎の鎧に包まれた…。

 死神・魔進チェイサーの狩りが始まる……。










 ____________










「…流石にまだ居ないわね……」


 私は約束の20分も前に着いてしまった。とにかくドキドキして居ても立ってもいられなかった。そしてアイツに会うのが楽しみで仕方がなかった。
 アイツは口は悪いけど、私の事を…私の夢を認めてくれた男……。

 私にとってかけがえない存在……。

 アイツの存在が自分の中で大きくなっている……。でも、多分アイツは、私がこんな事思ってるなんて気づいてないだろう……。


「とにかく…ちゃんと言わなきゃ……」


 まだ伝えれてない事がある。だから、まずはそれを伝える。私の胸の奥の想いを伝えるのはそれからだ……。






 ____________









「グウゥゥゥッ!?」

 何だ……この化物は……?



 私は高田ユウキが変身した戦士に追い詰められていた。奴は右手に持ったメリケンサックの様な武器を使って何度も容赦無く、私を殴ってくる。
 離れて戦おうとすると、今度はそれを拳銃の様にして銃撃を放ってくる。


 私は全く対応が出来なかった……。


 確かに最近妙な奴が現れ、私達ロイミュードの力を持った転生者を排除しているという噂は聞いていた。だが、今まで排除されたのは、どれもこれ弱いナンバーばかりだったので気に留めてなかった…。

 だが、まさかそれが高田ユウキの事で、しかもここまで強いとは予想外だった……。


「おのれェェ……ハァァッ!!」


 私は強烈な破壊音波を放った。音波は地面に亀裂を走らせながら、高田に向かっていき炸裂した。



「やった……!」



 これで倒した!この技は鋼鉄すら塵に変える程の威力がある。これを喰らって無事な筈…………は……!?







 奴は立っていた……。鎧の所々から煙が立っているが、大したダメージではなさそうだ……。


 馬鹿な!?アレをまともに受けて無事だなんて!?
 あり得ない…あり得ない……あり得ない!!!!

 何なんだコイツは!?




 《Tune…Chaser spider…!》



 高田はバイラルコアを拳銃にセットした。すると奴の右腕に巨大な爪の様な物が装備された…。


 ヤバい………逃げろ…!?

 私は本能的にそう感じて奴に背を向け走り出した………。





 だが、それが間違いだった。


 奴の爪は直ぐに私を貫き、更にそれが振られ、私の身体は真っ二つとなり爆散した…………。










 ____________












 ユウキは変身を解除し、浮遊する051のコアを見つめていた。


《ご苦労だったな、ユウキ》


 私はシフトワイルドを介してユウキに声をかけた。しかし彼は何も言わず、ただコアを見つめている……。


《よしキャブ、コアの回収を急ぎ……ッ!?



 私がディメンションキャブにコアの回収を命じようとした瞬間の事だった。なんとユウキはブレイクガンナーでコアを撃ち抜き消滅させてしまったのだ…!?


《何をしてるんだユウキ!?》
「見ての通りだ。世界を乱す輩にトドメを刺してやった。二度と甦らない様に…念入りにな」
《コアを破壊するという事は、その人間の存在、意識、全てを完全に消滅させる事になるんだぞ!?つまり大川美弥はもう何も見る事も、聞く事も、感じる事も、考える事も、何も出来ない永久の地獄に叩き落すという事なんだぞ!?》

「いいじゃねぇか……。転生者とかいうクズ共には……ピッタリの仕置だ………」


 それを言うとユウキは去って行ってしまった……。









 ____________











 俺は矢澤と待ち合わせしていた公園に着いた。


 10分前だからまだ居ないだろうと思っていたが、矢澤はベンチに座っていた。


「早いな…余程暇だったのか?」
「ッ………会って第一声がそれって、どういう事よ?普通待たせてごめんとかあるでしょ」
「お前が勝手に待ってただけだろ?」
「………ごもっともです…」


 軽くしょうもないやり取りをし、俺は矢澤の横に座った。


「あのね……ユウキ…」
「何だ?」
「今日は…本当に…あ…ありがとう……」
「……」
「ユウキのおかげで私、まだアイドル目指せそうなの…。だから、心から思ってるわ……ありがとうって…」
「…………泣かないのか?」
「へっ?」
「お前どんな状況でも声出して泣かないだろ。泣いていいんだぞ。辛かったり、苦しかったら。泣くのは弱さじゃない……」



 矢澤の目から涙が溢れ出してきた。コイツは今まで沢山の不満や苦しみ、孤独感を胸にしまってきたのだろう。それが今、解き放たれたのだ。



「ユウキ……胸借りて…いい…?」


 俺は何も言わず、ただ腕を広げた。矢澤はその中に入り、俺の胸に顔を埋めた。




「ううぅ……ううぅぅぅ…わあああああああああああああああああああんっ!!怖かったよおお!!ずっと…ずっと頑張ってきたのに‼︎あんな簡単に無駄にさせられてしまって……悔しかったよおおおおおおお!!!わああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」



 その小さな身体を震わせて、矢澤は精一杯泣き叫び、俺に自分の感情をぶち撒けた………。







「ぐすんっ……ごめん…」


 矢澤は泣き止み、縮こまって俺の隣に座っている。


「小さい割にはデカイ声だったな」
「うっさい…」


 そして暫く沈黙が続いた……。




「ねぇ、ユウキ…」
「……何だ?」
「ユウキはさ……私の事、裏切らない…?」
「さぁな…?俺と矢澤がずっと友でいられるとは限らん。何時かスレ違い、敵になるかも知れん……」
「……」
「だが、それまでは…………ダチだ…」


 俺は矢澤に拳を向けた……。


「じゃあ、ずっと続く様に…お互い努力しないとね」


 矢澤は笑顔で俺の拳に自分の拳を合わせた……。




 この絆が永久に続く事を願って––––––––––











 ____________











「あ!?それ私の苺!?何勝手に取ってんのよ希!?」
「ええやん、ええやん♪パクッ」
「あーーッ!?私の苺ぉ…!?」



 と、まぁ……これがそこで喚いている、矢澤との出会いというか何というか…そんな感じのものだ。

 あの後も俺はアイドル研究部として活動している。今となっては副部長になった。
 とはいえ2人しか居ない以上、必然的な流れだがな。
 部員は誰も入らず、活動は大抵、部室でダラダラ過ごすか、たまに東條が来てドタバタするか、のどっちかになっている。
 矢澤はまだアイドルを諦めておらず、他のスクールアイドルの研究に余念がない。

 皮肉なもんだ。研究がしたい3人が抜けたおかげで、この部は今、研究しか出来なくなったんだからな。


「ユウキく〜ん、にこっちが虐めてくる〜」


 東條が俺の後ろに隠れる。そして俺の前には……。


「無駄な抵抗は辞めて、大人しく苺を返しなさい!」
「はぁ……」
「ムッ、何よユウキ、その溜息は?」
「本当騒がしいなぁ、にこは……
「うっさい!うっさぁぁぁいっ!!…………………って、あれ?い、今名前で……!?」
「少しは落ち着け、矢澤」
「ナァッ!?にこにーって呼びなさいよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」






 俺は戦う……。少しでもこの笑顔が見ていたいから……。その為なら、どんな罪も背負い、どんな苦しみも耐え、どんな役割も受け入れ………どんな者も抹殺しよう……。












 
 

 
後書き
3人目、ユウキの話になりました。
因みにハメ時代の物を読んでた方はお気付きかも知れませんが、大川美弥が変身するロイミュードの名前がボイスからブレイウォシング・ロイミュードに変更されてます。当時まさかのボイスが本編に登場して驚きましたからね……()

ユウキの台詞回しなども一部変更してます。


次回もチェイサー=ユウキ編の予定です。その次はドライブ=タカユキ、そして次にマッハ=タケシとなります


今回長いし、なかなか強引な所あるし、見苦しかったかもしれない……申し訳ありません…←


そして少しずつ脱テンプレしていこうと思っています……。



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