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夢幻水滸伝

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第百二十二話 台湾沖でその八

「ほんま考えがわからなんな」
「それは常にやな」
 スーンはロシティーに腕を組んでどうかという顔になって応えた。
「あそこの連中は」
「悪い連中やなくてもな」
「それでもですね」
「腹のうちをな」
 それをというのだ。
「見せんわ」
「そうした人達ですね」
「こっちのことはさりげなく知ろうとしてな」
 そうしつつというのだ。
「そうしてくるわ」
「外交の基本ですね」
「そうや」
 スーンはダーガーに話した。
「はっきり言えばな」
「そうなりますね」
「ほんまやな、というかな」
 ロシティーも言うことだった。
「あの連中は出来た連中や」
「日本の連中はな」
「ほんまにな、それにこっちもな」
「そうしたな」
「平城京でな」
「そうしたからな」
 だからだというのだ。
「こっちもな」
「ちゃんとしたな」
「そうや、ほんまにな」
 実際にというのだ。
「これはお互い様や」
「そうなるな」
「何かとな」
「その日本が相手となると」
 ダーガーはまた言った。
「私達は油断出来ないですね」
「そやからリーとシェリルも斥候よおさん出してるんや」 
 ロシティーはダーガーに答えた。
「そうしてるんや」
「相手の動きを知る為に」
「近くまで寄ってな、向こうもそうしてるけどな」
「あれやな」
 ここでスーンは遠くに空船を見た、小さな如何にも動きの速そうな空船だ。見れば造りはかなり新しいものである。
「あの空船やな」
「あのシルエットは」
 ダーガーもその空船、雲と雲の間に見えたものを確認して言った。
「間違いないですね」
「日本のやつやな」
「はい、あれは」
「早速こっちから兵が出たな」
 南洋側の移動要塞から空船が緊急に出た、空を飛ぶ兵達も一緒だ。
 だが南洋がそうするとだ、その空船は素早く去った、瞬く間に何処かに消えてしまった。その一部始終を見てだった。
 ロシティーはバイオリンを奏でつつもこう言った、音楽は今は穏やかなものになっている。バラードだった。
「逃げ足もええな」
「はい、もうあっという間でしたね」
「あれで間違いないわ」
「あの空船は日本のものですね」
「あっちもしっかりとや」
「こちらを見ていますね」
「しかもあっちには吉川もおる」
 ロシティーは彼の名前も出した。
「あいつの神具はこっちも見えてや」
「自分達の場所や地形もわかりますね」
「もうこうした時はな」
 まさにというのだ。
「おあつらえ向きのもんや」
「戦うならですね」
「ほんまにな、あいつがおることもな」
「日本にとってかなりの戦力ですね」
「そのうえでああして見てきてる」
「厄介ですね」
「そやから日本は油断出来んな」
 スーンが言ってきた。
「兵力ではこっちは有利でもな」
「人材が揃ってるからな」
「そやからやな」
「いきなり厳しい戦になるな」
「間違いなくな」
 二人で空船が去った方を見つつ話した、南洋の者達もそうした状況だった。 
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