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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ

作者:炎の剣製
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067話 文化祭編・開催3日目(02) ドンパチ合戦開始

 
前書き
更新します。 

 



朝倉は正直言って焦っていた。
予定されている時間より超の軍団が攻めてくるのが早いじゃん!?と。
しかし、ここで下手をするほど朝倉のマネジメント能力は低くはない。
アドリブで対応してこそプロというもの!

『さあ! 大変な事になってしまいました! 戦闘開始の鐘の合図も待たずして今回のイベントにおける敵とされている火星ロボ軍団が奇襲をかけてきました! 麻帆良湖湖岸ではすでに戦端が開かれている模様。噂の脱げビームが参加者たちに牙を向いています!
さあ、魔法使いの諸君、準備は万端ですか? もうすでに恐怖からガタガタ震えていませんか!? 戦死する覚悟はおありですか!?』

そんな朝倉のニクイ演出に参加者、主に男性諸君からは、

「誰が震えているって!? 麻帆良魂なめんな!」
「脱げビーム!? そんなおいし……いや、非道な行いを許してなるものか!」
「さぁ、大将! さっさと始めようぜ!!」

などと、ところどころですでに欲望丸だしなものもいるなかで、

『よくぞ言った! それでこそ麻帆良スピリッツ! では……ゲームスターーーーート!!!!』

その宣言とともに魔法使いに扮した生徒達は我先にと田中さんなどの機動兵器に果敢に挑んでいった。
魔法の杖やバズーカから放たれる光の光線によって次々と無力化されていく機械兵器。
ひとたびミスを犯せば男女問わずに脱げビームの餌食になる。
まさに本格的なスリルを味わえるこのゲームという名の戦闘に麻帆良生徒達は脳内のアドレナリンがかなり分泌されている高揚感を味わいながらも、何人もの生徒達がこう言った。

「わはははははは!! こりゃすげー! モノホンの戦争みてー!」
「ホントに金がかかってんな!」
「優勝賞金は俺達軍事研が頂くぜ!」
「させるかバカッ!」

などと、すでに満足感がかなりある内容になっていた。
そんな中で3-A生徒の桜子と美砂は脱げビームを食らってしまい、減点を食らってしまう。
それを見て眼福とばかりに男子たちは鼻血を流しているものが複数。
パンイチだけの姿になるのはかなり恥ずかしいものである。








そんなゲーム(戦争)が開かれている中で、ヒーローユニットであるアスナ達はネギとカードでの念話ができない事に懸念を抱き、古菲にネギを迎えに行って!と言って、古菲とカモはちょうどその場にいたあやかとまき絵の両名も連れて走っていった。

そして当のいまだに回復していないネギを見守っている一同はというと、夕映がある事を言い出す。

「超さんとネギ先生の事に関係している事ですが……」

夕映の口から話される超のテロ…いやそれをもはや超越している『革命』と呼ぶにふさわしい行為。

第一に、今現在、世界各地で様々な紛争などの問題に苦しんでいる人達を魔法があれば救えるのではないか?
第二に、超が本当にネギの子孫で未来人だと仮定して、この革命の帰結として不幸な未来の回避を狙っている。
この二点の事に関してネギは悩んでいるのではないかと夕映は推論する。
それを踏まえて夕映は今のネギに対する論理的根拠を提示できると千雨に言う。
千雨はというと、

「あ? そんなもん、こいつが起きたらお前が言ってやれよ!」
「しかし、これは私の持論であってネギ先生が納得するか分かりかねます…」
「別にいいんだよ! あっちの高畑にも聞かされたろ。こいつにはお前の言葉が必要なんだよ。でないとこいつは未来での高畑の二の轍を踏んじまうぞ!」
「…………」

夕映はそれでいまだに寝込んでいるネギを見て考えを深めていく。









場所は戦場に戻っていき、次々と襲い掛かってくる機械軍団を前に劣勢を強いられている生徒達。
と、そこにまるで戦士のような恰好をしたアスナとまほら武闘会での恰好をした刹那の二人が突如として現れて、アスナは一刀のもとに六足歩行の機械兵を真っ二つにして、刹那は百烈桜華斬を放って軍団を次々と切り裂いていく。

それを間近で見ていた裕奈は、

「あ、アスナ!? それに桜咲さんもなにやってんの!?」
「なにって、ヒーローユニットよ。パンフに載ってない?」
「あ、ありましたです…」

ヒーローユニットの説明をしながらも、

「そのうち士郎さんとかも出張ってくるから安心して戦っていてよ、裕奈」
「士郎さんも!?」

それで驚く裕奈達。
そう言いながらもアスナは京都での士郎の戦闘を思い出して思わず笑みを浮かべていた。
数の暴力というべきあの鬼達の軍勢にも臆せずに次々と葬っていく驚異的な戦闘力を誇る今の自分達では到底辿り着けない境地に立っている士郎の姿を。
今までそれで何度も助けられてきた事か…。

「それじゃ、私達はもういくね! 頑張ってねみんな!!」
「では!」

そう言ってアスナと刹那はその場から普通の人間から見たら驚異的なジャンプ力を発揮して跳び立って行った。
そして始まるヒーローユニットという名の麻帆良学園魔法関係者による機械ロボ軍団の蹂躙劇。
それによってどんどんと撃破されていくロボ軍団。
いっけん、優勢に見えると思うだろう。
しかし、静かに…しかし確実に悪魔の手が忍び寄ってきていた。



モニター室で監視していた夏目と明石教授の二人が騒ぎ出していた。

「ハッキングを受けています! このままでは学園結界が陥落します!!」
「なんだって!?」

人の技とは思えないほどの速度で麻帆良学園の心臓部にハッキングを仕掛けてくるものがおり、それによってついに学園結界が停止した。
それによって、つまり悪意あるものの侵入が容易くなるという事と同義であり、普段なら能力も制限されてしまうものの、今限定で力を存分に振るえるとも言える。

そして、超の切り札がついにその姿を現した。
麻帆良湖から突如として水しぶきが発生して次の瞬間には六体のスクナもどきが姿を現したのだ。

「な、なにあれー!?」
「でけぇ…ッ!」
「こんなんありかよ!?」

生徒達が騒ぎ出す中で、そのスクナもどきの一体が口部分からなにかの力を溜めているように見られるのを確認した円は「ゲッ!?」と焦るも、反撃をする余地もなく、それは放たれた。
その極太脱げビームによって大勢の生徒達が一気に脱がされてしまう。
一気に情勢は傾いた瞬間であった。





◆◇―――――――――◇◆





side 衛宮士郎


あれが例のスクナもどきか。
参加者に実害がないのは幸いだが、やはり一般人に被害が及ぶのはやはり心苦しいものがあるな…。
まぁ、いい。
ならば派手に盛り上げてやるさ。
念話もできないから情勢は分からんが、一体は補足した。
話によると頭は破壊しない様にと言われた。
なんでも機械で制御されているスクナもどきが頭を破壊されたら暴走するかもしれないからと。
制限があるのも心苦しいが、ようは頭を破壊しなければいいのだろう…?
ならば、まずは、

「…いくぞ。『剣製の赤き丘の千剣』! 魔力地場、展開!」

剣製の赤き丘の千剣に乗りながらも剣は魔力の防壁を纏っていく。
そして、

「燃え上がれ! いざ、吶喊!!」

俺を剣ごと覆う炎のバリアーとなり、スクナもどきへと吶喊を決め込む。
そこに朝倉の実況が聞こえてくる。

『あの高速で飛来する炎の塊はなんだ!?鳥か、UFOか!? 果たしてその正体は!!』

そんな実況をBGMに聞きながらも俺は構わずスクナもどきへと突撃する。
一瞬、固い膜に当たった感覚を味わったが、構うものか。

「構わん! 突き進め、剣製の赤き丘の千剣!!!」

強引に突っ切った瞬間に背後を見ればスクナもどきの胸に大穴が空いていて静かに地面に倒れていく光景を目にしながら炎の魔力地場を解除する。
そして俺の姿は周囲の目に晒されるが、今回に限っては演出という事で、まぁバレることはないだろうと祈るばかりだが…。

『炎の塊から姿を現したのは麻帆良学園女子中等部、あの子供先生の補佐をしている副担任、まほら武闘会でも活躍した今噂の『死の鷹(デスホーク)』の異名を持つその人、衛宮士郎だぁあああああーーーーー!!!!』

なかなかに恥ずかしい実況をしてくれる。
なぜか下の方では、

「おおい!?あのデスホークも参戦か!?」
「レッドの兄ちゃんだ!」
「エミヤーん!!」
「俺達を救ってくれー!!」

と、叫んでいる生徒達が多数見られる。
うむ。まぁ、元気があって大変よろしい。
それで景気づけに今大穴を空けたスクナもどきに追い打ちとばかりに、

「さて、手を緩めるわけにはいかんのでな…。I am the bone of my sword(体は  剣で 出来ている)―――……千剣よ。解放!!」

瞬間、俺の周りに大量の剣が姿を現す。
それで見ていた生徒達は息を呑む声が聞こえてきたような気がした。
だが気にせずにさらに、夢の世界でエヴァに使用した方法をここに顕現させる。

「集まれ、すべての武器よ…一つとなりその身を巨大にせよ!」

一瞬にしてそこにはスクナもどきを上回る大きさの剣が出現し、轟々と燃え上がっていた。

「いくぞ!秘儀・巨人殺し!!」

こんな時のために開発したわけではないのだが、ちょうどいいだろう。
それでスクナもどきに頭以外を狙って落とし、地面に串刺しにする。
スクナもどきはそれでもなんとか再生しようとしているが、常時巨剣が燃え盛っているために随時ダメージを負っていくという優れモノだ。

「これで当分は動けないだろうが……さて、他のスクナもどきも対処しなければな」

そんな時だった。
下の方から椎名の声が聞こえてくる。

「おーい! 士郎先生、かっこいいよー!」
「桜子達か。お前達もくれぐれもケガをしないようにな。こいつは当分動けまいからな」
「はーい!あ!? 先生、なんか迫ってきてるよ!?」
「なに!?」

見れば目先には黒い外套の俺が迫ってきていた。
あいつはランサーが相手をする筈だった予定なのだがな。
やはり優先目標の対象は俺らしいな。

「よかろう。お前はやはり俺が倒さないといけないようだしな」

それで俺は千剣に命じてあまり人がいない場所へと移動を開始する。
奴もそれで素直に付いてきているようだからよかったものの、大衆がいる中で宝具などをブッパしないでよかった…などと安心している俺がいた。
さて、それより姉さんとランサーは、それでは今なにをしているのか…?
こういう時にレイラインでの念話もできないのが本当に心苦しいな…。

『おおーーーっと!!デスホークは新手と交戦開始のようです! どんどんと離れていく!!』



◆◇―――――――――◇◆



side 衛宮イリヤ


シロウも派手にやっているわね。
念話はできないけどカズミの実況がいい感じに聞こえてくるから安心していられるわ。
でも、やっぱりこっちには目もくれてくれないのね、あの謎のエミヤは…。

「なんだよ、つまんねぇな…。こりゃ俺はいざって時の保険で終わっちまうかな?」
「そうね。ランサーならあんなデクの棒なんて一網打尽にしちゃうでしょうしね」
「まぁな」

ランサーとそう軽口をしている中でも、この距離なら念話もできるみたいで、

《ランサー。そろそろ来ると思う…?》
《ああ。なにやら知っている怪しい気配が近づいてきているようだぜ》
《そう。それじゃ盛大に迎えてあげないとね♪ どのくらいの呪詛が籠もっているのか私にも把握できていないから実験台になってもらいましょう》
《それはいいな。奴の苦しむ姿を見れるなんて滅多にねぇからな》

そんな会話をしつつも、私とランサーはわざと油断を装って構えている。
そしてついにその時が訪れた。
一瞬、なにかの悪寒に襲われた私だったが、そこで悪魔祓いのコートが本領を発揮したのかなにかが弾かれていくのを感じてその方向へと目を向ければ、

「ぐ、ぐむぅっ!? なんだ、体が溶ける!? 魂が穢されていく!? なんだこれは…!?」

そこには一体の悪魔……いいえ、コトミネの姿があった。

「あら…コトミネじゃない? また会ったわね」

私はそう平静を装って声をかけるが、今にも笑いだしてしまいそうな感覚に陥っている。
ランサーも同じくなのかニヤニヤと笑みを浮かべて地面に転がって悶えているコトミネを見下している。

「…………なぜだ。なぜバレた? それにそのコートはなんだ…?」
「教えないわよ。まぁしいていうならあなたを殺すための手段と言えばいいかしら?」
「なるほど…。どこでバレたかは知らんが、いいだろう。憑依して言い様に操ってやろうと思ったが、止めだ。相手をしてやろう…」
「いいのかよ。今現在進行形でてめぇの体も魂も溶けてんだろ?」
「構わんさ。なんせ今の私はただの分身体……すでに今の事も本体に情報はいっている事だろうよ」

そう言ってコトミネはニヤリと嗤う。
嫌な笑みね…。
こちらとしてはコトミネがどんな能力を持っているのか把握しておきたいところだけど、分身体じゃ無駄骨かもしれないし。
ただ、分かっているのは現在では分身体を作れる能力と指定した相手に憑依して操るといったものかしらね。
あ、あとはアンリマユの泥もあったわね。
まさに悪魔らしい能力で反吐が出そうだわ。

「そんじゃてめぇをこの場で殺しても無駄って訳か」
「そういうことだよ、ランサー。だが、ただでやられるほど私も落ちぶれていないのでね。衛宮士郎は仕留められんでも、せめて貴様達だけでも葬って衛宮士郎が絶望する顔でも見させてもらおうか」
「そんな事はさせねぇぞ…?てめぇはここで散れ、言峰」
「フフフ……では、やり合おうとしようか、ランサーにイリヤスフィール…」

そう言ってコトミネは私達にかかってきた。
シロウ……こちらは私達でどうにかするから、謎のエミヤなんかにはやられないでね…?
私はそう祈った。

 
 

 
後書き
いい感じに切れましたね。
次はネギsideですかね。 
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