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Re:ひねくれヒーロー

作者:無花果
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第一部
死と共にはじまるものは、生である
  愛は死よりも、死の恐怖よりも強い

 
前書き
◇◆◇注意事項!!◇◆◇






この作品”ひねくれヒーロー”は原作コミック58巻までの知識を元に書かれています

この作品内ではトビ=うちはマダラのままです

ですので、59巻で発覚するトビのことは無視しています
思いっきり無視です


結局お前は誰やねんのツッコミと共に59巻を読みました
残念ながら無花果はコミック派ですので、これから内容修正はきついです、心が折れます
というわけですので、トビ云々はまるめてポイします


この作品内ではトビ=うちはマダラのままです

ご了承ください



「愛は死よりも、死の恐怖よりも強い。

愛、ただこれによってのみ人生は与えれられ、進歩を続けるのだ。

――ツルゲーネフ――」
 

 




地球温暖化が各地で叫ばれる最中、猛暑日が続くとある日——

ある高校に異変が起きた

1人の男子生徒を担架に乗せ、慌ただしく保健室に運び込まれたものの――
部活の仲間や教員たちが青ざめた顔で祈る中、手当ての甲斐なく熱中症で死亡した
黄色い太陽が焼き尽くしたような、そんな夏の日

まさか、口酸っぱく注意されていた熱中症で死ぬことになるなんて思いもしなかった
先生、職員会議もんだな・・・
いや、絶対それだけじゃ済まないだろうけどさ
悪いことしちゃったな


死んだっていうのに軽すぎるかもしれないけれど
今は本当にそんなことはどうでもいいんだ


目は見えず、瞼が上がらないのだと気がついたのは何時だっただろう
真っ暗な中で柔らかな何かに包まれている
すぐ傍から聞こえる鼓動が、自分の物ではない音がこれが現実なのだと知らせている
優しい音にまどろみながら、時折手足を動かす

あまりに小さな手足が動くことはほとんどなかったが、優しい音が嬉しそうに跳ね上がるのを聞いて微笑んだ


突如轟音が鳴り響き、驚いて瞼が開いた


その目が写し出したのは、何処かで見たことのあるもの
目の前の光景が明らかにおかしい
彼方には、見たことのある額当てにべスト、手裏剣やクナイを使った牽制攻撃、もはや目では追い切れない回避行動
此方には、これまた見たことのある黒マント姿の男たちで、赤い雲が刺繍されている

マントを靡かせながら次々に人外的な攻撃を繰り出している
これが走馬灯なのだろうかいや絶対違う
巷で噂の・・・トリップとかいう奴だろうか
ここは神様が現れるのがテンプレだろうに、何をしているのか

現実逃避がてらまだ見ぬ神への暴言を考えた
熱い何かが体に突き刺さり、再び闇の中に落ちていく
転生という言葉が脳裏をよぎり、不安と共に身を捩る
微かに聞こえた、けたたましい狐の泣き声が、何時までも耳にこびり付いた


傷口からとめどなく溢れる血を拭おうとした処で、俺の意識は途絶えた







誰かの声が聞こえる
甲高く、それでいてか細い泣き声
声の主を探そうと目をあけようとして違和感に気づく
瞼がひどく重い
とてもじゃないが自力では開けない

怪我の影響だろうか、包帯でも巻かれているのだろうかと考えているうちに、突如腹部が熱をもった
じんわり、いや、そんな優しいもんじゃない
熱を認識した途端、激しい痛みが俺を襲い、その衝撃で微かに瞼が開いた

ターバンの上に額当てを付けた青年と、まるで汚らわしいとでも言わんばかりの目を向ける、白衣の中年たち
いつの間にか泣き声は止んでいたのだが、こいつらが泣いていたわけではなさそうだ

三日月が掘られた額当て

そんな額当てがあっただろうか
もう長い間ナルトは読んでいないから新キャラだろうか、それともアニメのお約束、オリジナルだろうか
現実から逃げるように他愛ない事を考える


「・・・泣きもしないとは・・・気味の悪い器だ」

「いや全く・・・九尾の人柱力といえども、もう少し赤子らしさが見たかったですな」


九尾?
人柱力?どういうことだ、ナルトはどうしたんだ、四代目はどうした、お前らは何者だ?
どうして器と言って俺を見てるんだ
疑問が胸にうずまき、叫びは言葉にならずただ音となってかき消えた

「封印は無事に施された
 しかし適合するかどうかはまだ分らぬ
 地下神殿にて隔離せよ」

ターバン男が俺を抱き上げ、白衣の男たちに指示を出す
いくら忍者といっても、簡単に横抱き出来るほど俺は小さくなかった
俺は転生したのか?
赤ん坊から、一からやり直しなのか?


「畏まりました
 もしものために医療忍者を数名傍に付かせます
 ・・・里長、姉君の、・・・御遺体はどう処理いたしましょうか」

酷く言いづらそうに、合間合間に青年を見る

「我が姉と言えど、こ奴は先代人柱力
 他里に暴かれぬよう荼毘にふし、地下神殿に無縁仏として処理せよ」

短い返事を残し白衣の男たちは去って行った
麻袋に詰められたナニカを持って

「・・・恨むなら、好きなだけ恨め
 お前から平凡な人生を奪ったこの叔父を、この月隠れの里長を・・・恨んで生きていけ」

男は震えながら俺を抱きしめて、諦めたかのように呟いた
一体何を諦めているのか
オレにはわからないことだらけで、ただこの男を静かに見つめることしか出来なかった

叔父だと言ったこの男を恨むには、この人は少し優し過ぎて恨めないと思った









今日は6度目の10月10日
この世界に転生した最初の日、俺の誕生日

太陽の当たらぬ地下神殿、そこが俺の唯一の居場所
大いなる化け物を、尾獣を封印している巫子さまとして恐れられ、敬われ、軟禁されている
供え物を運んでくる周辺住人と面会する以外、何一つすることがない

いつも傍で控える、医療忍者から情報を収集することで暇をつぶし、愚痴をこぼす
分っていることは、この世界はNARUTOによく似た別世界だということ

木の葉という里は存在しないということ、そもそも火の国自体が存在していないこと
この国は火ではなく、日の国、太陽神を奉る小国
そんな太陽神のもと、御国のために働く月隠れの忍び里

ここが、俺の生まれた場所

そして今日、誕生日でありながら悲しいお知らせが届いた

戦争兵器として扱うべく、大切に、しかし放置気味に育成されていたにも関わらず
俺には忍者の才能がない、との判断が下され一生幽閉されることが決定した

理由は簡単

チャクラコントロールが出来なかったのだ
いや、そもそも文字を習得しただけの段階で、教科書だけでチャクラとかいう意味のわからんものをコントロールさせようというのが間違いなのであって!
俺自身に問題はない!・・・と、断言出来ればいいのだけれども
虚弱体質である俺は、生まれつき忍者に向いていないと言われていた

九尾が入ったまま、地下暮らし
出来ることは読書(宗教関連のみ)だけ

思わず涙が出てくる

せめてもの救いは、九尾が割と友好的だということだろう
いや、もっと小さい頃は体を乗っ取ろうと、画策してたらしいのだが
精神世界で殺気を向けられる度に失神、発熱、生死の境を彷徨うという流れが確立し、こりゃいかんと
こいつこのままだと死ぬわと思った九尾
どうやら少しばかり・・・絆されてくれたようです

その発熱の影響か、俺の記憶はここ最近まで混乱が見られる
そして九尾=命に関わるという図式が体に刻みこまれたため、声をかけられただけで気絶する始末
完全にトラウマですありがとうございました
最近は少しマシになってきたのだけれど、声を荒げられるとすぐ気絶してしまう

いいよ不貞寝するから
それぐらいしか出来ないからな

傍に控える医療忍者から毛布を受け取り、祭壇の前で寝ころぶ
え、罰あたり?
昔っからこうだし、怒られもしないから大丈夫じゃないかな

チャクラコントロールが出来たら、もっと俺違ってたのかな
 才能 があったら、ナルトみたいにアカデミー通って、友達作れて、忍者になれたかな
せめて体が丈夫だったら、ロック・リーみたいに体術で頑張れたかな
なんで俺、こんな体に生まれてきたんだろう


才能があれば
もっと丈夫な体なら
・・・そもそも、転生なんて、なければ

こんなことには、ならなかった

妬ましい、とはこの事だろうか
憎い、とはこの事だろうか

なんで俺をこんな風に転生させたんだろう神様は
見たこともない、居るのかもわからない神をただただ信じて
なかば八つ当たりのようにその存在にケチつけて
頭を抱えてしまったりして

「・・・ううっ・・・」

抑えきれない嗚咽が零れる
なんでもないのに、こうなったことは仕方がないのに
毛布にくるまり、口元を押さえる
泣けば全部すっきりする
いやな気持ちは、全部涙が溶かしてくれる
そう信じて、泣き続けた







暗く、黒い涙が落ちてくる
この狭いとも、広いとも言える牢獄に溢れだしている

どうしようもない恨みと妬み、そしてほんのわずかの怒りが溢れている

あの小さな宿主が泣いているのだろう
正気を取り戻して泣いている

「・・・哀れな仔・・・」

先代の宿主は、かように脆弱なものだっただろうかと溢し、尻尾で涙の洪水を一掬い
鈍い音を立てて、毛どころか身をも焦がした


大いなる獣よと、大妖怪よと讃えられた、この我の身を焼き尽くす涙


凝縮された恨み
我以上の恨み


「本当に・・・哀れな・・・」


せめて最後まで、天寿を全うするまでは守ろう
それが狂わせてしまったことに対する、せめてもの償いのはずだから
今度こそ、守ってみせよう









長く短い月日が過ぎ、18歳の誕生日が来た
相も変わらずの軟禁・地下生活

度々吹っ飛ぶ記憶に、自分に障害が出来ていると理解した
肉体的なもの以外に、精神にも異常が見られることから、生来の虚弱体質が原因だと断言できない

九尾の声・・・あぁ、そういえばパルコと呼べと言われたっけ
尾獣・パルコの呼びかけがある度に発熱するのが、異常の原因なのか
虚弱体質か、それともこの地下での軟禁生活か

あるいはこれら全てが原因なのか
少しずつ俺の心は壊れていった


パルコの言では、このままだと俺は30歳ぐらいで死ぬ確率が高いようだ
熱に魘されながら、早死にやだなーとおぼろげに考えていた日が懐かしい

きっと、今日にでもオレは死ぬのだろう
腰元に迫りくる水を眺めながら、椅子に座した


昨日初めて知ったことだが、なんとこの世界にも”暁”は存在していたのだ
ここ最近信徒さん来ないし、里上層部も傍付きの医療忍者も慌ただしいので聞いてみたところ

この国、他国と絶賛・戦争中だそうです

昨日、敵国の雇われ集団”暁”に襲撃されたそうだ
そして本日未明、暁による地下神殿への襲撃が始まった
傍付きの誰かと暁が交戦したらしく、水遁が使用され神殿中水浸しだ

原作でも傭兵として雇われていた暁だが・・・この世界でも同じらしい

ということは、だ
尾獣狩りも行われている可能性がある

木の葉の里ないけど、マダラとかいるの?と思ったけれど別人が黒幕かも知れん
予想でしか考えられないが、人柱力である俺が狙い・・・なのか

もしそうなら、近いうちに尾獣を抜かれて俺は死ぬ

里の人間は助けてはくれないだろう
我愛羅のように、命をかけてくれるような人は・・・いないから







「九尾の人柱力か」

ついにやってきた雲の外套の男たち・・・って、八人もいる?
2人一組じゃなかったのかお前ら
たった一人の、無力な人柱力相手に大人数で囲むとは・・・大人げねぇ
俺に戦闘能力があれば原作知識で逃げ切れるんだろうけど

病弱巫子様の噂は他国にも流れてるって聞いていたから油断してくれないかな

しかし原作通りのメンバーだな・・・いないのはペインと小南の2人か
トビがいるということは原作通りマダラが黒幕かな

「・・・なー旦那、あれマジで人柱力かな?
 なんかすげえチビなんだけど、うん」

生”うん”頂きましたありがとうございます
しかしサソリはヒルコの姿か
ご婦人方の間で美少年と名高い本体を見てみたかったな

「・・・小さすぎるな」

「やっぱり?座ってるからかなーって思ってたんだけどさ、うん
 鬼鮫の腰ぐらいしかないよな、うん?」 

そんなに身長が気になるんだったら立ってやるよ勝手に測れ

「あ、立ちましたよデイダラセンパイー
 うわ、ちっちゃ」

「・・・大体140㎝といったところだな」

「肉食わねえからじゃねーの?
 ほら、坊主とか肉食禁止してんだろ?」

「えーっ太陽教にそんな戒律ないっすよー
 ボク信徒だから知ってますよ!」

なんだかノリがとてつもなく軽い
原作の凄味はどこへやったんだ
飛段とトビはともかく、角都、目測で身長を当てるな悲しくなる
あと、トビお前信徒なら一度はオレと出会ってるんだよな?参拝しに来てるはずだよな?
いつ来てたんだお前
ギャーギャーと敵地で騒ぎだす男たちを押しのけて、1人前に出てくる

・・・イタチだ

「信徒として非常に心苦しいが・・・巫子殿、抵抗せず御同行いただこう」

トビいや、マダラもイタチもうちの信徒?
うちは一族は月隠れに住んでいたのだろうか
この世界における木の葉隠れの里は月隠れの里ってことでいいのか?

・・・どうでもいいか

両手をあげて降参のポーズ、意味は通じたようだ
水の抵抗により、足取りは格別に重く、牛以下の歩みでイタチに近づいて行く

——宿主、正気か?! 彼奴等に大人しくついて行くなど、何を考えているのだ!——

パルコの切羽づまった声が響く
ズキズキとした痛みに顔を顰める
直に発熱して、倒れてしまうだろう
だけど、今は、今だけは倒れちゃだめなんだ

何も出来ない俺が出来る、唯一の意地の張り所なんだから
胃の腑から何かがせり上がってくる
何か、それをオレは知ってる
慣れ親しんだそれは喉を逆流し、口の端から垂れ下がる液体となった

「・・・暁の、目的は———」

わずかに目を見張ったイタチを尻目に、問いかけた
真っすぐ天をさし、疑問を浮かべた男たちがその指に注目する
口を開くたびに赤い飛沫が眼下に見える

トビに向かい、問いかける

「———月か?」


———何を、宿主よ、何を知って———


九尾の困惑、迫りくるトビ
あぁ、やっぱり原作と同じだったんだ
熱が上がってきたのがわかる、もう立っていられない
目にも止まらぬ速さで俺の顔を覗き込んだその目は、赤く、ぎらついていた
軽く笑ってみたら、有無を言わさず気絶させられた


良いさ
なにも全てがお前の思う通りにはいかないと知ってもらえれば
弱いオレが、目的を知っていたのだと言い表せぬ不信感を持ってもらえれば

それで良い










何がどうなったのか
我が精強なる月隠れが、傭兵集団ごときに敗れ去るというのか


眼下に項垂れる負傷者たちにかける言葉も見つからず、里長としての責務も忘れて神殿に向かう


あの地下神殿が顕在であれば、他国に散らばる信徒たちを焚きつけて奴らに対抗する事が出来る
早く、早くと焦りすぎたせいか、側近たちは周りから姿を消していた
しかし、早く到着する事が出来たことに安著したのも束の間のこと


信徒用に作られていた、重厚な石造りの入り口が無残にも爆破されていた
神殿関係者のみに教えられる出入り口から地下へと降りる

クナイや手裏剣、爆発や様々な術の痕跡
地下に降りるたび、その傷跡は深く、激しい戦いがあったことを知らされる

水浸しとなった大広間へとたどり着き、柄にもなく叫んだ
仮面の男が子供、いや、小柄な青年を抱き上げている
口から血を流し、青褪めながら気絶しているその青年は、まぎれもなく我が里の人柱力で——俺の唯一の甥であった

「その子を離せッ!」

仮面の男は振り返ることもなく、人柱力を連れて消えた
また、周囲にいた男たちもそれに習うかのように消えていった


負けた

完璧な敗北だった


里も守れず、甥すら守れなかったのだ
これを負けと言わず、何だというのか






守ってみせると誓ったのだ
他の誰でもない、自分自身に誓ったのだ
あの仔を守ると誓ったのだ

誓ったというのに、何故我は何もできない?
何故助けてやれない?

拷問を受け、我を抜かれ死を待つだけとなったあの仔を、どうして助けてやれないのか
トビと呼ばれた仮面の男が、黄泉路へ旅立とうとするあの仔を引きずり上げる

切り刻まれた体、首に絞め跡、幻術を見せられた虚ろな目、毒が混じりあい濁った唾液が滴り落ち、手足は砕かれ爆破された

何の抵抗も出来ないあの仔を助けられない
何が尾獣か、助けることもできない無力な獣が、何が尾獣か


必死に模索する
助ける術を、見つけなければならない
ふと、記憶の隅に追いやった術を思い出す
時空間忍術、まだ我は完全には封印されていない、チャクラの使用は可能だ

出来る、守れる!
藁をも掴むかのように、チャクラを練り上げる
彼奴等に気づかれない前に、早く、逃がさなければ——

「・・・九尾め、時空間忍術を利用したところで——人柱力はもう持たんぞ?」

仮面の下で嘲る声が聞こえる

「——あぁ、そうさな

 我が抜かれた、ただでさえ弱い体はもう、じきに果てる」

もう、心臓の音も止んだ
トビがまるで汚物を捨てるように投げ捨てた

「ならば大人しく封印されていろ」

そうそうニンゲン如きの思い通りになってたまるものか
いつもいつもお前達ニンゲンはそうやって我らを投げ捨てる
あの仔もそうだった

「抜かれて足りぬのであれば、詰めて満たせばよかろう?」

そう言って笑ってやれば、目が赤くぎらつきよった
全く、これだからニンゲンは好かんのだ

最後の術を発動させる

火があの仔を包み込み、我が尾を2本入り込ませた
もうこれ以上してやれることはない


あとはただ、成り行きを見守ろうぞ———







痛みと苦しみ、恨みと嘆きが合わさって胃の腑を燃やした
そのジクジクとした熱さが、黄泉路への灯火だということを知った

白い柔らかなシーツの冷たさが、体の火照りを冷ましてくれる
なかば炭化していた右腕を動かそうと力を込める
診てくれた医者の腕が良かったのか、なんとか動かせた

「・・・あ゛の゛ばぐばづま゛・・・
 いづがぜっでーなぐ・・・げほっ」

口内に溜まった血で噎せ返る
2、3分ほど噎せ続け、ようやく落ち着いた


――何をやっていたんだろうか
意地をはったところで、現状をひっくり返せる力を持たない俺に何が出来たというのか
結局マダラに警戒され拷問を受け、洗い浚い吐いただけじゃないか
そうして死を待つだけの俺に、あの狐は何を考えていたのか
なんで俺なんかを助けた

お前なんか嫌いだったのに、恐がったのに

涙が溢れて止まらない


「おぉ、起きたか!」


白髪に赤い隈取り、眩しく笑った老人は、伝説の三忍・自来也
手に水の入った桶に真新しいタオル、どうやら助けてくれたのは彼らしい
礼を言うことも忘れ、溢れる涙をぬぐうことも忘れ、ただ呆然と口を開いただけだった




え、これ、どういうこと


 
 

 
後書き




というわけで始まりましたリメイク版ひねくれヒーローでございます
まだ旧ひーローとの違いはそんなにありませんけど


 
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