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星河の覇皇

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第七十三部第四章 風雲急その五

「そうしてくるので」
「その軍隊に勝つ為にはだ」
「エウロパを守る為には」
「数と装備の違いをカバーする為にな」
「強い軍隊であるべきだ」
 是非にというのだ。
「だから軍隊を鍛え上げているのだ」
「訓練に次ぐ訓練で」
「また忌々しいが」
 この前置きからだ、タンホイザーは話をした。
「日本軍の話になるが彼等はその点凄かった」
「凄まじい訓練を行っていましたね」
「選んだ精鋭をさらに鍛えていた」
 徴兵制だったが誰でもいいというのではなかった、身体検査で甲種即ち優良な者からさらに品行方正な者を選んでいたのだ。
「それを見るとな」
「我が軍もですね」
「まず我が軍は志願制だ」
 この辺りサハラ諸国の多くとは違う、エウロパは千億の人口から十億の軍勢を持っているが志願制で人員を確保している。このことは建国以来のことだ。
「そこで合格した者達を鍛えている」
「そこは日本軍と同じですね」
「そうだ、しかしエウロパ軍はだ」
「その日本軍以上にだ」
「訓練に訓練を重ねてですか」
「精強な軍隊にすべきだ」
 こう言うのだった。
「エウロパ戦役以前以上にな」
「そうされますか」
「日本軍はとかく強かった」
 その強さは最早伝説の域にまで達している、大戦中の日本軍の強さは超人の域までだったと言われ手いる。
「その日本軍以上に強くないとだ」
「連合軍の物量には勝てませんか」
「彼等は幸い好戦的ではない」
 このことはエウロパも知っている、彼等はあくまで貿易や開発開拓優先なのだ。
「だから相当なことがないと我々に対してもだ」
「再び、ですね」
「攻め込むことはないだろう」
「あのステッラ事件の様なことがなければ」
「そうそうはないが」
「しかしですね」
「用心は必要だ」
 そしてその用心の為にもなのだ。
「我が軍は強くないとならない」
「自分を守る為に強くなる」
「強そうな者に喧嘩は売らないな」
「はい」
 その通りだとだ、プロコフィエフも答えた。
「どうしても」
「そうだな、軍隊は何の為にある」
「国家、国民を守る為です」
 プロコフィエフは即答で答えた。
「何といっても」
「そうだな、その為にもだ」
「我が軍は強くなりますか」
「訓練によってな、我々は人口と国力で大きく劣っている」
 連合と比べるとだ、このことは歴然とどころではない。
「人口で四十分の一、国力で百分の一だ」
「恐ろしいまでの差ですね」
「その連合に対し守る為にな」
「強い軍隊ですね」
「それを維持する、そして今以上にだ」
「訓練を重ねて」
「強くなる、ではいいな」
「これからもまた」
 プロコフィエフはまた応えた。
「訓練をしますか」
「そうだ、私もだ」
「訓練をされますか」
「私は宇宙艦隊司令長官だ」
 即ち軍の実働部隊の総指揮官だというのだ、この役職は連合でも他の国でもかなり重要な位置にある。 
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