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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ

作者:炎の剣製
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041話 悪魔襲来(後編)

 
前書き
更新します。 

 



「ならばもっと馴染みの言葉を言えば気がつくか? なぁ、エミヤの後継に聖杯の少女よ」

なぜそのことを!? と思う間もなくそいつは黒衣を力強く剥ぎ取った。
そして黒衣の下から出てきた顔に俺と姉さんは固まった。
そう…そいつの顔は、もう存在していないはずの男…『言峰綺礼』のものだったのだ。
次の瞬間、体中の血が沸騰するような錯覚に襲われそれに呼応して魔術回路も叫びを上げる。
…告げているのだ。俺の全神経が奴はここに存在させておいてはいけないと!
それによって思考は戻って冷静になってきたが、代わりに怒りが沸いてきた。

「貴様は、言峰!」
「やっとわかったようだな。しかし…正直言って私も驚いているのだよ。まさか凛のアーチャーの正体が貴様だったとは。ランサーが気づかないわけだな。未来の英雄だったのだから…」
「俺は奴とは違う!」
「なにが違うという? 姿形すべてはアーチャーそのものではないか」
「貴様!」
「シロウ! 落ち着いて!」

今にも言峰に向かっていこうとしていた俺に姉さんが静止の言葉が聞こえてきた。

「なぜ止める、姉さん!? 奴をこのままにしておいたら!」
「わかっているわ。でも、確認しておきたい事がいくつかあるのよ…」
「ほう、悪魔となった私に確認しておきたい事があるとは…面白い、聞いてやろう。聖杯の少女よ」
「…その“聖杯の少女”っていうのは癇にさわるからやめてくれないかしら? もう私はそんなものではないわ。それよりコトミネ、まず一つ目にあなたは私達と同じ世界のコトミネなの…?」
「そうだ」
「そう…じゃなんであなたは生きていて悪魔になったのかしら?」
「なに、そこの衛宮士郎に倒された後、私は聖杯の泥の中に飲み込まれたのだ。
だが、私はまだ死ぬ気はなかったために足掻いた結果、もとより協力な姿勢であった『この世、全ての悪(アンリ・マユ)』によって第四次聖杯戦争同様に私に生の猶予を与えてくれた。
もっとも聖職者である私が死徒になるのは予想がつかなかった事象だったがな」
「貴様のどこが聖職者だというのだ。それより今死徒といったな?」
「それがどうしたというのかね?」
「今、貴様は悪魔として俺達の前にいる。それではつじつまが合わないではないか…」
「ふむ、それは正論だ」
「では最後の質問よ。その悪魔化も含めてどうしてあなたはこの世界にいるのよ?」
「ふふふ…やはりその質問をしてきたな、イリヤスフィールよ。なに、簡単なことだ。
私は死徒になってからというものの隠遁生活を余儀なくされてしまった。
私の死も協会の奴等に知れ渡っていたからな。だが数年後、ある光明が見えた。
まさかあの最も芽がないとも言われていた遠坂家のあの凛が宝石剣を使えるまでに成長していたとは…」

遠坂の名が出た途端、背中に冷や汗が流れ出した。
まさか…もう遠坂は!

「まさか言峰…遠坂を洗脳したわけではあるまいな!?」
「ほう…中々の殺気だ。あれから五、六年はたったがこれほどまでにあの落ちこぼれが成長していたとは…」
「余計なお世話だ! それより俺は今遠坂に何かしたのかを聞いているのだ!」

もし、殺していたのならば俺は迷わず奴をもう一度殺す。その意を込めながら言峰を睨みつけた。
だが言峰は余裕の顔をしながら、

「いや、私は凛を殺したつもりはない…さすがに今の凛相手には分が悪かろうからな。
だが凛は面白いことを起こしてくれた。どうやらお前達をこの世界に送った後にまだ宝石剣の魔力の残留があり時空が不安定なまま放置されていたのだ」
「「………」」

思わず俺と姉さんはこんな時だというのにずっこけそうになった。
…まさか、遠坂のうっかりという呪いはそんなことまで起こしていたとは。

「それであの世界も飽きていた私は平行世界に興味を持ちその歪んだ時空に飛び込んだ。
お前達は凛にパスを繋いでもらい今の状態のままを保っているが、
私は不正に侵入したものでな、世界からの修正を受けてしまった。だがそれは嬉しい誤算だった。
血を飲まなければ行き続けられない死徒から、まさか悪魔に姿を書き換えられるとは思っても見なかった」
「そうして今私達の前にあなたはいるわけね。コトミネ」
「その通りだとも。聖杯の少女よ」

姉さんは言峰の皮肉の入った言い方に眉を吊り上げた。
これはもうデンジャーな領域だな。

「そして、もう一人お前達にとっては懐かしい人物がいる。さぁ、こい。“ランサー”!」
「なに!?」
「ランサーですって!?」

俺たちが驚いている間にも言峰の後ろからあの懐かしい赤い魔槍を持ち青い軽装の格好をしたランサーが現れた。
だが、ランサーのその目はどこか虚ろであの飄々とした態度や覇気、生気は感じられなかった。
そう、まるで強制的に使役されて感情も封印されているような、そんな感じだ。

「さぁ。ランサー。お前の願いはなんだ?」
「…俺の、願いは……強い奴と……」
「そうだ。お前は強い奴と戦いたいがために召喚された。
そして今お前の目の前には格好の標的がいる…」

悪魔の囁き…
まさにそう取らざる得ないことを言峰はランサーに向かっていっている。
それに見た限り少し自我が残されているようだがその姿はとても痛々しかった。
あのランサーをここまで…

「言峰…! ランサーに何をした? ランサーは座に戻ったのではないのか!?」
「この世にとどめさせたのだよ。実を言うと私もランサーはギルガメッシュが止めをさしたものだと思っていたのだが…
ランサーは聖杯戦争が終わった後に死徒と化した私の前に突如として傷だらけの姿で現れた。
どうやらまだ私との契約が続いていたのが原因らしく生きていくには駒が必要と判断した私はランサーに泥を飲ませた。
それからは精神面で抵抗はあったが今ではあと少しで自我をも消えうせる頃だろう…」

淡々とした口調で言峰が話しているが正直俺の感情は沸々と怒りが込みあがってきていた。
すぐにでも言峰を倒してランサーを開放しようと疾走しようとするがそれはランサーが許すわけもなく立ちふさがり思わず舌打ちをした。
そしてランサーは目の光を失いかけながらも、

「てめぇ、は……アーチャー……ははっ! こいつ、は…いい……てめぇとの、決着はついて…いなかったな…」
「お前もこの身を見てアーチャーと呼ぶか、ランサー。
…いいだろう、それならご要望どおり全力で相手をしてやろう!
姉さん、言峰には常に注意を払っていてくれ」
「わかったわ。シロウも気をつけて…」
「ああ。ここで死ぬ気はさらさらないからな」

俺は後ろにいる姉さんに振り向かずに返事を返した。今後ろを向けばいつ刺されるかわかったものではない。
俺は27本のすべての魔術回路に火を起こしいつでもいいように設計図を展開する。
今の俺ではかつてのあの夜の校舎での一戦もできるか不確かな状態だからな。
そしてランサーは他のものに目をくれずに俺めがけて疾駆してくる。
操られていることもあり本気ではないにしろ尋常ではない速さは確かな事実。
俺は即座に干将莫耶を手に取りランサーと対峙する。
…まさか生きている内にあの一戦を再現する当事者になるとは思っても見ないこと。
内心苦笑をしながらもランサーとエモノをぶつけ合う。
ランサーの突きはまさにすべて急所を狙った鋭いもの。その正確無比な連撃は俺の予想を遥かに上回るといってもいいだろう。
対決を始めてから数分…二双一組である干将莫耶はゆうにその数は20を越えてあちらこちらに乱雑して転がっている。
無論、すべて砕かれたものや弾かれたものだ。
心眼と千里眼のスキルがなければおそらくもう俺はランサーの槍に貫かれるだろう。
あの槍には当たっただけでも傷の治りが遅くなる効果ができるため当たってやるわけにもいかない。
だが俺の戦法上、隙を作らなければ反撃を伺えることはまず不可能。
設計図にあの宝具もすでに装填は済んでいる。
後は出すだけだが言峰がなにをしてくるかわからない上、この連撃の嵐の中、そんなものを使えば大きな隙が生まれ即座に刺されるイメージは嫌がおうにも浮かんでしまう。
なにかランサーの動きを一瞬でもいいから止められるものはないか!?
俺はランサーと打ち合いながらも剣の丘で該当するものを検索していた。
だが、ランサーは急に構えを変えて槍に魔力を集束させていく。
マズイッ!?
ランサーは宝具を使うつもりだ。
悠長に検索している暇はない。
俺にできることは作ること。ならば最強の盾をすぐに投影しろ! でなければ俺は槍に貫かれる!!
すべての工程を速やか且つ迅速に済ませ、

「―――I am the bone of my sword(体は  剣で 出来ている)

後は手をかざし真名を唱えるだけ。
防げるかは未知数。だが、バックには姉さんがいる。だから、ここで倒れるわけにはいかない!


「―――突き穿つ(ゲイ)
熾天覆う(ロー)―――……」
死翔の槍(ボルク)――――!!!」
「―――七つの円環(アイアス)!!!」


ほぼ同時に放たれた真名。片方は必殺の一撃、もう片方は絶対の守り。
飛来するゲイボルクはアイアスに衝突した瞬間、一気に七枚のうち二枚は持っていかれ俺は姉さんからの魔力供給もあり残りの五枚のアイアスにも俺の全魔力を持ってして挑む。
それでも一枚ずつ砕かれていくアイアスの盾…勢いは止まることを知らずに次々と砕かれついには一枚にまでなってしまった。
だが、諦めるわけにはいかない!

「ウオオオオオオオオオーーーーーーッ!!!!」

姉さんの魔力も存分に流し込み裂帛とともについに最後の一枚を残しゲイボルクはその動きを停止させ地面に無音で落ちた。
ランサーはまさか防がれるとも思っていなかったのだろう。目を見開き驚愕の表情をしている。
だが、それによりわずかな願いでもある隙が生まれた。
悲鳴を上げる魔術回路に再度活を入れなおし俺は今無手のランサーに瞬動をして疾走する。
そして設計図に起こしていた歪の短剣『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』を投影し勢いよく突き刺し、


「“破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)”!!」


キャスターの短剣の真名を解放した。
それにより言峰との間の契約を解除されランサーは片膝をつく。
俺も崩れそうになるが必死に耐えてすぐに姉さんに目を配る。
了解したのか姉さんは令呪が浮かんだ手をかざし、

「“―――告げる!
汝の身は我の下に、我が命運は汝の槍に! 聖杯のよる辺に従い、この意、この理に従うのなら―――…”」
「っ!?させんぞ!」

再契約の呪文を唱えだした姉さんを殺そうとした言峰は先ほどの余裕もどこへやら…悪魔の姿をとり姉さんに襲い掛かろうとする。
だが、まだ俺の存在を忘れてもらっては困る。

来たれ(アデアット)!」

魔力が今ほぼガス欠状態の俺でもアーティファクトは出現させる事はできる。
それにより言峰の放ってきた泥を剣の防波堤で防ぐ。

「なに!?」
「この世界の俺の新たな力だ。先に進ませはせんぞ!」
「“―――我に従え! ならばこの命運、汝が槍に預けよう……!”」

そしてここに再契約の呪文は完成した。
それにより膝をついていたランサーの体から魔力があふれ出し、ゆっくりとゲイボルクを持ちながら立ち上がり、

「ランサーの名に懸け誓いを受けるぜ……!お前を新たな我が主として認めよう、イリヤスフィール!」

契約は完了された。
だが、もう俺も姉さんも魔力残量はゲイボルクの影響で残りわずか。
投影もままならないので俺は代わりに『剣製の赤き丘の千剣』を構え言峰を倒そうと身構える。
だが、それは自我を取り戻したランサーによって遮られる。

「おう、坊主…いや、もう士郎と呼ばせてもらうぜ。奴の相手は俺に任せろ」
「任せてもいいんだな?」
「誰にもの聞いてやがんだ? 長年の間、俺をとことん苦しめた言峰に止めを刺すのはこの俺だ!」
「わかった。正直、もう立っているのもやっとだから任せる…」
「おうよ!」

俺はランサー契約の際に横に倒れてしまっている姉さんのところに行き、

「大丈夫か、姉さん…」
「駄目ね。正直今はランサーに魔力を送るのが精一杯ってところ…」
「そうか。だが、もうランサーは負けないだろう。なにせ顔は笑っていたが目は底冷えするように怒りに満ちていた…」

そう、ここまでされてただでは終わらせないのがランサーだ。

「私に歯向かうか、ランサー?」
「はぁ? なにいってんだ、テメェ? もう俺とてめぇを縛るものは何もねぇ…よってここ数年何度も夢見た貴様を殺すという願いをここで果たす!」
「ふん、そうか。では私も相手をしよう。『この世、全ての悪(アンリ・マユ)』…!」

言峰はランサーに向けて泥を放つ。あれはサーヴァント全員には天敵とも言えるものだ。
触れただけで悪夢の中で溺死するだろう。
だがランサーはまるで紙を貫くようにその泥を払った。

「なに…? どういうことだ!? なぜ、サーヴァントである貴様にこの泥がきかん!」
「忘れたのか、言峰? てめぇは俺になにを飲ませたかを…」
「まさか…!」
「そう。もう俺にはそんなものは通用しねぇよ! この世・全ての悪だ? はっ! そんなもんはくそくらえだ! それより…いくぜ! その心臓…貰い受ける!!」

ランサーは槍を構えて魔力を集束させていく。
それで実感する。やはり先ほどのランサーは本気ではなかったことを…。
そして充填が完了したのだろうランサーは今まさに戦慄の顔をしている言峰めがけて疾駆して、

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!!」

対近接でのゲイボルクの真名を解放し悪魔姿の言峰の心臓を貫いた。
それによって心臓を破壊された言峰は哂いながら、

「まさか、飼い犬に噛まれるとはな…私も運がない、な…」
「無駄口叩いてねぇで…さっさと消えうせろ!」

ランサーは槍を引き抜き追撃とばかりに言峰を滅多刺しにした。

「ガフッ……私は、死なんぞ。ハハハハハハハハハッ…!」
「遺言ならきかねぇぜ!」

魂魄のことごとくを破壊されつくした言峰は最後に高笑いを上げながら体を飛び散らせた。
それを見届けたランサーの横顔はまさに勝利者の顔をしていた。
だが、俺ももう立っていられる事ができずに姉さんとともに地に体を預けていた。
そこにランサーが近づいてきて、

「よお、大丈夫か…?」
「お前からしてきたことだというのにそんなことを聞くかね?」
「それは悪かったよ。しかしてめぇは強くなったもんだな。本気ではないにしろ俺の連撃をああも防ぎきるとはな…」
「かなり死に物狂いだったがな…やはりまだアイツの背中は遠いということか」
「アイツっていうと、やっぱアーチャーの野郎か。しかし安心したぜ、お前はあいつほど捻くれていねぇからな」
「当然よ、ランサー。私は絶対シロウを世界になんか渡したりしないんだから…」
「がははっ! お前も幸せもんだな。伊達にあの聖杯戦争勝利者ってなわけないってわけか。しかし驚いたぜ。まさか俺のゲイボルグを防ぎきるとはよ…」
「代償は俺と姉さんの魔力枯渇だがな…それよりランサー、一つ聞いていいか?」
「ん? なんだ、士郎」
「お前は…今は姉さんの魔力もほぼないというのによく現界していられるな?」
「ああ、そのことか。確かに再契約していなけりゃ俺は消えていただろうよ。だが、それを差し引いても霊体化もできるが泥の影響で半分は受肉しちまってるからな。
それに俺はこの世界が気に入った。ここならてめぇの目指すものもあっちとは違いやりやすいだろうし…なにより今はもう俺も自由だから存分に戦えるしな!」
「あ、そのことだけどランサー。この世界でもあなたの存在は規格外もいいところだから本気で戦闘はしちゃだめよ」
「はぁ? まさか嬢ちゃんも言峰のようなけったいな命令する気じゃねぇだろうな?」
「まさか。そんなことはしないわよ。だけどなるべく派手なことはよしてね? それが守れるなら後は自由にして構わないわ」
「それなら上等だ。マスター命令しかと受け入れたぜ!」
「ありがとう、ランサー…それじゃ私達は当分横になっているからランサーも私の魔力が全快するまでしばらく霊体化しておいてね…」
「わかったぜ」

聞き訳がいいのかランサーは姉さんの命令通りに霊体化してその場から姿を消した。
さて、では俺も当分休むとしよう。
…そういえば、ネギ君達の方はどうなっただろうか?


◆◇―――――――――◇◆


Side エヴァンジェリン・A・K・マクダゥエル


「来たれ虚空の雷、薙ぎ払え!『雷の斧(ディオス・テュコス)』!!」

ネギのぼーやがヘルマンという悪魔を倒したところと、悪魔と化した言峰を倒したことによって倒れている二人を見届けて、

「ふん、両者ともに乗り切ったか…」
「内心ハラハラ半ばオロオロだったようですが…ネギ先生達も衛宮先生達も無事でよかったですね、マスター」
「茶々丸、いいかげんその突っ込みはよせ…」
「しかし…あれが士郎殿の本気でござったか。あの殺陣は凄まじいものがあったでござるな。しかも英霊とはまた…凄い存在でござるな」
「ケケケ、俺様モマザリタカッタゼ!」
「アイツはもう自由だから後で返り討ちにでもあってこい、チャチャゼロ」
「ヒデーナ、御主人!」

チャチャゼロの文句の声が聞こえてくるが今は無視をしておこう。
しかし、言峰という奴はとことん執念深い奴だったな。
まさか生きていたとは…しかしそれも今日限りでお開きだ。せいぜい地獄で笑っていろ。
ネギのぼーやは今回士郎と同じように過去の傷を開かれ、士郎達は天敵との再戦をすることになったがどちらもそれを越えた。
これからの奴等の成長もまた楽しみなことだ。

「…しかし、士郎の奴は新しい技法は使わなかったようだな。当然か、まだ身に着けたばかりのものだからそんなものより今までの戦いのほうがやりやすかっただろう」

そう小さく呟きながら私は微笑をしていた。


◆◇―――――――――◇◆


Side 近衛木乃香


せっちゃんが目を覚まして安心していたところに「士郎さん達は…!?」と言ってウチもハッとなってすぐさま探し出そうとした。
やけどウチ達の目の前に士郎さんの記憶に出てきたランサーさんが気絶している士郎さん達を抱えてウチ等の前に現れた。

「あなたは…ランサーさん!」
「お? 俺のことを聞いていたのか。なら話ははぇえな…マスターと士郎のことを任したぜ。俺は当分マスターである嬢ちゃんの魔力が回復するまで霊体化してるから事情はこの二人が目を覚ましたら聞くんだな」

そういってランサーさんはその姿をおぼろげにして霊体化した。

「え…ちょ、なに? 刹那さん、あいつはなんなの? 士郎さん達を抱えてきたと思ったらいきなり消えちゃって!」
「詳しく事情は話せませんがしいて言うなら士郎さん達のかつての敵だったものです」
「そうなんか、剣士の姉ちゃん? しっかし士郎の兄ちゃんがここまでやられるなんて相当すごい戦いやったんやな!」

小太郎君は笑っているけど今の士郎さん達になにがあったんやろ…?
目が覚ましたら嫌でも聞きださんとな!

 
 

 
後書き
言峰は死にました。しかし本当でしょうかね……。 
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