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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ

作者:炎の剣製
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037話 別荘での修行とネギの過去

 
前書き
更新します。 

 


Side ネギ・スプリングフィールド



アスナさんと仲直りが出来て南の島から麻帆良学園に帰ってきて修行をしていたら、なにやら士郎さんとイリヤさんが師匠(マスター)とともにお話をしていました。

「なぁ、エヴァ。そろそろネギ君をあそこに連れて行くのもいいのではないか?」
「そうね。いちいち教職の間に修行もそろそろ大変じゃない?」
「そうだな。まぁ…頃合か」
「あの、皆さんはなんの話をしているんですか…?」
「なに、ちまちま修行しても時間は有限でなかなか教えてやれんからな。だからそろそろ私の別荘に場を移すことにする」
「別荘って…そんなものあったんすか?」

カモ君も疑問の顔を浮かべている。別荘って一体どんなところなんだろう?
でも、連れて来られてとても驚いた。
ボトルシップに寄ったらいきなり視界が変わってそこはとても大きな塔の上でしたから。
それにここでは外の時間が一時間なら中では一日だというお話だからびっくりした。
士郎さん達はここを知っていたらしく「最初は俺もそうだったがそのうち慣れる」と言われたので正直に受け取っておいた。
なんでも士郎さんは師匠(マスター)の別荘を借りて鍛冶師の仕事をしているというのでアンティークコレクターとしてはとても興味を持ちましたが残念なことに現場には入らせてもらえませんでした。
士郎さんが言うには作業は企業秘密で他人に作り方を見られたくないし集中も出来ないとの事らしい。
それで僕は師匠(マスター)に修行をさせてもらおうとした前になぜか師匠(マスター)は士郎さんの血を吸っていました。

「な、なにをしているんですか!?」
「ん? なにとはこれのことか? 士郎にはここの鍛冶場を提供する代わりに血を献血程度だが飲ませてもらっているだけだ」
「そうだったの、シロウ!!?」
「ああ、うまく等価交換のレールに乗せられてしまってな…別にこれくらいならいいだろうと結局妥協したんだ。エヴァもネギ君の修行をする分の魔力量は回復するらしいから存分に鍛えてもらえ。それとエヴァ。なにかあれば呼んでくれ。俺は当分鍛冶場にこもっているから」
「わかったぞ」
「姉さんも修行をがんばってくれ」
「ええ、わかったわ」

士郎さんはそれをいった後、一人階段を降りていった。
でも最近よく士郎さんが鍛冶場にいるという話は師匠(マスター)に聞いていたけどこの事だったんですね。

「でも師匠(マスター)? 士郎さんはどうしていきなり鍛冶師の仕事を始めたんですか? 以前にやっていたという話は聞きましたけど…」
「そのことか。なに、対したことではないが士郎の作った作品達が本国の奴等にえらく気に入られて束で依頼が来たらしい。いずれは首都の軍にも配備されるだろうとじじぃが言っていたな」
「私達が南国に行っている間にそんなことがあったの…」
「ああ。ちなみにもう魔法世界では『鍛冶師エミヤ』の名は浸透しているらしいからな。なんでも本国の鍛冶師全員が士郎が作った作品にはお手上げ状態だからな」
「鍛冶師全員が!?」
「まぁ当然の反応でしょね。シロウの場合、宝具が作られた過程も解析できるからそれを見本に新作を打ち出しているようなものだから」
「今思うと旦那って…戦いより鍛冶師か料理人の方が向いてんじゃねぇか?」
「そうかもしれないけど…本人の前で言わないほうが良いわよ? カモミールの場合三枚に卸されそうだし」
「ひぃいいいっ!」

カモ君が悲鳴を上げているけど士郎さんって本当にそっちに向いているかもと思ったのは秘密だ。
そこで師匠(マスター)が「さて、ともかくもうこの話は終わりにして修行を開始するぞ」と言ったので、

「はい!」

と元気よく返事を返しました。


◆◇―――――――――◇◆


Side 衛宮士郎


ネギ君が別荘で修行をし始めてから数日…最近俺も入り浸っていて一日に一時間を何度も繰り返しているので時間の感覚が麻痺しているかもしれないがとにかく数日後、
俺は受け持ちの授業を終わらせた後、3-Aに向かってみるとネギ君はとてもやつれていた。

「大丈夫かね、ネギ君?」
「あ、はい。なんとか…それより授業も終わりましたし師匠(マスター)も待っていますのでいきましょうか」
「そうだな。だが別荘に行ったら一回休め。古菲との朝錬もあるのだから修行する前に倒れるぞ?」
「はい…そうします」

まだ少しフラフラしているので心配だが別荘に行けば休めるので大丈夫だと思い俺は一応倒れる寸前まで待つことにした。
その段階までいったら即ベッドに強制連行する心構えで持って。
それでネギ君に注意を払っていたせいだろうか? エヴァとネギ君、カモミールとともに歩いていたその背後に何人かの気配がしたが害意は感じないので見過ごしていた。
そして案の定、別荘の鍛冶場で鉄を打っていたら上がなにやら騒がしいので、俺はまだ体が炉の熱で冷え切っていなかったので上半身はなにも着ないで上がっていったら突如黄色い声が上がった。

「…なにごとだ?」
「そ、それより士郎さん! なんで上半身裸なのよ!?」
「ああ、アスナ。これか? ずっと鍛冶場で炉を前に鉄を打っていたからまだ熱が体にたまっていたのでな。申し訳ない、すぐに上を着よう」

俺は鍛冶場の隣にある休憩室から上着を持ってきてすぐに着た。
そこにネギ君や姉さん達もやってきたので俺は一段落も着いていたので休憩することにした。

「それより士郎さん…」
「なんだ、刹那?」
「先ほどの士郎さんの体に刻まれていた弾痕、刀傷、擦過傷…他にも「…そこまでだ、刹那」…すみません」
「いや、いい。別に気にすることはないからさ。戦場では別に珍しい傷ではないからな」

初めて体を見せたから驚かせてしまったな。
あまり自慢できる傷ではないからな。
そしてまずここはどこなのかという全員一致の質問にエヴァはだるそうに説明をしてやっていた。
それでアスナはまたネギ君の事を心配しだしたが、ネギ君の返答で渋々だが黙っていた。
やはり内緒にしていたのはまずかったようだな。
それからどういう流れになったのかテラスは宴会の場となっていて、さらになぜか俺が料理を作る羽目になっていた。
別に構わないが誰か手伝ってもらえないだろうか?
そんなことを考えているとこのかと刹那が手伝うというのでお願いした。
すると朝倉がベストショットとばかりにシャッターを押そうとしたが睨みで黙殺しておいた。

「ところで士郎さん。なにか武器を作っていると聞きましたがなぜいきなりこのようなことを…?」
「まぁネギ君や姉さんにも説明したのだが皆が南の島に行っていた間に学園長から魔法世界に送った俺の試作の評価がとてもよかったという話を聞いて、近々軍にも配備したいと束の依頼を受けたので同じものを数分作っていたのだ」
「はー、ようわからんけどとても士郎さんて凄い仕事を任されたんやね?」
「そうだな」

そしてどのようなものか刹那が聞いてきたので説明してやったらまた目を丸くされた。
何度も言われたので慣れたが、なんでさ? という衝動は耐えることは出来なかった。




しばらく宴会は続いていたがふと綾瀬がエヴァに「魔法を教えてください」と言っていたが相手が悪い。
即答で「いやだ、めんどい」と言われてエヴァはネギ君にその話をふってネギ君はいいのかと聞いていたがエヴァは投げやり風味に、

「勝手にしろ。私はどうなってもしらんがな。どうせならもうクラス全員にばらしちまえばいい」
「それはさすがにやばいだろ、エヴァ」
「別にいいじゃないか。どうせもう半数以上にはばれているのだから」
「まぁ…そう言われてしまうと俺も姉さんもネギ君のためにばらしたといっても過言ではないな」
「そうね。今思い出すと初日からばれるのはすごいことだったわよね?」
「なに…? そんな早々からばれていたのか?」
「はい…アスナさんに……」

事の成り行きを聞いているとエヴァは爆笑していた。
ネギ君も涙目だったのでしかたなく俺はマグダラの聖骸布でエヴァを拘束した。
だがすぐに抜け出してきた。
男性専用でもあるがすぐに抜け出すとは…魔術回路を起動して緩和させたのか?

「その手は二度も喰らう私ではないぞ、士郎!」
「そうか…ではこれはどうだ?…偽・巨狼束縛し強靭の鎖(グレイプニル)

真名を開放した瞬間、俺の足元から幾重もの鎖が地面から生えてくるように飛び出しエヴァを今度は完全に拘束した。

「な、なんだこれは!?」
「北欧神話に登場する魔狼フェンリルを束縛した強靭な鎖だ。さすがのエヴァも抜け出すのは不可能ではないか?」
「ぐっ…確かにそれでは無理だな」




そんな俺とエヴァのやり取りを見ていた面々は、

「士郎さんって、いくつほど宝具を持っているんですかイリヤさん…?」
「わからないわ。私だって最初からシロウのことを全部知っていた訳じゃないし…でもただの武具とかも入れたら千はゆうに越えているんじゃない?」
「千もアルか!?」
「だって私ももう把握できていないから」
「士郎さんって…」



「………」
「くくくっ…なにやら人外扱いされてきたな士郎?」
「射抜くぞ?」

あまり冗談でもない殺気をこめてエヴァを睨みつけたがどこ吹く風とばかりにエヴァは余裕の笑みを浮かべていた。
だがそこでエヴァは表情を変えてなにやら意味深な発言をしてきた。

「…なぁ士郎? お前が、裏の世界に入った切っ掛けとはなんだったのだ? よもや断片的ではあるが聞いたお前達の元の世界で最初からそのような理想を掲げていたわけではあるまい?」
「確かにそうだったが…、切っ掛けか…そうだな。今思うと俺は最初…といっても二度目の生からすでに裏の世界に入っていたのだろうな?」
「二度目の生…? お前は私と違い人間だろう? なのに二度目というのはおかしくはないか?」
「ああ、確かに言い方はおかしいが…表現としてはそれが一番しっくりと来るんだ。以前に俺は養子だという話はしただろう?」
「そうだったか?」
「ああ………」
「ん? どうした。いきなり言葉を止めて…」
「いや、この話は今は止めよう。話すと長くなるからな。それにまだ皆が起きている間は過去に思いを馳せるなんて恥ずかしい事はしたくない」
「…どうやら後ろめたい話のようだな」
「簡潔にいえばそうかもしれない。姉さんも今ではああして元気に人生を送っているが裏の世界の犠牲者の一人でもある」
「イリヤもか? 一体お前達の間でなにがあったのだ?」
「………」

俺はそこで言葉を止めた。このままでは本当に過去の話を語りそうになってしまうから。
だがそこで騒いでいる一同の枠から姉さんだけがやってきていた。
どうやら会話はラインで筒抜けだったらしく先ほどまでの明るい顔は影を潜めていた。
そして、

「なんでも願いが叶うといわれる道具の奪い合い…つまり戦争をしていた。ただそれだけよ、エヴァ」
「姉さん…」
「ほう…なんでもとは。その後の戦争というのも興味をそそられるな」
「あまり面白い物ではないわ。特にシロウにとっては……お話はこれでおしまい。過去は過去、今は今よ。これ以上はあまりお話したくないから」
「わかった。チャチャゼロは興味を持ったようだが我慢しておいてやろう」
「助かる…」
「ケケケ、御主人ノ命令ジャシカタガネーナ。ダガ当然死人ハタクサン出タンダロ?」
「それくらいならいいわよ。答えとしてはイエス…もうこれくらいでいいでしょ? 昔のことを思い出すと自分も殺したくなるから…」

…やはり姉さんも過去の記憶がしこりになっていたようだな。
そこでなにかを感じ取ったエヴァはそれ以上聞いてこなかった。
その代わりにエヴァは大人組みである俺と姉さん、自分にチャチャゼロ分のワインを茶々丸に頼んで用意してもらって、広場で魔法を出そうと頑張っている一同を肴にして静かに乾杯をした。


◆◇―――――――――◇◆


…しばらくして一同が寝静まった頃、まだ起きていた俺と姉さんは二人で話をしていた。

「なぁ姉さん」
「なぁに、シロウ? 深いため息をついて…」
「いや、なに。ただな。俺はセイバーにも言い切った以上今も掲げている理想は本物だと信じているが、やはりこれは所詮切嗣(オヤジ)からの借り物ではないかともたまに思う事があってな」
「そう…」
「だが、そんな弱気な発言をしてしまってはせっかくまたチャンスをくれた遠坂と橙子さんに申し訳が立たない。未だに答えも見つかっていないからな」
「シロウが本当に目指している正義の味方っていう回答ね? 馬鹿ね、この世界に来る前にいったじゃない? 私も一緒にそれを探してあげるって…」

姉さんは後ろから俺に抱きついてきてその言葉を摘むんだ。
確かにそうだな。また早とちりするところであった。
姉さんと過ごせる今この時が仮初めの平和でも構わない。時間は有限だがゆっくりと探していこう。
それで一度頭をクリアにしてしばらく姉さんとそうしていた後、寝室に戻ろうとした途中でなにやらエヴァ達が宮崎のアーティファクトである本を見ていたのでなにをしているのか聞いてみた。

「やはりお前達も気になったか」
「…なにをしているんだ?」
「ぼーやが神楽坂明日菜に自分の過去を見せるといっているのでな。後で私達にも話すというのならいいだろうと宮崎のどかのアーティファクトで見ているところだ」
「ネギ君の過去か…」
「興味あるから見てみるのもいいかもしれないわね」

姉さんも見る気なので俺も見ることにした。
そして見た。ネギ君の過去を…




それは純粋な父への憧れ…ピンチになれば助けに来てくれるという子供ながらの小さい願い…
だが突如として悪魔の軍勢によって小さい村は襲われた。
村が燃え、ほとんどのものが石化されてしまい、それは自分の願いのせいだと後悔に陥るネギ君。
そして脅威はネギ君にも降りかかりその犠牲になりかけた時、颯爽と登場した一人の青年。
青年はネギ君がいつも持っている杖を持ちながら悪魔の軍勢を次々と強力な魔法で一掃していきすべてを薙ぎ払った。
ネギ君は青年の手によって救われたが、ネギ君は一種の恐怖からその場を後にしてしまう。
しかしまだ残っていた悪魔がネギ君に襲い掛かったが、すんでのところで老魔法使いと義姉の手により命を救われる。
…しかし悪魔の放った光は防ぎきることは出来なったために義姉は足が石化し途中で崩れて割れてしまい、老魔法使いはそれよりひどくほぼ半身が石化していながらもなんとか悪魔とその従者達を小瓶に封印することに成功。
だが代償は自身の石化…最後に「逃げてくれ…」という言葉を残し老魔法使い…いや、スタンさんは完全に石化した。
脅威は去ったが生き残った自分はともかく姉の石化を解くものは誰もおらず声を掻ける事しか出来ないネギ君に、ふと影が差した。
そこには先ほどよりボロボロになりながらも青年が立っていた。
そして燃えていない坂の上まで移動させられたところで、

「すまない…来るのが、遅すぎた…」

と、青年から後悔の念がこもった声が漏れたが、その時のネギ君は恐怖しか感じなかったため持っていた練習杖をかざして姉を必死に守ろうとする。
だが、青年はなにかに気づいたのか、「そうか、お前がネギか…」と言う言葉とともにネギ君の頭を優しく撫でて、

「大きくなったな…」

と、いう言葉でネギ君は呆気にとられたのか無言になり、その間にも青年は話を進めていく。

「…お、そうだ。お前にこの杖をやろう。俺の形見だ…」
「…お、お父さん…?」

そこで真実に至ったのか青年の正体が父であり、サウザンドマスターとも言われた『ナギ・スプリングフィールド』だと気づき頭が真っ白になったのか呆然としている。
そう、ネギ君の願いは皮肉にも悪魔襲撃という形で叶うことになってしまった。

「もう、時間がない…」
「え…?」
「ネカネは大丈夫だ。あとでゆっくりと直してもらえ…」

ナギ・スプリングフィールドはそれを伝えた後、空へとゆっくりと浮遊しだして、ネギ君は必死に父の名を呼びながら追いかけていく。
だが、彼はどんどん離れていってしまう。
最後に、

「悪ぃな、お前にはなにもしてやれなくて…こんな事いえた義理じゃねぇが…元気に育て、幸せにな!」

ネギ君が足を踏み外して転げた後、顔を上げたらすでに彼の姿はなかった。
そして父の名を叫びネギ君は大泣きした。
それが父との雪の日の最初の出逢いとそして最初の別れであった。






過去の話が終わりを次げた後には、ネギ君に皆は涙を流しながら駆け寄っていきエヴァと茶々丸も駆け寄ったりはしなかったが哀れみのような表情をしてエヴァは少しぐずっていた。
…だが、俺と姉さんだけは少し離れて第三者のように一同を見ていた。
きっと今、俺の表情は微妙に引き攣って歪んでいるだろう。姉さんも少しばかりそうなのだから…

 
 

 
後書き
ここもネギの記憶の部分は吸血鬼になったエミヤに流用しています。 
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