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星河の覇皇

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第七十三部第三章 国境の防衛ラインその二十二

「しかし本音を言うとな」
「死ぬことはですね」
「あまり、ですね」
「避けたいものですね」
「本音を言えば」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうだな、だからだ」
「戦争がないのならば」
「それは軍人にとって最良ですね」
「連合軍の様な状況なら」
「いいものですね」
「軍人は戦争がないに越したことはない」
 何といってもとだ、ムラーフはまた話した。
「まさにな」
「その通りですね」
「災害救助等はありますが」
「ああして戦争がない状況ですと」
「実に気が楽ですね」
「軍人は命を賭けて戦うのが仕事だが」
 このことは言うまでもない、軍人は国家の為に戦争という外交の一手段や国防という政治の為に戦う、それが重要な職務の一つだ。
 だからだ、ムラーフもこう言ったのだ。しかしそれと共にこうも言うのだ。
「だが、だ」
「何といってもです」
「戦争がないことがベストです」
「平和になればです」
「軍にとってもいいことです」
「徴兵制もなくなり規模は次第に縮小される」 
 戦う必要がなくなればというのだ、これは人類の歴史においての常だ。戦争が終わったなら軍隊は縮小される。
「そして地位だが」
「それは維持したいですね」
「やはりです」
「我々としては」
「そうだ、しかしだ」
 地位のことはあるがとだ、ムラーフは言った。
「それでもだ」
「統一され平和になるなら」
「これ以上いいことはないですね」
「ではこの戦争で統一を果たし」
「最後にしましょう」 
 その戦争をというのだ。
「後は我々は暇になり」
「命を賭けることも少なくなりますね」
「その通りだ、では戦争が終わるまでだ」
 まさにその時までとだ、ムラーフは話した。
「私はこの司令部で暮らす」
「そうして艦艇で、ですね」
「暮らされますね」
「そうするとしよう」 
 こう話してだ、そのうえでだった。
 ムラーフは実際に司令部においての暮らしをはじめた、食事も寝泊りも司令部で過ごすことになった。そしてこれは。
 オムダーマンの主な軍人達がそうしていた、これは文官達も同じで彼等もまた身辺に気をつけて迂闊位な行動を慎んでいた。彼等いはアッディーンが言うよりもそうしてティムールが行うテロから己の身を守っていた。
 そしてだ、軍の施設もだった。
 第一軍が守る首都となるバグダート星系を中心として警備が強化されていた、それはまさに戒厳令下の如きであった。
 その状況を見てだ、密かに潜伏していたティムールの工作員達は歯噛みしていた。ある工作員達は深夜に人気のない橋の下で浮浪者を装って話をしていた。
 その中でだ、彼等は言っていた。
「護りが堅いな」
「全くだな」
「要人達の警護もな」
「自発的にも身を隠している」
「毒殺もしにくい」
「移動の際の警護も厳重だ」
 防弾もバリアーも備えている車両に乗っていてだ。 
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