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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第百二十八話 決戦!!ヴァーミリオン星域会戦です。その1

 無音。それに尽きる。
 そして、その無音を形作っているのは、凄まじいばかりの両軍の緊迫感であった。総司令部、艦隊司令部、そして各戦隊司令部から駆逐艦にいたるまで、どの艦の総員も無言であり、自分の心臓の鼓動だけがこの闇の空間にこだましているという状況だった。

「総員、第一級臨戦態勢!!」
「敵との距離、84光秒!!」

 両軍のオペレーターの叫びが、艦隊の沈黙を破った。ヴァーミリオン星域に空前の大艦隊が集結しつつあった。

 自由惑星同盟軍12万8000余隻、帝国軍11万6000余隻という陣容はダゴン、ティアマトをはるかに上回る数である。しかし、帝国軍はこのほかに別働部隊を展開させており、それらが反転して攻勢する前、あるいは首都星ハイネセンを攻略される前に、自由惑星同盟軍としては総旗艦ブリュンヒルトを討ち取るほかない状況に追い込まれていた。
 ただし、それは、単純な地理的な状況を一見すると、である。
 地理的及び物量的に同盟に有利な点は、ヴァーミリオン星域の地の利を知り尽くしているという点と、艦隊総数でやや優っているという点である。さらに自由惑星同盟側は移動要塞アーレ・ハイネセンをワープアウトしてここにもってきていた。

 他方、帝国軍の利点はどうか。それは将官の陣容という点であろう。

 総帥ラインハルトは、この日の会戦にあたって、将官を選抜したが、それらの人々は以下のとおりであった。
 ラインハルト自身の直属艦隊とイルーナ・フォン・ヴァンクラフトの直属艦隊の一部合計22,000隻(ただし、前衛艦隊としてルグニカ・ヴェーゼル艦隊7000隻が分艦隊として別行動。)
フィオーナ・フォン・エリーセル元帥17,000隻
オスカー・フォン・ロイエンタール元帥17,000隻
ナイトハルト・ミュラー上級大将15,000隻
エルネスト・メックリンガー上級大将15,000隻
コルネリアス・ルッツ上級大将15,000隻
バーバラ・フォン・パディントン上級大将15,000隻
 そして、イルーナ・フォン・ヴァンクラフトが参謀総長として、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフが幕僚主席として、そして次席幕僚としてシュトライト、第三席以下リュッケ等の参謀たちが乗り込んでいた。
 いずれも有能な指揮官で、特に防御戦闘に置いて驚異的な粘り強さを発揮する者である。作戦人事の際に、何故ビッテンフェルトなどの攻撃型の猛将を当初メンバーにいれなかったのかということは後々にまで話題になったが、ラインハルトはあえてこのメンバーで一大会戦を戦い抜こうとしていた。
 
 他方、自由惑星同盟軍の陣容は、艦隊を再編成して降格されたもののヤン・ウェンリーの艦隊(再編はしているものの、各部隊からの混成艦隊であるため、もはや壊滅的な打撃を受けた第十三艦隊、第十七艦隊はほんの一部である。よって、これをヤン艦隊と呼称する)を筆頭に、最高評議会議長兼最高司令官シャロン・イーリス自ら指揮するアーレ・ハイネセン、そしてその周囲に展開する直属艦隊、新設されたアッテンボロー提督の第31艦隊、モートン提督の第32艦隊、カールセン提督の第33艦隊、そして古参のアレクサンドル・ビュコック提督の第5艦隊、ウランフ提督の第10艦隊、の7個艦隊であるが、その艦隊数は各々18,000隻であるため、帝国軍の一個艦隊と比べて戦力が大きい。
 この差をどう戦うか、それはラインハルトのみが知ることだった。


「敵軍、イエローゾーンに突入!!」

 ラインハルトはまだ動かない。

「敵軍、レッドゾーンに突入まで、後10秒!!」

 不意に、ラインハルトの右手がゆっくりと揚げられた。

「4・・・3・・・2・・・1・・・・!!」
「ファイエル!!!」

 手が振り下ろされ、ラインハルトの高らかな戦闘開始の声が響いた。
 数百万のお互いの砲門が一斉に火を噴き、たちまちヴァーミリオン星域は流血に彩られた。

「あえて奇策を弄する必要などない。味方の艦隊が到着するまで耐えれば、勝てるのだ!!奮戦せよ!!」

 ラインハルトの声に、全艦隊が高らかに答え返した。士気は高い。

 一方の同盟軍艦隊はアッテンボロー、ウランフの両提督が双頭の鷲のごとく、飛翔して先陣のバーバラ・フォン・パディントン、コルネリアス・ルッツに襲い掛かっていた。

「散開体形を取って、敵の砲撃に対処。小型艦及びワルキューレは散開機動戦術をもって、敵前衛艦隊体形を崩し、足止めして!」

 バーバラの指揮のもと、機動力に優れたワルキューレ部隊と小型駆逐艦艇が敵陣に上下左右から砲撃を縫ってなだれ込み、所かまわずミサイルや魚雷をぶっ放したため、前衛艦隊は混乱した。

「ひるむな!いったん距離を取って、体勢を立て直せ!!」

アッテンボロー提督が叫んだ。そのすきを見逃すバーバラではない。すかさず麾下の高速艦隊を進出させ、主砲斉射3連、手痛い打撃を相手に与えて、さっと引き下がった。

「くそ!敵は機動性において、こっちより上か!」

 舌打ちしたアッテンボローだったが、すぐさま体制を整えると、今度は戦艦部隊を前面に押し出し、重厚な陣形による主砲砲撃戦闘に切り替えてきた。
 その隣、ウランフ艦隊はルッツ艦隊と互角の戦いをしている。両者とも艦隊の体形を自在に変化させ、相手の攻勢を凌ぎ、あるいは相手の隙に付け入ろうと奮闘していた。

「敵もやる」

 敵の陣容についての感想を、ルッツはそう短くつぶやいただけで、終始無言だったが、指示は的確なタイミングで飛ばし続けた。
 その後方にあって、第二陣として控えていたフィオーナは前衛の2人の戦いぶりを見、そして敵全体の陣形の観察を怠らなかった。このため、彼女は偵察艦を広範囲に配置し、常にリアルタイムの戦局が推移できるように、見守っていた。
 この時、バーバラ艦隊麾下にあったイサーク・フォン・トゥルナイゼン中将は功に焦っていた。彼はまだ上官の命令がないにもかかわらず、第一陣に合流して敵の艦隊の先陣を打ち砕こうと前進したのである。

「あの、バカ!!」

 バーバラは思わず叫んでいた。これでは原作と同じじゃない!あれほど前進を戒め、各部署を死守するように言い渡したのに!トゥルナイゼンめ!!戻ったら絶対に降格よ、降格!!

「第一陣は散開体形!!トゥルナイゼンのバカの進路を遮らず、通すように伝達しなさい!」

 バーバラはトゥルナイゼン艦隊の進路をふさぐよりも、それをむしろ通し、混乱を避ける方法を選んだ。
 だが、この動きを見過ごすアッテンボローではなかった。

「今だ!!全艦隊、全速前進!!敵が道を開けてくれたぞ!!ご招待にあずかることとしよう!!」

 アッテンボローの号令一下、1万数千隻の艦隊は喊声を上げて吶喊してきた。この大津波をトゥルナイゼン艦隊はもろに受けてしまう。

「しまった!!」

 数千隻の艦隊ではいかに死力を尽くしても1万数千隻に勝てるはずもない。このままではトゥルナイゼンはその圧力の前に圧死するところだったろう。だが、バーバラは彼を放っておかず、上下散開させた第一陣をして、上下から砲撃させ、敵の勢いを削がせたのである。
 この第一陣の艦隊の司令官は、ブラウヒッチ中将であった。彼は的確に敵の先陣にピンポイント砲撃を仕掛け、その勢いを減衰させることにある程度成功したのである。
 この間にトゥルナイゼンは退却指令を受けて、安全距離にまで後退運動を始めた。

「逃がすな!!勢いを殺すな!!」

 アッテンボローにしては珍しい積極攻勢である。彼は原作では偽装退却の名人などと言われていたが、艦隊運動の見事さはフィッシャーに負けないと言われていた人物である。トゥルナイゼンごときの退却速度など軽く凌駕してしまった。

「くっ!!」

 バーバラは本隊旗艦艦橋で歯を食いしばった。ほんの小さな祖語から大きな穴がバーバラ艦隊に空こうとしている。

「左右両翼を張り出し、凹陣形を展開し、敵をけん制するほかないわ」

 今必要なのは敵の勢いを減衰させることである。そのうえで、艦隊の陣形を再編する。トゥルナイゼン艦隊とブラウヒッチ艦隊が合流しなければ、1万余のバーバラ艦隊本隊はアッテンボロー艦隊に飲み込まれてしまう。

「左右両翼は連携を取りつつ前進!!」

 だが、この動きをアッテンボローは逆用してしまう。

「今だ!!敵の右翼に集中砲火を行い、そこから一気に艦隊の後ろに出るぞ!!ウランフ提督にも連絡しろ!!強行突破だ!!」
「なっ!?」

 バーバラはのけぞった。敵の砲火が自軍の右翼に集中し、右翼はあっという間に崩壊してしまい、そこを敵がものすごい速度で突っ込んできたからだ。

「まずい!!!」

 バーバラは我知らず叫んでいた。

 このアッテンボロー艦隊の動きは、その隣でルッツ艦隊と対峙していたウランフ提督の艦隊にも波及した。突如ウランフ艦隊は紡錘陣形を取ると、正面から一気にルッツ艦隊めがけて突っ込んできたのだ。その勢いと攻勢はルッツにビッテンフェルトを思いおこさせるに十分だった。

「迎撃だ!!敵の先頭集団に、砲火を集中せよ!!」

 ルッツが叫んだ。ルッツ艦隊の堅牢な迎撃主砲は突進してくるウランフ艦隊の戦法を次々と襲った。ビーム砲の光が槍のように艦船を貫き、爆発四散させていく。まるで射撃演習場のマトに当てるがごとく、ルッツ艦隊は正確さと効率性双方を発揮して対処していた。
 だが、ルッツ艦隊の予測は甘かった。ルッツ艦隊の迎撃をウランフ艦隊は上回ったのだ。火球が次々と明滅し、死の花火が宇宙に打ち上げられる中を、ウランフ艦隊は損害を顧みず、突入してきたのである。

「第十艦隊、突っ込んできます!!」
「人柱になるつもりか!?」

 ルッツが愕然となった。第十艦隊は突撃してくる。叩かれて手痛い損害を被りつつあるのにも関わらず、だ。第十艦隊は自らを犠牲にすることで、こちらに穴をあけ、主力艦隊を通そうとしている。第十艦隊は古参の艦隊として帝国軍にも広く指揮官と旗印の名前は知れ渡っている。

「ウランフを叩け!!」

 ルッツは我知らず叫んでいた。彼の瞳は興奮した時をしめす、あの紫色になっていた。彼の麾下の諸艦隊は一斉に主砲をウランフの旗艦とその周囲に集中砲火を浴びせた。損傷し、爆沈して戦列を離脱しても、なお密集体形で突撃してくる。これを突破させてしまえば――。

「フィオーナ!!」

 旗艦ブリュンヒルト艦上にいたイルーナは携帯端末に我知らず叫んでいた。

『はい!ラインハルトを・・・守ります!!』

 端末上に出たフィオーナの顔は怖いくらいに悲愴さを帯びていた。彼女はいち早く艦隊を本隊の前面に展開させると、ルッツ艦隊の背後を方円上に扼し、効果的に支援できるような体制に作り替えた。

「ファイエル!!」

 フィオーナが右手を振った。容赦のない主砲3連射がウランフ艦隊を襲った。ルッツ艦隊の主砲集中斉射に加え、さらにフィオーナ艦隊の斉射を食らったウランフ艦隊は壊滅的な打撃を受けた。それでも旗艦を中心に、なお9000隻余りが突進をやめない。

「通すな!!」

 ルッツが叫び、自らの旗艦をウランフ艦隊の旗艦の真っ正面にぶつけてきた。

「小癪な!!そう簡単に俺を阻めると思うか!!」

 ウランフが吼えた。両者の気迫が電波してすさまじい死闘が行われた。兵士たちは声をからして叫び続け、互いの気迫を砲撃に込めて相手に叩き続け、あるいは艦ごと体当たりして敵を阻むなど、激闘が続いたのである。

「通さんぞ!!」
「通る!!」

 二人の意地と気合のぶつかり合いが主砲となってお互いの旗艦を襲った。

『ファイエル(ファイヤー)!!』

 二人の勇将が同時に吼えた。同時に放たれたビーム砲はお互いのシールドではじかれ、あらぬ方向にとんだ。

「突っ込め!!」

 ウランフが叫んだ。旗艦盤古は驚くべき意志と鋼鉄の力で、ルッツの旗艦スキールニルの横っ腹にぶち当たり、そのままガリガリと火花を散らして、通過していく。

「通すな!!ゼロ距離射撃、撃て!!」

 ルッツが叫んだが、さすがに砲手はそれはできなかった。敵の旗艦が爆発すればルッツの旗艦も無事では済まない。第一スキールニルの横っ腹は先ほどのぶち当たりによって損傷し、稼働できる主砲がなかったのである。
 ウランフはついにルッツ艦隊の横合いを突破してしまった。だが、その背後には体制を整えて待機していたフィオーナ艦隊がいる。

「全艦隊、凹形陣形に展開!!一隻たりとも通さないで下さい!!」

 フィオーナは腕を振りぬいた。

「ファイエル!!」

無数のビーム砲が斉射され、正確にウランフ艦隊の前衛を撃ち抜いた。

「ウランフ提督。俺も掩護します!!」
「おう!!ここで勢いを落とすな、頼むぞッ!!」

 バーバラの先陣を突破してきたアッテンボロー艦隊が合流してきた。数が減少しているとはいえ、双頭のヘビの勢いはまだ続いている。
 アッテンボロー艦隊とウランフ艦隊を合わせて23000隻余り、対するフィオーナ艦隊は無傷の17,000隻である。そしてフィオーナの本領は粘り強い防御戦闘であり、前世においても4倍以上の敵と交戦してこれを凌ぎ切った経験もあるのだ。

「通さない!!絶対に!!ラインハルトは、私が守るわ!!」

 硬く決意した拳を握りしめ、フィオーナは麾下の艦隊に指令した。二提督の艦隊の背後ではいち早く体制を整えたルッツ艦隊とバーバラ艦隊が陣形を再編して後続してくる他の艦隊を相手取って戦っている。突破された以上は、仕方がないが、それもあの2艦隊だけにする。他の艦隊は絶対に近寄らせない。これ以上フィオーナに負担がかからないように、というわけだ。

「けん制射撃!!敵艦隊が効果的な砲撃地点に近づくのを阻止して!!前衛艦隊のワルキューレは出撃!!敵艦隊を翻弄してください!!」

 フィオーナがとった行動は、長距離砲撃によるけん制射撃と、ワルキューレによる散開、翻弄戦術によって敵の突撃体制を崩し、効果的な砲撃をさせない戦法だった。いくら二人が強いと言っても、それは陣形と砲撃地点という要件がそろってからの話である。まるで獅子身中の虫のように、フィオーナはまとわりついて離さなかった。さらに一隊を自由自在に進出、後退させ、上下左右あらゆる方向から敵へけん制射撃をし続けていた。

「くそっ!!やるじゃないか!!姑息な戦法を!!」

 普段自分が行っている戦法を逆手に取られたアッテンボローは頭に来ていた。ウランフに至っては、沸騰寸前の形相である。

「流石はフィオーナ・フォン・エリーセル元帥だな」

 後方にあって戦況を見ていたヤン・ウェンリーは賞賛の声を上げた。

「防御陣形に隙がない。いや、それ以上にアッテンボローとウランフ提督を攻撃位置につかせない。用兵家としてはローエングラム公やロイエンタール元帥、ミッターマイヤー元帥の両提督に並ぶか、あるいはそれ以上なのかもしれないな」
「ヤン提督、感心している場合ではないですよ」

ユリアンが指摘した。

「わかっている。隙がないと言ったのはあの人個人の話であって、他の艦隊はアッテンボロー、ウランフに気を取られ、知らず知らずのうちに陣形を乱し始めている。・・・・シャロン、ビュコック両提督に連絡。第二段階を進言します、と」
「はい」

 フレデリカがうなずいた。ヤンの言葉は直ちに第五艦隊と第八艦隊にもたらされた。二人は瞬時にうなずき、同時に行動に移った。すなわち大きく左右両方向から迂回して、側面から砲撃する姿勢をとってきたのである。

「やるではないか。だが、それも想定済みだ」

 ラインハルトは落ち着いていた。彼は長年の研究から、ヤン・ウェンリーの戦い方が柔術に似ていると思うようになっていた。ヤンは、自分からはあまり積極攻勢をしない。単に正面の艦隊の平押しでの決戦で有ればこちらがかつ。ヤンの場合、こちらの勢いや陣形を利用して体制を崩しにかかるのだ。つまりは左右の二艦隊に手当てし、こちらは陣形を堅守し続けるようにすれば、それでヤンの手は封じられることになる。

「ロイエンタール、ミュラー」
『ハッ!!』
「卿らの出番だ。あの二艦隊を封鎖せよ」
「しかし、そうなれば正面が手薄になりますが」

と、ロイエンタール。

「わかっている。それについても手は考えてある。心配は無用だ」
「わかりました。では・・・」

 両提督は直ちに迎撃陣形を敷いた。ロイエンタールはシャロンに、ミュラーはビュコックに向かったのだ。

「よし、敵が分散した」

 ヤンにとってもまた、この行動は想定済みであった。彼の方程式は着実に勝利への回答を出しつつあった。彼は後置していた最後の二艦隊司令官に連絡を取った。
 本来なら独断専行である。この場合、艦隊指揮権はシャロンにあるのだが、シャロンはなぜか艦隊司令官にヤン・ウェンリーの指示に従ってもよい旨事前に言い含めていた。

「モートン提督、カールセン提督。今から私と共に全速力で突入していただきます。目標はシルレーン艦隊の背後、ワープ戦術で距離を一気につめ、ローエングラム公本隊の正面に出ます」
「ワープ!?」

 これがヤンの決め手だった。以前アスターテ星域会戦で敵にしてやられたことを返そうというのだ。

「これが第三段階、最終です。各艦隊は死力を尽くして、いや、こんな言い方は似合わないな。とにかく、無事に生きてローエングラム公のもとにたどり着きましょう」

 フッと両提督が相好を崩したように見えたが、それも一瞬の事だった。彼らは通信を切り、すぐにワープ態勢を整えたのである。


 
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