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星河の覇皇

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第七十三部第三章 国境の防衛ラインその十六

「しかしそれ故にだ」
「統一の後ではですか」
「最も手に入れたい人材だ」
「ではだからこそ」
「わかるな」
「マルヤム様の夫にされたのですね」
「シャイターン主席は謀略家だ」
 このことは否定しない、アジュラーン自身が先程言っている通りだ。
「だがそれと共に人材も欲しているな」
「統一の後も見据えて」
「それ故にだ」
「大統領を首相にですか」
「考えているのだ」
「そうなのですね」
「だからアッディーン大統領にはだ」
 その彼にはというのだ。
「何もしないと言われているが」
「言われている、ですね」
「確実ではない」
 このこともだ、アジュラーンはムラーフに話した。
「だからだ」
「近衛軍がですね」
「常に周りにいる」
「そうなっていますね」
「大統領が直接指揮を取られているな」
「それで二重三重にもですね」
「警護を固めている」
 当然ながらテロ対策にだ、そうしているのだ。
「今もな」
「確実でない限りは」
「対策が必要だな」
「はい」
 その通りだとだ、ムラーフも答える。
「常に」
「軍人は確実を第一とする」
「確実でないのならば」
 例えそれが九十九パーセントでもだ、軍人は絶対でない限りは安心しない。僅かでも可能性があればその危険性を考慮するのだ。
 それでだ、アジュラーンもこう言ったのだ。
「近衛軍もだ」
「大統領の周りをですね」
「警護を固めているのだ」
「そうですね、では」
「近衛軍も必死にだ」
「大統領をお護りしていますか」
「若し大統領か主席に何かあれば」
 オムダーマン、ティムールのそれぞれにだ。
「その時はだ」
「生き残った方がサハラを統一しますね」
「皇帝としてな」
 生き残った者がというのだ。
「そうなる」
「では若しもです。シャイターン主席が大統領を暗殺すれば」
「それが成功すればな」
「サハラの皇帝はシャイターン主席ですね」
「そうなる」
 必然的にというのだ。
「このことは間違いない」
「やはりそうですか」
「そうだ、しかし」
「それでもですね」
「シャイターン主席はそうしないというし私もだ」
「閣下もですか」
「そう見る」
 ここでだ、アジュラーンは彼の読みを話した。
「おそらくな」
「それは主席も軍人、いえ戦士だからですね」
「マムルークだ」
 本来は白人奴隷出身の軍人であった、だがこの時代ではエウロパで言う騎士と同義語として使われている。
「それならばな」
「戦う時はな」
「正面からですね」
「正々堂々と戦いだ」
「勝敗をつける、ですか」
「謀略を使えどもそれだけでサハラの皇帝となれるか」
 アジュラーンはムラーフに問うた。 
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