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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十四話 歌の後でその一

               第二百五十四話  歌の後で
 墨田川も箱根八里も終わってその後は荒城の月だった、今回の合唱部は全部滝廉太郎さんの歌だった。
 その歌が終わって拍手とアンコールもカーテンコールも終わってだった、僕は合唱部の楽屋の方にダオさんによかったと言うつもりで行くと。
 丁度途中でダオさんに会って言われた。
「どうだった?」
「よかったって言う為にね」
 僕はダオさんに笑顔で話した。
「それでね」
「来てくれたの」
「そうなんだ」
「そうだったのね」
「うん、いい合唱だったよ」
「そう言ってくれたら何よりよ」
「そうなんだね」
「だってずっとこの時の為に練習してきたのよ」
 だからだというのだ。
「それじゃあね」
「いいって言われるとね」
「こんなにいいことないわ」
 それこそというのだ。
「本当にね」
「そうなんだね」
「ええ、ただ練習は一生懸命だったけれど」
 それでもとだ、ダオさんは話してくれた。
「楽しかったわよ」
「練習自体はだね」
「凄くね」
 そうだったというのだ。
「だから毎日皆でね」
「楽しく練習して」
「やってたのよ、滝廉太郎さんの肖像画観ながら」
「作曲者の人の」
「何でかね」
 ダオさんはここでこうも言った。
「お鼻の穴が大きい」
「ああ、あの人の肖像画ってね」
「そうでしょ」
「初等部の音楽教室にもあるけれど」
 これは大抵の小学校でもそうらしい。
「お鼻の穴のことはね」
「皆言ってたのね」
「バッハの髪型とかね」
「あの左右カールね」
「あれ当時の髪型だったんだよね」
 何でも鬘らしい。
「モーツァルトにしても」
「あの人の肖像画も有名よね」
「うん、ただ滝廉太郎さんは」 
 この人の肖像画の話をまたした。
「何でかお鼻の穴がね」
「言われるのよね」
「酷い場合は」
 悪戯でだ。
「お鼻の穴に画鋲とかピンとかね」
「刺すのね」
「そうするんだよね」
 子供はだ。
「そんなことするから」
「そうなのね」
「ただ注目するだけじゃなくて」
「本人さん見たら嫌になるでしょうね」
「そうだろうね」
 天国でそう思っているだろうか。
「もう」
「音楽で讃えられるんじゃなくて」
「お鼻のことでね」
「言われると」
「もうね」
 それこそだ、 
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