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星河の覇皇

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第七十三部第三章 国境の防衛ラインその三

「何といってもな、そして首都としてだ」
「あの星系がですね」
「これから我がオムダーマンの首都になるあの場所が」
「統一されたサハラの首都となり」
「発展していきますね」
「首都はその国の心臓だ」
 中央集権国家なら尚更だ、そこから全てがはじまりそして動かされていくからだ。それだけに首都はそうした国家ではそうとも言える場所になるのだ。
「人も特に集まる」
「そして経済の中心地にもなりますね」
「政治だけでなく」
「文化においてもですね」
「全ての中心地になりますね」
「そうした場所になる」
 まさにというのだ。
「あの星系がな」
「アスランはです」
 これまでオムダーマンの首都だったこの星系はというと。
「やはりです」
「小さかったな」
「はい、どうしても」
 官僚の一人が答えた。
「サハラ西方だけならです」
「まだよかったがな」
「はい、しかし」
「今はな」
「先程の話になりますが」
「西にあり過ぎてな」
「そして星系の大きさもです」
「サハラ全体の首都としてはな」
「狭く小さいです」
「だからな」
「遷都となりましたが」
 首機能の移転にだ。
「よい名前ですね」
「バグダートか」
「サハラ中央にあり最も大きな星系ということで選ばれましたが」
「交通の便もよくな」
「はい、しかしです」
「名前もだな」
「いいですね」
「かつてのアッバース朝の帝都だった」
 イスラム帝国とも呼ばれる空前の大帝国だ、アラビアンナイトにも出てくるハールーン=アル=ラシードの帝国でもある。
「あの帝都の名だな」
「そうですね」
「統一帝国に相応しい」
「まさに」
「長い間ハサンの豊かな星系だったが」
「それでもですね」
 これからはというのだ。
「それが首都になり」
「やがてはだ」
「帝都になりますね」
「そうなる、統一されたサハラにな」
「そして閣下も」
 アッディーン自身もというのだ。
「皇帝に」
「そうなるな」
「左様ですね」
「皇帝か」 
 サハラではスルタン=カリフになる。この座についてだ、アッディーンはここでこうしたことを言ったのだった。
「私としては」
「皇帝についてはですか」
「この座については」
「あまりなろうというだ」
 それはというのだ。
「思っていない」
「そうなのですか」
「特にですか」
「思うところはないのですか」
「野心についても」
「そうだ、どうもだ」
 これはというのだ。皇帝の座については。
「私にはそちらの野心はない」
「そうなのですね」
「閣下は昔からそうした野心はおありではないですね」
「見たところですが」
「それは」
「そうだ、私は戦っているとだ」
 そのうちにというのだ。 
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