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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その二十一

「それだけでな」
「はい、確かにそうですね」
「切磋琢磨といいますが」
「そこから最も総統に相応しい者が選ばれる」
「だからこそ」
「それはいい、ダーウィニズムでもある」
 十九世紀の学者である、その進化論はキリスト教の教理に反すると長い間反発も生み出していた理論である。
「進化、競争の過程でな」
「最も相応しい者が選ばれる」
「だからですね」
「そうして競争が為されるならいいことですね」
「エウロパにとって」
「勝ち残った一人が総統となる」 
 即ちマウリアの国家元首になるというのだ。
「それならいいことだ」
「そうですか、それではですね」
「その競争が出来るだけの人材を起こさせますか」
「議員達にしても他の分野の者達にしても」
「そうしたこともしていきますか」
「そうだ、エウロパの為にな」 
 ギルフォードは純粋にエウロパのことを考えて言った。
「そうなる様にしていく、私の後もな」
「優れた人材が世に出る様に」
「そうしていきますか」
「どういった出身であろうとな、しかしこの国はだ」
 エウロパはというと。
「伝統的に政治家や高級官僚、軍人は貴族が多いな」
「企業家等は別ですが」
「どうしてもそうですね」
「知識人達にしてもそうです」
「貴族出身者が多いです」
「貴族はだ」
 まさにというのだ。
「指導者になるべくして教育を受ける」
「それ故にですね」
「人の上に立つ教育を受けます」
「そして家柄もありますし」
「どうしてもですね」
「そうした職業は貴族出身者が多いですね」
「元々だ」
 それこそ歴史ではローマ帝国が崩壊し領邦国家になってからのことだ、この場合は西欧各国のころである。
「貴族がそうした立ち場にいる国だしな」
「政治家や官僚となる」
「軍人にも」
「そして知識人にもでね」
「そうだ、だからこれは当然だ」
 どうしてもというのだ。
「私自身貴族だ。しかしだ」
「貴族でなくともですね」
「優れた者ならですね」
「総統となるもよし」
「この国の国家元首にも」
「平民出身の総統もいた」
 エウロパ千年の歴史の中にはというのだ。
「それも数多くな」
「つまり優秀な者はそれに相応しい場所にいるべきですね」
「そうなのですね」
「そうだ、私は貴族主義でもあるが」
 つまり階級はあるべきという考えだ。
「だが同時にだ」
「そうもお考えですね」
「エウロパの為には」
「そうなのですね」
「爵位は後で与えられもする」
 貴族のそれはというのだ。
「最初は成り上がり者もとも言われるが」
「やがてはですね」
「それもですね」
「何代も続けば固まる」
 家として、というのだ。
「成り上がり者と言われるのは最初だけだ」
「家としてはですね」
「そうしたものですね」
「家柄にしても」
「そうだ、優秀な者は貴族になるべきだ」
 爵位を与えられてだ、ギルフォードの今の話では手に入れるということになる。
「その力に相応しいな」
「そして銀の皿やスプーンを使うべきですね」
「そちらを」
 銀の食器はエウロパでは貴族が使うものとされている、とはいってもこれは例えで平民でも豊かなら使うことが出来る。 
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