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ユーノに憑依しました

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海鳴にやってきました

 地球、海鳴市、作中ではリンディさんが住む予定のマンションまで来たのだが、今は管理局名義であいつらが使ってる。

「おー、ユーノ久しぶりだな」
「お久しぶり、ロッテ」

 管理局の教導隊を指揮した事もある――猫を素体にした使い魔――リーゼロッテ。

「後ろの二人は……例の戦闘機人か?」
「ああ、ドゥーエとチンクだ――よろしくな、二人とも、こちらはリーゼロッテ、管理局最強の一人、インファイターだ」
「おいおいユーノ、昔の話で持ち上げるなよ、照れるじゃないか」

 ……色々あって複雑な心境だとは思うが――目が笑ってないぞ、ロッテ。

「よろしくお願いします、後で手合わせしてもよろしいですか?」
「私もお願いしたい」
「おーけー、おーけー、手が空いたらね、先にジュエルシードを密輸した連中が海鳴に潜んでないか調べてからな」

 気分が乗らないのか、上手く先送りにしたな。

「八神家はどうなってる?」
「今の所は反応なし――近付いたら直ぐ分かるようになってるから、安心して」
「んじゃ、直接会ってくるから、みんなは待機よろしく」
「了解しましたマスター」

 認識阻害と光彩魔法を使って姿を消してから八神家へ。

『はやて、今大丈夫?』
『え? ユーノ……くん、こっちに来てたん?』
『うん、さっき着いた所、で、厄介事なんだけど窓開けて貰える?』
『わかった、今開けるから、まっててな』

 はやてが部屋の窓を開けたので、靴を脱いでお邪魔する。
 玄関から入らない理由? 八神の両親に会いたくないだけだよ。

「ふー、やっと寛げる」
「それで、厄介事って何? また闇の書関係?」
「聖王教会の下っ端が裏切ったらしくてな、ジュエルシード抱えて逃走中だと」

 はやては頭を押さえて厄介事を噛み締めていた。

「それでユーノ君が此処に居るって事は、潜伏先は海鳴って事?」
「そうと決まった訳じゃないけどね、ジュエルシードの事がバレてるなら此処も危ないだろうと思ってね」
「……暫く図書館には行けないか」

 聖王教会に提出したレポートは、はやても目を通してある。
 ぶっちゃけ原作知識に関しては殆ど伝えてある。

「ロッサが追ってるらしいから、その内見つかるだろうけどさ」
「ヴェロッサくんだっけ? レアスキルは『無限の猟犬』だったかしら?」
「そう、もう一つは『思考捜査』だな、俺の記憶から色々引き出して貰ったよ」
「わたしの記憶は覗かせないからね」
「お前の場合は記憶を覗いたらとんでもないトラップが仕掛けられてそうだからな、警告はしとく」
「よろしい…………また暫くはこっちに居るの?」
「ああ、こいつも見つかったしね」

 胸元からレイジングハートを出して見せる。

「見つかったんだ」
「ちょいと苦労はしたけどな」
「渡すタイミングはどうするの?」
「そろそろ士郎さんが入院する時期だろうし――それで恩を売るよ」
「士郎さんには説明したんじゃなかったの?」
「それでも――君が何とかしてるれるんだろう? だってさ」
「完全に当てにされてるわね」
「なのはの精神構造を突き詰めて行くと必要なイベントではあるのだが……」
「アレだけ悩んで話す事にしたのに、随分と微妙な結果ね」
「お前だってその類だろうに」
「言えてるわ」

 未来知識+α色々あったさ。

「……何で俺の周りには変わり者ばかり集まるかな」
「貴方が一番変わってるけどね、ユーノ君」
「へいへい、どうせ俺は変人だよ……闇の書の中はどうなってる?」
「特に問題は無いわね、毎日騒がしいくらいよ」
「コレが才能の違いって奴なのかねえ」
「元からある才能に――わたしの知識と貴方の知識の応用で此処まで来れたんだから、防御プログラムは相変わらずだけど」
「トリプルブレーカーが必要なければ、なのはも放置できたのになぁ」
「未来から来るって言う二人もまだ会えてないし、頑張りなさいよ」
「気が向いたらなー」
「向かなくてもやりなさい」

 全部はやてに押し付けて無限書庫にでも篭りたいんだがな。

「そーいえば、お前の出番減ったぞ」
「どういう意味かしら?」
「カリムが評議会の連中潰して――スカリエッティとナンバーズを保護下に置いた、ヴィヴィオも確保済みだが構成要素が足りないそうだ」
「色々突っ込みたい事があるけど、六課はどうなってるの?」
「何か別の形で再現だろうな……たぶん、レリックが捜索対象になって表向き通りになるんだろ」
「ゆりかごを飛ばすつもり?」
「悪用するつもりなら痛い目にあって貰わないとな」
「……まだ隠し玉があるって言うの?」
「さて? もう何が隠し玉になるかわからんからな」

 はやてに伝えてない部分は有る事には有るのだが……あくまで一例だしな。

「あ、お母さんが呼んでるわ」
「此処までだな――あのマンションの六階に居るから念話くらいなら余裕で届くぞ」
「悲鳴っぽく演じればいいんだっけ?」
「そうそう、無意識に念話使いましたーみたいな」
「あと関西弁でしょ、聞く人が聞いたら即バレるわよ?」
「どうせ会って話せばバレるんだから、最初の内ぐらいは引っかけとかないと」
「まあどうでも良いけどね、ところで表に可愛いお迎えが着てるわよ?」
「? 迎え?」

 窓から下を見るとなのはがこっちを見上げていた。

「アレは無意識にやってんのかな?」
「あの子、予知夢ぐらいは見れるんでしょ? 結界を素通りして知覚する事が出来た筈よ」
「……今日起こる事を夢に見てたってか」
「浮気は出来ないわねー」
「ノーコメントで――それじゃ行くよ、またな」
「ええ、またね」

 はやての部屋から出て、なのはの後ろに回り込んでから認識阻害を解く。

「なのは、何してるんだ?」
「あ、ユーノ君、ユーノ君に会えそうな気がしたから――此処に来れば会えるかなって」
「今日はこっちに遊びに来たけど、いつもは遠い所に住んでるんだから探しても無駄だぞ」
「でも会えたから……遊びに行こう?」
「もう少しでお昼だろ、家まで送ってってやるから遊ぶなら飯を食ってからな」
「うん、今日は翠屋でご飯を食べなさいってお母さんが言ってたから、ユーノ君も連れて来なさいって」
「何故俺が来る事がバレてるんだ?」
「わたしが今日ユーノ君が来るんだよって言ったら、連れて来なさいって」
「その根拠のない確信は何処から来るんだ?」
「ユーノ君、難しい言葉ばっかりでよくわからいよ」
「……とりあえず、翠屋だったな」
「うん」

 なのはから差し出された手を繋いで翠屋に向かう、終始なのはが上機嫌だったが士郎さんの入院で――ああなるのか。

「いらっしゃいませ、あら、なのは、ユーノ君もいらっしゃい」
「お母さん、ユーノ君見つけたよ」
「そう、なのはは凄いね」

 しゃがんでなのはの頭を撫でながら微笑む桃子さん……まあ、良い絵だな。

「二人ともお子様ランチで良い?」
「うん、お手伝いするね」
「それとユーノ君、店内は禁煙となっておりますがよろしいでしょうか?」
「構わないが――この年でタバコが吸えるか、それに俺はタバコを吸わない……飯の味が落ちるしな」
「はい、畏まりました、奥の席でごゆっくりどうぞ」

 ニコニコと厨房に入っていく桃子さんを見て思う、絶対俺の反応を見て楽しんでやがるな。

 まあ、子供が背伸びして大人の言葉を使ってるように見えなくもない……が、子供の真似をして過ごすのは嫌だ。

「ユーノ君、ちょっと待っててね」

 なのはが厨房の方に入ったまま時間が過ぎていった。
 暫くすると料理を持った桃子さんと少し元気を無くしたなのはがやってきた。

「お待たせしました、お子様ランチです」

 一皿目は普通だったが二皿目が少し焦げて形が怪しいのだが、普通の料理が入った皿は俺に、焦げた料理が入った皿は――なのはに配られた。

「なのは、皿変えようか」
「え、でもコレ焦げちゃってるよ?」
「そっちを食いたい」
「お母さんの料理美味しいよ、ユーノ君はお母さんの料理を食べて」
「俺はそっちが良い」
「でも、お母さんが自分で食べないと料理が美味しくならないって」
「じゃあ、半分こだ」
「半分こ?」
「その皿を二人で食べて、こっちの皿も二人で食べる、食べ比べも出来て料理がもっと美味くなるぞ」
「本当? もっと料理美味しくなる?」
「うん、だから一緒に食べよう、な?」
「うん」

 半分こさせる事には成功した訳だが、やはり焦げた部分を食べたなのはの表情は歪んでいた。 
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