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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その十五

「掲げていこう」
「エウロパの為にも」
「そうだ、エウロパが復興することはいいことだ」
 愛国心からの言葉だ、祖国を愛するということについてこの議員もギルフォードと想いは同じなのである。
「そして発展することもな」
「今現在エウロパは急激に復興しています」
「ギルフォード総統の就任後特にです」
「それはいいことですね」
「確かに」
「我々にしてもな」
 野党から見てもというのだ。
「非常にな、しかしな」
「我々野党としてはですね」
「それ以上の政策を出す」
「その義務がありますね」
「その通りだ、代案なきことは無意味だ」
 はっきりと言い捨てた言葉だった。
「私は自分を低い場所に置くつもりはない」
「より高い場所ですね」
「人としても政治家としても高い場所にですね」
「ご自身を向かわせたい」
「そのこともあって」
「そうしたことはしない」
 彼が否定するそうした行為はというのだ。
「決してな」
「ではこれよりです」
「我々も資料を集めていきますので」
「読んでいかれて下さい」
「そして学ばれて下さい」
「そうしていく、だが恐ろしい政策もある」
 議員は鋭い目になりだ、スタッフ達にこうも言った。
「新大航海時代政策だが」
「あの政策ですか」
「暗黒宙域を越えるという」
「あの政策ですか」
「そうだ、あの政策は正直まさかと思っている」
 数十万光年の距離を踏破してその先にある新天地を手に入れるのだ、数十万光年なぞエウロパの艦艇では踏破不可能な距離だ。
「成功するとはな、最初はな」
「思いも寄りませんでしたね」
「あの政策はですね」
「一気に越えるかと思いましたが」
「中継地を設けつつですね」
「暗黒宙域を越えて」
「そして踏破する考えとは」
 スタッフ達も驚いて言うことだった。
「物凄いものがあります」
「中継地を置いていって進むとはです」
「そうして行くと確かに効果的です」
「少しずつですが確実に進めます」
「それが可能ですね」
「コロンブスの卵だ」
 議員はこの言葉も出した、その大航海時代の主人公の一人でありアメリカ大陸を発見したことで有名な人物だ。
「あの発想はな」
「一気に進まずですね」
「少しじつ進んでいくことは」
「確かに一気に進むより確実ですし」
「しかも安全です」
「そうだ、何十万光年も一気に踏破するなぞだ」
 エウロパの有人宇宙艦艇の能力から考えるとだ。無人の調査用人口流星なら別だがこうした星も途中多くが事故で紛失しているし何処まで行けるものでもなく暗黒宙域の先まで辿り着けても少し進んだところで全て力尽きた様に事故でなくなっている。
「不可能だ、だから誰も出来ないと思っていたが」
「無人の監査用人口流星ならともかく」
「しかしですね」
「有人の宇宙艦艇になるとまず不可能です」
「辿り着くだけでも」
「しかも帰還となりますと」
 行くだけでも困難だ、では帰るならば余計にだった。 
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