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自分がかえって

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第五章

「脂肪肝も治ってね」
「体重もなのね」
「それで脂肪全体もね」
 それもというのだ。
「減ってね、今も運動続けていて」
「それでそのスタイルなのね」
「そうなったんだ」
「そうなのね、何か逆になったわね」
 今の自分と友和、そして過去の二人のことを頭の中でクロスさせつつだ。双葉は言った。
「私達」
「そうかな、鞠谷さんじゃなくて」
「渡辺ね、結婚したから」
「そう、渡辺さん変わらないよ」
「太ったって言われたわよ」
「そうかな、あまり変わってない気がするよ」
「そうだといいけれど。ただあの時私が痩せていて」
 また現在と過去の自分達を頭の中で交差させつつ話した。
「こう言ったら駄目だけれど」
「僕が太っていてね」
「自分で言うのね」
「うん、事実そうだったからね」
 それでとだ、友和は双葉に笑って話した。
「自分で言うよ」
「そうなのね、あの時私太ってる人はって言って断ったのに」
 友和の告白をとだ、そのことも言った。
「それがね」
「いいよ、過ぎたことだしあの時渡辺さん僕の子と気遣ってくれたから」
「いいのね」
「うん、それにね」
「それに?」
「僕も結婚して子供いるから。今スポーツクラぶで働いてるから」
「そこで身体も動かしてるのね」
 双葉はすぐにこのことがわかった。
「そうなのね」
「そうだよ、じゃあこれから同窓会だから」
 また友和の方から言ってきた。
「お互い昔を懐かしみながら楽しくやろうね」
「ええ、色々あったでしょうしね、皆」
「三十六年生きてね」
「じゃあそうしたこともお話して」
「楽しもうね」
「お互いにね」
 双葉は友和ににこりと笑って答えた、そうして同窓会を心ゆくまで楽しんだ。だが次の日から双葉はジムに通う様になった。それからは太ったと言われない様になってそのことに満足もした。


自分がかえって   完


                  2019・7・7 
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