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小ネタ箱

作者:羽田京
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ゲート ジェダイ彼の地にて斯く戦えり
  【お試し版】ゲート ジェダイ彼の地にて、斯く戦えり(マル・アデッタの戦い①)

 
前書き
スターウォーズSSだけど、今回は銀英伝の名前が多いです。
時系列はパルパティーンが倒され、銀河帝国が息の根を止められるはずだったジャクーの戦いの後です。
ジャクーの戦いはシェーンコップの乱入により辛勝しています。

自由惑星同盟はシェーンコップが廃棄星系を買い取って作った辺境の同盟で、銀英伝のキャラはシェーンコップによる名付けです。シェーンコップ本人の名前も……。
 

 
 ジャクーの戦いで奇跡的な勝利を収めた銀河帝国だったが、その傷は浅くなかった。薔薇艦隊(ローゼン・フロッテ)の機転と救援がなければ、敗北していたのは史実通り帝国側であったろう。
 この勝利により軍事力は、新共和国:5、帝国:4、中立:1の比率となる。


 しかし、現実は数字上の戦力比よりも厳しかった。皇帝亡き帝国は大宰相が執政を握っているものの、完全に手綱を握っているわけではない。
 元来独立心と野心の強いものが上に立っているため、皇帝並のカリスマとシスの恐怖と力がなければ、統率しようがなかった。
 ゆえに、うまく連携できないどころか、モフたちの権力闘争と内乱で混沌としている始末である。銀河帝国打倒の大義のもと一枚岩となっている新共和国と比べれば、いくつもの首を持つ帝国は動きが鈍く劣勢に立たされていた。


『銀河帝国に新たなシスの暗黒卿が誕生した』


 その最中、突如銀河中をニュースが駆け巡った。新たなシスが誕生したというのだ。そして、最高のジェダイたるルーク・スカイウォーカーもフォースの乱れを――強きダークサイドの波動を認めた。
 シスの皇帝ダース・シディアスを討滅したはずのルークが、公式に新たなシスの誕生を認めたことで新共和国もーーそして、銀河帝国も驚愕に沸いた。


「シェーンコップの大将、いやもうダース・ローゼでしたかい? 皇帝就任おめでとうございます」
「まさか私が皇帝になるとはな。人生とは面白いものだ」


 その力で瞬く間に権力を掌握したシェーンコップは、空位であった皇帝の地位に就く。無論、成り上がりの彼に反発する勢力も多かったが、すべてその圧倒的な力で黙らせた。同時に、シスを崇める勢力もまたシェーンコップが新たなるシスであると認め派閥入りした。


薔薇の騎士連隊(ローゼン・リッター)はいつでも閣下、陛下のお側に。しかし、戦場にお立ちになるのはやめたほうが……」
「すまんな、リンツ大佐。だが最前線の方が私には合っている。それに次の作戦は――」
「それはまた剛毅な。本当に大丈夫なのですか?」
「未来を予知する。これもまたフォースの力なのだ。委細は新しい大宰相に任せてある」


 政争に疎いシェーンコップは、新しい大宰相を任命した。シェーンコップの派閥が急成長したのは、彼の手腕によることが大きい。その名は――ヨブ・トリューニヒト。
 シェーンコップがその<人物鑑定(ステータス・オープン)>で見出した、怪物じみた政治家である。


「お任せを。主戦派をまとめ見事に役目を果たして見せましょう」

 
 内乱の危機から脱した銀河帝国は、急速に往年の力を取り戻しつつあった。自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)で見せた内政手腕を遺憾なく発揮した彼は、圧政一辺倒の銀河帝国の統治手法を改めている。
 銀河帝国の圧政に苦しみつつも、旧共和国を快く思わない勢力は意外にも多く、新しい皇帝とその政治は歓迎された。
 しかしながら、軋轢もあった。つまり、シェーンコップに反発する者が予想以上に多かったということだ。新共和国に、彼らからある重要な情報がもたらされる。


「皇帝がわずかな護衛とともに極秘裏に移動しているだと? この情報は本当なのか!?」
「確かな筋からの情報です将軍。新たな皇帝を倒す絶好のチャンスです。スカイウォーカーに知らせますか?」
「いや、やめておこう。別のスパイから、皇帝は囮でジェダイを船ごと自爆して始末する計画もあると聞く。ここは数で圧倒する。正攻法でいけばよかろう」


 新共和国は、多方面同時侵攻作戦『ラグナロック作戦』を実行中であり、兵力に劣る帝国を押し込みつつあった。帝国の宿将ヤン・ウェンリーやメルカッツも、ローゼン・フロッテの分遣艦隊を離れ正規艦隊を指揮している。帝国は彼らの奮闘により局地的な優勢を保つものの苦しい状況に置かれていた。
 今やローゼン・フロッテに残る強敵はビュコックだけであろう。つまりチャンスである。


「しかし、主力艦隊を引き抜きますとラグナロック作戦を中断することになりますが……」
「ジャクーで負けた元帥の作戦を優先するのかね? 皇帝を討ち犠牲を最小にする。何の問題もあるまい」


 ジャクーで負けた新共和国軍は大きな人事異動があった。が、彼らは反乱軍の英雄たちであり依然として強い影響力を持っている。反乱後期から加わった新しい元帥は、功績を求めていたのである。
 かくして様々な思惑から銀河帝国と新共和国の決戦の火ぶたが落とされようとしていた。
 そして遂に、集結した新共和国主力艦隊8個が、小惑星帯を密かに移動するシェーンコップ艦隊の補足に成功する。


「いよし! 情報通りだ。敵は1個艦隊。こちらは8個艦隊。皇帝を倒すのだ! 歴史に名を遺すのはギアル・アクバーなどではない、この私だ! くたばれ皇帝(カイザー)!」


 後にマル・アデッタの戦いと呼ばれる決戦が幕を開ける。 
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