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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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Precious Night

 
前書き
ブラックコーヒーを用意してお読みください
あといろいろ顔文字が出てきたり三人称だったりするのは見逃してやってください 

 
「クリスマスパーティーへの招待状?」

それが鈴木燐の元へと届いたのはクリスマスイブのことである。そして招待状をひっくり返して送ってきた主の名前を確認すると途端に苦虫を一ダースほど噛み潰したような顔になった

「どうかしたの?」

その顔を見て声をかけたのは朝田詩乃。燐の彼女である

「いや、蕾姫の野郎が招待状を送ってきやがったんだ」

燐の脳裏に蘇るのは SAO勢VS AW勢 の戦いとその帰結。結局グダグダに終わりもはや読む価値すらない駄文に終わったあれ

「とりあえず内容を読んでみたら?」

「いや、どうせ行かないんだから読んでも無駄だろ。あいつのことだから開けた瞬間に拉致とかいう事態になりかねん」

完全に読まれている
というかさっさと開けろよゴルァ

……というわけでもう一通

「ん?なんか飛んできた……って紙飛行機かよ」

突然どこからともなく飛んできた紙飛行機に困惑の色を隠せない燐
実はこの飛行機、掴むと自動的に開く仕掛けになっていて開くと先ほどの手紙を開けたときと同じ結果になるのだ
ふははは、我が計画に一片の曇りな……

ザン!

「斬れば問題ないだろ」

チンと音を立てて抜刀した片手剣を鞘に戻した燐

(;-ロ-){キラレタ

「えっと、燐?それはさすがに……」

「普通だ」

詩乃の言葉を取りつく島もなく斬って捨てる燐
蕾姫(作者)が涙目になったのは言うまでもない

「それよりリアルで出かけないか?」

「いいけど……どこに行くの?」

「それは行ってのお楽しみってとこかな」

人を食ったような笑みを浮かべる燐
詩乃ももはや慣れたものではいはいと流してはいるが、顔が赤くなるのは抑えられないようで期待しているのは明らかだ

「じゃあ、詩乃の家までバイクで迎えに行くから出かける準備をしておけよ」

「うん!」

燐は手を振ってメニューを呼び出すとログアウトのボタンを押すと現実に復帰して行った
一人になった詩乃はしばらく燐の消えた場所を見つめながら顔をさらに赤らめて一言つぶやいた

「……クリスマスデートか……」

付き合い初めてまだ日は浅いが、もうすでに氷の狙撃手シノンの氷は完全に溶かされているようである








▼△▼△








「さてと……キリト。バイク借りるぞ」

「おお……ってどこに行くんだ?」

コタツで蜜柑を妹と共に食べながらテレビを見ているダメ兄妹の兄の方に、バイクの鍵についている輪に指を引っ掛けぐるぐる回しながら燐は話しかけた

「ちょいとそこまで。今からでも遅くないからキリトもアスナを誘ってやれよな」

「アスナを?なんで?」

この男、彼女ができたのが燐よりも早いのにも関わらず女心の機微に凄まじく疎いのはどうにかならないのだろうか?
相手のアスナが可哀想である

「……わかったな?」

「……了解」

まだ首を傾げているが、とりあえず燐の言うことだからと携帯に手を伸ばすキリト。コタツに潜りながらだが

「行ってらっしゃい、気をつけてね」

コタツの中から今度は妹の方が声を燐にかける
こちらは燐が今からなにをしに行くのかわかっていれのだろう。とても複雑そうな表情だ
自分の好きな人が別の異性とデートに行こうとしている。その人の幸せを願っている妹、直葉であってもそう簡単に割り切れることではないのだろう

「ごめんな、直葉」

「ううん、いいの。私はちゃんと気持ちを伝えられた。それが実らない恋だったとしても後悔はしてない。だから、今は純粋に燐の幸せを願ってるから。行ってあげて。詩乃さんのところへ」

先程までの複雑そうな顔は成りを潜め、吹っ切れた満面の笑顔を見せる直葉
でも……とそう続けた直葉の顔に黒いものが混じる

「詩乃さんを悲しませたりしたら……ね?」

「当たり前だろ?そんなことはしないって」

「うん、それならオッケー」

……扉を開けた瞬間、冬の夜の冷たい風が吹き込んできて首を竦める

「寒いな……」

空は星が見えないから、もしかしたら今夜は雪になるかも知れない……そんな期待を胸に燐は詩乃の家へとバイクを走らせた

居候させてもらっているキリトの家から詩乃の家までは結構遠い
バイクであっても結構時間がかかるため重装備であっても身体の芯から冷えきってしまうのはもはや必然と言えた

「悪い、待ったか?」

そんなことは奥微にも出さず詩乃にヘルメットを渡す

「ううん、大丈夫。私も今準備できたところだから」

「じゃあ、後ろに乗りな。行くぞ」

「うん」

詩乃がバイクに跨り、自分にしっかりと抱きついたのを確認すると燐はエンジンを再起動させる

「寒っ……」

「おいおい、ちゃんと着てこいって言っただろ?」

冬の夜の風は身を切るような寒さである。詩乃もかなりの重装備ではあるが、それでも多数の布を貫いた寒さに身を震わせる

「大丈夫。早く行こう?」

「後悔してもしらないぞ……」

若干あきれの混じる声で燐はつぶやくが、詩乃がなにも言わなくなったのでため息をつき、アクセルを踏んでバイクを走らせた

高速道路には乗らず、人気のあまりない道を走り続けること十数分。燐と詩乃は小高い丘の上にいた

「……綺麗……」

その丘から見えるのは無数の東京のネオンサインの輝き。一つ一つが宝石のような輝きを放ち、詩乃と燐はしばらくの間それを見入っていた

「この景色は子供の頃、親のところから一回だけ逃げ出したときに見つけた景色だ。俺にはそれが家柄や血筋、金……それが何であっても変えがたいものに見えたよ」

白い息を吐きながら燐の独白は続く。詩乃は景色に目をやりながらも燐の言葉に耳を傾けた

「それでいつか俺が子供の家出みたいなちゃちなものじゃなくて本当に解放された時……その時は一番大切な人と、この景色をもう一度見ようって思ってたのさ」

「燐……」

詩乃が目の前の景色から目を離し燐を見る。その上気した頬の赤さは寒さのためか、恥ずかしさのためか……

「メリークリスマス、詩乃。俺にもう一度この景色をみせてくれて……一緒に見てくれてありがとうな」

「燐こそ。私にこんなにもすごいクリスマスプレゼントをありがとう。大好きだよ……ううん、愛してる」

最後の言葉を聞いた瞬間、少し赤かっただけの燐の頬が一気に赤くなる

「そ、それは不意打ちすぎないか?」

「私は狙撃手だって燐も知ってるでしょ?」

不意打ちを成功させた詩乃の頬も真っ赤になっている
当たり前だ。大好きまでは今までに何度も言っていても愛してるなんて初めて言ったのだから

「燐はどうなの?」

「……愛してるに決まってんだろ!」

もはやどちらも湯気の出そうなほど真っ赤だ

その時、その愛の誓いを祝福するかのごとく雪が降り始めた

「あ……雪……」

「ホワイトクリスマスか……」

東京のネオンサインの光を浴びてキラキラと幻想的な輝きを雪が放つ

「……来年もまたここで景色を見れるといいね」

「見れるさ。来年も……再来年も」

やがて互いに一歩歩み寄り目を閉じる。そして二人の影が重なった

この清き聖夜に……メリークリスマス





~おまけ~

「もしもし、アスナか?」

「え?あ、うん。キリト君、どうしたの?」

「いや、リンのやつがアスナに電話かけろって言うもんだから……」

意味を考えたものの全くわからなかったキリトは相変わらず怪訝そうな顔でアスナに電話をかけたのであった
対するアスナは満面の笑顔。その弾んだ声は例え電話ごしだろうと感情が伝わりそうなものだ

「ねぇ、キリト君。今日、今からどこか出かけない?」

「え?うーん……すまない。今からちょっと用事が……って痛い! スグ、足を踏まな……」

バタンバタンと電話から聞こえてくる格闘音に苦笑いを浮かべるアスナ
相変わらず仲のいい姉妹だ。……そんな微妙にはずれた考えに至ってしまうのはこちらもちょっと鈍感だからか

「もしもし、アスナさん?うちのバカお兄ちゃんは大丈夫です。別に用事なんてありません」

ほら、お兄ちゃんはさっさと駅に行って!
いや、だってコタツの魔力が……
いいから行く!
……なんて会話が電話の受話器から漏れているがアスナはあえて聞かなかった
バーサク化しそうだし

「今からいつもの駅で、だそうです」

「うん、ありがとね直葉ちゃん」

「はい! うちのバカなお兄ちゃんをお願いします」

アスナは電話を切るとベッドに転がり、枕を抱え込んでゴロゴロし始めた
一通りゴロゴロした後、顔を赤くして立ち上がる

「どんな服を着ていこうかな?」

そして、幸せそうに服を選びだした 
 

 
後書き
というわけでクリスマス特別編でした

とりあえず書いてる途中砂糖を垂れ流してたんですけどどうでしたか?

私は全力で疲れましたね。だから!私は!恋愛パートが!苦手だっちゅうねん!

……取り乱しました
この話の時系列はアシリ編が終わったあたりを想定しています
燐と詩乃のクリスマスデート。人気のないネオンの綺麗な場所はどこかって?知らないです
東京の地理とか全くわからない
そして私は中高と男子校にいたので全く女っ気のある生活をしておりません(書いた時点で高三)
デートはおろか女性と手を繋いだことすらないドーテーです
女心とか知らん。デートの作法とか知らん
そんな受験生の二日間、合わせて約四時間を食いあさっていったこの話。楽しんでいただけたら幸いです

では皆さんにこの話を送ります
燐と詩乃から愛を込めて
蕾姫と私から哀を込めて

ではでは〜


〜おまけ2(奴らはその頃)〜

シリカ
ゲーム内でピナと戯れる

リズベット
キリトに電話で誘いをかけるが断られたため、やけ酒(ゲーム内)

ユイ
リンに頼まれてキリトのサポート

クライン
家から蕾姫に拉致られる。その後、クラインを見たものはいない(嘘

エギル
奥さんと二人きりで飲む

ミユ
コタツの魔力に負けて夢の中。次の日は風邪をひく未来が決定した

新川恭二&須郷伸之
拘置所

PoH
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